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ソマリア情勢の緊迫化・・イスラム法廷と原理勢力


     map_somalia.gif


ソマリア紛争:首都モガディシオの戦闘、4日目に突入

 首都モガディシオで発生した、
 エチオピア軍とイスラム武装勢力の迫撃砲を用いた激しい戦闘は
 21日、4日目に突入した。
 住民らによると、前夜には複数の地域で散発的な銃撃が発生したという。

 エチオピア軍部隊が
 モガディシオ南部にある大統領府から武装勢力の潜伏場所数か所に向けて
 迫撃砲やロケット弾を発射したことを受け、
 武装勢力側は激しい報復攻撃に出ている。

 2006年12月には、
 国連の支援を受けたソマリア暫定政府とエチオピア軍の合同部隊が
 イスラム原理主義勢力「イスラム法廷会議」を
 モガディシオから追放したが、
 イスラム勢力や国内の軍閥は、エチオピア軍の撤退を要求し、
 首都の治安は悪化の一途をたどっている。

 エチオピア軍とイスラム武装勢力は
 北部Fagahや中心地のバカラ市場付近で機関銃を使用して戦闘を展開した。
 住民らの話によると、
 複数の地域で夜間に発生した砲撃による死傷者数は不明。

 首都南部に住む市民は
 「エチオピア軍部隊がバカラ市場を攻撃し、
 迫撃砲があちこちに散在している。
 どうしたら良いのか分からない」と語った。

   (AFP)


ソマリア情勢が再び緊迫しています。

ソマリアに関しては過去二回ほど書きましたが、

ソマリア情勢:首都モガディシオの陥落と全土ゲリラ戦の始まり

ソマリアの混沌・・エチオピア軍の進入、米国の介入論

いっそうの泥沼状態に突入しつつあるようです。

上記ニュースに書いてあるように
去年12月にソマリア暫定政府とエチオピア軍の合同部隊によって、
イスラム原理勢力「イスラム法廷」はソマリアから追い払われ、
一旦は和平へと向かうかに見えました。

ところがどっこい、イスラム法廷は生きてました。
お得意のゲリラ戦を駆使して
首都モガディシオは再び戦闘のまっただ中にあります。

ロイター電によると、
先月29日から今月1日にかけてのモガディシオの戦闘で
少なくとも1086人が死亡し、
4300人以上が負傷したとのこと。

このうち民間人がどれだけ含まれているのかは不明ですが、
一回の戦闘の死者としてはハンパな数字ではなく、
そうとうの激戦であったことが分かります。

また、11日付けの毎日新聞によると、
軍関係者以外の立ち入りが禁止された市南部には
多数の遺体が放置されており、
モガディシオは「陸の孤島」と化し、
砂糖や米の価格が1週間で2倍に高騰しているとのこと。

また、エチオピア軍は戦闘前に
市南部の住民に退去を呼びかけたが徹底せず、
砲爆撃が民家を直撃して多数の民間人が犠牲になったとのこと。

国連はこの戦闘に関して
10日間で民間人約5万人が難民化したと発表しました。

一旦はイスラム原理勢力を追い払った
ソマリア暫定政府とエチオピア軍ですが、
彼らには誤算がありました。

当初の計画では、
戦闘が終わった後、エチオピア軍は早々に引き揚げ、
AU(アフリカ連合)軍8千名が代わりに進駐する予定でした。

しかし、AU各国は財政難を理由に派兵を渋り、
結局、派兵を約束したのは
ウガンダ・ナイジェリア・ガーナ・ブルンジの四ヶ国のみで、
このうち実際に派兵したのはウガンダのみです。

元々、弱体の暫定政府軍は頼りにならず、
律儀に派兵してきたウガンダ軍はわずかに千四百名のみ。
やむなくエチオピア軍はソマリアに残り、
イスラム法廷と激戦を繰り返しているという流れです。

エチオピアの背後には
イスラム原理勢力の拡大を恐れる米英がいて
一定の資金援助は行うのでしょうが、
このような泥沼の戦闘が続けば
いずれエチオピア軍も息切れするに相違なく、
現情勢の延長線上には原理勢力の天下が待っているでしょうね。

ソマリアは「アフリカの角」と呼ばれ、
紅海を臨む要衝の地ですが、
ここをイスラム原理勢力が制圧するとなれば
国際社会へのインパクトは相当のものがあるでしょう。


さて、ソマリア暫定政府も一定の兵力を抱え、
各国からの援助も潤沢に入っています。
しかし、エチオピア軍の助力がなければ
とうてい一騎当千のイスラム法廷軍には太刀打ちできません。

この状況はソマリアのみならず、
イラクやアフガンでも同様ですが、
何故、こうまで「イスラム法廷」などの
原理主義勢力は強いのか?

それは、彼らの背景にイスラム原理主義という、
イデオロギー又は思想体系があるからでしょう。

ソマリアを例にとっても
ソマリア暫定政府軍は各軍閥の寄せ集めで
何を理念に、何を基準に国家を建設していくのかという、
思想の背景がありません。
国家を構築していく理念など存在せず、
ただの利害関係で烏合した集団に過ぎません。

これに対してイスラム法廷側には
確固たる思想のバックボーンがあり、
いかなる国家と社会を構築していくのかという理念が明確です。
また、その思想によって
個々の兵士の戦闘倫理も磨き上げられています。

この状況を見ていると
生半可な存在ではイスラム法廷に撃破されるでしょうし、
唯一の対抗馬たるエチオピア軍が
この泥沼の戦闘にいつまで耐えられるのか?

米国はイラクで疲弊しきっており、
イラン情勢の緊迫化もあり、
とうていソマリアにまで手を出せないでしょう。

かつて米ソの冷戦時代に
内戦が頻発したアフリカ各国は
米ソそれぞれの陣営に属して戦闘を繰り広げてきました。

しかし、今や米国は疲弊し、
ソ連邦はすでに崩壊して存在しません。
この間隙にイスラム原理勢力が付け入っているわけですが、
私は第三勢力としての中国の動きに興味を感じています。



関連過去記事

ソマリア情勢:首都モガディシオの陥落と全土ゲリラ戦の始まり

ソマリアの混沌・・エチオピア軍の進入、米国の介入論






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グーグルアース:衛星写真から見たダルフールの紛争と虐殺


      Image1.jpg


米グーグル、ダルフール紛争を衛星写真で提供 監視の目拡大狙う

 米インターネット検索最大手グーグルは10日、
 米ホロコースト記念博物館と連携して、
 スーダンのダルフール紛争の状況を衛星写真グーグルアースを通じて
 世界中に伝える事業を開始した。
 グーグルの技術を駆使して、
 「21世紀最初のジェノサイド(大量虐殺)」に関心と監視の目を広げ、
 紛争解決に役立てようという試みだ。

 「スーダンの危機」という共同プロジェクトで、
 無料のソフトウエアをダウンロードすると、
 スーダン西部のダルフール地方の衛星地図が
 パソコン画面に映し出される。
 襲撃され破壊された村々は炎のマーク、難民キャンプはテントのマーク。
 クリックすると、村の名前や破壊された住居数など
 被害の最新データが表示される。
 
 ダルフール紛争は
 2003年に勃発したアラブ人民兵と非アラブ系住民との紛争。
 20万人が殺害、250万人が家を失い、
 隣国チャドに大量難民が流出。
 スーダン政府はアラブ民兵を支援しているとして、
 国際的批判を浴びているが、解決の見通しは立っていない。
 
   (iza!)


ダルフールに関しては以前にも書きましたが、

ダルフールの虐殺と中国の罪・・犯罪と資源外交

いまだに事態は進行中であり、
スーダン政府は虐殺をごまかし、隣国チャドには難民が流失中、
中国がスーダンを陰に陽に庇い続けるという図式です。

ソマリアの紛争などもそうですが、
どうもアフリカ諸国には自浄能力が無いですね。
「地域大国」的な存在が不在のせいでしょうか、
リーダーシップを取る国が無く、他地域からの介入を許してしまう。

さて、冒頭の画像は
そのグーグルアースで見た焼かれて破壊された村落です。
黒っぽい部分が焼け焦げた痕でしょうか。

グーグルアースをすでにインストールしている方は
こちらから「ダルフール」のファイルをダウンロードしてみてください。

http://www.ushmm.org/googleearth/crisisindarfur.kmz

私もマウスをいじりながら見ましたが、
今さらながらダルフールの惨状を感じつつ、
グーグルアースをこういう用途にも使えるのかと驚きました。
上空から丸見えですもんね。

インドの国防相が
「国防機密を上空から映し出してけしからん」と怒ったそうですが、
人工衛星から精密な画像を撮れば
国家なんて丸裸になるというのがよく分かります。

米国が情報機関の情報収集技術で
人的情報よりも画像や電波情報に頼りがちというのも
これを見てると気持ちが分からないでもありません。



関連過去記事

胡錦涛のアフリカ行脚・・資源外交と力の空白

中国:北京でのアフリカ首脳会議・・覇者と「会盟」

ダルフールの虐殺と中国の罪・・犯罪と資源外交

ザンビア:野党候補の「中国排除」発言
 ・・アフリカの一角で嫌中を叫ぶ







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ソマリア情勢:首都モガディシオの陥落と全土ゲリラ戦の始まり


   20061226-00000956-reu-int-view-000.jpg


エチオピア支援のソマリア暫定政府軍、首都を制圧

 東アフリカ・ソマリアの内戦で、
 隣国エチオピアの支援を受けるソマリア暫定政府軍は28日、
 今年6月からイスラム原理主義勢力、
 「イスラム法廷」の支配下にあった首都モガディシオに入り、
 市内をほぼ制圧した。

 エチオピア軍による包囲を受けたイスラム法廷は
 同日朝までに首都から撤退、
 南部の港湾都市キスマユに退去したもようで、
 態勢立て直しを迫られている。
 
 ソマリアからの報道によると、
 暫定政府軍の入城前に暫定政府寄りの民兵らが
 大統領官邸など政府関連の建物や空港の占拠を開始。
 暫定政府のゲディ首相はモガディシオ郊外に到着。
 暫定政府は治安維持のための非常事態宣言を発令した。
 
 住民の一部は政府軍の車に花を振って歓迎したが、
 首都ではイスラム法廷の撤退直後から略奪が始まり、
 住民の間では、軍閥・武装勢力支配時代の
 無政府状態に戻るのではないかとの懸念も強い。
 軍閥指導者も加わっている暫定政府が、
 身内の武装勢力を抑えて
 統治能力を示すことができるかがカギとなる。

   (iza!)


ソマリア情勢に関しては
今年の7月までの経過を過去記事に書いてますので
そちらをご参照ください。

ソマリアの混沌・・エチオピア軍の進入、米国の介入論

一応、サラリとおさらいしておきます。
まず、地図を載せておきます。

   11776.gif


この角のようなピンク色の国がソマリアです。
よく「アフリカの角」と呼ばれてますね。

で、その中の下の方に大文字で
「MOGADISHU」と書かれてるのが、
首都モガディシオです。

あの有名な映画「ブラックホークダウン」で
米軍特殊部隊が民兵の大軍に包囲されて悪戦苦闘した場所です。

そのモガディシオのやや左上に
「Baidoa」と書かれています。
バイドアという地方都市ですが、
ここにソマリア暫定政府が臨時の首都を構えてました。

構図としては、

 ソマリア暫定政府 VS イスラム法廷

の争いなんですが、
それぞれのバックには外国がいて、

 ソマリア暫定政府(エチオピアが支援)

 イスラム法廷(エリトリアが支援)

となっています。

イスラム法廷はイスラム原理主義勢力で
彼らはアルカイダと密接なつながりがあり、
さらにヒズボラともつるんでいます。

先日のイスラエル軍とヒズボラの戦闘の際には、
イスラム法廷はヒズボラに対して義勇軍を送っています。

これに対してアルカイダを不倶戴天の仇とする米国は、
ソマリア暫定政府とそのバックにいるエチオピアを
密かに支援しています。

もう一度、構図を整理すると、

  ソマリア暫定政府(エチオピア+米国)

       VS

  イスラム法廷(エリトリア+アルカイダ+ヒズボラ)

となっているわけです。

で、ソマリア暫定政府は多くの国から
ソマリアの正当政権と認められつつも、
イスラム法廷の武力と勢いに圧倒され、
首都モガディシオを奪われ、
這々の体でバイドアに逃げ込んでいたわけです。

ちなみに首都モガディシオといい、バイドアといい、
どちらもソマリア南部の都市ですが、
ソマリアの北部と中央部は他の勢力が割拠し、
事実上の独立状態となっています。
よってイスラム法廷と暫定政府の争いといったところで、
これは南部地域に限定された争乱に過ぎません。

さて、バイドアに逃れた暫定政府ですが、
圧倒的なイスラム法廷の武力を前に風前の灯火となってました。
しかし、ここに隣国エチオピアが
突如、暫定政府の支援を意図し、
今年7月に数百名程度の兵力をバイドアに送り込みます。
ここでイスラム法廷の勢力拡張にストップがかかりました。

このエチオピアの動きには
ソマリアでの原理主義勢力の拡大を懸念する、
米英の後援があったといわれています。

そして、12月25日、
エチオピア空軍機によるモガディシオの空港の爆撃が行われ、
本格的なエチオピア軍の侵攻と
暫定政府側の巻き返しが始まりました。

12月28日、エチオピア及び暫定政府の両軍は
首都モガディシオに突入し、これを制圧しました。

一方のイスラム法廷側はモガディシオの防衛を放棄し、
ソマリア最南部の港湾都市キスマユ(Chisimayu)に撤退し、
態勢の立て直しを行っています。

まさに米国としてはしてやったりでしょう。
これでソマリアがイスラム原理主義国家に変貌することを
一兵も使わずに防ぐことができました。

彼らはエチオピアの動きを後援し、
国連においてエチオピア非難の決議が上程されるのを
英国と共に強硬に反対しています。

ソマリア紛争 米英の反発で議長声明出せず

ただし、撤退したイスラム法廷も捲土重来を狙っており、
むしろソマリア情勢が泥沼化するのは
これからではないかという気がします。

イスラム法廷はエチオピアが
キリスト教徒が半ばを占める国であることを利用し、
「異教徒に対する聖戦」を呼号しており、
おそらくこの呼びかけに応じて
全世界からイスラム義勇兵が参集してくるでしょうね。

さらにソマリア情勢に関して
気になるニュースをもう一つ付け加えておきます。


ソマリアのウランが結びつける、
 北朝鮮とイスラム原理主義組織
 
  
 北朝鮮とイランが
 「アフリカの角」と呼ばれるソマリアのウランを
 狙っているとの情報がある。

 国連外交筋によると、北朝鮮とイラン両国の
 科学者や技術者らで構成される混成チームが、
 近く、ソマリア南部で
 ウラン鉱の探査活動を開始するとみられている。
 内紛の続くソマリアのイスラム原理主義組織、
 「イスラム法廷連合」との合意に基づくもので、
 探査活動は同連合が支配下に置く地域で実施される模様だ。
 北朝鮮の科学者らはイラン側の要請を受けて
 探査活動に参加するとの説もある。

 混成チームのソマリアでの活動準備は、
 ソマリアの首都モガディシオに代表事務所を置く、
 親イランのイスラム教シーア派武装組織、
 ヒズボラを介して行なわれているという。

   (フォーサイト2007年1月号)


う~ん、これも気になりますね。

まあ、この動きが今回のイスラム法廷の撤退を受けて
どのように変化するのかは分かりませんが、
北朝鮮と原理主義勢力の結託は気になります。

これはイランを介した結びつきでしょうが、
ソマリアの争乱をただのアフリカの内紛劇と
対岸の火事のように見てはいられぬということですね。

今後のソマリア情勢に要注目です。



関連資料リンク

ソマリア泥沼、ゲリラ戦の恐れ イスラム法廷が首都放棄


関連過去記事

ソマリアの混沌・・エチオピア軍の進入、米国の介入論








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ダルフールの虐殺と中国の罪・・犯罪と資源外交

ダルフール紛争に国連介入求めるデモ、世界各地で開催

 スーダン西部ダルフールの紛争解決に向けて
 国連の積極介入を求める大規模な市民デモが、
 「世界ダルフール行動デー」の17日、
 米ニューヨーク市内セントラルパークで行われた。
 デモに参加したオルブライト前国務長官はCNNに対し、
 「ダルフールで虐殺が続くなか、
 解決策が何も取られていない状況に
 誰もがうんざりしている」とコメントした。

 国連安保理は今月、国連平和維持活動(PKO)部隊が、
 ダルフールに展開しているアフリカ連合(AU)の部隊を
 引き継ぐ決議案を採択した。
 ただ、PKO部隊が展開するためには、
 スーダン政府が説得に応じて受け入れることが条件。

 デモは国連総会の開幕に合わせて開催され、
 米国のほかカナダや欧州、アフリカ、
 アジアの各地で行われた。
 ロンドン市内では首相官邸前で集会が開催され、
 ルワンダやカンボジアでは
 各国の過去の虐殺を生きのびた人々がデモを主導した。
 参加者の中には、
 国連要員を模して青いベレー帽をかぶったり、
 「虐殺を止めよう」などのスローガンが書かれたTシャツを
 着用した人々も見られた。

 こうしたなか
 スーダンの首都ハルツームの国連事務所前では、
 PKO部隊の受け入れに反対する抗議デモが行われた。

   (CNN)


スーダン西部のダルフール地方で虐殺が始まったのは、
2003年の2月から。
以後だらだらと虐殺劇は継続し、
国連によれば2006年2月までに住民18万人が殺された。
一方、英国議会の報告書では30万人となっている。

もともとスーダンは
北部のアラブ系住民と南部の黒人系住民が
ほとんど慢性的と言ってもいい内戦を
1955年から断続的に繰り広げてきた。

2002年より、米国と周辺諸国の仲介で、
北部の中央政府と南部反政府勢力との間で和平交渉が進展し、
南北包括和平合意が成立、ここにアフリカ最長の内戦が終結。

しかし、スーダン西部のダルフール地方においては、
アラブ系と黒人系の反目は続き、
2003年2月、黒人系部族を中心とした、
反政府勢力による政府機関襲撃が勃発。

これに政府支持派のアラブ系民兵「ジャンジャウィード」が
政府軍の空爆の支援の下、
反政府勢力に対する大規模な掃討作戦を開始した。
ここから大虐殺が始める。

ジャンジャウィードは黒人系部族の村を焼き払い、
殺戮・略奪・強姦を行った。
村々は廃墟と化し、後で同地方を訪れた国連調査団は、
アラブ系の村は手つかずで残され、
黒人系の村は容赦なく焼き払われたと報告した。

ジャンジャウィードの蛮行により、
200万人以上の大量の避難民が発生し、
うち20万人は隣国チャドの国境を越え、庇護を求めた。

この惨状が国際社会に知れ渡ったのは
2004年に入ってからで
きっかけはNGO「国境無き医師団」の報告であった。

当時、「国境無き医師団」は
医療支援のためダルフール地方に入っていたが、
虐殺と強姦の横行を生々しくWEBサイト上で報告し、
これに世界は衝撃を受けた。

2004年7月、アナン国連事務総長がダルフールを視察、
「耐え難い状況」と語った。
事務総長に同行して現地を視察した国連緊急援助調整官は

  「まず(政府軍の)ヘリや航空機が爆弾を落とし、
  そのうえで民兵が来て村を焼き尽くす。
  井戸は汚され、灌漑設備は破壊された」

  「現在、食糧、医薬品などの
  人道物資の搬入は続けられているが、
  国連のトラックが略奪されるなど
  悪夢のような活動を強いられている」

と語った。

同月、国連安保理事会はスーダン政府に
制裁措置の発動を警告する決議を
賛成13、棄権2(中国、パキスタン)で採択した。

これがその後も散発的に行われた、
スーダン政府に対する国連決議の最初であり、
米国の制裁決議提案、中国の拒否権ちらつかせ、
スーダン政府の拒絶、そして何事も解決されず、
このパターンが以後も続いていく。

2004年9月、パウエル米国務長官は上院外交委員会で証言し、
ダルフールの紛争について
「ジェノサイド(民族大量虐殺)」との表現を始めて使った。

ダルフールに国連PKOを送り、
虐殺を抑止しようという試みは何度かあったが、
スーダン政府の拒絶により実現しなかった。
PKOは現地政府の承認なしでは行うことはできない。

代わりにアフリカ連合(AU)が
数百から数千人規模の治安維持部隊を送り込んだが、
その士気の低さと武装の貧弱さから
民兵にすら舐められて、彼らの虐殺を目の前で傍観する有様だった。

そして2006年の今、事態は全く進展してない。
国際社会はこの問題に対して無力である。


さて、この問題の解決をこじらせているのは
以下の2者。

 1、スーダン政府

 2、中国

スーダン政府はアラブ系住民に牛耳られており、
現バシール政権は虐殺者であるアラブ系民兵を後援している。
当初は、スーダン空軍の爆撃の後に
アラブ系民兵の虐殺が行われたことはすでに書いたとおり。

彼らは米国や欧州が推進する国連PKOの派遣を
頑として拒み続けており、
ダルフールでの虐殺を単なる「摩擦」と公言している。

また、それ以上に
この問題の解決を長引かせているのが中国の存在。

中国はスーダンに
国有企業の「中国石油」や「中国海洋石油」を通じて
総額40億ドルを投資し、
スーダンからは輸入石油全体の7%を得ている。
これはスーダンからの輸出の70%に相当する。

さらに中国は技術供与や武器輸出、
油田防衛の警備部隊供与までも行っており、
スーダン政府と非常に密接な関係にある。

世界的に孤立したスーダン政府にとって
中国とは頼れる唯一の大国であり、
この依存関係を通じて中国はスーダン政府を
国際社会の制裁から守護する役割を任じ続けている。

数々の国連の非難決議・制裁決議に対して
中国は拒否権をちらつかせ、トーンを弱めさせると共に、
必ず棄権に回り、賛成したことが無い。

国連が制裁を行おうにも
スーダンの最大の貿易相手国である中国の同意無しには
制裁も穴だらけとなってしまう。

また、虐殺を行ったアラブ系民兵の幹部に対して、
米国は「国際戦犯法廷」の開催を要求、
欧州各国は国際刑事裁判所(ICC)に付託することを求めているが、
スーダン政府は「スーダンの国内法で裁く」と言い張り、
中国もこれに賛意をしめしている。


私が、この問題のついていろいろと調べていて思ったことは、
日本のマスコミの無関心さ。

遠いアフリカの出来事で
ニュースの頻度も多くないのは分かるが、
この熱意の無さは異常といっていい。

試みに産経新聞の過去記事を調べてみると、
紙面に「ダルフール」の文字が登場したのは
驚く無かれ、2004年の6月から。
国連事務総長のダルフール訪問予定を伝えた記事が最初。
虐殺が始まり、それが最高潮に達した2003年には、
ダルフールの「ダ」の字も出てこない。

アジアや中東情勢に忙しいのは分かるが
この無関心ぶりは反省してほしいもの。
現在進行形の虐殺を報じないのならば
マスコミの意味などない。

また、中国の露骨なまでのスーダン政府擁護に対して、
日本のマスコミ論調はほとんど沈黙しているに等しい。

彼らはダルフールの虐殺を散発的に報じても
この責任の数割が中国にあることを明確に書かない。
犯罪の片棒担ぎを
中国がスーダンで行っていることを明白に指摘せず、
非難しようともしない。

これに対して欧米紙では
最近、中国の無法ぶりに対する批判が続出している。
特に米紙ワシントンポストは
ここ数日、中国非難の論旨を連打している。

以下、ワシントンポストの2つの記事。


◇ダルフール問題と中国の責任

 中国の王光亜国連大使は先週、
 スーダンのダルフール問題に関する声明を公表した。
 だが声明は、国際的責任を果たす国として
 扱ってもらいたいとする中国の要求を疑問視させることになった。
 王大使はまず、ダルフール地方に
 国連平和維持活動(PKO)部隊を
 派遣することを望んでいると切り出し、
 PKO部隊を「よいアイデアであり、現実的選択」と指摘。
 部隊派遣は「できるだけ早く」実行されるべきだと述べたが、
 引き続いて中国が、PKO部隊の
 派遣を求めた安保理決議の支持を拒んでいる理由を説明した。
 中国が立場を変えないなら、
 ダルフールで何万人もの民間人が死亡する可能性が大きい。
 
 王大使は、
 スーダン政府にまだPKO部隊を受け入れる用意がない以上、
 中国は安保理決議を支持できないと主張した。
 しかし、スーダン政府が部隊の受け入れを拒否している理由は、
 その受け入れを迫る国際的圧力に
 ほとんどさらされていないからだ。
 米国と欧州の盟友諸国は
 スーダンにPKO部隊の入国を認めるよう呼び掛けている。
 だが、スーダンの石油採掘事業に投資し、
 スーダン政府に対して大きな影響力を有している中国は、
 PKO部隊の展開という「現実的選択」をのむよう、
 スーダンに圧力をかけてはいない。
 実際には国連で活発なロビー活動を展開して、
 ロシアが安保理決議を支持するのを阻止し、
 PKO部隊の受け入れを求めるスーダン政府への圧力を弱めた。

 王大使はまた、
 中国政府は安保理決議を原則的に支持したものの、
 「決議を急いで安保理の表決に付す必要はない」と
 考えていたと強調した。
 大使の発言はどうしたら
 「できるだけ早く」部隊を派遣するという表現と折り合うのか。
 それは理解不能なミステリーである。

 王大使は声明の最後の部分で、
 安保理のPKO決議を推進した米英が
 「中国の真剣な努力にまともに注意を払っていない」と
 嘆いて見せた。
 王大使は一体、どんな努力を指しているのだろうか。
 中国が本当にダルフールに
 PKO部隊を展開させたいと思っているなら、
 スーダン政府内の協力者に
 新軍事攻勢の中止と
 国連部隊の即時受け入れを迫るべきである。

   (ワシントンポスト 2006/09/06)


◇中国の責任問うダルフールの虐殺
 
 今後数日の内に、
 中国はスーダンの独裁政権が大量虐殺(ジェノサイド)を
 まんまとやり通せるように
 するつもりでいるかどうかが分かるだろう。

 ニューヨークの国連本部で開かれる一連の会合は、
 国連平和維持(PKO)部隊の
 ダルフール地方への展開を受け入れるよう、
 スーダン政府を説得する最善の、
 そして場合によっては最後のチャンスになる。
 安保理が先月、可決した決議は部隊の派遣を求めている。
 決議はほぼすべての有力国家と
 スーダン政府内の一部勢力からも支持されている。
 しかし、中国はスーダンに大規模投資をしているにもかかわらず、
 孤立したスーダン政府に
 部隊派遣への反対を取り下げるよう迫っていない。
 中国が信頼できる国家と思われたいなら、
 その影響力を行使すべきである。
 
 スーダンの国連次席代表は昨日、
 ダルフールで多数の死者が出ている事態を
 スーダン政府のせいにするのは不当だと主張。
 「ダルフールの武装勢力は本物の犯罪者だ」と強調した。
 しかし、中国指導部は間違いなく
 それがばかげた主張であることを知っている。
 ダルフールの主要な「殺人犯」は、
 政府の武器で武装したジャンジャウィードと呼ばれる民兵だ。
 一方、昨日の世界銀行と国際通貨基金の合同会議では、
 スーダン財務相が
 「ダルフールが必要としているのはPKO部隊ではない。
 水や学校、病院のための資金だ」と述べた。

 だが、ダルフールで
 病院と学校を爆撃しているのはスーダン軍であり、
 ジャンジャウィードは
 井戸に死体を投げ込んで水を汚染している。
 スーダン大統領は「国連PKO部隊の目的は平和ではない。
 スーダンの再植民地化だ」と主張。
 大統領の側近もPKO部隊の代わりに、
 アフリカ連合(AU)の停戦監視部隊の権限を
 拡大する案を示唆している。

 だが、AU部隊は今月末に撤退する。
 中国は国連の決定をねじ曲げたAU部隊の権限拡大を認める前に、
 ダルフールからの報道に目を通すべきだ。
 本紙記者もスーダン政府が、AU部隊のジェット燃料を盗み、
 空軍機に転用していると報じた。
 またジャンジャウィードは最近、
 AU部隊の目前で住民を襲い、
 AU部隊を見下す態度を露骨に示した。

 スーダン政府はAU部隊の作戦能力を破壊しながら、
 その権限拡大を提案しているのだ。
 しかし、AU部隊は大量虐殺が頂点に達した2003年以後、
 最も頻繁になっている民間人に対する空爆の増加を阻止できず、
 ダルフール北部の人道援助活動への妨害も防げないのが実情だ。
 同地方では30万人が食糧援助を断たれている。
 AUはほぼ無意味な存在になっており、
 信頼される国家で国連PKO部隊に代わる選択肢として、
 AU部隊の権限拡大案を
 受け入れることができる国は皆無である。
 中国政府は信頼できる政府なのだろうか。

   (ワシントンポスト 2006/09/19)


国際社会が、ダルフールの惨状に対して取れる手段が
「国連PKO」に限定されている以上は、
常任理事国の一国が現地の犯罪政府に肩入れしているため、
事態の改善などあり得ないだろう。

これが国際社会の現実なのだろうが、
このアジアの隣国が遠いアフリカで行っている、
資源優先外交の罪はあまりにも重い。



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ソマリアの混沌・・エチオピア軍の進入、米国の介入論

軍越境情報で高まる緊張 ソマリアとエチオピア

 ソマリアの首都モガディシオなど、
 南部の大半を支配するイスラム原理主義勢力と、
 ソマリア暫定政府を支援する隣国エチオピアの間で
 緊張が高まっている。
 エチオピア軍がソマリアへ越境、
 そのまま居座り本格的な支援を始めたとの
 目撃情報が相次いでいるのが原因で、
 イスラム原理主義勢力の指導者らは国民に「聖戦」を呼びかけた。
 
 AP通信やロイター通信が伝えた目撃者情報によると、
 エチオピア軍兵士約400人が20日、
 暫定政府が拠点とする地方都市バイドアに現れ、
 ユスフ暫定大統領の官邸周囲に布陣。
 22日には国境近くの町ワジドで兵士約200人が目撃され、
 飛行場を接収し軍ヘリコプター2機が着陸したという。

   (共同通信)


ソマリアのニュースを見ていても
暫定政府やら、イスラム法廷やら、何とか勢力やら、
もう何がなんだかよく分かりませんので
ここで整理しておきたいと思います。

まあ、世界の人々にとっては
アフリカのソマリアでグチャグチャの内戦状態が続こうと、
お前ら勝手にやってろ、という気がしないでもありませんし、
事実、国際社会の捉え方はそんな感じだったのですが、
ここに来て様相が一変しました。
それはアルカイダと深い関係を持つとされる、
「イスラム法廷」なる勢力が力を伸ばしつつあるからです。

ソマリアは民族的には
ほぼソマリ族の単一民族国家なんですが、
その中で、多くの「氏族」が抗争を繰り返しています。

ほとんど群雄割拠状態に近いのですが
現在のソマリアは
政治的には3地域に分裂してまして

◇北部の「ソマリランド」

◇北西部の「プントランド」

◇南部の「ソマリア」

となっています。

一応、地図を載せておきます。
ピンク色の部分がソマリアです。
「アフリカの角」の異名そのままですね。

   So-map.gif


ソマリランドとプントランドは独立志向で
もう俺たちゃソマリアじゃないよ、と。
俺たちゃ独立国なんだよ、と表明しています。

老舗「ソマリア」を名乗っているのは南部地域のみで
この内部でも幾つかの氏族が熾烈な内戦を繰り広げてきました。

映画「ブラックホークダウン」を
見たことがある方もいらっしゃるでしょうが、
あれは、この南部の「ソマリア」の紛争を収めるべく、
同地に展開した国連平和維持軍及び米軍と
当時、首都モガディシオを制圧していたアイディード派との
1993年の戦闘を描いたものなんですね。

あれから、米軍と国連軍は這々の体で撤退し、
ソマリアは再び混沌の中で置かれました。
しかし、2000年5月、ジブチで和平会議が開催され、
実業家や氏族代表らが集まり暫定政府樹立に向けて討議を行い、
ソマリア暫定政府が成立しました。

ですが、この暫定政府を
北部のソマリランドとプントランドは認めず、
両地域は完全に独立状態になっており、
暫定政府の威令が及ぶのは南部地域のみでした。

さらに、暫定政府自身も一枚岩ではなく、
内部抗争が激しく、
大統領派と首相派の対立とか、
端から見ていると「ソマリア人に統治の才はあるのか?」
と思わせるような状況が続きました。

そこに彗星のように現れたのが
武装勢力「イスラム法廷」です。
この勢力はイスラム法に基づく支配を掲げており、
しなしば「イスラム原理主義集団」と呼ばれています。

イスラム法廷は
ソマリアの秩序回復を望む民衆や資産家らの援助を受け、
支配地域を徐々に拡大し、
とうとう今年の6月には首都モガディシオを制圧し、
暫定政府を地方都市バイドアに追い出してしまいました。

これに危機感をおぼえたのは米国で、
実はイスラム法廷は
かねがねアルカイダとの関連が噂されており、
6月下旬に新指導者に選出されたハッサン・ダヒル・アウェイスは
アルカイダとの結びつきで米国から指名手配を受けていました。

すぐさま米国と欧州各国は
「ソマリア連絡調整グループ」設立し、
6月15日にはニューヨークで関係諸国の初会合を持ち、
暫定政府を支援し続けることを表明しました。

また、米国内では
ソマリアへの軍事介入の議論が盛んになっており、
それをアルカイダが牽制するという一幕もありました。

ソマリア:ビンラディン容疑者「警告」テープに全面対決

そして、さらに状況は二転三転します。

追いつめられた格好のソマリア暫定政府ですが、
ここで「白馬の騎士」が登場します。
冒頭のニュースにあるように
かねてより暫定政府を後援していた隣国エチオピアが
ソマリアに軍事介入を行いました。

実は、このエチオピアの動きを
背後で糸を引いてるのが米国と言われてるんですが、
当然ながら、イスラム法廷はこの報に衝撃を受け、
エチオピア軍に対する「聖戦」を呼びかけてます。

ちなみに、イスラム法廷を支援しているのが隣国エリトリアで
エリトリアとエチオピアは領土紛争で
しばしば国境で戦闘を行う不倶戴天の仇同士です。

つまり、

  ソマリア暫定政府(後援:エチオピア&米国)
        VS
  イスラム法廷(後援:エリトリア)

この図式ですね。

もう、ここまでの段階で
あまりのグチャグチャぶりに
読む方も書く方もワケが分からなくなってきましたが(笑)、
まあ、これぞソマリアって感じで
その混沌ぶりは哀れとしかいいようがありません。

国家とは何か?
統一国家を成り立たせる条件とは何か?
思わず考えてしまいますね。

さて、最後に欧米の論調を2つ載せておきます。


◇ソマリアへの再介入

 クリントン政権は十数年前、
 ソマリアの国造りを支援する試みを突然、打ち切り、
 現地の米軍を撤退させた。
 共和党が破たん国家ソマリアの秩序再建は
 米国の責任ではないと批判したからだ。
 そして、ブッシュ政権は今、惨めな撤退の報いを受けつつある。
 アルカイダと関係のあるイスラム勢力が
 ソマリアの首都、モガディシオを制圧したためだ。
 アフガニスタンのタリバンのように、
 イスラム勢力は相争う軍閥を破って、
 秩序の回復を切望する人々から歓迎された。
 
 首都を制圧した「イスラム法廷同盟(ISU)」が
 タリバン式の政治体制を人々に押し付けるのか、
 あるいは首都を拠点にしていると思われる、
 アルカイダの戦闘員を保護するのかはまだ不明だ。
 ISUの指導者、シャリフ・アーメド氏は6日、
 「イスラム国家」の樹立を約束した。
 しかし、ISUはイスラム原理主義となじみの薄いソマリアに
 そのような体制を強制できるほど強力ではないようだ。
 ISU民兵の司令官の1人は、
 人道支援活動をしていた外国人数人の殺害に関連しており、
 1998年にケニアとタンザニアで米大使館を爆破した罪で
 起訴されたアルカイダの指導者3人を
 保護しているとみられている。

 ブッシュ政権当局者は
 このソマリア・イスラム勢力との話し合いを排除していない。
 彼らはアーメド氏から届いた穏健な書簡が
 テロリストへの支援を否定し、
 ISUは米国の敵になることを望まないとしている点を指摘する。
 ソマリアの地方都市バイドアに拠点を置く、
 弱体な暫定政府も首都の新勢力と
 交渉することに関心を示している。
 交渉は、米国とアフリカ諸国が時間をかけて
 ソマリアを安定させる政治プロセスを助長し、
 外国人テロリストを根絶するチャンスになるかもしれない。
 そうした交渉での提案には西側からの復興支援も欠かせない。
 ブッシュ大統領は対話と関与の再開に加えて、
 ソマリアがアルカイダをかくまうことを容認しない意思を
 明確に表明すべきだ。

 ソマリアは、破たん国家、
 特にイスラム圏の破たん国家の再建が、
 世界規模の反テロ戦争を遂行するにあたって
 米国の中心的な課題になるべきであることを
 あらためて示している。
 国造りは難しく、資金と努力を要する。
 ソマリアで米軍兵士18人が犠牲になった、
 1993年のヘリコプター撃墜事件や
 イラクで相次ぐ米兵の死傷がその困難さを示している。
 しかし、ブッシュ政権が
 まだこうした教訓をくみ取っていないことも目立つ。

 米政府はソマリア政府の強化に努めるより、
 首都モガディシオの軍閥に肩入れした。
 そのような「割安な戦術」は
 いずれもっと大きな混乱と危険な状況につながる。
 ブッシュ政権は現在、モガディシオで
 まさにそのような状況に直面することを強いられている。

   (ワシントン・ポスト 2006/06/08)


◇ソマリア情勢のジレンマ

 ソマリアはしばしば世界から忘れられてきた。
 しかし、アフリアの角にあるこの無政府状態の国家をいま、
 世界は思い出し始めている。
 米国が支援する軍閥勢力が5日、
 国際テロ組織アルカイダとつながりがあると言われる、
 イスラム原理主義組織によって首都モガディシオを追われた。
 今年に入ってすでに数百人が死亡しているソマリアに対して、
 米政府はいま、「対テロ戦争」の
 新たな戦線として神経をとがらせている。
 
 イスラム原理主義組織タリバンが支配する以前の
 アフガニスタンのように、
 ソマリアの諸問題は、放置されてきたことに特徴がある。
 氏族単位の武装勢力が1991年に独裁者バーレ大統領を打倒し、
 その数年後、国連が退散して以来、
 問題は悪化の一途をたどってきた。
 モガディシオは非常に危険で、暫定政府は首都入りできずに、
 別の場所に拠点を構えている。

 1998年のケニアとタンザニアの米大使館同時爆破事件に
 関与したアルカイダのメンバーはソマリアから出撃した。
 だから、米中央情報部(CIA)は
 「平和回復・反テロ同盟」を結成した軍閥勢力に
 隠密に資金を供給してきた。
 これがもう1つのアフガニスタンとの類似点だ。
 しかし、彼らの敵であるイスラム原理主義組織は、
 学校や慈善団体、イスラム法廷を運営して支持を獲得し、
 中央政府の欠如でできたギャップを埋めてきた。
 このイスラム法廷は、公開処刑や手足を切断する処罰を執行し、
 独立した権力中枢となっている。

 国連の武器禁輸にもかかわらず、
 武器で溢れたこの破たん国家は、
 アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者と
 ブッシュ米大統領の間の代理戦争を生む、
 豊かな土壌になっている。
 これに対し一般ソマリア人は、切に必要とする平和と安定が
 目前にあるかもしれないと期待している。

 米国は、映画「ブラックホーク・ダウン」で
 良く知られた事件で陸軍レンジャー部隊が殺された後、
 ソマリアから撤退した。
 しかし、放棄は無法と崩壊を後押しした。
 治安問題はいま非常に深刻で、
 干ばつに襲われた南部と西部の
 悲劇的な人道状況の影が薄くなるほどだ。
 外部世界は、モガディシオの新勢力と接触する道を
 注意深く探求し、彼らに暫定政府との協力を勧める必要がある。

 ソマリアをめぐるジレンマは、
 国家建設とテロとの戦いの間に
 どう適切なバランスを見いだすかにある。
 米国は、短期的な安全保障を重視し、
 このバラバラの国を
 再び統一させようという大きな努力を犠牲にしてきた。
 ブッシュ大統領は、軍閥支援がいとも簡単に
 逆効果をもたらすことをよく考えるべきだ。

   (ガーディアン 2006/06/08)


まあ、両者ともあれやこれや書いてますが、
要するに「う~ん、軍事介入すべきか否か?・・・」
「でも、特効薬など見あたらないよ」ってことでしょう。

統一意識の希薄な国家の内戦ほど
治癒する材料が難しいものはありません。

ただ、ここにアルカイダが絡むからやっかいなんですが、
米国での軍事介入論の高まりは
結局、米国の国力を消耗させようとする、
ビン・ラディンの思惑にはまるだけでしょうね。



関連資料リンク

外務省サイト:ソマリア

ソマリア





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