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中国:公共心の欠如と「社会の恥」・・新型列車がボロボロに

風邪をひいてしまい
少し更新が遅れてしまいました。

今日もまだ熱があるようなので小ネタで失礼を。


中国新幹線、相次ぐ備品持ち去り「社会の恥」

 日本やフランスなど各国の技術を導入したのに
 「国産」と宣伝している中国版新幹線が早くもピンチだ。
 4月18日から各地で時速200キロ以上の高速運転が始まったが、
 乗客による車内の備品持ち去りが後を絶たない。
 来年の北京五輪に向け、
 どうすればマナーが向上するのか中国指導部も頭が痛い。

 「社会公民の恥。
 中国人のイメージに悪影響を与える。
 五輪に向けこうした非文明的行動は注意しなくてはならない」。
 国営新華社通信(電子版)は乗客のマナーに疑問を投げかけ、
 処罰が有効策と指摘している。

 新華社によると、河南省鄭州市の検査場で
 検査員約100人は車内を点検して嘆いた。
 手洗い場のセンサー式蛇口、手洗いや排水の備品が消え、
 飲みかけのジュースが座席に放置されていた。

 中国各紙によると、信じられないほど備品が持ち去られている。
 トイレットペーパーに緊急脱出用のハンマー、
 便座の温度調節用つまみ、トイレットペーパーホルダーの軸など。
 センサー式蛇口のように
 持ち去っても何に使うのか想像もつかないものも含まれている。

 座席の物入れ網が破かれたり、トイレで喫煙したり、
 通風孔へのごみ投入、緊急用ボタンへのいたずら、
 トイレの水を流さない-など悪質なマナー違反も目につく。
 さらには大声を出したり床にたんを吐くなど傍若無人に振る舞う、
 足を前の座席に投げ出して足のにおいを発散させるなど、
 周囲の迷惑を省みない行動もあるという。

 日本の新幹線車両をベースにしたCRH2など高速列車の愛称は
 「和諧(わかい)(調和)」号。
 名前は立派だが、車内の様子は公共精神の欠如を物語っている。

   (iza!)


中国発の仰天ニュースですが、

  日本やフランスなど各国の技術を導入したのに
  「国産」と宣伝している中国版新幹線が~

この出だしからして皮肉たっぷりで笑えますね。

そもそもの発端は、今月の17日、
河南省鄭州市にある鉄道局検査場にて
約100名の技術者が定期検査のために
一ヶ月の運行を終えて戻ってくる新型車両を待ってました。

で、戻ってきた車両を見て彼らは呆然。
唖然自失といった感じでしょうか、
車内はボロボロ、有るはずの備品が消え去っている。

手洗い場のセンサー式蛇口が多数取り外されており、
緊急脱出用のハンマーも何故か無くなっている。
トイレの便座の温度調節つまみが取っ払われ、
トイレットペーパーのホルダーの軸も失せている。

検査をした技術者曰く

  「ただもうむなしさが募るばかり」

・・・深く同情いたします。


もう一つ、類似のニュースを。


無惨に荒らされた慈善イベント
 風車展が見せた公共心の欠如―上海市

 2007年5月19日、上海市世紀公園内で
 「美しい心の世界・慈善風車展」が開催された。
 公園は81863本もの風車で埋め尽くされた。

 この風車は
 貧困家庭への援助を呼びかける募金によって集められたもの。
 主催者は今年2月に風車と1元(約15円)の募金を
 送って欲しいと呼びかけたところ、81863人からの応募があった。
 風車が公園を埋め尽くすさまはまさに壮観そのもの。
 多くの人々が募金に協力したと一目でわかり、
 助け合いの気持ちの大事さを表すかのようだった。

 しかしこの美しい姿も午前中まで。
 風車展は午後には見る影もない、無惨な姿に成り果てていた。
 美しい風車展を見るために訪れた市民らは、
 記念撮影をするために草地に侵入、風車を踏み荒らしたためだ。
 なかには勝手に風車を持って帰ったものすらいるという。

   (Record China)


この調子で北京五輪は大丈夫なんでしょうか?

巷では中国の土地バブルや株バブルを懸念し、
経済的な理由での中国の発展の頓挫を指摘する声がありますが、
私はむしろ、モラルの低さゆえの
頓挫の可能性の方が高いと思っています。

かつて、共産党政権により
古来からの道徳や宗教を叩き潰してしまった中国ですが、
それに代わる新たな倫理体系を見いだせぬまま、
十数億の民衆は痰を吐きつつ、
マナーを無視しつつ、彷徨しているようです。

皮肉な目で見るならば、中国の勃興と成長は
「モラル無き国家に持続的な発展は可能か?」
という文明実験ともなり得るでしょう。






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中露関連のニュースを4つ・・憲法改正と陛下のエストニア訪問

今日は短めに。
気になったニュースを4つほど。


まず、中国絡みのニュースを2つ。


「憲法9条改正が核心」と関心=国民投票法成立で中国新華社

 中国の国営新華社通信は14日、
 憲法改正手続きを定める国民投票法が成立したことについて
 「日本政界に大きな食い違いがあり、
 特に憲法9条を改正するかどうかが一つの核心問題だ」と伝え、
 中国として日本の軍国主義化につながりかねない9条改正の行方に
 関心を示していることを示唆した。  

   (時事通信)


「日本の軍国主義化につながりかねない」なんて
最初は共同発のニュースかと思いました(笑)

憲法改正の流れが本格化するにつれて
これに反対する勢力の動きも激しくなるでしょう。

国内と左派と中韓の連携。
かつて様々な歴史問題や教科書問題が浮上するたびに
この3者がタッグを組んで
日本の正常化の動きを邪魔だてしてきました。
おそらく今回もそうなるでしょうね。

日本の保守層は
改憲派政治家の動きをしっかりと支えることです。
今回は改憲を挫折させるわけにはいきません。


五輪ボイコットが心配でCCTVワシントン支局増強 
  
 二〇〇八年のオリンピック開催を前に、
 中国国営テレビCCTVを使った中国の対米情報戦が激化している。
 中国メディアの事情に詳しい米国務省関係者は
 「当初、中国政府はビジネスの観点から、
 CCTVニューヨーク支局にオリンピック関連業務を任せようとした。
 しかし三月中旬、突然方針転換があり、
 ワシントン支局を中心軸とすることが決まった」と話す。

 ワシントンの中国専門家は
 「中国は一九八〇年のモスクワ五輪が
 アメリカのボイコットによって失敗したことをよく覚えている。
 ワシントン支局のCCTV記者は、
 アメリカが人権などの問題を理由に北京オリンピック開催に
 否定的な立場をとらないか見張るための情報要員だ。
 現に支局長はジャーナリストではなく情報収集が仕事だ」と語る。

   (フォーサイト2007年5月号)


ダルフール問題絡みで
北京五輪批判の動きが世界的に浮上してますが
中国も防衛に必死のようです。

こういうところが中国らしく、
非常に謀略工作に秀でた国です。


次にロシアのニュース。


新聞が第2の標的に!? ロシア

 ロシア国営日刊紙ロシア新聞が、
 政府から潤沢な資金援助を得て次々と紙面内容を強化していることに、
 ほかの民間新聞メディアが新聞業界の国家独占の始まりではないかと、
 危機感を募らせている。

 批判されているロシア新聞の発行部数は320万。
 4月1日からは読者に無料の週刊別冊紙を配布し始めた。
 30ページ以上の分厚い白黒のタブロイド紙だ。

 広告は一切ない。政治や経済、社会、文化、
 スポーツなどのニュースを掘り下げた読み物やインタビュー、
 話題の記事のほか、テレビ番組案内、星占い、
 クロスワード、天気予報などで埋めつくされている。

 ロシア政府は、その別冊発行のために今年末までに
 27億ルーブル(約127億円)の財政支援を行うことを決めた。
 毎月、別冊発行のために
 3億ルーブル(約14億円)を受ける計算になる。

 これにかみついたのがロシアの民間日刊紙、独立新聞だ。
 「国家の非経済」と題する記事を掲載し、こうした政府の決定は、
 自由競争を土台にした経済の原則に反しているとして、
 ロシア新聞への支援強化は、
 「ほかの新聞メディア市場を破壊することになる。
 それをわれわれが収めた税金で行うのは誤まりだ」と主張。
 「政府は、ソ連方式に逆戻りさせようとしているのか」と
 怒りをあらわにした。

   (iza!)


プーチンによる「帝国化」の動きは
着々と強まっているようですね。

私がこの種のニュースを見るたびに
いつも思い出してしまう記事があります。


ありがたい大統領のお言葉 他国では真似できない露会見 

 プーチン大統領による年1回の内外記者会見がこのほど、
 クレムリンで開かれた。
 今年、集まった記者やカメラマンは何と1132人、
 時間は3時間32分に及び、
 大統領はほとんどメモを見ずに79の質問に答えた。

 この会見には外国メディアや地方メディアも参加でき、
 質問内容にも公式的に制約はない。
 一見、民主的に思われるが、何か様子が違う。

 記者席に目をやれば、
 多くの者が出身地やメディア名などの書かれたプラカードを掲げ、
 指名してもらおうと躍起だ。
 質問できた記者は、当たり障りのない責任逃れの回答を
 感無量といった表情で聞いている。

 「『比類なき』ウラジーミル・ウラジミロビッチ(・プーチン)!」と
 質問を始めた女性記者までいたのには驚いた。
 質問の趣旨も、極東の地元官僚や議員が
 予算を自腹に抜き取っているので
 大統領の直接統治を導入してほしい、との仰天ものだった。

 この間、政権の影響下にあるテレビ・ラジオ局は
 会見の模様を一斉中継する。
 ロシア人記者には大統領の「お言葉」を頂くことが
 よほど有り難いようで、
 「私たちの街に来てください」とか
 「気分が沈む時はどうしますか」などという“質問”まで飛び出した。

 他国のトップにはこんな会見はとうてい真似できないから、
 ロシア人にとっては頭脳明晰でタフ、民主的な誇れる大統領と映る。
 メディアは「大統領の会見時間と
 質問数が記録を更新した」などと大々的に伝えた。

   (iza!)


ほとんど「皇帝」と「臣民」の記者会見です。

ロシア的といえばロシア的。
ロシアの統治にはこの種の「皇帝感覚」が必要と言えばそれまでですが、
民主主義からの逆行は間違いないようです。

ロシアにとって「良き統治」と「民主主義」とは
両立できる概念なんでしょうか?
深刻な課題ですね。


最後もロシアに絡んだニュースを。


両陛下、バルト3国などご訪問…21日出発を前に記者会見

 天皇、皇后両陛下は21日からの
 スウェーデン、バルト3国、英国5か国訪問を前に14日、
 国内外の記者と皇居・宮殿で1時間にわたって記者会見された。

 帝政ロシアから独立を宣言しながら、ソ連に併合され、
 第2次世界大戦では独ソ戦の戦場となり、
 ソ連崩壊の過程で独立を回復したエストニア、ラトビア、
 リトアニアのバルト3国への初訪問について
 「苦難の歴史に思いを致し、それぞれの文化に対する理解を深め、
 相互理解と友好関係の増進に尽くしたい」と述べられた。 

   (読売新聞)


陛下がバルト三国を訪問されるそうですが、
偶然とはいえ、なんともホットな地を選んだものです。

今、バルト三国のエストニアが
ロシアと「ソ連兵銅像の撤去問題」で
大もめにもめているわけですが、

露“エストニアいびり”強化 今度は鉄道遮断 米欧も懸念

この焦点の地を訪問するとは
ロシアの観点から見ると嫌味そのものでしょう。

逆にエストニア人からすると
極東の大国の国家元首の訪問は
時期が時期だけに喜ばしいでしょうね。

実はバルト三国は日本と意外なつながりがありまして、
日露戦争時に対露諜報工作を行った明石元二郎大佐が
ロシア国内の反体制勢力に大量の資金と武器をばらまきましたが、
このバルト三国の独立派組織にも
日本から多くの金と兵器が流れています。

ロシアを睨んだ両国の結びつきはこの後も続き、
第一次大戦後、独立を果たしたエストニアには、
フィンランド経由で日本の三八式歩兵銃などが輸出されています。

たしかエストニアの軍事博物館には
今でもこの三八式歩兵銃が展示されていると
何かの雑誌で見た記憶があります。





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北京五輪「人質論」・・ダルフール問題と中国への圧力


           genocide_olympics.gif


北京五輪の「大失敗」警告
 ダルフール問題で中国非難の書簡-米下院委員長

 米下院外交委員会のラントス委員長(民主)ら下院議員108人は9日、
 大量虐殺が起きているスーダン西部ダルフール紛争について、
 同国に大きな影響力を持つ中国政府が
 紛争に歯止めを掛けるための十分な行動を取っていないと非難する、
 連名の書簡を胡錦濤国家主席あてに送付した。
 書簡は、スーダン政府にとって中国は最大の投資国となっており、
 「ジェノサイド(集団虐殺)の資金提供者」として歴史に残ると指摘。
 来年の北京五輪開催中に抗議行動が頻発すれば、
 それは中国政府の「大失敗」を意味することになるとも警告している。
 
 スーダン政府は、
 ダルフール紛争終結に向けた国連・アフリカ連合(AU)合同の
 平和維持部隊の受け入れを渋っているが、
 中国はスーダン政府への制裁発動に消極的な姿勢を取っている。
 今回の強い表現を用いた書簡送付は、
 米議会内でも中国に対する不満が高まっていることを示した。  

   (時事通信)


ここ一ヶ月ほど、
「ダルフール」の名が報道をにぎわすことが多くなっています。

ダルフール紛争に関しては過去にも書きましたが、

ダルフールの虐殺と中国の罪・・犯罪と資源外交

スーダン西部ダルフール地方において
スーダン政府軍がアラブ系民兵と連携して
同地方の黒人系一般市民を
組織的に攻撃し殺戮している「虐殺事件」です。

今年3月の国連人権理事会の調査報告書では
ダルフール紛争による死者は「少なくとも20万人」となっています。

このスーダン政府に対して
石油などの資源絡みで中国が肩入れし、
国際的な圧力を遮り続けてきたのは周知の事実ですが、
どうやらここ数ヶ月ほどで風向きが変わりつつあるようです。

一つは米国と欧州などでの
この問題に対する意識の高まりで、
欧米でのマスコミ論調は
スーダンと中国に対して一段と厳しいものになりつつあります。

4月中旬には
米国のネグロポンテ国務副長官が
ダルフールの難民キャンプを視察。

この報告を受けて
米ブッシュ大統領は4月19日、
スーダン政府に対して強い調子の警告を発しました。

ダルフールの暴力をやめさせる最後の機会
 米大統領、スーダンに警告

これらの圧力にビビったか、スーダンのバシル政権は
かねてより拒否し続けていた国連PKOの受け入れ計画に対して
暫定的な受け入れを表明しました。

スーダンが国連PKO了承 3段階派遣計画の2段階目

実はこの合意には裏話がありました。

2008年の北京オリンピックの芸術顧問を務める、
映画監督スティーブン・スピルバーグが
ダルフール問題で中国政府に対して懸念を表明。
これに慌てた中国政府がスーダンに特使を派遣し、
これがスーダン政府の軟化につながったのです。
詳細は以下。


中国慌ててスーダンに特使 スピルバーグ氏らの懸念で

 きっかけは、国連児童基金(ユニセフ)の親善大使を務める、
 女優ミア・ファローさんの
 三月二十八日付ウォールストリート・ジャーナル紙への寄稿。
 中国はスーダンの原油の大半を購入しており、
 その代金が紛争に使われているなどと指摘して
 北京五輪を「大虐殺の五輪」と呼び、
 スピルバーグ氏をナチス時代のドイツ人映画監督になぞらえて批判した。

 寄稿の四日後、同氏は中国の胡錦濤国家主席に手紙を送り、
 ダルフールの住民虐殺に懸念を表明し、
 中国がスーダン政府に対し適切な措置をとるよう要請。
 中国は直後、スーダンに特使として外務次官補を派遣し、
 難民キャンプまで視察させる異例の対応を取った。

 スーダンに対する中国外交については、
 資源獲得を優先してダルフール紛争を軽視しているとの
 欧米からの批判がある。
 ニューヨーク・タイムズ紙は、
 今回の出来事が、中国が国を挙げて取り組む、
 「五輪にダルフール紛争をうまく絡めたことによる
 驚くべき成功」との非政府組織(NGO)の見方を紹介した。
 
   (中国新聞)


この「快挙」に影響されたのか否か?

ここから「北京五輪」に絡めて
ダルフール問題で中国に圧力をかけようという動きが
一気に世界中に拡散していきます。

先日の仏大統領選でロワイヤル候補は
ダルフール問題での中国の対応に改善が見られなければ
北京五輪をボイコットすると表明、
これに世界中の反中派が諸手をあげて喜びました。

そして冒頭のニュース。
米議員108名が連名で胡錦涛に、

  来年の北京オリンピック開催時に
  ダルフールと中国政府を結びつけた抗議活動が起きれば
  それは中国にとって大災厄なるだろう。

と、物騒な書簡を送りました。

一方、米国のマスコミもヒートアップしています。

メルマガ「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」の通巻1794号に、
こんな内容が載っていました。


◇読まれました? 『ボストン・グローブ』の社説を。
 北京オリンピックは「皆殺しの競技会だ」と激越なる中国批判

 「ボストン・グローブ」紙と言えば
 米国東海岸でNYタイムズ、ワシントンポストと並ぶ有力紙。
 
 その社説(5月9日付けIHIに転載)を見て驚いた。
 2008年オリンピックを「皆殺しの競技会と呼ぼう」と
 中国への激しい非難に埋まっているからだ。

 すこしく意訳してみる。
 
 「中国は同胞を虐殺するスーダンへの国連制裁決議を
 事実上無効にするために舞台裏で蠢く。
 ミャンマーの民族浄化、ウズベキスタン、
 ジンバブエの人民虐殺に対して、
 その独裁者達に武器を売り歩き、支援し、国連非難決議に反対した。
 中国は「悪魔」と呼んで差し支えないだろう」。

 同紙は中国の行為は共産主義ドグマとは無縁に、
 暴君らを支援する動機は石油である、と剔り、
 また「投資した石油鉱区を護るために
 中国は残虐な政府であっても支援する」として、次のように続ける。

 「ウズベキスタンの独裁者カリモフが2005年に
 アンディジャンで抗議のデモ隊に発砲したときも、
 中国はウズベキスタン政府がいう、
 『テロリストだったから』という作り話を支持し、
 直後にカリモフを北京に招待したうえ、
 六億ドルの経済支援協定に著名した。
 おなじ手口はチベット、台湾の独立運動に対しても使われている。
 
 我々は中国に対して、
 つねに『恥を知れ』と批判し続けなければなるまい。常に常に。
 そして2008年北京オリンピックを
 “皆殺し競技会”を呼び続けよう」。

   (宮崎正弘の国際ニュース・早読み)


いやあ、凄いですね。
日本では産経だってここまで書けないでしょう。


さて、こういう状況を見ていて思うのですが、
「北京五輪」ってのは中国の国威発揚の機会であると同時に、
他国人から見ればこれは「人質」も同然だということです。

日本では東京都の土屋都議などが
中国の人権蹂躙に抗議して北京五輪ボイコットを呼びかけてますが、

東京:人権蹂躙大国・中国に抗議、北京五輪ボイコット
 地方議員と市民の会

私が寂しく思うのは
国会議員でこのような動きを見せる人が皆無なことですね。

べつに日本も外交関係ってものがあるので
全国会議員にやれとは言いませんが、
数人ぐらいはその種の動きをしてもよさそうなものですが・・。
それが中国政府にとっては
「日本、侮り難し」との圧力になるわけですから。

題材なんていくらでもあるでしょう。
ダルフール問題もそうだし、
東シナ海のガス田の問題もある。
人権蹂躙、自由無き独裁国家、年々拡大する軍事力、
近隣諸国を巻き込む環境汚染、等々等。

来年に北京五輪が開かれるいい機会です。
これは格好の人質です。
五輪に絡めて大いに中国に圧力をかけてほしいものです。

絶好の好機が到来してるわけですから。






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中国:セーシェルへの影響力拡大


  江凱級フリゲート「温州」.jpg


インド洋にセーシェルという国があります。

人口がわずかに8万数千の小国ですが、
「インド洋の宝石」と呼ばれる美しい島嶼国家です。

この国への中国の進出については
過去記事で書いたことがありますが、

中国のインド洋進出と日米印3カ国海軍共同訓練

世界日報にこれに関連した記事が載っていたので
ここに引用しておきます。


◆インド洋戦略拠点のセーシェルに中国進出

 初代セーシェル大統領 J・R・マンチャム

 中国の胡錦濤国家主席が二月、
 アフリカ八カ国歴訪の最後にセーシェルを訪問した。
 胡主席は訪問先各国で経済援助や債務免除、資源交渉を再確認した。
 すべては世界における中国の影響力確保のためだ。
 別の表現をすれば、世界で唯一の超大国、
 米国に取って代わろうとするためのものである。
 インド洋における中国と米国・インドとの影響力争いも
 次第に明らかになりつつある。

 米国はもちろん、最も洗練された海軍と空軍の基地を、
 セーシェルから六百四十?ほど離れたディエゴ・ガルシアに持っている。
 悲しいことには米国は冷戦終了後、
 経費節約のために在セーシェル大使館を閉鎖した。

 長期的視野に立つ中国は、一九七七年六月のセーシェル独立以来、
 一貫して当国と特別な関係を築いている。
 現在、中国大使館はセーシェルで最大規模のものであり、
 首都ビクトリアの空には赤い国旗が誇らしげにはためいている。

 昨年、李肇星中国外交部長(当時)がセーシェルを公式訪問した際、
 より多くの学校や住宅建設のための同意書に署名した。
 また彼の語った主要な点は
 「本当のエデンの園」と称賛するセーシェルとの間に
 中国のツーリズムをより強く結びつけ発展させたいということであった。
 しかし、エネルギーと資源に対する中国の飽くなき欲望と、
 それらの輸送のためのシーレーンの確保が
 小国セーシェルを訪問する推進力となっているというのが、
 すべての賢明な政治評論家たちの見方だ。
 今日の状況の中で、中国は
 「困った時の友は真の友」を演じているものと見られ、
 もちろん相互利益を期待してはいるのだろう。

   (世界日報 2007/05/02)


まさに着々という感じで
インド洋に布石を打ちつつある中国です。

この調子でいけば
いずれ中国はセーシェルに海軍基地でも置くのではと思われますが、
この要衝の地に中国軍が駐留するようになれば
インドの反発は必至でしょう。

平和慣れというか、平和ボケした日本人感覚からすれば、
この中国の野心の猛々しさには辟易してしまいそうですが、
これが「普通の国」の戦略的発想というものです。

もし、今の日本が
かつての大日本帝国のような思考パターンであれば、
中国に先んじるように
このセーシェルのようなインド洋の島々に進出しているでしょう。

そういう発想が良いのか悪いのかはともかくとして、
それが普通の大国の発想というものです。

ある意味、中国の発想は単純明快です。

  「国力相応に覇権を拡大する」

これが彼らの発想で、
空母を持てるぐらいの国力になったから空母を持ち、
宇宙に有人衛星を送れるようになったから送り、
人工衛星をミサイルで破壊できるレベルになったから破壊し、
そして、インド洋に進出できる国力を有してきたから
セーシェルやミャンマーやパキスタンと密接な関係を作り、
彼らから軍港と基地を租借するわけです。

それを妨げるような憲法も国民感情も存在せず、
国力に応じた覇権拡大は
彼らにとっては呼吸するように自然な発想です。

このまま中国の経済成長が続くか否かは分かりませんが、
もしこの勢いで彼らの国力が増大していけば
20~30年後には米国との対決を考えるのは
自然の流れと言っていいでしょう。

その時、日本はどうなるか?
さあ、神のみぞ知るとしか言いようがありません。

  「悲観的に準備し、楽観的に行動せよ」

これは危機管理の鉄則の一つですが、
独裁国家に隷属する未来が嫌なら
日本も先々のことをシビアに考えて打つべき手は打つべきでしょう。





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人民元の偽札が蔓延・・東南アジアと台湾


 人民元.jpg


今日は軽めに。
人民元の偽札蔓延のニュースを。


東南アジアに偽人民元蔓延 対ドル上昇で地下活動猛威 
 
 中国と国境を接するベトナムやミャンマーをはじめ
 タイ、シンガポール、マレーシアなど東南アジア各国で、
 偽人民元札の流通が深刻化している。
 中国紙、国際先駆導報が24日までに報じた。

 同紙は「昨年以降、人民元の対ドル相場が上昇したことを受け、
 地下の闇活動が猛威を振るっている」と指摘した。

 中越国境付近でマンガン鉱石開発に投資し、
 中国商人と取引する、あるベトナム人は
 昨年から人民元による現金受け取りを拒否。
 米ドルや銀行を通じた送金を要求しているという。

 このベトナム人は「国境付近には偽人民元札が非常に多く、
 わたしが受け取った1万2千元(1元=約15・5円)のうち
 900元が偽札だったこともある」と指摘した。

 同紙によると、
 ベトナム、ミャンマーなどの中国国境付近で開業する両替商が
 「偽人民元札流通のルート」になっている。

 中越国境付近にはこうした両替商が600以上あるというが、
 両替商の多くは偽札の識別ができない。
 さらに東南アジアへの中国人旅行客が急増し、
 人民元が流通するにつれ、偽札が紛れ込むケースが多くなっている。

 同紙は「人民元の偽造防止に対する認識が依然として低い。
 偽人民元札が東南アジアではんらんする状況が続けば、
 人民元の国際的信用は損なわれるだろう」と警告した。

   (FujiSankei Business i.)


ちょうどこれに関連する内容が
メルマガ「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
通巻第1775号に載っていたので
合わせて引用しておきます。


◇こんな手があったか。人民元偽札が大量に台湾へ上陸
 広東の偽札工場からマフィアが観光客に化けて。。。

 台湾で人民元が堂々と使えるのは金門島だけである。
 しかし台湾本島でも、一部で人民元が流通し、闇のマーケットがある。

 これに目を付けたのが偽札団だ。
 中国大陸では100元、50元という高額紙幣は、
 どんな店でも偽札発見器がおいてあり、
 あやしい札びらはつっかえされる。
 このため近年、偽札団は発見器が見逃しがちな、
 20元、10元紙幣を大量につくって攻勢をかけてきた。
 いずれも偽札工場は広東と推定されている。
 広東のヤクザは山口組よりも怖い。

 香港「東方日報」に依れば、
 昨年だけでも5億4000万人民元の偽札が発見され、
 その増加率は飛躍的。
 スーパーや寝具店など忙しい店を狙い撃ちしているという。

 そして偽札は台湾へ上陸した。
 偽札発見器が整備されていないからだ。
 これまでの偽札の対象はドル、
 日本円、そしてユーロだけだったから。

 台湾の有力紙『自由時報』(4月12日付け)は
 「現在金門島の銀行での人民元レートは
 一人民元が、4・52台湾ドル。
 台湾国会では「人民元の全面開放」を唱える国民党と、
 人民元交換に「断固反対」する与党連合(民進党、台湾団結連盟)とが
 真っ二つに意見が分かれている」。

   (宮崎正弘の国際ニュース・早読み)


両方の記事を合わせて読むと
中国の内情はデタラメとしか言いようがないですね。

まあ、著作権無視の海賊版が堂々と流通している国ですから
偽札がまかり通るのも当たり前なんでしょうが、
実際に中国国内での偽札の横行はハンパじゃないようです。
日常生活で偽札を掴まされることは
さほど珍しいことではないそうです。

台湾では国民党が「人民元の全面開放」を唱え、
民進党と台湾団結連盟が反対しているそうですが、
そりゃ反対が大正解でしょう。

そういえば、こんな悲劇的なニュースもありました。


給料すべて偽札で泣き寝入り―重慶市

 2007年4月12日、重慶市の曽さんは
 2日前に給料として受け取った7枚の100元札(約1500円)が
 すべて偽札だったと警察に届け出た。
 7枚はすべて同じ番号「CC81594721」で、
 警察は事件の証拠品として没収した。

 曽さんによると、
 4月10日に働いている縫製工場から月給をもらい、
 2日後にその札で買い物をしようとして偽札に気づいた、
 だから給料が怪しいという。
 
 しかし縫製工場の経理担当者の話では、給料を手渡した際、
 9枚の100元札を一旦曽さんに支払った上で、
 社長への借金返済としてそこから200元返してもらった、
 この200元は偽札ではなかったから支払った札に問題はないはず、
 しかも受け取ったその場で何も言わなかったし、
 2日たってから言い出すのはおかしい、と主張する。

 法律の専門家によると、通貨はその性質上、
 市民がたとえ偽札をつかまされても
 責任を追求する相手が見つからないのが現実、
 つまり泣き寝入りするしかない、ということだ。

   (レコードチャイナ)


掴まされる方が馬鹿、という捉え方なんでしょうが
なんとも凄い現実です。







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ディズニー激怒!? 中国のパクリ・テーマパーク・・園内をミッキーが闊歩

今日はタイ情勢について書こうと思ってたんですが、
あまりにもぶっ飛んだニュースがあったので
そちらを紹介します。


国営アミューズメント・パークで、ディズニー模倣 - 中国

 「ディズニーランドは遠すぎる」をスローガンにする、
 中国国営のアミューズメント・パークがある。
 この北京石景山游来園(Shijingshan Amusement Park)では、
 園内のスタッフがディズニーのキャラクターである、
 白雪姫と7人の小人たちに扮し、
 「シンデレラの城」や「マジック・キングダム」のレプリカを設置。

 ディズニーランドのイメージいっぱいだが、
 キャラクターを使用許可は一切、取っていない。
 中国の著作権侵害を端的に表す例として、
 米国政府は憤りをあらわにしている。

   (AFP)


百聞は一見に如かずというわけで画像も載せておきます。

  nezumi.jpg


      nezumi2.jpg


いやあ、ハンパじゃありませんね。
パクリと言うよりも
「そのまんまじゃねえかよ!」と突っ込みたくなります。
しかも国営だし(笑)

この「北京石景山游来園」という遊園地ですが、
検索して調べてみると
けっこう名の通った北京郊外のテーマパークのようです。

こちらの紹介サイトには、

北京の公園:エクスプロア北京

「北京市街地の西に位置し、
地下鉄八角駅の近くにある『国家AAAA級』の大型遊園地」とあります。

ちなみに同テーマパークのサイトがこちらですが↓

http://www.bs-amusement-park.com/

おそらくアクセスが世界中から殺到してるんでしょう。
重くてサッパリ開けませんでした。

まあ、なにはともあれ、
ディズニー激怒、米政府激怒、なんでしょうね (;^_^A






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中国の台湾企業工作・・・囲い込みと和平演変


   20070416-00000004-scn-cn-view-000.jpg


台湾企業の全国組織が発足

 中国に進出している台湾企業の全国組織、
 「全国台湾同胞投資企業聯誼会」が16日、正式に設立され、
 北京の人民大会堂で成立大会が開かれた。
 中国の国務院台湾事務弁公室の陳雲林主任が名誉会長に就任。
 大会で「両岸(中台)関係の平和発展に大きな役割を果たす」と
 同会設立の意義を強調し、
 経済的きずなの強化を通じた中台関係の進展に期待を表した。

 新華社電によると、初代会長に選ばれた台湾実業家の張漢文氏も
 「両岸の民間交流を積極推進し、
 「三通」(中台の直接通航、通信、通商)実現を促進したい」と述べ、
 中国の台湾政策に同調する意向を示した。

 聯誼会は中国各地に設けられた台湾企業協会を母体にして設立された。
 同協会は25の省・自治区・直轄市に約百を数え、
 進出企業全体の3分の1に当たる2万社以上が加盟している。
 聯誼会は会員企業の対中ビジネスを支援し、
 中国当局との橋渡しの役割を担う。

   (FujiSankei Business i.)


中国に大挙進出している台湾企業。
今やその数は6万社を越え、総投資額は約2800億ドル、
中国に進出した外資のうち半分が台湾系です。

李登輝時代は中国への企業進出には制限をもうけ、
5千万ドル以上の投資については
有用な公共投資や科学技術が流出しないように
政府のきびしい審査をパスする必要がありました。

ところが陳政権発足後の2000年に
この審査を解除し、完全自由としたことから
台湾企業の進出が加速していき、今日のような結果となりました。

さて、冒頭のニュース。
あれやこれやと書いてますが、
端的に言うならば

  「中共による台湾系企業の囲い込み・隷属化」

ということです。

これについての解説は
メルマガ「台湾の声」の文章を引用しておきます。


◇平和統一に向け着実に 中国の台湾企業工作

 
名誉会長は 中国では4月16日、同国進出の台湾企業の組織、
 「全国台湾同胞投資企業聯誼会」(全国台企聯)が発足、
 北京の人民大会堂で成立大会が行われた。
 規約によると「台湾企業が自主的に組織した非営利社会団体」。
 目的は「台湾企業の権利確保」であるとか。
 
 同会の葉恵徳・常務副会長も
 「過去20年間に中国各地で設置された企業協会と同じもの」で
 「中国の政府、企業、市民と台湾企業の懸け橋にもなりたい」
 などと強調しているし、日本の一部メディアもそのように報道した。

 だが、実際はただそれだけのものではないらしい。

 中国で統一工作を司る国務院台湾弁公室(国台弁)の陳雲林主任、
 副会長も国台弁の何世忠経済局長(秘書長も兼任する)と
 同じく経済副局長の劉軍川。

 会長は台湾の実業家、張漢文・前東莞台商協会会長だが、
 この人物は前回の総統選挙では中国での連・宋後援会会長となり、
 「20万人の企業関係者を引き連れて投票のため帰国する」と豪語したり、
 台商協会で陳総統の国家統一綱領廃止などに反対する署名運動をやって
 本国に圧力をかけたり、
 さらには中国の反国家分裂法の制定にまで公然と支持表明したりと、
 完全なる中国の代弁者であり傀儡である。

 規約ではメンバーは
 「一つの中国の原則を守り、国家統一を擁護しなければならない」。
 つまり台湾企業が中国でこれからも儲けたければ、
 台湾併合に手を貸すべきだと言うわけだ。
 この日の大会でも陳雲林主任は
 「台独分裂活動は必ず阻止しなければならない」と、
 各台湾企業協会の会長たちの前で強調している。

   (台湾の声 2007/04/17)


これが「通商」「交易」というものの恐ろしさで
相互に依存関係を生み出します。

互いに経済的に切っても切れない依存関係になった時、
相手の利害の代弁者となってしまう。
この場合、台湾企業と中国政府の力関係から言えば
個々の企業よりも中国政府の方が強い立場ですから
進出した台湾企業は中国の言いなりにならざるをえない。

そして中国政府の指揮棒に従って
「中国は一つ」「台湾独立反対」と叫ばざるをえない。

今さら陳政権は
大挙進出した台湾企業に帰ってこいよとは言えないでしょうから、
SAPIO誌で李登輝氏がインタビューで言っていたように
「中国資本受け入れ」
「ワン・ウェイをツー・ウェイに」
これを次善の策として取らざるをえないでしょうね。


まあ、この状況は日本と日本企業も同様なわけで
中国市場に目がくらんで媚中発言を行う財界人も目立ってきました。
通商関係の深化が利害の代弁者を作るという実例ですね。

しかし、私は思うのですが、
経済的利益の部分を端折って
単に政治的利益のみを考えるならば
中国へ台湾企業なり日本企業なりが進出することが
果たして中国のみに利することなのか?

かつて中国は
西側諸国による「和平演変」を極度に恐れていました。

「和平演変」とは
ソ連や東欧のように
西側諸国が資本投下や情報発信などの平和的手段により
社会主義諸国の政権を転覆させたことです。

中国は90年代には事あるごとに
「和平演変を警戒せよ」と言ってましたが、
最近ではあまり言わなくなりました。

これは中国の自信の表れなのかどうか知りませんが、
逆に言えば、他国の視点から見るならば
今ほど中国に政治工作をかけやすい時代はないのではないかと思います。

かつてギチギチの監視体制が
社会の隅々まで行き渡っていた中国ですが、
今ではよほど緩やかになっています。

自由主義国家の基準から見れば、いまだ制約の多い国ですが、
一昔前の北朝鮮顔負けの統制時代に比べれば
そうとう緩くなってきています。

また、民衆にもそれなりの情報が入るようになっているわけで、
「和平演変」の政治工作を仕掛けるならば
今ほどやりやすい時期はないでしょう。

中国に大挙進出した台湾企業。
これは裏を返せば、
いくらでも政治工作用のダミー企業として使えるわけで、
経済的利益の部分を脇に置いといて
単に政治的利益の視点で見るならば
「台湾企業の対中進出」の損得収支は
マイナスばかりではないでしょう。

これは米国企業や日本企業にも言えるわけで、
本気で国家戦略として「中共政権転覆」を考えるならば
進出企業とは「トロイの木馬」として
相当に有用な存在に感じます。

もう一度、同じフレーズを繰り返しますが、
経済的利益の部分を端折って
単に政治的利益のみを考えるならば、
この中国に大挙して押しかけている西側企業の群れは
現時点においては中国政府の人質のような存在ですが、
数十年後に振り返ってみるならば
案外、中共独裁体制を浸食した存在だった、と
言われるようになるかもしれません。

まあ、こういう発想は
時が経ってみないと当たってるのかどうなのかも分かりませんし、
私自身、無制限な日本企業による中国への投資は反対ですが、
必ずしも負の側面のみではないということです。

状況がこうであるのなら
そのプラスの部分を大いに活用すべきで、
すでに台湾や米国の諜報機関は
この進出企業というチャンネルを大いに活用しているでしょうし、
日本政府にもそのぐらいの料簡を見せてほしいものです。

「中国の発展は日本のチャンス」などと
本気で思っているアホ政治家は別として、
あの覇権国家のこれ以上の国力増大を危惧する正常な頭があるのなら、
この「トロイの木馬」は大いに活用してほしいものです。



メルマガ「台湾の声」






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中国のインド洋進出と日米印3カ国海軍共同訓練


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中国包囲網 日米印3カ国海軍初の親善訓練

 海上自衛隊は16日、千葉県・房総半島南方の太平洋上で、
 米印両海軍との間で初の3カ国による親善訓練を実施した。
 インド海軍艦船の来日の機会をとらえ行われたもので、
 3カ国の防衛交流には、海軍力の増強など軍拡を進める中国を
 牽制する意図もある。
 
 海自からはイージス艦を含む護衛艦4隻、米海軍は駆逐艦2隻、
 インド海軍は駆逐艦など3隻が参加。
 約7時間にわたり通信訓練や、陣形を組み航行する訓練を行った。
 インド海軍艦船の来日は平成16年10月以来。

   (iza!)


インド海軍は他国海軍との合同訓練に熱心で
毎年、米国・ロシア・英国・フランス・シンガポールなどと
訓練を行っています。

しかし、東アジアにおける日米印三ヶ国の組み合わせは実に異例で
ニュースにも書いてますように
対中国を念頭に置いているのは間違いないでしょうね。

もともとこの訓練は
米国防省が日印に呼びかけて決まったものですが、
安倍総理の推進する日米豪印による対中包囲網構想に合致しており、
日本にすれば渡りに舟だったでしょう。

インドは中国と一定の友好関係・経済関係は築いていますが、
根底においては、かの国の仮想敵はパキスタンと中国です。

先日もこういうニュースが流れましたが、

インド、中国に届く弾道ミサイルの実験成功

インドの核ミサイルは
主としてパキスタンと中国に矛先を向けています。


さて、近年、中国は
ミャンマーやパキスタンとの結びつきを強め、
シーレーン確保の観点からインド洋に拠点を次々に設置し、
インドはこれに神経を尖らせています。

この「中国のインド洋進出事情」について
以下、さらりと書いておきます。

<パキスタン:バルチスタン地方>

まず、パキスタン西部のバルチスタン地方には
最近、中国資本が資源絡みで大挙進出を開始しています。

同地方はパキスタンからの分離独立運動が盛んであり、
進出している中国系企業にテロによる被害が頻発しています。

パキスタン:中国人技術者3人射殺「頻発する襲撃」

また、同地方沿岸のグアダール港には
中国の援助で大規模な港が建設中です。

グアダール港は水深が深く、大型船舶も停泊が可能であり、
パキスタンは中央アジアの石油・ガスの積出港として、
中国は自国海軍のインド洋での拠点として活用しようとし、
両国の思惑が合致しています。 

<ミャンマー:シットウェ港・ココ諸島>

これについては過去記事で書いたことがありますが、

青蔵鉄道の開通とチベット独立
 ・・「西部大開発」を巡る地政学的インパクト

中国はミャンマーのシットウェ港から雲南省西端の瑞麗にまで
長大な石油パイプラインを建設中です。

これは中東やアフリカからの原油の輸入をする際に
マラッカ海峡などを経由せずに
インド洋ベンガル湾から原油を直接、
中国国内に運び込んでしまおうという意図で
シーレーンのリスクを軽減するための措置です。

このパイプラインは3年後に完成の予定です。

また、インド洋のミャンマー領ココ諸島には
中国海軍のレーダー基地が設置されています。

実はこの基地は
インド軍のアンダマン諸島とコタバル諸島の基地に
対峙するように作られており、
中国の意図がハッキリと分かります。

<セーシェル>

インド洋に浮かぶ島国セーシェル。

このセーシェルに中国が急接近を図っており、
インドと米国が神経を尖らせています。

今年2月に胡錦涛主席がセーシェルを訪問。
また、例によって経済協力攻勢を仕掛けて
同国での影響力を拡大しています。

実はセーシェルの首都ビクトリアにある各国大使館のうち、
中国大使館は建物の大きさや人員数ともに最大であり、
この両国の急速な接近ぶりに
いずれ中国との軍事協定が結ばれるのではとの観測が流れています。

セーシェルは
米国のインド洋での拠点ディエゴガルシア島に近く、
この意味で米国はセーシェル情勢を注視しています。


ざっとこんな感じで
中国のインド洋進出は進んでおり、
インドがこれに対抗する意味でも
日米との提携を強めるのは自然な動きといえます。

日本にとっても
インド洋などのシーレーン上に
数珠繋ぎのように中国軍の基地が建設されるのは
脅威としかいいようがありません。

まあ、ひるがえってみると
日本も前大戦時にはインド洋にまで空母機動部隊を進出させ、
英国海軍を撃破したことがあります。

「セイロン島沖海戦」ってやつですが、
今の日本の海上戦力からすると
なにやら今昔の感がありますね。

本来ならば、アジアのことならば
日本一手で対応できるぐらいの国力を持っているわけで
中国の覇権拡大に脅威を感じて
インドや米海軍の戦力をあてにする現状は
ある意味、情けない気もしないではありません。

去年の安倍政権の誕生時に
産経にこんな記事が載ってました。


◇米分析、アジア諸国の本音 中国との均衡、安倍首相に期待

 安倍晋三首相の登場に対し同じアジアでも中国と朝鮮半島以外は
 安全保障面での積極性や
 民主主義の主張を歓迎する諸国が多いとする考察が
 米国でこのところ増えてきた。
 とくに東南アジアでは拡大する中国のパワーとの均衡を
 安倍政権に期待する向きが多いという。

 米国ブッシュ政権に近い大手研究機関「AEI」の
 ダン・ブルーメンソール、ギャリー・シュミット両研究員は
 雑誌「ウィークリー・スタンダード」10月上旬最新号に
 「イエスといえる日本=われわれは安倍首相の
 ナショナリズムを歓迎すべきだ」と題する論文を発表し、
 「安倍氏のナショナリズムは
 米国でもなじみの深い自由主義ナショナリズムであり、
 アジア全体にプラスの効果を発揮する」と
 安倍氏の首相就任を歓迎した。

 ブルーメンソール氏は
 1期目ブッシュ政権での国防総省中国部長、
 シュミット氏は日米安保問題の専門家。
 両氏の論文はさらに安倍氏が
 日本の外交政策の正面に民主主義の促進を掲げた点を重視し、
 中国と北朝鮮に対して確かに強硬な面もあるが、
 民主主義の有志連合としてインド、オーストラリア、
 米国との協力強化を求める点は大いに歓迎すべきだ、としている。

 同論文は日本が安倍首相の下で
 民主主義主体の地域連携組織を形成する動きをも歓迎するとし、
 そのような動きは
 「中国周辺の中小国に新たな自信を与える」としている。

 同論文はまた日本の「歴史問題」について
 「中国は自国民数千万の死に責任を負うべきなのに、
 反日の合唱を続け、歴史を日本を孤立させるための
 外交武器に利用している」と述べ、
 米国政府がその中国の策略を読んで、
 日本が「普通の国家」になることを支援すべきだと主張した。

 一方、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン
 米国版も10月上旬に
 東南アジアに詳しい評論家フィリップ・ボウリング氏の
 「アジアは外向的な日本を歓迎する」と題する論文を掲載した。

 同論文は「安倍首相の登場に対し中国と南北朝鮮だけは
 『ナショナリズムの再興』などとして警戒しているが、
 他のアジア諸国は安倍氏が日本の戦後の制約を除去して、
 地域的、世界的により積極的な役割を果たす展望を歓迎している」と論評し、
 とくに「核武装した中国の力が増し、
 米国の覇権が侵食されるアジアの現況では
 日本はパワーの均衡をもたらす」として、日本の役割拡大を訴えた。

 同論文は歴史問題については
 「中国のプロパガンダと
 帝国主義の過去を忘れる西欧の傾向に気をつけるべきだ」として、
 インドネシアのスカルノやミャンマーのアウン・サンなど、
 アジアの民族主義のヒーローは
 みな日本軍と協力したのだ、と強調した。

 同論文はさらに
 「アジアのほとんどの国は日本の通常戦力の強化を
 中国との均衡という意味で実は歓迎しているし、
 中国の経済進出よりも日本の投資を望んでいる」と指摘した。

 ワシントンの専門家の多くはさらに
 インドネシアのユウォノ・スダルソノ国防相が
 ロイター通信との会見で安倍政権について
 (1)東アジアの安全保障でのより積極的な役割を
    中国との均衡という点で歓迎する
 (2)日本の防衛庁を防衛省に昇格させ、
    「普通の国」となることを望む
 (3)米国との同盟関係を保ちながらも
    自主防衛能力を高める日本を望む
 などと述べたことを重視し、
 東南アジアによる安倍政権の安保面での動きの歓迎とみている。

   (産経新聞 2006/10/19)


日本の政略として
日米印の三国協力を拡大するのはけっこうだと思います。
方向性としては正しいと思います。

しかし、他力本願にならぬことです。
他国の軍事力に依存しすぎないことです。
日本一手で中国を料理するぐらいの料簡を持つべきでしょう。

そのぐらいの国力を持っているわけですし、
上記記事が伝える如く、
アジアの諸国でそれを望んでいる国家も多いわけですから。

日本近海での海自とインド海軍の共同訓練。
しかし、私としてはその逆を望みたいですね。
日本の海自がインド洋にて
インド海軍と共同演習を行う。

ココ諸島やバルチスタン沖で
中国海軍基地の鼻先で
これみよがしに演習などやって牽制球を投げてほしいものです。







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地球温暖化と中国の環境汚染・・存在自体が迷惑


     m51064.jpg


「ガイアの致死量」わずか2-3度

 温暖化による水不足や
 洪水の被害人口は一体どこまで増えるのか?
 地球の未来について、各国が夜を徹した議論の末、
 ようやく一つの結論がまとまった。
 
 地球温暖化が世界に及ぼす影響を予測する国連の
 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第2作業部会は6日、
 ブリュッセルでの会合で、
 世界の平均気温が1990年に比べ2~3度以上高くなれば、
 世界のあらゆる地域で損失が増加する可能性が高いとする、
 見解を盛り込んだ最新の報告書を採択した。

 気候変動が自然や社会、
 経済に与える影響をまとめる第2作業部会には、
 130を超える国の政府関係者や科学者ら約2500人が参加。
 2日に開幕した会議は当初、
 現地時間の5日中に終了する予定だったが、
 温暖化の影響を受ける人数の予測数値などで各国の意見が対立、
 6日朝(日本時間6日夕)までずれ込む異例の展開になった。
 
 報告書は、人間活動が原因の地球温暖化が、
 各地の生態系や人の健康などにさまざまな影響を及ぼしていると警告。
 そのうえで平均気温の上昇が1990年比で1~3度未満であれば、
 ロシアや北ヨーロッパなどで
 農作物の収穫量が増加するなどの恩恵が生じる地域もあるが、
 2~3度以上になると農作物収穫量の減少や水不足、
 人の健康被害などで損失の方が大きくなる可能性が高いと指摘した。

 また、気温の上昇で氷河が融解し、
 水不足や洪水が深刻化することにも言及。
 2020年には世界全体で数億人が水不足に悩むと予測した。
 熱波が頻発し、大気汚染物質も増加するなど、
 健康被害をもたらす恐れがあるとしている。
 その結果、地球の生態系が大きな影響を受け、
 平均気温が2度上昇すれば、
 種の30%が絶滅する危険性が増すと指摘した。
 
 会合は、具体的な影響予測を盛り込むよう求める欧州諸国と、
 これに批判的な米国、中国などが対立して激しく紛糾、
 原案にあった具体的な予測数値のほとんどが削除された。

    (iza!)


先日の記事でバイオ・エタノールについて書きましたが、
地球環境問題はもはや剣が峰に近いとこまで行ってるようです。
2~3度の温度上昇だけで種の3割が絶滅ですからね。

さて、先週号と今週号の週刊新潮に
桜井よしこさんが「環境が危ない」と題して
この問題について書いています。

今週号は後編で
「中国・ロシアの暴力的な『文明への挑戦』」というタイトルで
なかなか刺激的な内容です。

数週間後に桜井さんのブログに全掲載されるとは思いますが、

櫻井よしこブログ

そのうちの一部を引用して載せておきます。


 IPCCの2005年の報告は、
 地球の温度が1~2度上昇すると地球上の生物種の約四分の一が死滅、
 2~3度の上昇では三分の一が死滅し、
 またツンドラの大半と北方林の半分が消滅する。
 3度、4度、5度と上昇するにつれて
 農業生産力が顕著に落ちて人類の飢餓が進む。
 5~6度の上昇で、人類を含む生物の絶滅が現実になると予告する。

 「2050年までに温室効果ガスの排出量を半減させなければ、
 この危険水域に達してしまう。
 50年で50%、10年で10%。
 京都議定書で決めたのは約20年で6%の削減でしかなく、
 到底間に合いません」と西岡氏(*国立環境研究所参与の西岡秀三氏)。

 京都議定書では1990年を基準として、
 2008年から2012年までに日本は6%、
 EUは8%の温室効果ガスを削減せよと決めた。
 その一方で世界最大の排ガス国家・米国は同議定書から抜けてしまい、
 二番目の排ガス国家・中国や工業化の進むインドは
 最初から削減は課されてない。

 このままでは間違いなく、
 地球と人類を滅ぼす最悪最大の原因となる中国も向転換できないと
 中国人ジャーナリストの石平氏は悲観的である。
 「中国共産党は国民の不満解消に経済成長を必要とし、
 汚染産業を容認しなければならない。
 環境対策で経済成長が鈍れば、
 失業者はますます増えて政権の崩壊につながります。
 環境保全か共産党独裁政権の生き残りか。
 中国政府は迷わず後者を選びます」

 国際教養大学学長の中嶋嶺雄氏も
 温暖化を含めて、全ての環境悪化の原因は中国であると指弾する。
 「共産党が独裁を維持し
 情報をコントロールしている限り、解決は不可能です。
 環境と人権問題は密接で、
 人権を抑圧し、情報や言論の自由を奪う国が、
 内在的に環境問題を解決することは出来ません」

 ロシアの環境対策は一言で言えば野蛮である。
 ソ連時代には存在した環境省は、97年に環境保護国家委員会に、
 また2000年には天然資源省の下部機関に格下げされた。
 原氏(*早大教授の原剛氏)は、
 天然資源省自体が汚染を生み出す省であり、
 彼らが自律機能を発揮して
 環境保護に舵を切ることなどあり得ないと語る。


以上です。
なんとも身震いするような内容ですね。

桜井氏はこの記事の後半部分で
環境問題において米国が転換を始めていることを書いています。

 「米国を突き動かすのは明確な結果、
 メリットを伴う動機である」

 「経済効果があるとなれば一気に展開するのが米国の底力」

 「米国を反環境の国と見るのは間違いで
 近い将来、米国が一気に環境大国への道を
 駆け上がることも考えなくてはならない」

確かに米国は極から極に振れる国で
一旦、環境問題に徹すれば
それにつんのめるように没頭する可能性もありますね。

と、米国が「改心」の兆しを見せているならば
残る問題児は中国ということになります。

正直、この国の環境汚染に関する現状は
「地球の癌」と言っていいと思います。

2005年末に
中国国家環境保護総局の張力軍・副局長(次官級)が
多国間会議の席上で驚くべき報告を行い、
全世界に戦慄が流れました。

 「有効な環境保護策を講じないまま現在の経済成長が続けば、
 中国の大気汚染レベルは15年後には現在の最大5倍に達する」

 「中国はこのような深刻な汚染には耐えられない」

 「中国全体の30%の面積が酸性雨の被害を受けており、
 一部の地域における酸性雨の沈殿汚染は非常に深刻」

 「2004年に中国の二酸化硫黄排出総量は
 世界でもっとも高い2600万トンに達し、
 そのため、酸性雨の汚染も深刻化した」

 「中国の都市の大気汚染は、ほこり、酸性雨、光化学スモッグ、
 呼吸器疾患の原因となる浮遊粒子状物質が、
 物理・化学・生物反応によって複合型汚染が形成され、
 被害状況をもたらした」

 「中国の都市48・1%が中・重度の空気汚染であり、
 その内、蘭州、大同、臨汾、ウルムチ、北京など重点11都市では、
 大気中の汚染物質が3割以上増加し、
 国民1500万人以上に身体的・精神的な問題が生じている」

 「15年後に中国の人口は14億6000万人に達し、
 国内総生産(GDP)は2倍になるが、
 現状のままなら大気汚染は今の4~5倍となる」

 「中国の都市の9割で地下水が有害物質に汚染され、
 汚染規模が全国に拡大している」

 「その地下水は人口の約7割の飲用に使われ、
 田畑の4割の灌漑に利用されており、
 汚染による直接経済損失額は年数百億元に上る」

 「中国の7大水系中、長江支流は軽程度の汚染であったが、
 黄河と松花河支流は重度汚染、淮河、海河流域は深刻な汚染。
 7大水系のうち7割の流域は、
 魚介類の生殖も困難なほど汚染されている」

この発言の波紋は大きかったですね。

なんせ中国政府要人の公式発言ですから。
彼らももはや環境汚染の酷さを認めざるを得ないんでしょう。


この中国の公害は地球自体を害するものですが、
それ以前に近隣諸国に汚染の被害が拡散しています

すでに日本の西日本各地は
中国の環境汚染による酸性雨や黄砂の被害にあっています。

また隣の韓国ではもっと酷いことになっています。
4月は黄砂が暴風のように押し寄せ、
渤海は中国からの汚水で死の海と変わり果てました。

韓国の黄砂被害、年3兆~5兆ウォン

黄砂:今年最悪! 初めて全国に警報発令

西海隣接した渤海湾の汚染が深刻

「死海」と化した渤海湾

まさに、環境問題に関しては

  「中国は存在自体が迷惑」

ということです。

温家宝首相が4月11日から来日するそうですが、
浮かれた友好ムードなどに流されることなく、
日本はこの問題を提起すべきでしょう。



関連資料リンク

温暖化、国際社会やっと一致 IPCC報告書







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中国:国力の拡充と大型空母建造計画


  アドミラル・クズネツォフ.jpg


中国、超大型原子力空母の建造を推進

 中国が超大型の原子力空母の建造を進めていることが、
 27日初めて明らかになった、とハンギョレ新聞が報じた。

 同紙によると、中国の軍事問題に詳しい消息筋はこの日、
 中国共産党の内部資料を根拠とし、
 中国が4万8000トン級の通常型空母の建造計画である、
 「085工程」とともに、
 9万3000トン級の超大型原子力空母の建造計画、
 「089工程」を進めていると伝えたという。

 中国が通常型空母の建造を進めていることは
 これまでにも知られていたが、
 超大型の原子力空母の建造まで進めているということは
 知られていなかった。

 この消息筋が根拠に挙げた資料には、
 中国中央軍事委員会が最近、
 2つの空母建造計画を認めたという事実とともに、
 それぞれの空母の主要諸元が具体的に記載されている。

 この資料には、原子力空母の建造計画である「089工程」は
 2020年を目標年次とし、
 30万トン級のタンカーを建造できる能力を有している、
 「国営中国船舶工業集団公司」上海チャンナン造船所が
 設計と建造を担当しており、
 その規模は旧ソ連の未完成の原子力空母、
 「ウリヤノフスク」級になることが明記されている、と同紙は報じた。
 中国はロシアから「ウリヤノフスク」の設計図を
 秘密裏に購入したといわれている。

 この原子力空母が完成すれば、
 中国は最近訓練のため釜山港に入港した、
 米国の最新型原子力空母「ロナルド・レーガン」
 (ニミッツ級、9万7000トン)に迫る規模の
 空母を保有することになる。

 同紙は「この資料は通常型空母の建造計画である“085工程”を、
 “089工程”実現までの“過渡期”と位置付けている。
 2010年に完成予定の通常型空母は標準排水量4万8000トン、
 満載排水量6万4000トンの中型空母で、
 中国が昨年12月に実戦配備した戦闘機「殲10」を
 30機から40機搭載できる」と報じた。

   (朝鮮日報)


中国の空母配備が近いことは
これまで幾つかのニュースで報じられています。

進む中国軍近代化 艦上戦闘機調達へ露製50機
 空母計画に関連か

中国:「空母」「宇宙」で国威発揚
 解放軍首脳、軍事技術に自信 全人代

具体的なスケジュールとしては、
2010年までに初配備となるそうですが、
これがウクライナから買い取った旧ソ連の「ワリヤーグ」の改造型なのか、
それとも純然たる国産空母なのかはいまいち不明です。

ただ、上記の韓国ハンギョレ新聞のスクープや
他の報道などを総合してみると、
ワリヤーグ以外に国産の中型空母をすでに建造中であり、
ワリヤーグ+国産中型クラス2隻で
3隻セットの艦隊を構成する意向のようですね。

おそらく国産の方の2隻は
排水量からするとワリヤーグと同型タイプでしょう。

で、このスクープ記事を見て驚いたのは
中国海軍は4万8000トン級の中型クラス以外にも
大型の原子力空母の建造を計画していることです。

  この資料には、原子力空母の建造計画である「089工程」は
  2020年を目標年次とし、
  30万トン級のタンカーを建造できる能力を有している、
  「国営中国船舶工業集団公司」上海チャンナン造船所が
  設計と建造を担当しており、
  その規模は旧ソ連の未完成の原子力空母、
  「ウリヤノフスク」級になることが明記されている、と同紙は報じた。
  中国はロシアから「ウリヤノフスク」の設計図を
  秘密裏に購入したといわれている。

建造計画は「089工程」というそうですが、
この種の数字の付け方は中共の癖で、
おそらく1989年に計画が始まったという意味でしょう。


さて、驚くべきニュースではありますが、
ある意味、当たり前といえば当たり前なのかもしれません。

中国の国家戦略は、

◇短期:台湾の併呑

◇中期:アジアでの覇権の確立、日本を従属

◇長期:世界の覇権国家へ、米国との対決

この3段構えになってますが、
中長期的に見るならば
空母を中心とした艦隊の創設は当然でしょうし、
年々増大する国防費の後押しがありますから
作らない方が不思議と言えるでしょう。

私は思うのです。
中国の軍政家ほど楽しい商売はないのではないか、と。

国家は遠大な目標と志を掲げ、
覇権の拡大に日々邁進し、
富国強兵が当たり前の発想となっている。

その中で軍人は
国家の覇権と数千年の栄光の歴史を取り戻すべく、
自由や人権などクソ喰らえで
眼前の敵を粉砕することだけを考えてればいい。

また、年々軍事費は拡大し続け、
あれも買い、これも作り、
ロシアから戦闘機と戦車をごっそり買い付け、
イスラエルからは航空技術を受け取り、
人工衛星をミサイルで破壊し、宇宙にゴミをまき散らし、
あげくは大型空母も建造するとのこと。

中国軍の軍政トップは国防相の曹剛川ですが、
まあ、毎日が楽しくてしょうがないでしょうね。
何の制約もなく発想し、何の束縛もなく金を盛大に使い、
日本のように財政赤字やらGDP1%やら
専守防衛・非核3原則・武器の不輸出で縛られることもない。
うるさい野党や脳天気な市民団体もいないし、
アホな左翼新聞も存在しない。
これほど楽しい商売は存在しないでしょう。

まあ、冗談はともかくとして
中国海軍の空母配備計画は
彼らの国家戦略と年々拡大する国力からすれば
当たり前の結論です。

彼らは歳月を経るに従い、
米軍もどきの巨大軍隊へと変貌していくでしょう。

彼らの国力増大が止まらない限り、
それは必然の流れと言えます。



関連資料リンク

ついに空母一番艦が就役へ 着々と海軍力を増強する中国

台湾週報:国防部が衛星写真公開
 中国に「空母配備の意図あり」と指摘

ウリヤノフスク級航空重巡洋艦(原子力空母)


関連過去記事

中国:空母の就役間近?・・「ワリヤーグ」の改修工事は最終段階







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「慰安婦問題」とチャイナ・ロビー その2・・ユダヤ・ロビーの実例


   20.jpg


中国の「意思」色濃く反映
 「慰安婦」問題追及のホンダ米下院議員に献金

 「慰安婦」問題決議案を主唱している、
 マイク・ホンダ下院議員(民主党=カリフォルニア州選出)は
 中国系の反日団体「世界抗日戦争史実維護連合会」を
 動かす活動家たちから一貫して献金を受け、
 日本を糾弾する言動もその団体の活動方針に
 ぴたりと沿った形だという実態が明らかとなった。
 
 「世界抗日戦争史実維護連合会」は
 公式には1994年に海外華僑、中国系住民によって創設され、
 本部をカリフォルニア州クパナティノにおき、
 傘下に50以上の下部組織を持つとされる。
 だが実際には同連合会は
 中国国営の新華社通信とウェブサイトを共有するほか、
 中国側の公的組織との共催の形で日本批判のセミナー類の行事を
 中国国内で頻繁に開き、中国当局との密接なきずなを明示している。
 
 同連合会はその任務を日本の残虐行為を恒常的に糾弾し、
 謝罪や賠償を求め続けることとし、
 日本側のこれまでの謝罪や賠償をまったく認めずに
 国内の教育や言論にまで一定の命令を下す、
 という点で反日だといえる。
 事実、同連合会は97年にはアイリス・チャン著の
 「レイプ・オブ・南京」を組織をあげて宣伝し、
 2005年春には日本の国連安保理常任理事国入りの動きに
 反対する署名を世界規模で集めたうえ、
 中国内部での反日デモをあおった形跡もある。
 
 同連合会はさらに同年末には「クリント・イーストウッド監督が
 南京虐殺映画を作る」というデマを流し、
 昨年からは南京事件のドキュメンタリー映画の宣伝に力を注いでいる。
 
 同連合会の米側での幹部たちは
 イグナシアス・ディン氏のように中国で生まれ、20代で米国に渡り、
 そのまま米国の国籍や永住権を取得した人物たちがほとんどで、
 同氏は1990年代後半、
 カリフォルニア州下院議員だったホンダ氏に接近した。
 99年にはディン氏は「ホンダ氏と共同で
 州議会に出す決議案の草案を書き、日本の南京大虐殺、
 731細菌部隊、米人捕虜虐待、
 慰安婦強制徴用など戦争犯罪を追及した」と地元の新聞に述べたように、
 ホンダ氏の決議案提出と州議会での採択を成功させている。
 
 ホンダ氏はその翌年の2000年に
 州議会から連邦議会への転出を図ったわけだが、
 その間、ディン氏らはいっせいに選挙用の献金をして、
 ホンダ下院議員の誕生に貢献している。
 そしてホンダ氏はディン氏らの意向にそっくり沿った形で
 連邦議会でも01年、03年、06年、07年と連続して
 慰安婦問題で日本政府に謝罪を求める決議案を提出してきた。
 この背後には、どうしても中国当局の同連合会を通じての
 日本の道義面での弱体化や日米離反という政治意図がにじむわけだ。
 
   (iza!)


先日の記事でも書いたとおり、

「慰安婦問題」とチャイナ・ロビー

やはりホンダ議員に中国系団体から資金が流れていたようで
予想していたこととは言え、
こうして報道で見るとなんともショッキングな話しですね。

これで明らかになったのは
今回の米議会による慰安婦決議案は
議員自らの意思のみで行ったのではなく、
外部から中国系の諸団体と中国政府の
強力な力が働いているということです。

まさに安物の陰謀ドラマのような展開で
実に分かりやすくていいです。

  世界の覇権国家は米国であり、
  その米国は民主主義国家であり、民意によって動かされる。
  であるならば、その民意の部分に影響力を持つことによって
  自国の都合のいい方向に米国の政策を誘導する

これもまた分かりやすい公式です。

中国のみならず、
国際秩序に一定の野望を持つ国ならば
そのような発想をしたところで不思議ではありません。

おそらく中国での
この種の対米世論工作の総元締めは
国務院の下部にある諜報機関「国家安全部」でしょう。

中国政府は過去記事でも書いたとおり、
これまで多くの資金を投じ、
対米世論工作と米政界へのロビー活動を行ってきました。

いわゆるチャイナ・ロビーと称される一連の活動ですが、
米世論に対して影響力を行使し、
結果、米外交を自国の利益の方向に誘導することは
実はすでに一つのモデルケースが存在します。

米議会に強力な影響を与えているユダヤ・ロビーの存在です。


米国は現在、
世界各国に対して多額の経済・軍事援助を行っていますが、
そのうちの実に2割がイスラエル一国に対してです。
その総額はイスラエル建国の翌年から2002年までに
975億ドルに達しています。

イスラエルの国民所得は世界第16位の1万8千ドルであり、
決して貧困国家ではありません。
また、人口は約700万人であり、
世界全体の0.1%程度でしかありません。

米国はこの中東の小国に対して
資金援助以外にも外交的なバックアップを続けており、
イスラエルとアラブの間で紛争が起きても
米国は必ずといっていいほどイスラエルを擁護します。

それは何故か?
それは巨大なユダヤ・ロビーの影響力ゆえです。

ユダヤ系のロビー団体はいくつかありますが、
その中でも最強なのが
AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)です。

1997年にフォーチュン誌が
米議会の議員とその補佐官たちを対象に
最も強力なロビー団体は何かと質問調査を行った際に
AIPACは全米退職者協会に次いで第二位となりました。
あの強力なロビー団体、
全米ライフル協会を上回っています。
また、AIPACは上位25の諸団体のうち、
唯一、外交問題に働きかける団体です。

この団体の目的はイスラエル国家の擁護であり、
その影響力の根源は巨額の資金と組織力で、
主に米議会の議員たちに対して働きかけます。

イスラエルに有利に政策を行う政治家を援護し、
不利な決定を行う政治家には
世論工作などを通じて落選運動などを行い圧力をかける。
イスラエルに不利な報道をするマスコミにも
スポンサーなどを通じて締め上げる。

また、この団体の特徴は
議員達が必要とする情報の提供者となることで、
AIPACのスタッフが議員達の演説の原稿を作成するのを助けたり、
法案を作成する際に助言を与えるなどして
無償で議員活動の援助を行うことで
米議会に食い込んでいます。

事実、世界の各国が
中東問題に関して米国に働きかける際には、
まず、民間団体であるAIPACに
お伺いをたてるのが公然の秘密となっています。

中東の親米国家であるトルコやヨルダンが
米国から武器購入を求める際にも
最初の交渉相手はAIPACです。

  「AIPACはとしては
  どこまでの武器輸出なら許容範囲ですか?」

これを先に聞いておくわけです。

イスラエルの生存に脅威を及ぼす武器の輸出などは
AIPACは頑として認めず、
議員を通じて反対運動を起こすため、
これを先に聞いておかなければいけないわけです。

当然の如くイスラエル政府は
このAIPACと連携しており、
中でもリクード党やカディマ党とは密接な関係で結ばれています。

ユダヤ・ロビーとAIPACに関しては
過去記事でも書いたことがありますので
興味を持った方はそちらもご覧になってください。

米国とイスラエル・・ユダヤ系ロビーとキリスト教福音派

また、詳細を知りたければ
こちらの本を一読してみるのもいいと思います。

アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか
 超大国に力を振るうユダヤ・ロビー 佐藤 唯行 (著)



さて、ユダヤ・ロビーについて触れてきましたが、
中国がこのロビー活動の「模範例」を見て、
どのように思うでしょうか?

こと外交や謀略工作に関しては老獪な彼らですから、
この対米世論工作の成功例を研究しているでしょうし、
イスラエルと同様の位置に彼らが立とうと思ったところで
不思議ではありません。

近年、米国社会で
社会的地位を獲得しつつある中国系米国人を基盤にして、
米国世論に対して影響力を増大させる。
この種の工作を当然行っているでしょうし、
今回の「慰安婦決議」などはその典型例でしょうね。

先日の記事でも書きましたが、
中国の対米世論工作は
戦前の国民党時代からのお家芸でもあります。

日本もこれに対する情報収集を行い、
しっかりとした対応策をたてねば
今回の決議案のような苦杯を何度も飲まされ続けるでしょう。



関連資料リンク

「慰安婦」問題追及ホンダ議員 中国系献金突出

アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか
 超大国に力を振るうユダヤ・ロビー 佐藤 唯行 (著)



関連過去記事

「慰安婦問題」とチャイナ・ロビー

米国とイスラエル・・ユダヤ系ロビーとキリスト教福音派







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中国の物権法制定・・共産党と体制内改革


       20060305-04302088-jijp-int-view-001.jpg


最近、仕事関係でバッタバッタしてまして
ホント、久々の更新と相成りました。

さぼってる間に
日朝作業部会が始まり、台湾では陳水遍氏が「独立」を呼号し、
米国議会で慰安婦問題が炎上し、
いい加減に河野は辞職しろと腹が立ち、
韓国では盧武鉉が相変わらずの脳天気ぶり、
中国ではバブルが弾けるかと色めき立ち、
いやあ、世界は動いていますね。

・・・で、今日は中国の「物権法」上程のニュースを取り上げます。


中国、農地私有を実質容認 社会主義の建前崩壊も

 5日から北京で始まった、
 第10期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)、
 第5回会議に上程、審議を経て採択される見通しの物権法で、
 農地の土地請負経営権(土地使用権)を
 物権として流通させられると明記されていたことが
 産経新聞の入手した最終草案(第7次草案)でわかった。
 農地の個人所有を実質容認した内容で、
 草案がそのまま採択されれば
 公有制を主体とする中国の社会主義の建前は大きく崩れることになる。

 草案は249条からなり施行日の日付は入っていない。
 第4条で「国家、集団、私人の物権、
 その他権利は法律の保護を受け、
 いかなる団体・機関、個人も侵犯することはできない」と、
 個人の財産権に対し国家財産などと同等の保護を規定した。
 
 注目されるのは農地に関する規定。
 中国では土地に個人所有はなく、
 国有か農民集団(村など)による集団所有制となっている。
 農民は集団から土地請負経営権を借りる形で
 土地を占有、利用している。
 同法はこの請負経営権に関し、耕地の請負期間を30年、
 草地については30~50年、
 林地については30~70年と明確に規定。
 請負期間満期後も国家規定に従いそのまま請負を継続できるとし、
 事実上の私有地扱いを容認する内容となっている。
 また請負期間内であれば、請負経営権を譲渡できるとした。
 請負経営権権の交換、譲渡は
 県レベル(県は省、自治区、直轄市の下に位置する)以上の
 人民政府への登記を必要とする。
 
 荒れ地の農地については
 入札などでその請負経営権を分配、取得でき、
 その権利について譲渡、貸し出し、株式化、
 抵当権設定などができる。

 請負経営権の流通については既存の土地請負法にもあるが、
 物権法で個人の物権として裏付けられた。
 ただ、国家の耕地に対する保護政策により
 農業用地を建設用地に転用することは厳格に制限され、
 現在、社会問題になっているような
 都市開発のための農地強制収用を抑制する内容だ。
 
   (iza!)


この物権法に関しては
詳しくは産経の福島記者のブログをどうぞ。

北京趣聞博客:中国で物権法ができたら??その1

ニュース中に、

 農地の個人所有を実質容認した内容で、
 公有制を主体とする中国の社会主義の建前は
 大きく崩れることになる。

とありますが、
確かに革命的な内容ですね。

私はこの法の細かいとこまで目を通したわけでもなく、
法律に関しては門外漢なので
専門的な事などはあれこれ書けません。

ただ、この物権法制定もひっくるめて
改革開放路線以降の中国の歩みを俯瞰的に見るならば
「統制から私権拡大へ」の流れと言えるでしょう。

物権法制定も
この大きな流れの一コマでしょうが、
私はこの流れの行き着く先は
中国共産党の没落が待ちかまえていると思います。

一党独裁の堅持と私権拡大の流れ。
この二つは相矛盾しており、
どこかで限界を迎えるでしょう。

改革開放路線。
外資の導入。
市場経済。
移動の自由、起業の自由。

彼らにとって私権拡大の流れは両刃の剣です。
その流れに逆らえば世界の潮流に遅れ、経済的に落後し、
しかし、潮流に流されすぎると
一党独裁の統制システムを破壊してしまう。

まさに二律背反であり、
胡錦涛も悩ましい思いをしてるでしょうね。

もともと中国共産党の統治の拠り所は

◇列強からの解放と中国の統一という歴史的役割

◇共産主義というイデオロギー

◇統制的国家体制

この3つにありました。

しかし、歴史的役割はすでに過去のものとなり、
共産主義は博物館の遺物と化しました。

残りの強固な統制システムにより、
彼らは自らの権力を維持してきたわけですが、
上述のようにこれが私権の拡大の流れと
真っ向からぶつかり合う形となります。

かつての奈良期や平安期に
あの公地公民を基盤とした律令体制が
土地の私有化という時勢の流れに押され、
次第に政治システムの変質と矛盾の拡大により破綻し、
ついに鎌倉期の武士政権に取って代わられました。

その武士政権も
商業の発達と物流の増大により、
江戸期後半においてシステムは崩壊の兆しを見せ、
ついに制度的矛盾を克服することなく、
幕府は滅亡し、明治期へと移行しました。

共産主義という、
政治的・経済的統制主義に依拠した中国共産党の権力基盤は
この私権拡大の潮流に乗ることにより、
危機的状態を迎えると思います。


この中国共産党の方向性とは反対の道を歩んだのが
かつてのソビエト連邦です。

ソ連は最後まで統制を崩そうとはせず、
その結果、経済は冷却化し、物流は死に絶え、
国家の活力は失われていき、
最後はゴルバチョフの改革の失敗により、
とどめを刺されてしまいました。

この観点から中国での物権法制定の動きを見ると
中国共産党はソビエト共産党よりも
まだまだ活気に満ちてると言えるでしょう。
少なくとも現状打破・脱皮の意欲は持っています。

胡錦涛のやっていることは
かつてのゴルバチョフと同じで
「体制内改革」です。

体制内改革とは難しいものです。

  体制に依り、体制を維持しつつ、
  体制によってもたらされる権力を用いながら、
  体制自体を変革していく。

たとえるならば、
ボロボロに腐食した4脚のイスの修理のようなもので、
体制内改革者は
今にも折れそうなイスの上に乗ったままで
上からイスの脚を一つ一つ修理していかなければならない。

一つの脚を切断し、新しい材木に取り替え、
その間は残りの3つの脚でバランスを取りながら
イスが倒れないように細心の注意を払う。
これを順番に一つ一つ繰り返していく。

  体制に依り、体制を維持しつつ、
  体制によってもたらされる権力を用いながら、
  体制自体を変革していく。

これがゴルバチョフのつらさでしたし、
胡錦涛の苦慮するところでしょう。

私は別段、胡錦涛を擁護する気などありませんが、
彼が言論や出版などの統制を強化しつつ、
一方で物権法のような私権の拡大を行う様子は、
あたかも3脚でバランスを取りつつ、
残りの1脚の修理を行っているように見えます。

ただ、先ほども書いたとおり、
この私権拡大という流れの行き着く先は
中国共産党の没落でしょう。

歴史的に見れば
体制内改革はほとんどが失敗に終わっています。

歴史的役割を終えた共産主義政党が
己の脱皮とシステムの変革に苦悶する有様は
傍目から見ていると実に興味深いものがあります。



関連資料リンク

北京趣聞博客:中国で物権法ができたら??その1
        中国で物権法ができたら??その2
        中国で物権法ができたら??その3








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胡錦涛のアフリカ行脚・・資源外交と力の空白


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一応の結果が出たらしい六者協議については
また明日にでも書くとして
今日は胡錦涛のアフリカ歴訪について書きます。


「貢献」「配慮」で存在感=アフリカ歴訪終え帰国-中国主席

 中国の胡錦濤国家主席は11日、
 アフリカ8カ国歴訪を終えて帰国した。
 資源獲得のため、人権改善など条件を付けずに
 援助や債務免除を展開する中国のアフリカ外交に
 国際社会の批判が高まる中、
 スーダンではダルフール紛争解決への貢献を強調。
 また、アフリカでも高まる対中警戒論に配慮した発言を繰り返すなど、
 資源外交を脱却し、責任ある大国として
 存在感を確立させることに全力を挙げた。
 
 「友好の旅、協力の旅」と位置付けられた今回の歴訪で、
 スーダンでは「紛争の政治解決」、ザンビアでは「経済協力」、
 南アでは「国連などを通じた国際連携」など、
 国ごとに対アフリカ政策の重要テーマを体現。
 李外相は「人類の文明進歩に向けた新たな重要な貢献」と強調した。  

   (時事通信)


胡錦涛のアフリカ行脚の旅が終わりました。

中国がアフリカの資源取り込みに本格的に乗り出したのは
ここ数年の話しですが、
世界的な対中警戒感の盛り上がりと共に
ようやく日本のマスコミも
この種のニュースを活発に取り上げるようになりました。
数年前と比べて隔世の感がありますね。

さて、胡錦涛のアフリカ行脚の詳細な内容は
下記のニュースを参照されてください。
こちらに詳しく書いてあります

資源確保へ中国流“援交" アフリカ行脚まとめ

計12日間に渡って
カメルーン・ナミビア・モザンビーク・セイシェル諸島・スーダン・
南アフリカ・ザンビア・リベリアの8ヶ国を訪問したわけですが、
今さらながらに中国の狂ったような対アフリカ外交には驚かされます。

ここ一年間だけを見ても、

◇2006年1月:李肇星外相、6ヶ国訪問

◇2006年4月:胡錦濤主席、3ヶ国訪問

◇2006年6月:温家宝首相、7ヶ国訪問

◇2006年11月:「中国・アフリカ協力フォーラム」を開催。
          アフリカ48ヶ国の首脳が北京に参集。

◇2007年1月:李肇星外相、7ヶ国訪問

◇2007年1月:胡錦濤主席、8ヶ国訪問

こんな調子で、
こうやって一覧にしてみると壮観ですね。
狂奔してると言っていいと思います。

今回のアフリカ歴訪で注目されたのは
ザンビアに「中国経済貿易協力区」を設立したことと、
スーダンのバシル大統領に
ダルフール問題をいい加減に解決するように釘をさしたことでした。

ザンビアと言えば
前に記事にしたことがありますが、

ザンビア:野党候補の「中国排除」発言
 ・・アフリカの一角で嫌中を叫ぶ

ここの最大野党の党首が大の嫌中派で
去年8月の選挙戦時に中国資本の追い出しを呼号し、
これに与党と中国政府は神経をピリピリさせてました。

ザンビアでは去年7月に
中国人経営者の賃金未払いで労働者のデモが起き、
これを制圧する際に中国人監督官が労働者らに発砲、
46人が死亡するという事件が起きました。

今回、胡錦涛が訪問した国の中でも
一番反中感情がわき上がっている国と言えそうです。

そして、スーダンですが
ここの大統領と中国政府は資源絡みで持ちつ持たれつの関係にあり、
同国のダルフール地方での大虐殺でも
国際的非難や制裁論の高まりに対して
その都度、中国政府はブレーキ役を任じてきました。

ダルフールの虐殺と中国の罪・・犯罪と資源外交

最近ではダルフールの虐殺に関して
スーダン政府とセットで中国も非難されることが多くなり、
さすがに胡錦涛もスーダンのバシル大統領に
この問題の解決を強く要請せざるを得ませんでした。

今、アフリカ諸国では
中国の援助に対する歓迎や期待と同時に
警戒の声もチラホラと上がり始めるようになりました。
上述のザンビア以外では
南アフリカなどでも対中警戒論がわき起こっているようですね。

南アはアフリカ諸国の中では比較的工業化が進んだ国ですが
それだけに安い中国製品と競合することが多く、
実際に繊維製品などは中国に市場を奪われているようです。

以下は去年6月のニュースです。


◇安価製品が地場産業直撃 アフリカ進出を南ア警戒
 
 エネルギー資源と繊維製品を中心に
 中国のアフリカ進出が加速する中で、
 同様に新興国として目覚ましい経済成長を遂げてきた南アフリカは
 中国への警戒感を示している。
 中国との経済関係の強化は期待しても
 中国の進出がアフリカ市場を重視する南ア企業の成長を
 妨げる恐れがあるからだ。
 南アのムベキ大統領は好ましい関係構築に向けて
 中国と話し合う必要があると訴えている。 

 中国とアフリカの関係構築は1950年代にさかのぼるが、
 急速な関係拡大に入ったのは2000年に
 「中国・アフリカ協力フォーラム」が北京で開催されてからだ。
 フォーラムは3年ごとに中国とアフリカ諸国で交互に開かれている。

 それ以降、中国の対アフリカ貿易額は一気に増え、
 2004年には約294億5000万ドルと、
 1999年の約64億8000万ドルから4・5倍以上に伸びた。
 中国の対外貿易全体での比率は2%強にとどまっているものの、
 03年以降は輸出入ともに30%以上の伸びを示し、
 その傾向は今後も変わらないとみられる。

 こうした中国のアフリカ進出に
 ムベキ大統領は5月下旬にブレア英首相との会談で訪英した際、
 英紙フィナンシャル・タイムズとの会見で、
 中国企業が南ア市場に関心を持つことは歓迎しつつも
 安価な中国製品の流入は
 地場産業には打撃になるとの懸念を表明した。

 ムベキ大統領は
 「南ア国内での中国企業への反発や脅威を解消させるために
 2国間で協議することが必要だ。
 中国が資源開発で南アに投資し、
 インフラ整備を進めるのは南アにとっても利益になるが、
 それ以外に検討しなければいけない課題がある」と語った。

 貧困にあえぐアフリカ諸国では
 消費面で中国からの多様な安い製品の流入に助けられているとはいえ、
 地場産業は中国との激しい競争をしいられることになった。
 中産階級層を狙った通信機器やハイテク機器も中国から輸入され、
 とくに南アへの影響は大きいようだ。

 南アには小売業や建設業から携帯電話事業と、
 有力企業が数多く、市場開拓で国外に目を向けてきた。

 金融や通信、小売りでは
 他のアフリカ諸国に進出して業績を上げている。
 アパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃後は
 とくに外資との競争に勝つため、国外志向を強めているという。

 中国がアフリカに広範囲に進出してくると、
 南ア企業はアフリカ市場で中国企業と対峙することになるわけだ。

 一方で、アフリカには
 独裁的で非民主的な体制を残している国が多く、
 海外企業との提携も
 欧米よりは中国の方が都合がいいとの見方がある。
 アフリカの民主化を象徴する南アには
 アフリカの将来に不安を抱かせる状況ともいえる。

   (FujiSankei Business i. 2006/6/22)


中国からの援助を受けるアフリカ諸国の中では
南アは「民主主義」と「工業化」の進捗という面において
異質な国でもあります。

この南アの、

  「中国からの投資と援助は歓迎する」

  「でも、工業製品の市場を奪われるのは困る」

という二律背反な感情は、
工業化が進んでいる国ならではの悩みです。
大半の貧困なアフリカ諸国は
前者「投資と援助を歓迎」の部分の方が大きいわけです。

今、中国はアフリカ諸国にとって
米国・フランスに次ぐ第3位の貿易相手国となり、
アフリカに進出した中国企業は800社に達しました。

また、中国とアフリカ諸国は30以上の石油協定を結び、
2005年の時点で中国の原油輸入のほぼ3分の1が
アフリカからとなっています。

この中国の狂ったようなアフリカ進出は
ある意味、力の空白地帯を突いたと言えるでしょう。

アフリカは大半が貧困国家の途上地域であり、
域内にパワーを及ぼす大国が存在しません。

世界の他地域と見比べると、
アジアはすでに発展・成長の途上にあり、
先進国・日本や中国・インドという強国が存在します。
また、中南米もブラジルという「域内大国」があり、
アフリカと比較すれば貧困の度合いは少ないでしょう。

パワーという観点からすればアフリカは空白地帯であり、
長年ここを支配していた欧州諸国も
決定的な影響力を持っているわけではありません。

また、米国は
90年代のソマリア介入の失敗から
アフリカへに対して積極的に関与してきませんでした。

まさに中国は、この隙に乗じてきたわけです。
彼らから見たアフリカは
資源が多く、力は弱く、
人権や政治制度絡みで西側諸国が深く関与できない、
路傍の宝石の如き存在でしょう。

中国が一定の金額を投資しても、
経済成長著しい国相手ならば大して感謝もされないでしょうが、
アフリカの貧困弱小国ならば干天の慈雨に等しく、
同じ額でも投資効率が違います。

世界の中で一番取り残された地域であるアフリカに
「新興覇権国家」である中国が浸透するのも
歴史の必然なのかもしれません。

これはアジアと比較すれば一目瞭然ですが、
アフリカを貧困のただ中に取り残し、
経済成長へのモデルケースを提示してやれなかった、
欧米諸国の罪でもありましょう。



関連資料リンク

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<胡主席>アフリカ歴訪終了 各国には中国への警戒と活用論

中国「アフリカ支援」のウラ

なぜ今アフリカで反中感情が…?


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台湾:李登輝は転向したのか否か?・・原則論と政治家


       ritouki.jpg


え~、皆様、ご無沙汰しておりました。
今日から更新再開でございます m(__)m

まだまだ引っ越し後の段ボールが
あちこちに転がっている状態でして
雑然とした雰囲気の中でキーボードを叩いております。

しかし、一週間もニュースチェックを怠ると
なんだか世の中に取り残された感じで
遅れを取り戻すのに大変ですね。
今日も数時間、ニュース記事とにらめっこしていました。

さて、再開初日の今日は
ほんのジャブ程度の内容ですが、
気になる事が2つあるので
別々に2つの記事を上梓します。

まずは、台湾の李登輝のニュースから。


「台湾独立、主張したことない」 李登輝氏発言に波紋

 中国が「台湾独立派の大親分」と
 一貫して非難している台湾の李登輝前総統が、
 「私は台湾独立を主張したことはない」など、
 従来の立場を百八十度ひっくり返す発言をしていたことが
 31日明らかになった。
 その真意をめぐって台湾政界は大揺れになっている。

 31日に発売された大手週刊誌「壱週刊」の29日の取材で語った。
 李氏は「台湾は事実上主権が既に独立した国家だ」としながら、
 「このうえ独立を求めることは後退であると同時に、
 米国や大陸(中国)との多くの問題を引き起こして危険」と断じた。
 そのうえで「私は台湾独立派ではない」と明言した。

 また「大陸の多くの団体や個人が私の大陸訪問を希望している。
 うまくいけば孔子が巡った道を私も歩いてみたい」とも述べた。

 李氏に近い筋によれば、
 昨年後半から中国側から李氏への訪中要請が積極化しているという。
 08年の北京五輪開催などをにらんだ、
 中国の「微笑戦術」の一環とみられ、
 李氏が「台湾独立」を表立って主張しなければ、
 中国要人との会談さえ現実味を帯びてきそうだ。

   (asahi.com)


こいつには驚かされました。

この件に関しては毎日や日経も書いてますが、

台湾:李登輝発言で波紋 独立方針転換?

台湾の李登輝前総統「台湾独立追求せず」

内容的には似たり寄ったりで
李登輝氏が従来の主張を後退させたとの論調です。

では、李登輝氏のインタビュー記事が載っている、
週刊誌「壱週刊」の内容は具体的にどういうものなのか?

メルマガ「台湾の声」に載っていたのでここに転載します。
かなりの長文です。


 台湾『壱週刊』2007年2月1日号

 〔李登輝単独インタビュー〕

 ●私は大陸(中国)を訪問したい。
 台独を棄て、中国資本を引き入れる

 前総統李登輝はこれまでずっと
 「台湾独立のゴッドファーザー」と見られてきたが、
 1月29日に本誌の単独インタビューを受けたとき、
 彼は「自分は台独のゴッドファーザーではない。
 統一か独立かの論争は台湾ではすでに『ウソの問題』となりはて、
 ブルーとグリーンの陣営の闘争工具と成り下がっている」、
 「私はこれまで一度も台独を主張したことがなく、
 台独を追求する必要も、もはやないと考える」と公開で表明した。

 4時間にわたるインタビューのなかで、
 彼は「私の中国訪問を望んでいる人が、じつは中国にはたくさんいて、
 もし行ければ5千年前(訳注:2千5百年前の間違い)に
 孔子が列国を周遊した道をたどってみたい」ともらした。
 李登輝は、自ら統独(統一と独立)と
 両岸の問題に対する見方を新たに方向付けただけでなく、
 陳水扁は「ウソをつく人間」、「現在こそ黒金(腐敗社会)だ」、
 馬英九は「肝っ玉なし、迫力不足」だと、そっけなく評した。

 去年12月の台北、高雄市長選挙で台聯が大敗したので、
 前総統李登輝の国内政界に対する、
 影響力はほとんどなくなったと見られたが、
 2ヶ月もたたない間に
 彼は元総統府秘書長の黄昆輝に台聯党主席を継がせ、
 党再編を行い、路線を中間左寄りに向かわせ、
 また党名も「台湾民主社会党」に改め、出直すつもりでいる。

 ●大陸に行きたいが、実現は簡単でない

 1月29日午後、李登輝は自宅の翠山荘で本誌の取材を受けた。
 「台独のゴッドファーザー」李登輝は、
 「じつは大陸(中国のこと)にはたくさんの団体と個人が、
 彼に中国を見に来て欲しいと誘っている。
 大陸に行ければ、5千年前に孔子が列国を周遊したルートを
 一通り回ってみたいな」と初めてもらした。
 「私が大陸に行けば、捕まえられるかどうかわからない。
 まあ、捕まえないだろう」と冗談を言うのだ。

 李登輝は続けて言う。
 「出エジプト記のルート、シルクロード、孔子の周遊ルート、
 日本の奥の細道は、いずれも世界に知られたロードだ。
 これらを生涯に機会があったら、まわってみて感想を書いてみたいな」。
 彼はこれらのルートを書いた日本語の写真つき解説書を持っていた。
 「孔子公の列国周遊ルートには詳しいよ」。

 大陸訪問は、彼の84歳の体が耐えられることの他に、
 現実の考慮もしておく必要があることはよくわかっているので、
 「現在、たくさんの人々が大陸を訪問しているが、
 もし個人の権力のための大陸訪問なら、私はしたくないね」と話した。

 ●台独を否認、中国資本に開放

 李登輝は本誌の取材中、
 世間の彼に対する反中国の印象を大幅にひっくり返した。
 彼は統独(統一か独立か)の立場を明白に示した。
 「私は台独ではないし、これまで一度も台独を主張したことはないよ」。
 両岸の関係については「大胆に中国資本の台湾導入を開放し、
 大陸の客に台湾を観光させるべきだ」、
 「大陸の人たちはみな特務だと見るべきではない」と主張した。

 統独と両岸の問題の他に、
 李登輝は政治指導者の人物についても品定めをした。
 総統陳水扁は「ウソつき人間」、
 国民党主席馬英九は指導者としては「肝っ玉がなく、迫力も不足だ」、
 彼が12年近くも相手にした対岸の前指導者江沢民は
 「言葉多く、やった仕事は少ない」、
 現任指導者の胡錦涛は
 「言葉少なく、黙々と仕事をやる」と、それぞれを評した。

 しかし、国民党名誉主席連戦は直接批評しなかったが、
 彼が政務委員のとき
 連戦の父親の連震東と事務室をともにしたことを思い出し、
 「この台湾人は官途につくのがうまくてね、
 私も見習うに値するんだよ」と笑った。

 彼が執政していたとき、
 本誌も世間が彼の黒金(腐敗)政治を批判していることに
 言及したことがあると言ったら、
 彼は「黒金は当時と現在、どっちがひどいの。
 現在の黒金のほうがひどいじゃないか」と反問した。
 「国安(国家安全局)の機密帳簿」に言及すると、
 彼はすぐ「実際は、国安に機密帳簿はないよ。
 帳簿はすべて一つ一つはっきりしている」と話し、
 陳水扁がこの件と国務機密費とを同列に論じているのを退けた。
 
 ●統独の問題はすべてウソ

 彼は台湾の生き残りを非常に心配している。
 藍と緑(ブルーとグリーン)両陣営の泥仕合が
 市民に禍を及ぼしていることについて、
 「早急に解決しないとダメ」、一つの危機だと認識している。
 彼の話のなかで、黄昆輝が改組する、
 「台湾民主社会党」が演じる中間力に対する期待、
 そして同時に自分が政界の超然的地位を取り戻し、
 両岸関係および年末の立法委員選挙と08年の総統選挙における影響力を
 もう一度掌握することをほのめかした。

 李登輝はインタビューが始まるとすぐ、
 「台独のゴッドファーザー」と見られていることについて訂正した。
 「多くの人たちは私に対してそのような見方が非常に強いが、
 見てくれよ、わたくし李登輝の言論集25篇のどこに、
 私が台独を強調した文章があるのか」。
 言論のいくつかが台独に言及したことがあるとしても、
 主として台湾の民主化に関心をもつことにあっただけだ」と釈明した。

 「私が台独を追求する必要はない。
 台湾は事実上すでに一つの主権独立した国家だからだよ」。
 李登輝はさらに、執政当局が現在も
 「台独」を追求する主張をしていることにも反対している。
 「台独追求は後退であるだけでなく、危険なやり方だ。
 このようなやり方は、台湾を降格して未独立国家にさせ、
 台湾の主体性を損なわせるだけでなく、
 アメリカや大陸方面から多くの問題を引き起こすからだ」。

 李登輝は率直に話す。
 「民進党が『台湾独立を追求する』ウソの問題を製造すると、
 国民党は『反台独』の御旗を祭りあげる。
 実際は両陣営とも、統独を利用しているだけだ。
 毎日、統独をしゃべるが、どれもウソだよ。
 どちらも権力闘争に夢中だ。
 いまの台湾は民主化が停滞している。
 みな争いに夢中、これでは一番かわいそうなのは庶民だよ」。

 ●台湾新憲法、票だましのワザ

 「国民党は外来政権だ」とかつて言ったことはあるが、
 と李登輝はインタビューで初めて強調する。
 「いわゆる『外来政権』は事実上もはや存在しなくなった。
 現在は『台湾主体意識』の問題しかない。
 『本土』の問題も、もはやない。
 外省人や台湾人も、もはやない。
 台湾には族群問題はないのだ」。

 両岸関係の方面についても話す。
 「特殊な国と国との関係」が「両国論」と省略化され、
 はなはだしくは「台独」に間違えられたことについても、
 李登輝ははっきりさせた。
 「もともと両国論は私の本意ではなかった。
 私の言い方は『特殊な国と国との関係』であって、
 これは台独を主張しているのではさらさらない」。
 
 「国際法上の台湾の主権の位置づけは過去に判例のない、
 はっきりしない状況だったので、蔡英文を英国に行かせ、
 9名の国際法専門家に
 『台湾はいったい一つの国家なのか』を教えてもらった。
 その結果、半数がそうだ、半数がそうではない、
 という分かれた答えだったので、
 台湾と大陸にある二つの独立政治実体の間の
 特殊な関係を説明するために、
 当時のインタビューで『特殊な国と国との関係』と言ったのである。

 「台湾はとっくに主権が独立しており、
 目下の重点は台湾を如何に国家として正常化させるかにある。
 たとえば、憲法第4条の国家固有の国境などの問題を改正するには、
 憲法修正または公民投票の方式を通して解決せねばならないが、
 現在はほとんどやれないでいる。
 民進党は『言うこととやることは別』で、
 憲法修正を使うと敷居が高すぎ、公民投票も困難累々、
 それでまだ『新憲法』を叫んでいる。それでは庶民だましだよ」。
 
 ●疎通する場がないから、両岸は解決難

 李登輝は、
 両岸が目下疎通する場が全然ない状況を非常に心配している。
 「私の執政時、両岸の疎通を制度化させるために国統会を成立させ、
 国統綱領をつくり、双方の交流を始めた。
 後に綱領に基づいて陸委会、海基会を設立し、疎通の場をつくった。
 そのほかに辜汪会談があって、両岸が対話した。
 これは両岸の最もよい場だった」。

 そこで李登輝は批判する。
 「しかし政権交代後、両岸にはコミュニケーションの場が一つもない。
 以前は政府間の交流が密接だったが、
 今は民間が自分達で密接に交流している」。

 「2001年以後、両岸は一つの交流の場であるWTOを使えた。
 たとえば、タオル、タイルなどの貨物の
 反ダンピングはWTOで話し合いができる。
 しかし、執政党はこの場を利用せず、
 中国の役人がいかにも怖くてたまらない。
 これでは台湾人民の生き残りのチャンスを確保できないではないか」。
 
 「両岸疎通の場が欠けているから、人民の経済生活にも影響している。
 私の12年の執政時、両岸の政治と経済活動は相当安定し、
 経済成長も少なくとも7,8%はあった。
 人民はその12年間で少なからず金を儲けたが、
 両岸の疎通が途絶えると、人民は金を儲けられず、
 あの12年間に儲けた金を使い出している」。

 ●積極開放、出る一方

 実際の両岸政策の方向について李登輝は話す。
 「民進党政府がとった『積極開放』は
 『出て行くロードを一本開放したが、戻ってこない』。
 しかも彼らの政策はしょっちゅう変わる。
 積極開放が積極管理に変わる。あきれるよ。
 台湾全体が一桶の水のように、
 水は流れてゆくばかりで、入ってこない。
 これで人民は生活できるのか」。

 李登輝は話す。
 「在任中に出した『戒急用忍』は
 大陸と関係を持つなということではない。
 経済はもともとツーウエイなのに、
 民進党はそれをワンウエイに変えてしまった。
 台湾の中国への経済依存度が
 アンバランスをもたらしたことに直面している今、
 退くのはもはや実質的に困難だ。
 だから中国との経済貿易アンバランスは、
 改めて検討しなくてはならない。
 このままワンウエイに資金、人材、技術を流失させてはならない。
 中国の資金を如何に引き入れるかの問題も、考えなくてはならない」。

 彼は香港を例に取った。
 「香港は1997年の主権返還後、経済情況は非常によくなかったが、
 2003年と翌年に中国と香港の双方が関係を結び、
 大勢の大陸の観光客を香港に来させて、物を食べ、物を買い、
 株式も香港で上場させたら、経済はよくなった」。

 李登輝はそこで、「大胆に中国資本を引き入れ、
 大陸人民を観光に来させるべきだ」と主張する。
 「大陸からの人間をみな特務と見てはいけない。
 そんなに肝っ玉がないようでは、何がやれるの。
 開放して彼らを来させて消費させ、
 台湾も世界のブランドが集まる場所にすればいい」。

 ●江沢民を批判、胡錦涛を持ち上げる

 李登輝の中国に対する態度が批判から開放に変わったことが、
 中国の現在の指導者の胡錦涛に対する評価にも具体的に反映した。
 胡錦涛は水利を学んだから、比較的に実務的だと言う。
 「言葉少なく、無駄話せず、黙々とやる。
 対台湾の統戦はソフトで強引な行動はとらず、台湾人民を崩れさせる。
 江沢民のように、言葉が多く、やることは少ない」とは違う。
 江沢民の『江八点』は何をやったのか。
 何もやってないよ。脅かしだけだ」。

 李登輝は分析する。
 「胡錦涛は08年の北京オリンピックと10年の上海博の前には、
 台湾に極端な手段はとらないはずだ。
 しかし、12年になると胡錦涛は交代させられる。
 その次の中国指導者がどう出てくるかはわからない。
 そのとき、両岸にまだ利用できる疎通の場がないと、
 非常に危険なことになる。
 08年に新しく就任する台湾の総統が、
 すばやく疎通するパイプと場をつくることを期待するしかない」。

 国内の経済政策について、李登輝は話す。
 「執政当局は目下経済政策に方向性がないから、
 投資者には投資できる新しい事業がない。
 今、銀行にはカネがジャブジャブだぶついている。
 1,2千万元のカネを銀行に預金しに行くと、
 銀行は要らないというのだ。
 その意味は、台湾には投資するチャンスがなく、方向がないからだ」。

 しかし、実際に台湾は材料とバイオテク方面で
 非常に大きな空間を発揮できると、彼は指摘する。
 「たとえば、母校のコーネル大学には
 私の名義で設立したナノ研究所があり、政府もカネがあり、
 投資して株主になれるが、利用の仕方がわからないでいる。
 政府は新しい産業投資奨励法を制定し、
 台湾の企業家が中国大陸で儲けたカネを戻らせて、
 はじめて台湾人民の生活を改善できる」。

 李登輝は、蒋経国時代に国内の石油化学のなかの下流の工場の
 整理再編を助ける仕事をしたことがあるので、
 石油化学工業にも詳しい。
 「たとえば、台湾プラスチックの6工場に
 政府は20万トンの水を供給したことがあり、
 現在は80万トン使っている。
 濁水渓ダムは供給十分であり、用水価格も一般水価格の三分の一だ。
 台プラは一年に何億も儲かっている。
 政府が台プラを助けたから、
 台プラはいま大いに儲かっているのだから、
 社会にお返しをするべきだ」。

 ●陳水扁はウソつき、受けて立たない

 国内の政治情勢に話が及ぶと、
 李登輝は昨年3月からずっと台湾が現在直面している、
 危機存亡の問題を考えてきたと話す。
 「藍緑陣営の泥仕合の情況下では、
 今年から来年までに何か中間力が出現することを期待するしかない。
 黄昆輝が引き継いだ台聯が改組後、中間左寄り路線に移動し、
 台湾の新しい中間力になることに希望を寄せる」。

 陳水扁に話が及ぶと、李登輝の批判は遠慮しない。
 陳水扁はウソつきだとはっきり言う。
 どうしてかというと、扁・宋会合のあと扁が批判を受けると、
 それは李登輝が提案したから
 宋に会いに行ったと言い訳をしたからである。
 「非難されると、一人の老人のせいにする。
 事実でないし、受けて立つこともしない」。

 李登輝は今、扁と連絡がないことを否定しない。
 「彼が三立テレビのインタビューで何を話したか、
 私は聞きたくもない。
 人をよこしても、私は相手にしない」。
 本誌記者が彼に陳水扁執政7年の評価を求めると、
 「いや、いや」と断った。

 ●公義を堅持、扁支持は拒絶

 国務機密費について、李登輝は語る。
 「国務機密費事件を、阿扁は機密外交だと弁解する。
 しかし、外交は総統と関係があるが、
 総統府とは全然関係がないのだから、
 どうして国務機密費まで持っていけるのか。
 彼は当初、一審判決が有罪であれば降りると言ったが、
 後に危ないと見るや、任期終了後に自己弁護すると言い出す。
 今、彼はまた機密外交の内情は死んでも言えないと言い出す。
 これでは、どうやって自己のために弁護するのか」。

 李登輝は、自分は陳水扁と違うと言う。
 「私には神があり、神の思し召しには背けない。
 昨年、扁打倒ブームが起きたとき、
 一部の長老教会の台独派牧師が扁支持を公にしたので、
 ある家庭礼拝で彼らに話した。
 神の目には、牧師も信者も同じだ。
 生前に公義の精神を本当に維持するかどうかは、
 死ぬ前にだれでも審判を受けるのだと」。

 ●馬は肝っ玉がないので高く出る

 国民党主席を担ったことがある李登輝は、
 08年に総統選挙に出る可能性が高い馬英九を評す。
 「馬は確かに肝っ玉がない。
 馬は仕事を最後まで堅持しなくてはならないときに、
 批判を受けると、最後まで堅持できなくなる。
 気迫不足だね。
 これではいずれ、彼は問題を引き起こすよ」。

 「馬先生のいい点はクリーンだが、
 高すぎる話はせず、高すぎる標準はつくらない方がいい。
 降りられなくなるからだ。
 クリーンは当然やるべきだが、話さない方がいいときもある。
 馬については、彼がどうやり抜くかを見なければ、
 彼がいい指導者になれるかどうかわからない」。

 彼はまた、「馬英九はカリスマをやりすぎている」と言う。
 「総統になるにはカリスマづくりに凝る必要はない。
 あんなテレビや新聞には構わず、誠心誠意に自分の仕事をやり、
 正直に庶民と向き合えばいいし、
 庶民と政治のことを話せばいいのだ」。

 ●蘇・謝と会い、書を贈る

 民進党の蘇貞昌、謝長廷なども続々、
 彼に教えを乞いにきて彼の支持を求めている。
 「彼らはいずれも私に支持を求めたいが、
 私は彼らを支持するとは言えないから、
 彼らとは、指導者の条件について話すしかない。
 彼らに何冊かの本を上げ、家に帰って読めというだけ」。
 李登輝がいう本当の新世代の台湾の指導者の条件とは、
 国家観念を持ち、国家のために働きつづけ、
 次代のために努力する考えがなければならず、
 選挙の勝敗のためではないのである。
 しかし、新しい指導者には、
 このような考え方がどうも欠けているのだ。

 李登輝は言う。
 「多年政治に携わってきたが、最も満足に感じないのは、
 台湾が民主化したあとも、
 台湾人はどうも幸せを感じていないようだということだ。
 そして、執政当局が終始両岸の危機を正視していないことについて、
 「総統府の連続ドラマが面白いから、
 それを考える時間がないのだろう」と笑った。
 
   (台湾の声:2007/02/08)


以上です。

実は、この記事が出た後で李登輝氏は
自由時報紙の単独インタビューに応じ、

 「あの記事は、実際のインタビューから
 都合の良いところだけを拾い、
 部分的な発言を歪曲した報道だった」

と反論をしています。

しかし、全否定はしておらず、
その部分を割り切って読むと非常に興味深い内容ですね。

私の感想を言うと、
正直、彼の真意は非常に読みにくいです。

私はマスコミ論調のように「李登輝は転向した」とも思いませんが、
逆に李氏の熱狂的な支持者が言うが如く、
「やはり李登輝の主張に全く変化はない」とも思いません。

 「多くの人たちは私に対してそのような見方が非常に強いが、
 見てくれよ、わたくし李登輝の言論集25篇のどこに、
 私が台独を強調した文章があるのか」。
 言論のいくつかが台独に言及したことがあるとしても、
 主として台湾の民主化に関心をもつことにあっただけだ」

 「私が台独を追求する必要はない。
 台湾は事実上すでに一つの主権独立した国家だからだよ」。

 「台独追求は後退であるだけでなく、危険なやり方だ。
 このようなやり方は、台湾を降格して未独立国家にさせ、
 台湾の主体性を損なわせるだけでなく、
 アメリカや大陸方面から多くの問題を引き起こすからだ」。

彼の主張はこの数行に凝縮されていると思います。

 台湾独立を追求する必要はない。
 台湾はすでに主権独立した国家だから。

このロジックですね。

ある意味、安倍総理の対中曖昧戦術に似てるような気もします。
争点をぼかして、原則論的な対立を避けようということでしょうか。

台湾政界の現状、
即ち、独立派VS反独立派の原則論真っ向対立の状況は
台湾の政治に危機をもたらすと見ているのでしょうか。

この八方ふさがりの状況を
自らの手で打開したいと考えているのでしょうか。

李登輝という人物は政治家です。
政治家ゆえに、
その発言は政治的影響・波及効果を計算した発言でしょう。

かつて蒋経国からバトンタッチされた国民党独裁政権を
自らの手で解体し、民主国家へと変化させた人物ですから、
黙すべき部分は黙し、語って益有る部分のみを語り、
曖昧にすべきは曖昧にする。
過程はどうであれ、良き結果さえもたらせばいい。
ここらへんは彼の芸の領域だと思います。

結論として、彼の政治的信念には変化はないものの、
戦術の部分において修正を施しつつあるように感じました。

さらに、彼の発言で面白かったのは
陳水扁に対する評価が辛い点ですね。
非常に辛辣です。

逆に、陳水扁のライバルである国民党の馬英九に対しては
「肝っ玉が小さい」などと言いつつも
それほど厳しく批判していません。
さらに胡錦涛に対する評価もさほど悪くはありません。

彼の真意をハッキリと読み取れている自信はありませんし、
マスコミのフィルターでどこまで歪曲されているのか分かりませんが
この発言内容は非常に興味深いです。


メルマガ:台湾の声







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中国の宇宙開発と軍事利用 その4・・宇宙戦と制宙権


  北京航天員科研訓練中心にある宇宙飛行士訓練用のシミュレーター.jpg


中国の衛星破壊実験に絡めて
かの国の宇宙開発と軍事利用の現状について。

今回が最終回です。

中国の宇宙開発と軍事利用 その1・・衛星攻撃兵器(ASAT)

中国の宇宙開発と軍事利用 その2・・人民解放軍総装備部

中国の宇宙開発と軍事利用 その3・・ガリレオと北斗


中国外務省は23日の定例記者会見で、
ようやく衛星攻撃実験の事実を認めました。

やれやれ。
他国から指摘されないと
事実を公表しない国なんですね。

中国外務省は定例記者会見で、

  「中国は宇宙空間の平和利用を主張しており、
  宇宙空間の軍事化や軍備競争に反対するとの立場に変化はない」

  「この実験はいかなる国家に向けたものでもなく、
  いかなる国家にも脅威にならない」

  「中国は国際体制の積極的な参与者であり、
  国際社会の責任ある建設者である」

  「われわれは、宇宙は全人類の共通財産であり、
  平和目的に利用されるべきだと考えている。
  宇宙の平和利用に関する国際協力を各国と実施していきたい」

と述べました。

全世界が信用しないようなセリフを
しれっと言ってくれますね。
こういう国だと分かっていても呆れ果ててしまいます。

ここで、この実験に対する欧米紙の論調を2つ載せておきます。


◇宇宙の軍備管理に取り組め
 
 中国は先週、地上発射ミサイルで自国の人工衛星を破壊し、
 過去20年以上の間で初めて
 衛星攻撃兵器の実験に成功した国となって、
 各国の間に懸念と恐怖を広めた。
 こうした挑戦的な示威行動は、
 米国の軍事、情報衛星を危険にさらし、
 宇宙での軍拡競争の危険もはらむものだ。
 ブッシュ政権が、その好戦的態度と
 宇宙での軍備管理条約の検討さえ拒否することによって
 中国を責める資格を失っているのは残念なことだ。
 ブッシュ政権は方針を転換して、
 衛星攻撃兵器の実験や使用を禁止するための交渉に参加すべきだ。
 
 中国の実験では、
 約500マイルの高度で老朽化した通信衛星が破壊された。
 ミサイルが粉砕した無数の破片には
 今後10年かそれ以上の間、
 航空機や衛星に危険を及ぼす大きさのものもある。
 中国は今や、軍事偵察や核実験の探知、
 ハイテク兵器の誘導に用いられる米国の衛星を
 破壊できることを実証したことになる。
 情報機関高官は昨年8月、中国が地上発射レーザーで
 米国の衛星を照射したことを報道陣に明らかにした。
 これは衛星の目をくらますか、
 宇宙空間にある目標にミサイルを誘導する方法を
 開発し始めたことを示す可能性がある。

 ブッシュ政権も宇宙で力を誇示してきた。
 昨年10月に発表された国家宇宙政策は
 「宇宙での行動の自由は、
 空軍国、海軍国としての米国にとって重要である」と宣言した。
 宇宙で活動する米国の権利に対する、
 他国の干渉を阻止する必要性も主張している。
 この政策ではペンタゴンの一部が主張するように
 ワシントンが宇宙に兵器を配備するかどうかには触れていないが、
 政権はそうした可能性への制約に反対している。

 もちろんその反対の道を選び、
 衛星攻撃兵器の一切の実験といかなる使用も
 禁止することを目指す方が
 軍事的にも外交的にも道理にかなっているだろう。

 米国と旧ソ連は数十年前にそうした兵器の実験に成功しており、
 その改良型を開発する決定的な必要性はないのに、
 米国は明らかにそうした道を探っている。
 追いつくことに成功した中国は以前、
 3回の実験に失敗したと伝えられており、
 したがって中国にとっては追加実験が望ましいだろう。
 どの国よりも多くの衛星を軌道上に打ち上げ、
 衛星に対する軍事的依存度を高めている米国は、
 野放しの宇宙軍拡競争から失うものが最も大きい。

 専門家の間には
 今回の中国の実験が米国の真剣な交渉への参加を
 促すことを意図したものだとの見方がある。
 中国であっても、
 あるいは他のいかなる好戦的な宇宙開発国であっても、
 宇宙における新たな軍拡競争ではなく、
 軍備管理条約を通じてそれに対抗すべきである。

   (米紙ニューヨーク・タイムズ 2007/01/20)


◇地に落ちた中国の宇宙開発
 
 宇宙開発への中国の飛躍は、
 4年前の初の有人宇宙飛行成功以来、堂々と進んできた。
 しかし、その穏やかな宇宙開発計画は、
 弾道ミサイル搭載の弾頭で
 老朽化した気象衛星を破壊したという報道で、打ち砕かれた。
 報道は航空専門誌エビエーション・ウィークによってまず伝えられ、
 台北、東京、ワシントン、モスクワでパニックボタンが作動した。
 しかし、新人プレーヤーが宇宙軍拡競争に参加したことは、
 さほど驚くべきことではなかったのかもしれない。
 
 過去10年間、宇宙の軍拡化に
 最も声高に反対を主張してきたのは中国だった。
 9年前に発表された白書は、宇宙は人類全体に属し、
 平和目的のためだけに用いられると語っていた。
 以来、中国とロシアは、宇宙軍拡阻止の条約について
 国際的な拘束力のある法的手段の必要性で
 米政府と意見を異にしてきた。
 この問題のためジュネーブ軍縮会議は暗礁に乗り上げた。

 中国は米国の本土防衛ミサイル(NMD)の計画に
 不安を募らせてきた。
 それは核抑止力を無効にするだけでなく、
 台湾にも配備される可能性があるからだ。
 米国防総省が2001年、コロラド州で行った軍事演習は、
 「小さな隣国」を脅かしている敵に
 米国が対決するという想定で行われ、
 台湾問題とミサイル防衛の関連を明確にした。

 中国の数百発のミサイルは台湾に向けられている。
 それらのミサイルが、米国のミサイルや、
 宇宙にある米国の衛星が発射したレーザーで迎撃されるのなら、
 論理的に中国が次に出る措置は、
 それを撃ち落とせることを証明することになる。
 衛星は、衛星に狙われるミサイルと同様に危険ということになる。

 だから、中国も米国も定石どおりに互いに非難し合う際に、
 あまり誇らしげな主張ができない。
 ワシントンでは、国家安全保障会議の報道官が、
 そうした兵器のテストは
 両国が民間宇宙分野で切望する協力の精神に反すると述べた。
 何十年にもわたる弾道ミサイル制限交渉を
 危険にさらすという警告を無視し、
 NMDと宇宙配備兵器の研究に何十億ドルも注ぎ込んでいる国からの
 歯切れの悪い言葉である。
 中国の近隣である日本、韓国、台湾の懸念は本物である。
 しかし、国際的な条約が存在しない中で、
 どんな根拠に基づいて批判ができるのだろうか。

   (英紙ガーディアン 2007/01/20)


両紙ともに中国を非難しつつも
昨年10月に発表されたブッシュ政権の宇宙政策、

  米国の宇宙利用を禁止したり
  制限する法体系の構築には反対する

  宇宙での行動の自由は米国にとって重要である

これを批判しています。

確かに今回の中国の行為は
このブッシュ政権の宇宙政策、
つまり「米国は宇宙ではフリーハンドを握る」という、
独善的な主張に対する報復の意味合いもあるでしょうね。

こうして米国の「宇宙でのフリーハンド構想」は
中国という思わぬ伏兵により、
構想発表翌年に頓挫の危機にさらされたわけです。

さて、24日の産経には
この実験に関する軍事評論家の江畑謙介氏の
コメントが載ってました。

 イラク戦争について「半分は宇宙で戦われた」といわれるほど、
 現代の戦争は宇宙への依存度が高まっている。
 とくに米軍は高度なコンピューター・ネットワークと
 通信技術を駆使した戦争方法への変革を進めており、
 衛星などの通信手段が重要な機能を果たすことになる。
 
 中国が高度850キロの衛星を破壊できたということは、
 高度250~400キロの米国の偵察衛星、
 400~600キロの日本の情報収集衛星も
 破壊できることを意味する。
 さらに、中国が破壊した衛星の破片が他の衛星にぶつかり、
 機能が止まる可能性もある。
 
 日本には「宇宙の平和利用」というおかしな議論があるが、
 米軍は95%の情報を民間の通信衛星に頼っており、
 軍事用の衛星だけが攻撃の対象になるわけではない。
 宇宙戦争の時代になったと認識すべきだ。

仁義無き宇宙戦争時代の開幕というわけです。

歴史上では後から振り返れば
あれが時代の分岐点だったという事象がしばしば見受けられますが、
宇宙での軍拡競争という観点から考えると
この中国の行為は
宇宙開発史の分岐点と言われるようになるでしょうね。


今回の衛星破壊実験と宇宙の軍事利用の未来図について
航空機の歴史を例としてあげておきます。

ライト兄弟が初飛行したのが1903年ですが、
それから11年後の第一次大戦において
早くも航空機は戦場で使用されました。

まず、大空を飛行船や気球が飛び、
複葉の偵察機などが
空から地上の敵軍を偵察しました。

上空から敵情を把握できる利点は大きく、
敵味方双方が偵察機や飛行船を飛ばし、
地上軍はそれに対して何の手出しもできない時期がありました。

敵味方の偵察機同士は大空ですれ違うと
互いに手を振り挨拶を交わすような
そんな牧歌的な時代でした。

しかし、上空から
自軍の内情を俯瞰する航空機の存在はうとましいものです。
やがて偵察機同士の空戦が発生し、
最初はレンガを投げたり、拳銃を撃ったりと
実に原始的な戦闘でした。

そして機関銃を搭載した戦闘機が登場し、
優雅に空を舞っていた偵察機や飛行船は
脅威に曝されるようになります。
その戦闘機を撃墜しようと
敵味方双方による空戦が発生します。
「制空権」という概念の始まりです。

さらに爆撃機と攻撃機の登場。
空から敵部隊と敵都市に爆弾を降らせ、
海上の敵艦に爆雷撃を加えるようになりました。

やがて第二次大戦の発生と共に
それまで戦闘の優雅な脇役だった航空機が
戦争の主役の座を奪い取り、
戦いの勝利には「制空権」の確立が不可欠となりました。

太平洋で日本海軍はその事実を敗北と共に味あわされ、
欧州ではドイツの機甲師団が
大空を乱舞する連合軍機に前進を阻止され、
両国共に都市を爆撃により破壊されてしまいました。

現在の宇宙空間での軍事的様相は
この航空機史に喩えるならば
「牧歌的な飛行船と偵察機の時代」に相当します。

宇宙の高みから
他国の軍事施設と軍事行動を逐次監視する米軍の偵察衛星。
米国大統領はこの衛星のもたらした写真を片手に
イランや北朝鮮の核開発を声高に非難します。
これに対して両国は何の対抗手段もなく、
天空を恨めしく見つめるのみです。

少数の主要国のみが宇宙に偵察衛星を飛ばし、
他国を上空から好き勝手に観察する時代。
限られた「宇宙クラブ」のメンバーのみがこの利益を享受し、
それぞれが暗黙の了解で他国の偵察活動を阻害しない時代。
これが今回の中国の実験で終わりを告げようとしています。

さて、きたるべき時代は何か?
それは偵察行為の阻止と破壊、
衛星を破壊する地上からのミサイル攻撃と
宇宙空間にて敵の衛星を破壊する「攻撃衛星」の登場。
そして攻撃衛星同士の戦闘と
「制宙権」という概念の誕生です。

やがて宇宙から地上や海上への攻撃も行われるでしょう。
地表にミサイルやレーザーを打ち込む時代も来るでしょう。
ここに至れば
宇宙空間を制する者が地上を制するようになります。

それは決して遠い未来のSF物語ではなく、
半世紀単位の予想される宇宙の様相です。

おそらく各国の軍関係者も
この未来図を当然の類推の結果として
思い描いていると思います。

しかし、この宇宙における軍備の拡大は
莫大な費用と高度な科学技術が必要なため
一定の国力を持った国以外では不可能です。

それに参加できるプレーヤーは
米国・欧州・ロシア・中国・日本、
そして宇宙開発に急速に目覚めつつあるインドなどです。
それ以外の小国はこれらの大国と連携することにより、
その軍事能力の一端を得るしかありません。


今回の中国の衛星破壊実験は
牧歌的な宇宙開発時代の終わりを示しています。

空を舞う飛行船や偵察機が
大空で優雅に挨拶を交わした時代は終わりを告げ、
戦闘機の銃弾による破壊と撃墜の時代が始まりました。

宇宙での戦争の時代の幕開けです。



関連資料リンク

宇宙戦争の時代 中国衛星攻撃兵器実験、商業ロケットを転用?
 米専門家分析、軍事利用裏付け

衛星破壊実験:「中国、昨年11月に米国に警告」

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中国の宇宙開発と軍事利用 その3・・ガリレオと北斗

中国の宇宙開発と軍事利用 その2・・人民解放軍総装備部

中国の宇宙開発と軍事利用 その1・・衛星攻撃兵器(ASAT)

日本の宇宙開発・・中国との相違とその問題点






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中国の宇宙開発と軍事利用 その3・・ガリレオと北斗


   ガリレオ計画.jpg


中国による人工衛星破壊実験の波紋が
世界的に広がりつつありますね。
特に米国の衝撃はハンパじゃないようです。

さて、前回と前々回の続きです。

中国の宇宙開発と軍事利用 その1・・衛星攻撃兵器(ASAT)

中国の宇宙開発と軍事利用 その2・・人民解放軍総装備部


宇宙に巨大な「破片の雲」・中国の衛星破壊実験で衝突の恐れ

 中国の弾道ミサイルによる人工衛星破壊実験を受けて、
 米政府当局者らは22日、宇宙空間に破壊された、
 衛星の破片によるスペースデブリ(宇宙ごみ)が
 大規模な「雲」を形成しており、
 各国の衛星のほか、国際宇宙ステーションにも
 衝突する恐れがあると警告した。

 また、専門家はデブリが高度約400キロから約3000キロの
 広い宇宙空間にわたり観測され、
 この軌道上にある120個以上の衛星が危険にさらされていると強調。
 軍事衛星のほか、民間衛星へ衝突すれば日常生活に影響が出かねず、
 国際的にも懸念が広がっている。

 ロイター通信によると、米国防総省関係者は
 「今回の実験が国際宇宙ステーションも含めて
 (衛星とデブリによる)衝突の危険性を
 高めたことは間違いない」と批判した。
 同ステーションは日本などが参加し
 高度約400キロの軌道上に建設中。

   (NIKKEI NET)


今回の衛星破壊実験のニュースを見ていて驚いたのは
破壊当事者の中国はともかくとして
米国がこの実験の一部始終を詳細に掴んでいることです。

 中国は1月12日、
 四川省の西昌宇宙センターからミサイルを発射し、
 1999年に打ち上げられ
 地上約850キロから870キロの宇宙空間にあった、
 中国の気象衛星「風雲1号C」(FY-1C)に衝突させ破壊した。
 「風雲1号C」は実験直後、
 遭難信号を発すると共に米空軍のレーダーから消え、
 破片が散らばる様子が確認された。

この実験の進行状況をハッキリと掴んでいるわけですが、
こういう芸当が出来るのは世界でも米国だけでしょう。

欧州・ロシア・中国などでは
他国の宇宙空間での衛星実験の一部始終を
ここまで詳細に掴めるとは思えず、
ましてや日本などは到底無理です。

逆にいうならば
衛星破壊実験などで中国が意図しているのは、
この米国による宇宙空間からの監視体制の打破ですね。
これを狙ってるわけです。

天空の高みから他国の施設や軍事行為を監視し、
その位置と状況をハッキリを掴む。
これは軍事的には相当の利点であり、
敵対国にとっては脅威そのものでしょう。

中国は衛星破壊実験で
この「米国の眼」を潰すことを意図しましたが、
同時に中国は自らの「宇宙の眼」を着々と構築しつつあります。


2005年12月28日、
カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から
1基のロケットが打ち上げられました。
このロケットにはESA(欧州宇宙機関)の
「GIOVE-A」という人工衛星が搭載されていました。

この「GIOVE-A」は
EUが米国の妨害を押し切って始めた、
「ガリレオ計画」の最初の試験衛星でした。

「ガリレオ計画」とは
米国の「GPS」に対抗して
欧州が独自に進める衛星測位システムです。

今やカーナビや携帯電話の位置測位などで
日常生活にとけ込んでいる衛星測位システム「GPS」ですが、
これは国際的なものでもなんでもなく
実は米国防省が運用しているシステムです。

当初は米軍の軍事目的のみに使っていましたが、
徐々に民間にも測位情報を開放していき、
クリントン政権時に現在の10メートル精度のレベルまで
情報を全面公開しました。

欧州各国はこの衛星測位システムの重要性を認識しており、
このシステムを米国一国が握ることを憂慮し、
2003年、独自の衛星測位システム、
「ガリレオ計画」を推進することで合意しました。

「ガリレオ」は
宇宙空間に合計30機の測位衛星を打ち上げ、
GPSをしのぐ精度の測位情報を地上に送るシステムで
2008年までに4基の衛星を打ち上げ、
試験運用を実施する予定です。

2004年、
この「ガリレオ計画」に中国が参画しました。

ガリレオ計画にかかる総費用は34億ユーロ。
そのうちEUが32億ユーロ、中国が2億ユーロを負担。
中国は研究段階から、技術開発・地上設備・ユーザーサービスなど
すべてのプロセスに参画することで合意しました。

米一極支配に対抗するガリレオ計画に
中国が参加したことの衝撃は大きく、
その後、イスラエル・ウクライナ・インド、
モロッコ・サウジアラビア・韓国が
この計画に参入しました。

また、中国はガリレオ計画とは別個に
独自の衛星測位システムを開発しており、
「北斗衛星システム」と呼ばれています。

測位精度はGPSと同等の10メートル。
2000年より試験衛星を打ち上げ、
2008年には中国及び周辺地区での利用を可能にし、
最終的には35基の測位衛星を軌道に乗せ、
対象エリアを全世界に拡大する予定です。

何故、中国は
ガリレオと北斗の両システムを並行して進めるのか、
その意図はいまいち計りかねます。

現在、このような世界的な衛星測位システムは
完備しているのは米国のGPS(Global Positioning System)のみで
それを欧州のガリレオ(GNSS)、ロシアのGLONASS、
そして中国の北斗が追いかけている状態です。

我が日本はどうかというと
一時期、「準天頂衛星」という測位システムを計画し、
衛星3機の打ち上げを構想したこともありましたが、
結局、計画段階で止まったままです。

もっとも、この「準天頂衛星」システムは
独自の測位システムというよりはGPSを補完するもので、
日本列島のみが対象です。
まあ、財政難のおりとは言え、
欧州・ロシア・中国と比較すると何とも寂しい限りですね。

実は日本も欧州から
ガリレオ計画への参加を求められていたのですが、

「ガリレオ」計画売り込みへ EU、東京で説明会を計画

日本に参加要請へ:EUのGPS「ガリレオ」計画

対米配慮か財政の問題なのか、
結局、蹴ってしまった経緯があります。


中国は米国に次ぐ宇宙大国を目指しており、
この趨勢がこのまま続けば
地上での先進各国、米国・欧州・日本の序列などは
いずれ宇宙では意味をなさなくなるでしょう。

まさに着々という感じで
宇宙開発を推進している中国。

日本も早くこの現実に目覚めてほしいものです。


   <続く>



関連資料リンク

ガリレオという名のスペース・パワー

ガリレオ計画、最終局面に入る

中国:EU「ガリレオ計画」に参入、米GPSに対抗

中国独自のGPS実用化、全世界に測位衛星35基へ


関連過去記事

中国の宇宙開発と軍事利用 その2・・人民解放軍総装備部

中国の宇宙開発と軍事利用 その1・・衛星攻撃兵器(ASAT)

日本の宇宙開発・・中国との相違とその問題点








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中国の宇宙開発と軍事利用 その2・・人民解放軍総装備部


     中国のFY-1C衛星.jpg


前回の続きです。

中国の宇宙開発と軍事利用 その1・・衛星攻撃兵器(ASAT)

中国の宇宙開発と軍事の関係について書きます。


口閉ざす中国…衛星攻撃兵器実験

 衛星攻撃兵器(ASAT)実験について、
 中国政府は20日現在も事実関係を明らかにしていない。
 米科学者団体「憂慮する科学者連盟」は19日、
 破壊された気象衛星の破片が大小合わせて数百万個に達し、
 他の人工衛星に損傷を与える恐れがあると警告したが、
 にもかかわらず、口をつぐむ中国の姿勢に対し、
 国際社会の批判が高まりそうだ。
 
 中国外務省の劉建超報道官は19日夜、
 「中国は宇宙兵器拡大競争にも加わらない。
 脅威と感じる必要はない」と述べ、
 事実関係を確認しないまま「中国脅威論」の払拭に努めた。
 
 中国は「今世紀半ばまでの情報化された軍建設の完成」
 (06年国防白書)を目指し、
 軍が主導し野心的な宇宙開発を進めている。
 今年は3回目となる有人宇宙飛行船を打ち上げ、
 初の船外活動を行う予定だ。
 
 今回の実験は、米国を牽制するとともに、宇宙開発競争でも、
 米国と並ぶ大国としての認知を取り付ける狙いがある。
 実験の成功で、技術的にも
 「(中国にとり)かなりのハードルを越え、
 相当な技術力を得た」(専門家)とみられている。
 
   (iza!)


中国の宇宙開発が軍主導で行われていることは
過去記事などでも書いてきました。

日本の宇宙開発・・中国との相違とその問題点

米国におけるNASAと軍のように
宇宙開発部門と軍隊を切り離すわけでもなく、
日本のように軍事とは全く無縁のものにするわけでもなく、
中国では人民解放軍の総装備部が宇宙開発を担当しています。

日本で言えば防衛省の技術研究本部が
国家の宇宙開発を担当しているようなもので
まあ、露骨なまでの
「宇宙開発=軍事」の発想ですね。
日本の潔癖性のような非軍事的発想とは正反対です。

以下、過去記事から引用します。


 中国は2003年と2005年に
 神舟と呼ばれる有人宇宙船を打ち上げましたが、
 これを行ったのは人民解放軍であり、
 厳密に言うと人民解放軍総装備部が管轄しています。

 2002年4月の神舟3号の回収の際には
 当時の江沢民国家主席は
 軍総装備部長の曹剛川大将に祝辞を贈りました。

 中国初の有人宇宙船となった「神舟5号」は
 2003年の10月16日に帰還しましたが、
 これは中国初の原爆実験成功の記念日、
 1964年10月16日に合わせてのことです。

 同時に神舟5号及び6号は
 本体から切り離された偵察用の軌道モジュールが
 飛行士の帰還後5カ月も飛び続け、
 軍事映像収集の偵察活動を行いました。

 今、人民解放軍の内部では
 「宇宙軍」の創設を求める声が高まっており、
 近未来においては陸海空だけではなく
 サイバースペースと宇宙空間が主戦場になると想定されており、
 「五次元一体の統合作戦」が提唱されています。


今回の衛星攻撃用のKT-2弾道ミサイルは
四川省西昌宇宙センターから発射されてますが、
ここは普段は人工衛星を乗せた長征ロケットなどが発射される、
宇宙ロケット用の基地です。
日本で言えば種子島の宇宙ロケットセンターに相当します。

中国は現在、三カ所のロケット発射基地を持っています。
山西省太原基地、四川省西昌基地、甘粛省酒泉基地。
さらに海南島に4つ目の基地を建設中で
これは2010年までに完成する予定です。

従来の3つの基地は
国防上の理由から内陸部に建造されましたが、
建設中の海南島基地は
赤道に近いために静止軌道に衛星を乗せやすいこと、
海上運輸の容易であることから沿岸部が選ばれました。

ちなみに、中国の長征ロケットですが
ICBM(大陸間弾道ミサイル)の技術を応用して作ったもので、
人民解放軍の下部組織である、
「運搬ロケット技術研究院」が開発を行っています。

運搬ロケット技術研究院は研究者2万7千名を擁し、
関連部局の中国宇宙工業総公司は1万名の研究者を抱えています。

また中国は、人工衛星やロケットの追跡観測のために
「遠望(ユアンワン)級」と呼ばれる衛星観測船を4隻所持しており、
一応、中国国家海洋局の所属となってますが、
実際は中国海軍が運用しています。

この遠望級は人工衛星の観測のみならず、
軍事用ミサイルのデータ収集も行っており、
おそらく今回の人工衛星破壊実験の時も
この観測船が太平洋やインド洋にでも散らばって
データを収集していたでしょうね。

さらに、遠望級は
他国の衛星やミサイルの情報収集も行っています。

過去記事でも書いたことがありますが、

中国の太平洋進出と豪州の反発

かつて中国は南太平洋のキリバス諸島に
「タラワ宇宙センター」という観測基地を作ってました。
これはキリバス政府を多額の援助で籠絡して作ったもので
1997年10月に完成しました。
この基地では自国の衛星・ロケットの観測のみならず、
日米の宇宙ロケットやミサイルのデータ収集も行っていました。

ところが、2003年7月、
キリバス政府は台湾との国交を宣言しました。

これは台湾の多額の援助金に
キリバス政府が心変わりしたためですが、
やむなく中国は観測基地を破棄し、キリバスから撤退しました。
おそらくこの動きの裏では
中国の観測基地を疎ましく思った米国が
糸を引いていたように思います。


中国の宇宙開発は
軍事と密接な関係にあるとよく言われますが、
むしろ「軍事そのもの」であると理解した方がいいでしょう。

上述したように、中国人民解放軍は
未来の戦場は陸海空のみならず、
サイバースペースと宇宙空間にまで拡大するとしており、
彼らはその発想に忠実に
宇宙にまで軍事覇権の網を広げようとしています。


   <続く>



関連資料リンク

衛星破壊、米で高まる警戒感 宇宙戦争「中国の逆襲」


関連過去記事

中国の宇宙開発と軍事利用 その1・・衛星攻撃兵器(ASAT)

日本の宇宙開発・・中国との相違とその問題点







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中国の宇宙開発と軍事利用 その1・・衛星攻撃兵器(ASAT)


       長征2号丙.jpg


中国、衛星破壊実験に成功 弾道ミサイル使用

 中国が高度約850キロの宇宙空間で、
 弾道ミサイルに搭載した弾頭で
 老朽化した自国の人工衛星を破壊する実験に成功し、
 米情報当局が詳細を確認中だと米航空専門誌が18日伝えた。
 スノー大統領報道官は同日の記者会見で、
 中国に既に懸念を伝えたと述べ、実験情報を事実上確認した。

 中国による衛星破壊実験が表面化したのは初めて。
 実験の成功が事実なら、
 有人宇宙飛行に成功するなど「宇宙大国」化を目指す中国が、
 米国などの軍事衛星に対する直接攻撃能力を獲得したことを意味し、
 宇宙空間をめぐる米中間の緊張が新局面に入ることは避けられない。

 米政府当局者によると、
 米国のほかオーストラリア、カナダも中国に懸念を伝え、
 日本、英国、韓国も懸念伝達を準備している。
 国際社会の警戒感が一気に高まるのは必至だ。

 同専門誌エビエーション・ウィーク・アンド・
 スペース・テクノロジー(電子版)によると、
 実験は米東部時間の今月11日午後5時28分
 (日本時間同12日午前7時28分)に行われた。
 中国の衛星発射センターがある四川省西昌の上空付近の宇宙空間で、
 弾道ミサイルを直撃し破壊する「キネティック弾頭」により、
 1999年に打ち上げた気象衛星「風雲1号C」を破壊した。

 同誌は、残骸が「宇宙のごみ」として、
 他の衛星などに悪影響を及ぼす可能性も指摘。
 CNNテレビは、今回の実験前、
 中国が計3回の失敗を繰り返していたと伝えた。

 米国は85年を最後に
 衛星を標的にした同種の実験を実施していない。

   (iza!)


こういうニュースが飛び込んできたので
ちょうどいい機会ですから
中国の宇宙開発とその軍事利用について
何回かに分けて書いておきます。


米国防省は毎年議会あてに
「中国の軍事力」と題した報告書を提出しています。

1998年に提出された報告書には
すでに中国の「宇宙の軍事化」に対する警鐘が鳴らされています。

  中国は国際的威信を高めるために宇宙開発を進めており、
  少なくとも十年後には有人宇宙飛行を成功させるであろう。
  この有人宇宙飛行計画は2010年から20年にかけて
  軍事目的の宇宙開発へと発展することになるだろう。

  中国はすでに
  十分な外部からの技術支援で衛星追跡能力を備えており、
  (軍事スパイ用の)低軌道衛星を追跡できる、
  高性能レーダーを開発しているとみられる。
  近い将来には軍事衛星を破壊できる兵器開発に成功するだろう。

2003年版では、

  中国指導部は恐らく、
  ASATシステム(対衛星兵器)及び
  全体的な対宇宙攻撃システムや宇宙配備のミサイル防衛が
  今後避けることはできないとみている。

  中国は長年、独自の宇宙ステーションや
  再利用可能な宇宙船の開発計画を進めてきた。
  有人宇宙飛行を試みる最大の動機は政治的な威信確立だろうが、
  2010~20年の時期には、軍事宇宙システムの改善に
  役立つのはほぼ間違いない。

そして2005年版には、

  2004年中に中国は10個の人工衛星を打ち上げた。
  2010年までには計100個以上の衛星を
  軌道に乗せようとしている。

  中国は地上配備のASAT兵器開発に向けた研究を行っている。
  国防情報局(DIA)は、
  中国が最終的に人工衛星に損害を与えるか、
  破壊し得るレーザー兵器を開発するかもしれないとみている。

と書かれています。

とまあ、この報告書を見ていると、
冒頭のニュースなどは
「ついに来るべきものがきたか!」ってな感じですね。

実は、昨年の9月にも似たようなニュースが流れました。


中国、米偵察衛星にレーザー照射 米紙が報道

 米軍事専門紙ディフェンス・ニュースによると、
 地球を回る軌道上にある米国の軍事偵察衛星が、
 中国領内に設置された対衛星兵器によるレーザー照射を受けた。
 照射は光学機器など衛星の「目」を狙って
 偵察能力を奪うことを目的としたもので、
 これまで数年にわたり複数回の照射が確認されたという。
 複数の消息筋の話として伝えた。
 照射による衛星への実害や、
 実際の運用に影響があったのかは明らかでない。

 この兵器は高密度レーザーを
 軌道上の衛星に向けて照射するものだが、
 中国の開発レベルでは当面、衛星の破壊よりも
 偵察活動を妨害する「目つぶし」を狙っているもようだ。
 
 米国防当局は、最近の国防報告で、
 偵察衛星の破壊や妨害を狙う、
 中国の対衛星兵器の開発に警鐘を鳴らしてきた。
 米の偵察衛星には、精密な光学機器を使って
 高い解像度を誇る「キーホール」や、
 天候に左右されないレーダー装置を搭載した、
 「ラクロス」などがあり、
 中国側のレーザー照射はこうした衛星を狙ったものとみられる。

   (iza!)


この時はレーザー照射による目つぶし攻撃程度でしたが、
今回はもろに弾頭ミサイルで衛星を破壊したわけです。


中国は湾岸戦争とイラク戦争などから
米軍の長所と短所をよく学んでいます。

米軍がRMA(情報軍事革命)技術により、
急速にレベルアップしている反面、
そのRMAを支えるIT技術や
衛星測位システム(GPS)に依存を深めており、
ここが弱点となっていることをよく知悉しています。

兵士との通信、敵の追跡、スマート爆弾の誘導などで、
米軍の衛星依存は年を追うごとに高まっており、
中国がここに目をつけたのは当然でしょう。

元来、人工衛星とは脆くデリケートなもので、
電磁波放射やスペースデブリ(宇宙ごみ)などに対して極めて脆弱です

中国が対衛星攻撃兵器(ASAT)の開発に熱心なのも
この米軍のアキレス腱の部分を斬ってやろうという試みで、
米国にとっては脅威そのものです。

現在、宇宙空間に飛んでいる人工衛星は
数から言えば米国のものが圧倒的であり、
また米軍の戦闘手法がGPSなどに依存している以上、
同じ衛星攻撃でも、米国が中国に対して仕掛けるのと、
中国が米国に対して仕掛けるのでは
ダメージの度合いが違うわけです。

また、衛星攻撃の副次効果として
衛星の破片が散乱してスペースデブリ(宇宙ごみ)となります。
これが他の人工衛星にとって故障の原因となりかねず、
それで今回の中国の行動が非難されているわけですが、
人工衛星大国である米国としては座視できないでしょう。

もともと、この種のASATの開発は
冷戦期の米国とソ連が先行していました。

米国では、地上から打ち上げたミサイルで
人工衛星を破壊したり、
空軍の戦闘機に衛星攻撃用のミサイルを搭載させ、
高々度で発射する技術が開発されました。
また、レーガン政権時のスターウォーズ計画などが有名です。

旧ソ連では「キラー衛星」という名の特殊衛星が開発され、
これは衛星に衛星を体当たりさせて破壊するというものでした。

しかし、冷戦終結後、ソ連邦は崩壊し、
米国も自国の衛星だらけの宇宙空間では
ASATなどを作っても金の無駄であると、
議会の反対によって予算が大幅にカットされてしまいました。

しかし、今回の中国の衛星破壊実験。
これは米国を慄然とさせたでしょうね。
とうとう来るべきものが来たか、と。



関連資料リンク

「宇宙兵器」開発プロジェクトを進める米国防総省

「宇宙戦争」米軍の脅威に 中国、衛星攻撃能力を誇示か


関連過去記事

日本の宇宙開発・・中国との相違とその問題点






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半島情勢の緊迫と中朝の意図 その1・・中国の思惑


     kokinntou.jpg


米ステルス機が韓国到着 在韓米軍と訓練

 在韓米軍は11日、米ニューメキシコ州の空軍基地の
 F117ステルス戦闘機部隊が同日、
 在韓米軍の群山基地に到着したことを明らかにした。
 約4カ月間、在韓米軍のF16戦闘機部隊などとともに
 訓練を行うとしている。
 
 F117部隊の韓国配備は2003年以降4回目だが、
 3月に予定される米韓合同の「戦時増援演習(RSOI)」に
 初めて参加する見通し。
 米軍は来月10日から嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)にも
 最新鋭のステルス戦闘機F22Aを暫定配備する方針で、
 北朝鮮への牽制を強める狙いがあるとみられる。
 
 在韓米軍は、配置は
 「朝鮮半島と西太平洋地域の安全保障に責任を担うとの
 米国の持続的な公約を示すため」としている。

   (iza!)


ステルス戦闘機F-117が韓国の群山基地に到着。
さらに最新鋭のF-22が2月10日から嘉手納に暫定配備。

これに先立つ1月4日、日本のメディアは
日米両国が朝鮮半島有事に備えた共同作戦計画を
策定中と報じました。

日米、有事計画を具体化 朝鮮半島問題想定

この作戦計画は早くも今年の秋までに完成するそうですが、
それには米側の強い希望があったとのこと。

さらに5日付けの朝日新聞は

 日本政府は朝鮮半島での有事の際、
 北朝鮮の難民10万人から15万人ほどが
 日本に上陸すると想定している。

と報じました。

朝鮮半島有事、北朝鮮難民「10万人」 政府予測

これは内閣の安全保障会議傘下の
「事態対処専門委員会」が独自に試算した推計だそうですが、
何故、この時期に一斉に
この種の報道が流れるのでしょうかね?
何者かのリークなんでしょうけど。

なんとも、きなくさい情報が乱れ飛んでますが、
今日はこの北朝鮮情勢に絡んで
中国と北朝鮮の思惑について私の見解を書いておきます。

長文となったので
まず今日は中国の思惑について書きます。


中国のここ数十年単位での国家戦略は
一言で言うならば「国力の増加」です。

  戦乱を極力避け、経済発展により国力を増す。
  世界の超大国たる米国との衝突は
  出来るだけ回避する。

  国力が充実した暁には米国との対決も辞さないが、
  今は現国際秩序下の大国の座を保持しつつ、
  経済発展を最優先させる。

これが彼らの国家戦略です。

「殖産興業」と「富国強兵」。
明治初期の日本のように
列強に対抗する力を徐々に蓄えていくことが、
中国の当面の目標です。

彼らにとって1997年の「台湾危機」は
手痛い教訓となったでしょう。

台湾の民主選挙に圧力をかけ、李登輝の当選を妨げようと
台湾沖に数発のミサイルを撃ち込んで恫喝を行った中国でしたが、
李登輝の断固たる姿勢と米国の空母艦隊の威圧に
結局、何も手出し出来ずに終わりました。

世界の自由主義諸国家は
この痛快な一幕にやんやの喝采を送りましたが、
中国にとっては屈辱だったでしょうね。
目と鼻の先の台湾に指一本触れることも出来ないわけですから。

この時から
「現世界秩序の中での経済的台頭」
これが彼らの至上命題となりました。
かっこよく言えば「臥薪嘗胆」というわけです。

では、この中国の国家戦略から見て
中国にとって望ましい北朝鮮のあり方とは何か?
中国にとって都合のいい北朝鮮像とは?

1,中国の衛星国家・従属国家

2,西側諸国との防波堤、緩衝国家

3,地域に無用の混乱を起こさない

4,中国資本の市場

この4つでしょうね。

従属し、西側との防波堤であり、
混乱を引き起こさず、経済的植民地であってほしい。
ひたすら変化などせず、
ただの極東の小国であってほしい。

中国が恐れるのは情勢の変化と地域の混乱です。
北朝鮮情勢に関しては
彼らが最も厭うているのは「変化」です。
これが中国の思いでしょう。

この中国が現実の北朝鮮を見た場合、
最も苦々しく感じる部分が、
「平地に乱を起こす存在」
「核開発」
この2つでしょうね。

特に中国にとって北朝鮮の核開発の衝撃は大きいでしょう。
今はただの核爆弾に過ぎませんが、
北朝鮮は核と弾道ミサイルの開発を並行して進めてますから
いずれミサイルに核が搭載される時がやってきます。

地図をご覧になって頂ければ分かりますが、
平壌~東京間の距離よりも
平壌~北京間の方が近いわけです。

テポドンなどの弾道ミサイルに核が搭載されれば、
北京やその外郭都市である天津、
中国東北地方の大都であるハルピンや長春、
そしてあの上海ですら射程範囲に入ります。

かつて1956年のハンガリー動乱や
1968年のチェコのプラハの春が
ソ連軍の軍事介入によって鎮圧されましたが、
あれはハンガリーやチェコスロヴァキアが
ソ連軍に比べて微弱な軍事力しか持たなかったからで
もし、あの時に両国が
モスクワを射程に収める核ミサイルを保持していたならば、
ああも簡単にソ連は介入できたでしょうか?
おそらく事態の展開は違ったものになったと思われます。

北朝鮮が核を持ったということは
その矛先は日米韓のみならず、
中国に向く可能性もあるわけです。
いや、むしろ北朝鮮は核開発に関しては
北方の大国である中国の存在を強く意識しているはずです。

よって中国にとって北朝鮮の核は
断固許容できるものではない。
また、その核開発のために米国との摩擦を生み、
極東に無用の混乱を巻き起こしている。
さらに、北が核を持ったために
日本と韓国の核武装に波及しかねない。

核を開発し、
周辺諸国に混沌を引き起こしている北朝鮮と現指導層は
中国にとって国益を害し、国家戦略を妨げる存在です。


では、上記の要素を勘案しつつ、
この現情勢において
中国は北朝鮮に対していかなる手を打つのか?

その方針は3つです。

1,北朝鮮の国家体制・統治システムは崩壊させない

2,トップの指導層のみをすげ替える。

3,米国と韓国に介入させず、半島の分断を固定する。

まず、北朝鮮の国家体制・統治システムを崩壊させずに
頭の部分だけをすげ替えること。
指導部のみを交替させることです。

もし、ここで北朝鮮の国家体制が崩壊すれば
先の見通しはかなり不明瞭になります。
半島情勢がどう転ぶかが極めて読みにくくなり、
下手をすれば韓国による統一国家の誕生もあり得ます。

そうなれば中国は
鴨緑江を境に米軍が駐屯する西側諸国と向き合うことになるわけで、
これは決して望ましいことではありません。

また北の統治システムが崩壊すれば
多くの難民が中朝国境に押しかけてくるでしょうし、
時期的にも2008年の北京オリンピックの前には
混乱が波及することは避けねばなりません。

そのため中国は北朝鮮の核実験に激怒しつつも
やむなく援助と交易は続けているわけです。
馬鹿馬鹿しいと思いつつも、
むしろ日米の制裁によって目減りした分までも
余計に中国が増負担しているわけです。

この中国による援助と交易の基本は、

  「生かさず、殺さず」

ということです。

今、死なれては困る。
しかし、図に乗って増長されるのも困る。

中国は体制の崩壊を避けつつ、
北朝鮮指導層の首のすげ替えのタイミングを
虎視眈々と狙っているでしょう。

北朝鮮の金正日は
何度もクーデターや謀殺の危機をくぐり抜けてますから、
警戒心と猜疑心は強く、
陰謀をかぎ分ける嗅覚も相当なものがあります。

中国は北朝鮮への援助と交易を
ときおり強めたり、ときおり絞ったりしつつ、
北朝鮮の指導層の動揺と内部分裂を誘い、
謀略を仕掛けていくでしょう。
そして時来たらば軍事力の行使も厭わぬでしょう。






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イスラエルの対中武器輸出とイランの資源外交


    殲10.jpg


今日は「涼宮ハルヒの憂鬱」を見ていて
思わず時間を食ってしまったので短めに書きます (^^;)


米国の最新技術に照準か 中国がイスラエルに急接近

 フランスの次期大統領候補、ロワイヤル元環境相(53)に続き、
 中東・イスラエルからオルメルト首相(61)が
 9日から3日間の日程で、中国を訪れる。
 世界の国々が思っているように、
 「13億人の中国」はイスラエルにとっても巨大な市場だ。
 そして中国は核保有国、イスラエルも核保有国とみられている。
 米国の軍事技術を、
 イスラエルを通じて中国が獲得しようとしているのではないか。
 世界最強の軍事大国、米国の心中も穏やかではない。

 イスラエルは米国から手厚い軍事技術を供与されており、
 中国側の狙いはあくまで、
 この「米製」の技術の確保にあるとみられる。
 そのうえで胡錦濤国家主席、オルメルト首相の首脳会談で
 両国は経済・農業・貿易分野などで関係強化を図るとみられる。

 イスラエルは自国の軍需産業を維持するため
 中国を潜在的な巨大市場ととらえている。
 01年、高性能レーダー「ファルコン」を搭載した、
 複数の早期警戒管制機の対中輸出を断念。
 05年には、中国に売却した無人攻撃機の改造をめぐり
 米国から非難された。

 中国の新型戦闘機はイスラエルの戦闘機が基盤とされ、
 早期警戒管制機のレーダー技術も
 イスラエル製と酷似しているといわれる。
 軍事技術の対中供与には米国が神経をとがらせている。

   (iza!)


今、日本の安倍首相は欧州諸国を歴訪し、
EUの首脳を相手に対中武器禁輸解除の反対を訴えています。

EUが中国への武器輸出を解除すれば、
直接の脅威を受けるのは日本だからですが、
同じ頃、イスラエルのオルメルト首相は
中国で胡錦涛相手に武器の商談を行っています。

前々からイスラエルと中国は武器輸出を通じて
特別な関係にあります。

過去記事でも書いたことがありますが、

中国:国産AWACSが墜落・・KJ2000とは?

イスラエルは2000年に
中国に早期警戒管制機用にレーダーを輸出しようとし、
米国の圧力を受けて断念。
また、2005年にも最新鋭の無人偵察機を輸出しようとし、
これまた米国の圧力で中止しました。

上記ニュースにも書いてあるとおり、
イスラエルは米国から供与された最新の武器技術を有しており、
これを隙あらば中国に輸出しようとしています。

先日、ニュースなどで
中国空軍が最新鋭戦闘機を配備したと話題になりました。

中国、最新戦闘機「殲10」を自主開発
 性能実態は「ベールに包まれている」

まあ、中国は「自主開発」などと言ってますが、
これはイスラエルからの技術供与を受けて
同空軍のラビ戦闘機をモデルに作ったものです。
トップの画像がこの「殲10」ですね。

初飛行は1998年で、
西側諸国からは「J-10」と呼ばれてました。
カナード翼+デルタ翼の採用など
今までの野暮な中国軍機とは見違えるような
洗練されたスタイルです。

性能はハッキリしたことは分かってませんが
まあ、ラビ戦闘機並の性能であるならば相当なものでしょう。
これでロシアから輸入したSU-27などと並び、
中国空軍のレベルは一気にアップするわけで
我々日本人としては迷惑そのものです。

イスラエル自身は
中国に武器を売ることで商利を得ていますが、
結果的に自分の首を絞めている部分があります。

それは中国が大量にイランに武器を輸出し、
そのイランがレバノンの武装組織ヒズボラに
武器を大量に供与しているわけで
回り回って自分の足を自分で撃ってるような
アホらしい側面があります。


さて、今回のオルメルトの武器商談ですが、
単に武器を売って利益を貪ろうというだけではなく、
もう一つの目論見があるでしょう。
それはイラン対策です。

現在、イランの核開発に対して
国連などで欧米諸国は強硬制裁を主張し、
対して中露は慎重論を唱えています。

このイランによる核開発が進めば
イスラエルは生存の危機にさらされるわけで
何としてでもこの動きを止めようとしています。

このオルメルトの訪中は
武器輸出や最新技術の供与をちらつかせて、
中国を少しでも反イランに傾けると共に
一朝事有らば中国にイランとの仲介に入ってほしいとの
思惑があるのでしょう。

西側諸国の最新技術が
喉から手が出るほどにほしい中国にとっては
この申し出は魅力的でしょうね。

しかし、当のイランにも同様の動きがあります。
以下のニュースをご覧あれ。


イラン、ガス田開発加速 マレーシアや中国と組む
 資源外交に警戒も
 
 
 天然ガス資源の豊富なイランが
 国内需要や外貨を稼ぐ輸出向けに
 中国やマレーシアと組んで天然ガス開発を加速している。
 国内外の需要拡大に対応したものだが、
 核開発問題をめぐる海外からの圧力を和らげる、
 外交カードに使う狙いとの見方も出ている。

 イラン国営ラジオによると、
 イラン国営石油(NIOC)とマレーシア側は9日までに
 イラン南東の沖合に位置する2つのガス田開発で合意した。
 両ガス田の埋蔵量は65キロメートル沖合のゴルシャンガス田が
 1兆4250億立方メートル以上、
 沖合85キロメートルのフェルドスガス田は
 約2850億立方メートルとみられている。

 供給能力拡大に向けては昨年末、
 中国と大規模ガス田の開発で合意。
 人民日報(電子版)の報道では、
 中国海洋石油(CNOOC)はイランと共同で
 同国南部の北パルスガス田(埋蔵量48兆立方メートル)を
 開発することで一致。
 同ガス田でガス開発と液化天然ガス(LNG)事業に
 総額160億ドルを投資し、LNGを中国に輸入する計画だ。

 生産開始時期は明らかにされていないが開発は8年間の予定で
 中国海洋石油はLNGの生産工場建設や輸送、販売を担当。
 イランは同社に25年間ガスを供給する。

 中国企業ではこのほかにも中国石油化工や中国石油天然ガスが
 石油・天然ガスの開発や輸入で合意しており、
 イランはエネルギー資源の獲得に
 躍起になっている中国との関係を深めている。

 イランの天然ガスの確認可採埋蔵量は
 約27兆5000億立方メートル(05年)で
 ロシアに次ぐ世界第2位の規模だ。
 「豊富な資源を武器にイランが国連安全保障理事会の
 常任理事国である中国を取り込もうとしている」など、
 資外交強化を警戒する声も出ている。

   (FujiSankei Business i.)


イランはイランで
天然資源で中国を釣ってやろうとしているわけです。

資源獲得に血眼になっている中国は
当然の如く釣られるわけですね。

また、マレーシアも釣られてますが、
これはかの国が同じイスラム教国であると同時に
反米意識の強い国であるからでしょう。
イランもそこらへんは選んでますね。


イスラエルは武器で中国を釣ろうとし、
イランは天然ガスをエサにする。
一方の中国は両国を天秤にして実利を引き出してるわけで
三者三様の外交ゲームを繰り広げています。



関連資料リンク

安倍首相「欧州は中国に甘い」 武器輸出にクギ

中国、安倍首相を批判 EUの対中武器禁輸で






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