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ウォルフォウィッツと世銀問題


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「世銀総裁は規定違反」特別委員会が判断

 世界銀行のポール・ウォルフォウィッツ総裁が
 交際相手の女性を優遇したとされる問題を
 調査していた特別委員会は7日、
 総裁が内部規定に違反したとの判断を示した。
 関係筋が匿名を条件に明らかにした。

 委員会はここ数週間にわたる検討結果を報告書を取りまとめ、
 7日に総裁に送付した。
 報告書は外部には非公開のため、
 関係筋は内容の詳細を明らかにしなかった。

 ウォルフォウィッツ総裁をめぐっては、
 米国防省から世銀入りしたケビン・ケレムス総裁顧問の
 特別待遇も問題視されていた。
 ケレムス顧問はこの日、辞意を表明した。

 世銀理事会は近く、
 ウォルフォウィッツ総裁の処分を決める見通し。
 現在広範囲の懲戒処分を検討しており、
 総裁を解任する可能性もある。

   (CNN)


この問題、あまり関心も持っておらず、
これまで報道の上っ面のみを見ていました。

イラク戦争を主導した元国防次官のウォルフォウィッツだけに
日本のマスコミ論調も「情実人事」「世銀内部で反発」などと
そっけなく報じるばかりでした。

しかし、今日の「SAFETY JAPAN」に
産経の古森さんがこの問題の論評を載せていまして、

世界銀行の伏魔殿ぶり

むしろ、腐敗した世銀を改革しようとするウォルフォウィッツと
それに反発し既得権を守ろうとする世銀職員という構図も
見えてきました。

このうちの一部を引用します。


 こうした実態を見てくると、
 ウォルフォウィッツ氏の「情実昇給疑惑」も印象が異なってくる。
 しかも米側では同氏にとっては
 政治的に敵にあたる民主党側からも擁護論が出てきた。

 カーター政権下で国連大使を務めた、
 アンドリュー・ヤング元アトランタ市長が
 ワシントン・ポストの4月30日付に
 「世界銀行にとって適切な男」という題の寄稿論文を載せ、
 ウォルフォウィッツ氏を全面的に擁護した。
 「もし欧州各国が同氏の国防副長官としての言動への報復のつもりで、
 今、氏を非難しているとすれば、大きな間違いだ」とする同論文は、
 同氏のアフリカでの貧困や
 疫病の追放作戦への高い評価を表明していた。

 この評価に呼応するかのように
 ナイジェリアの腐敗追放にあたる、
 「ナイジェリア経済金融犯罪委員会」のヌフ・リバヅ委員長が
 ニューヨーク・タイムズ5月1日の寄稿で
 やはりウォルフォウィッツ総裁への支持論を発表した。
 ナイジェリア人のリバヅ氏は
 「ウォルフォウィッツ氏はなぜ留任すべきか」という題の寄稿論文で、
 同総裁の主唱による最近の世銀の汚職追放運動が
 ナイジェリアの汚職追放に大きく貢献した実態を詳しく発表した。

 同じアフリカでは
 ガーナ出身の経済学者ジョージ・アビテイ氏が
 ウォールストリート・ジャーナル5月4日付への寄稿で、
 世銀によるこれまでのアフリカへの経済援助の巨大な部分が
 汚職により浪費された実例をいくつも挙げて、
 ウォルフォウィッツ総裁の腐敗追放活動を歓迎していた。
 この寄稿論文は、同総裁がもし今回の事件で駆逐されれば、
 せっかくの腐敗追放の活動がまた無に帰すだろうとも述べて、
 「世銀での真のスキャンダルとは、
 ウォルフォウィッツ氏のいわゆる情実昇給疑惑により、
 今、世銀で緊急に必要とされている内部の腐敗追放作業が
 阻まれてしまうことである」と断じていた。

 世銀内部の情実人事や不透明性の代表例としては
 ウォールストリート・ジャーナル5月1日付のコラム記事が
 中国人の章晟曼氏のケースを伝えていた。
 章氏は2004年ごろまで世銀の専務理事だった。
 同氏は当初は中国政府を代表する理事として世銀に入り、
 当時の総裁のウオルフェンソン氏に気に入られ、
 副総裁から専務理事へと抜擢された。

 だがこのコラム記事によると、章氏の夫人も世銀勤務で、
 当初は年収5万2000ドルの「レベルD」の職員だったが、
 きわめて短期間のうちに
 年収12万3000ドルの「レベルGG」へと昇進してしまった。
 今のウォルフォウィッツ総裁の例に比べれば、
 ずっと露骨な「情実昇給」だというのである。

   (SAFETY JAPAN)


これを見ていると
迂闊に日本の大手マスコミ論調なんて信じていると
世界が見えなくなるな、と改めて思いました。

まあ、古森さんの記事自体も一つの価値観の主張であり、
それに100%寄りかかるつもりもありませんが、
こういう別な観点からの記事は実に貴重ですね。





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資源戦略とバイオ燃料・・ブラジルと米国のエタノール同盟


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ブラジル エタノールを一大輸出産業に 米伊と提携、生産拡大 
 
 米国と並ぶエタノールの世界2大生産国であるブラジルが、
 エタノールの世界戦略を加速している。
 米国やイタリアとの提携などを通じて
 技術の高度化と生産量の拡大を急ぎ、
 エタノールを鉄鉱石や自動車などと並ぶ
 一大輸出産業に育成する計画だ。

 AP通信などによると、
 エタノール輸出で世界最大手のブラジル国営石油、
 ペトロブラスは3月27日、
 伊エネルギー大手のENI(伊炭化水素公社)と
 バイオ燃料の共同プロジェクトをめぐる覚書に調印した。

 両社はバイオディーゼルやエタノールなど、
 バイオ燃料の生産技術の開発で協力、
 バイオ燃料販売の共同事業についても検討する。
 ブラジル政府はアフリカでのバイオ燃料生産も視野に入れており、
 イタリア向けバイオ燃料をアフリカで生産するプロジェクトも
 話し合われる見込みだ。

 ペトロブラスは、技術力を向上させるだけでなく、
 この提携を足がかりに国外での事業を拡大できる。
 報道によると、ブラジルのルラ大統領は
 「世界の汚染削減につながる特別なパートナーシップになる」と、
 地球環境への効果を強調した。

 ルラ大統領は、
 3月初旬にブラジルを訪れたブッシュ米大統領との会談で、
 中米やカリブ諸国などでのエタノール生産拡大や、
 セルロースをエタノールに加工する、
 技術開発などを柱とする戦略的提携で合意。
 これに続き、31日に行われた、
 米メリーランド州キャンプデービッドでの首脳会談では
 代替燃料に関する国際会議を開催することでも合意した。

 ブッシュ政権は、米国内のガソリン消費を減らすだけでなく、
 オイルマネーを使い反米活動を展開する、
 ベネズエラのチャベス政権などへの打撃も狙っている。

 ブラジルにとっても米国との提携は、
 エタノールを石油と同じように世界市場で取引されるエネルギー商品に
 育成するうえで大きな意味がある。
 トウモロコシ原料の米国産と
 サトウキビ原料のブラジル産を合わせれば
 世界のエタノール生産の7割を占め、
 国際的な主導権を握れるからだ。

 ペトロブラスは、こうした国際的提携と並行し、
 設備の増強を着々と進めている。

 ブルームバーグによると、
 同社はエタノール輸出を現在の8億5000万リットルから
 2011年には約4倍の35億リットルに引き上げたい考えだ。
 ただ、輸出量拡大にはブラジル国内での貧弱なエタノール輸送体制が
 ネックになるとみられている。

 このため、三井物産との間で、
 約7億5000万ドル(約880億円)を投じて
 1000キロのエタノール向けパイプラインを
 建設する交渉を進めている。
 同時に、内陸部にあるエタノール原料のサトウキビ農場や
 蒸留所から川を使ってエタノールを
 サンパウロの拠点に輸送することも検討している。
 韓国企業などを対象に輸出先の開拓にも力を入れている。

   (FujiSankei Business i.)


サトウキビやトウモロコシなどから精製されるエタノールは
石油よりも安上がりで
燃焼時に発生する二酸化炭素の量なども低いことから
石油に代わる主力燃料として脚光を浴びています。

特に米国は
石油に代わる代替エネルギーとしてのエタノールに注目しています。

米ブッシュ政権は
原油を海外からの輸入に依存している危険性回避と
地球温暖化などへの対応策から
このエタノールに着目しています。
「安全保障」と「環境」の二兎を追う対策というわけですね。

京都議定書から離脱し、
国際的に轟々たる非難を浴びた米国ですが、
温暖化による異常気象や巨大化したハリケーンの直撃などから
さしものブッシュ政権も重い腰を上げたようです。

さらには、石油の高騰により
ロシアやベネズエラなどの原油産出国が
資源を武器として反米政策を推進していることも
これに拍車をかけたようです。

米国政府は、2017年までに
エタノールを中心とした代替燃料の生産量を
350億ガロンまで増加する目標を掲げ、
これにより10年間で石油消費を
20%減少させることを目指しています。

米国での現在の年間のエタノール生産は40億ガロン。
これを年々増加させて10年後には
年間350億ガロンまで持っていこうという構想です。

この構想が発表されてから
エタノールの原料となるトウモロコシの値段が2倍に高騰。
また、米国中西部の農家は
発狂したように我も我もと小麦や大豆からトウモロコシの栽培に転換し、
時ならぬ「トウモロコシ・ラッシュ」が起きています。

トウモロコシ、食料より燃料? 価格2倍、転作が加速

トウモロコシ予想作付面積、米で63年ぶり高水準に

トウモロコシの高騰は
これを飼料としていた養豚農家や養鶏農家を直撃し、
豚とニワトリ、さらには鶏卵の値段までが
急騰するというオマケがつきました。

養豚業者はブーブー~トウモロコシの値段高騰で

エタノールの増産策、意外な分野へ響いてます

まさに風が吹けば桶屋が儲かるという感じで
地球温暖化と中東情勢の不安定化によって
養豚農家が悲鳴を上げるという図式です。


実は米国でのトウモロコシによるエタノール生産は
いささか懐疑的な側面があります。
それはエネルギー効率の問題です。

トウモロコシを生産するに要するエネルギー量と
それをエタノール化した場合のエネルギー量を比較すると、
1対1.8程度だと言われています。

つまりトウモロコシを作るのに「1」のエネルギーを使い、
それをエタノール化しても
「1.8」のエネルギーしか得られず、
あまりにも効率が悪いのです。

これに対して米国政府は
エタノールの精製技術を年々向上させれば
この問題はクリアできるとしています。

上記ニュースにあるように
実はバイオエタノールの技術先進国はブラジルです。

ブラジルは主にサトウキビからエタノールを精製していますが
この場合、エネルギーの効率が1対8であり、
米国のトウモロコシよりも効率が桁違いに良いわけですね。


さて、ブラジルのエタノール事情についても書いておきましょう。

ブラジルは石油ショックに対する反省から
70年代からエタノールの利用を推進してきました。

たとえば自動車ですが、
通常、エタノールを混合したガソリンは
ガソホール(gasohol)と呼ばれています。

ブラジルでは、ガソリンは法律で
エタノール混合率20~25%のガソホールを義務付けしています。
ガソリンスタンドでガソリンを入れても
必ずエタノールが混入されているわけです。

ガソホールの場合、
日本の自動車のような通常のガソリンエンジンだと
エンジントラブルが多発します。

エタノールは水との相溶性があるため、
エンジンの腐食が発生する可能性があるからです。

ブラジルの自動車は
エタノールやガソホールで走行が可能なように
エンジンを特別な仕様のものに変えています。

さらに、ガソリンとエタノールが
どのような割合で混合しても良いフレックス車(FFV)が
新車販売の八割を占めています。

FFVだとエタノールの混合割合が自由なので
割安なエタノール100%の燃料で走っても問題はありません。
ガソリンスタンドにも
エタノールのみとガソホールの二種類が置かれています。

ちなみに米国の自動車も
E15と呼ばれるエタノール15%・ガソリン85%のガソホールでも
走れるようなエンジン仕様となっており、
最近ではE85と呼ばれる、
エタノール85%混合にも対応したエンジンが増えてきました。

ブラジル政府は
このサトウキビ精製のエタノールの
自動車燃料への使用を促進しています。

ブラジルは世界有数のサトウキビ生産を誇り、
サトウキビは収穫期のみ小数の人手を必要とする植物で加工も容易です。
また、上記の如くエネルギー効率も優れています。

ブラジルの80年代からのエタノール推進政策は
同国に多くの技術の蓄積をもたらし、
今や世界のエタノール生産の多くを占めるようになりました。

そして現在の石油の高騰と地球温暖化により
ブラジルのエタノール生産が脚光を浴びているわけです。

米国はこのブラジルの技術と生産量に着目し、
早くも両国による「エタノール・エネルギー同盟」を狙っています。

エタノールの生産量は
米国が世界一で、ブラジルは2位。
輸出量はブラジルが1位。
両国がタッグを組めば
世界のエタノール生産の大半を牛耳れることになります。

ここらへんの米国の手の早さは
さすがと言うか、あざといと言うべきか・・。


さて、日本でもエタノールは注目されていますが、
上述のように日本の自動車エンジンは
エタノール混合ガソリンを使える仕様となっていません。

一応、政府の音頭取りで
4月27日から首都圏の50ヶ所の給油所で
エタノール混合ガソリン(3%混入)の発売が試験的に開始されますが、
エンジントラブルを警戒する反対意見も出ています。

輸入バイオ燃料、日本上陸へ=首都圏で27日発売-石油業界

自動車用バイオ燃料巡る 政府VS石油連盟のゴタゴタ

2004年9月に小泉首相がブラジルを訪問し、
ブラジルのルラ大統領と
ブラジルからのエタノール輸入について話し合い、
ブラジルの国営エネルギー企業ペトロブラスと
日本アルコール販売との合弁会社が作られました。
「日伯エタノール」という会社ですが、
これが2008年から日本への輸入を本格化させるようです。

ちなみに小泉首相はこのブラジル来訪時に
サンパウロ郊外のエタノール製造工場も見学して
すっかりエタノール推進派となりまして、
米・ブラジル両政府の後押しで結成された「米州エタノール委員会」に
ブッシュ大統領の弟などと共に
共同代表に就任することが決まっています。

小泉・ブッシュ同盟再び バイオ燃料普及団体の共同代表に


原油価格の高騰、中東情勢の不安定化、
ロシアや中国による資源ナショナリズム・資源買い漁り、
さらには地球温暖化の問題が進行する中で
エタノールの生産はますます拡大していくでしょう。

また、そこから生産国のカルテル化、生産国と消費国の確執、
さらには列強によるエタノール囲い込みなど、
国際政治に様々な動きが起きていくのでしょうね。



参考資料リンク

ワードBOX:バイオエタノール

カストロ議長「エタノール政策は飢餓加速」 論評で再び米批判









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チャイナロビー:中国の対米工作の実態 その2・・航空宇宙技術の流出


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前回の続きです。

チャイナロビー:中国の対米工作の実態 その1
 ・・クリントン政権の献金疑惑



クリントンと米民主党に対する中国からの献金工作は
米世論とマスコミを騒然とさせ、議会は調査に乗り出します。

一方、捜査に乗り出したFBIは
この動きの背後で中国政府が秘密工作資金を投じ、
大統領、議会両方の選挙で
民主党候補を支援しようとした疑いがあるとみていました。

米国の法律では
外国の団体や個人からの政治献金や
連邦政府施設内での募金献金活動は禁止されています。

これはまあ、米国に限らず他の諸国もそうでしょうが
言うまでもなく他国の政治工作を避けるための措置です。

実はこの数年前に
FBIやNSC(国家安全保障会議)が
クリントンと米民主党のナンバースリーであったペロシ議員に
「中国からの贈賄工作」に関して警告を発していたのですが、
両者共にこれを無視しました。

この問題の背景には
クリントンの脇の甘さと金に対する異常な執着がありました。

以下、産経の過去記事から。


◇広がる献金疑惑:クリントン政権(上)連日の“謀略ドラマ”

 九五年から九六年にかけての大統領選キャンペーンで
 クリントン・ゴア陣営が民主党全国委員会などを通じて
 一億八千万ドルほどの政治寄付金を集めたプロセスでの、
 法律あるいは倫理に違反する疑いの濃い事例が
 つぎつぎと明るみに出ている。

 不正あるいは不適と疑われる事例は大きく分けて二種類ある。
 第一はクリントン陣営が過去のパターンから大胆に逸脱し、
 現職政権の行政力そのものを選挙戦での財政力に
 異様なほど緊密にリンクさせた募金手法である。
 第二は中国系米人らをパイプとする外国の機関や
 個人の米国選挙への財政関与だといえる。

 第一の典型はホワイトハウス施設や
 大統領ポストの募金活動へのフル利用だろう。
 「敏速に進めよ。十万ドル以上、
 五万ドル以上のほかの(献金者の)名前も速やかに集め、
 (ホワイトハウスでの)宿泊接待はすぐに開始準備を整えてほしい」

 九五年一月、民主党全国委員会の財政部門が作成した、
 ホワイトハウス利用の募金プランに
 クリントン大統領がメモ書きで記した指示である。
 このプランはクリントン・ゴア再選のために
 民主党に五万ドルとか十万ドル以上の高額の寄付をした人、
 しそうな人をホワイトハウスに招き、
 正副大統領とのランチ、懇談、映画観賞、
 ゴルフ、ジョギングなどを楽しませるという趣旨だった。
 その究極のアトラクションがホワイトハウス東ウイングの
 リンカーン・ベッドルームでの宿泊だった。
 この部屋はリンカーン大統領が
 奴隷解放宣言に署名した歴史の舞台である。

 ホワイトハウスはこの二月、議会の圧力に屈した形で
 同ベッドルームのゲストとなった九百三十八人の名を公表した。
 民主党に四十万ドルとか五十万ドルという巨額の寄付をした支持者や、
 ホワイトウォーター事件の被疑者、関係者も多数、含まれていた。
 大統領とのコーヒーを飲みながらの懇談は合計百三回も催され、
 出席した数百人からは総計二千三百万ドルの献金がなされたが、
 そのなかには米国への武器密輸で摘発された、
 中国の軍事企業会長の中国人や
 横領容疑でインターポールから指名手配中のレバノン人、
 麻薬犯罪の常習犯の米国人などもいたことが判明した。

 一九七〇年代にウォーターゲート事件の報道で活躍した、
 ワシントン・ポストのボブ・ウッドワード記者が今月二日に暴露した、
 ゴア副大統領の執務室からの電話での献金要求も、
 不正や不適の疑いが濃い。

 合計約五十回の電話では
 「今週末までに二百万ドルを寄付してほしい」というふうに
 金額や期日を具体的に指定しての露骨な要請がほとんどだった。
 連邦政府に補助金や許認可を求める企業の代表であれば、
 現職副大統領からのこうした直接要求はまず断りにくい。

   (産経新聞 1997/03/13)


これを読んでると、クリントンとゴアは
ホワイトハウスを集金装置にした、
えげつのない資金集めをしたことが分かります。

ちなみに、両者共に
この件に関しては全面的に認めて
「不適切であった」と謝罪しています。

さて、前回の最後にも触れたように
この中国系からの献金問題は
議会の追及・FBIによる捜査・マスコミの取材が進む中で
疑惑が次々と広がっていきました。


97年4月25日、
米ワシントンポスト紙が爆弾スクープを行いました。

世界最大の電波傍受機関であるNSA(米国家安全保障局)が、
ワシントンの中国大使館と北京政府をつなぐ電話を盗聴したところ、
中国政府の「首脳」が米政界工作を承認していたことを示す、
証拠を入手したというもの。

また同紙は、この秘密工作を指揮した「中国首脳」が
江沢民国家主席や李鵬首相である可能性を
米政府高官が示唆したとのこと。

この盗聴活動は92年から96年にかけて
NSAとFBIにより行われ、
彼らは中国政府の献金工作を承知していたものの
おそらく政治的理由でしょうが、
この工作活動を止めることはできなかったとのこと。

そして翌年5月、
この問題を調査していた下院国際関係委員会は、
97年2月にクリントンが、
中国に人工衛星の打ち上げを委託する米国の航空宇宙企業が
刑事捜査の対象になっていることを知りながら、
同企業にこの委託を許可したとの公文書を公開しました。

企業の名は「ロラル宇宙通信社」。
この会社は96年、中国に安全保障上の機密技術情報を漏らし、
司法省が刑事捜査を開始していました。

しかし、クリントンはこの事実を知りながら、
ロラル社の申請に応じて、
中国側への衛星打ち上げ委託の特別許可を出しました。

その直前にバーガー大統領補佐官が大統領あての書簡で
「ロラル社にいま許可を与えると、
進行中の刑事事件捜査を阻害する危険がある」と警告していたのですが、
クリントンはこれを無視しました。

実は96年に
ロラル社とそれに関連する人民解放軍直営企業から
民主党に多額の献金がなされていました。

以下、産経と読売の過去記事です。


◇米の軍事関連技術 中国流出の恐れ
 人工衛星打ち上げ 米公聴会で委託批判

 米国上院委員会が二十一日に開いた公聴会で
 クリントン政権の中国への人工衛星打ち上げ委託問題が論じられ、
 専門家から米国の軍事関連技術が
 中国に流れる危険があることが指摘された。

 国際安全保障・拡散小委員会(サッド・コクラン委員長)の公聴会は、
 九八年二月に米国のロラル宇宙通信社が
 中国軍関連企業のロケットで
 米国製人工衛星を打ち上げることを委託した際、
 米国のミサイル発射に関する高度の軍事技術が中国側に流れ、
 中国側の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の命中度を
 高める結果となったという米軍筋の批判を機に開かれた。

 米国の宇宙航空産業界では
 通信用や気象情報用の人工衛星の打ち上げに
 費用が安い中国のロケットをときどき使うことがある。
 その際にはこの衛星打ち上げ委託を軍需品の輸出と同様にみなし、
 米国にとって脅威となりうる国に高度の軍需品が流れないよう、
 打ち上げ委託の是非を事前に
 「軍需品規制委員会」が審査することとなっていた。

 ところが、クリントン大統領は九六年十一月の再選直後、
 審査の権限を国務省下の軍需品規制委員会から商務省へ移し、
 許可取得がずっと容易になった。

 公聴会では委員長のコクラン議員(共和党)らから
 「クリントン大統領はロラル社の代表から
 七十万ドル以上の政治献金を受け、
 当選直後に衛星打ち上げ委託の許可が出やすくなるよう、
 審査の権限を国務省から商務省へ移した疑いがある。
 中国軍関連機関からも間接的に、
 少なくとも十万ドルの献金が民主党に流れた。
 この権限手続きの変更は、
 ロラル社や中国軍からの政治献金で動かされた可能性が高い」
 と疑問を提起した。

   (産経新聞 1998/05/23)


◇米民主党への中国軍不正献金疑惑 衛星打ち上げ許可絡む?
 議会、徹底解明へ
 
 背景には、衛星打ち上げビジネスの特殊性、
 米中双方の企業の思惑がある。
 
 米国は八九年の天安門事件に対する対中制裁の一環として、
 米国企業が中国に衛星打ち上げを依頼することを禁止した。
 しかし、米企業は大量の通信衛星打ち上げを計画しており、
 国内で処理しきれないため、安価な中国製ロケットの利用を考え、
 打ち上げに必要な大統領の特別許可を求め激しいロビー活動を続けた。
 
 これを受け、
 打ち上げ許可に積極的な商務省と消極的な国務省の間で、
 所管をめぐる綱引きが始まった。
 九五年十月にいったん「国務省所管を継続」で決着したが、
 五か月後、クリントン大統領は突然、商務省移管への変更を決定。
 だが、その後も綱引きが続き、実際の移管は九六年十一月にずれ込んだ。
 
 問題の人民解放軍がらみの献金は、この時期の同年七月に行われた。
 民主党への不正献金疑惑で
 今年三月に起訴された台湾系米国人ジョニー・チュン氏が、
 捜査当局に対して、総額約三十万ドルの献金のうち約十万ドルは、
 衛星打ち上げビジネスを行う中国の国営企業重役、
 劉超英中佐から受け取ったもので、
 その出所は人民解放軍だと証言した。

 一方、打ち上げを通して
 衛星やロケット技術が中国に漏れたとの見方もある。
 九六年二月、衛星メーカー大手ロラール社と
 ヒューズ社が特別許可を得て中国で行った打ち上げが、
 発射直後の爆発で失敗。
 両社は独自の事故調査結果を中国側に提出したが、
 この中で誘導技術などに関する機密を漏らした疑いがあり、
 司法省は捜査に乗り出した。
 
 だが、クリントン大統領は、
 「捜査妨害となる」との司法省の主張を無視、
 今年二月、新たな打ち上げを許可した。
 ロラール社会長は昨年、六十万ドルの民主党献金を行い、
 個人最高の献金者であることとの関連を疑う声もある。
 
   (読売新聞 1998/05/24)


まさに疑惑は深まるばかりでしたが、
結局、この中国からの献金工作問題は
うやむやのままに終わってしまいました。

一つはクリントン政権による捜査妨害で
司法長官がこの捜査を早々に打ち切ってしまったこと。
次にクリントンとモニカルインスキー嬢とのセックス疑惑が
センセーショナルに取り上げられ、
世論の関心がそちらに移ってしまったことです。

また、FBIやNSAの捜査は
秘密の通信傍受などを使ったものが多く、
証拠として提示できるものではないことや、
好景気に沸く米国において
クリントン人気に翳りが生じなかったことがあげられるでしょう。

皮肉と言うべきか、
この献金疑惑が発覚した直後の97年1月、
米議会調査局は「中国政府の対米議会工作」
という報告書を発表しました。

その内容は、

 従来の中国の対米ロビー工作は
 ホワイトハウスや国務省の親中派の面々を中心に行われており、
 さほど強烈なものではなかった。

 ところが、これに変化が生じたのが
 95年6月の台湾の李登輝総統による米国訪問。
 中国は阻止工作を仕掛けたが完敗に終わった。

 さらに96年3月の「台湾危機」で
 中国は、李登輝の強い意志と米国海軍の2隻の空母に
 手も足も出なかった。

 中国はこの苦い教訓から
 対米ロビー工作の拡大を決意し、
 劉華秋(国務院外事弁公室主任)をトップとする、
 「米議会工作グループ」を設置。

 彼らの当面の目標は、米政界に働きかけることで、
 中国への最恵国待遇の延長と
 世界貿易機関(WTO)の加盟促進を勝ち取ること。

というものです。

また、1990年にジャパン・ロビーの暗躍を描いた、
「影響力の代理人」の著者、パット・チョート氏は
産経新聞のインタビューに答え、

  「中国は過去の教訓から、私の本の翻訳も含め、
  対日報復法案つぶしに貢献したジャパン・ロビーの活動を
  徹底的に研究してきた」

  「ジャパン・ロビーは
  ワシントンの一流のコンサルタント会社と契約を結んでおり、
  もちろん政治献金もするが、すべて合法的に展開している」

  「逆にチャイナ・ロビーは
  中国系米国人を献金マシンにして裏のロビイストを使う」

と述べています。


90年代後半におけるこの献金疑惑は
その真実の一端を露呈したにすぎず、
全ては闇に葬られてしまいました。

あれから10年の歳月を経て
中国の対米ロビー活動は彼らの軍事費の伸びと同じく、
より活発化しているものと思われます。

世界の覇権国家である米国。
その米国の大統領と議会、さらに世論に対して仕掛けられる工作は
成功すれば世界秩序そのものを揺るがすものとなります。



関連資料リンク

中国の「核」が世界を制す 伊藤 貫 (著)


関連過去記事

チャイナロビー:中国の対米工作の実態 その1
 ・・クリントン政権の献金疑惑

「慰安婦問題」とチャイナ・ロビー その2
 ・・ユダヤ・ロビーの実例

「慰安婦問題」とチャイナ・ロビー

中国諜報機関とコックス報告書





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チャイナロビー:中国の対米工作の実態 その1・・クリントン政権の献金疑惑


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先日の記事で
米国政界への中国のロビー工作の例として
クリントン政権時の献金問題について少しだけ触れました。

「慰安婦問題」とチャイナ・ロビー

反響もそれなりにあったようで
メールで質問などもいただきましたので、
あの問題に関して詳細に載せてみようと思います。

二期続いた米国のクリントン政権ですが
クリントン大統領の政治資金には
中国政府からの違法献金が流入していました。

この問題は当時、米国議会で大問題になったのですが
司法省を握る政権側の捜査妨害、
また、折から浮上した大統領のモニカルインスキー嬢との不適切な関係、
さらに米国民のクリントン人気もあって
結果、この疑惑は闇に葬られ、うやむやのままに終わってしまいました。

以下、この経緯について
当時の産経新聞と読売新聞の報道と
伊藤貫氏の「中国の核が世界を制す」という本を
資料にして書いてみます。


1996年、クリントン政権発足時における
ある政治献金が問題となりました。

当時、米国では「ホワイトウォーター疑惑」が話題になっており
クリントン大統領のアーカンソー州知事時代の汚職疑惑が
世論の関心をあつめていました。

その捜査の過程で、大統領及び米民主党が
インドネシアの財閥から違法な献金を受けていたとの疑惑が浮上し、
大統領自身もこれを認めました。

当初、米世論は
ただのインドネシア企業の違法献金程度の認識でしたが、
この問題を取り上げたワシントンポスト紙の取材とFBIによる捜査、
さらに米議会の追及が進むにつれ、
意外な事実が明らかになっていきます。

それによると1992年の大統領選当時、
クリントンと米民主党は
インドネシアの華僑系財閥「リッポー・グループ」から
多額の献金を受け取りました。

このリッポ・グループの在米代表であったジョン・ファンは
財閥の豊富な資金を使ってクリントンに取り入り、
クリントンの大統領当選後は
その功績により、商務省の副次官補に抜擢されます。

副次官補という地位は
国家機密にアクセスできる権限を持っているため、
事前にFBIなどにより身上調査が行われるのですが、
ファンに対してはヒラリー夫人の圧力により、
身上調査は行われずじまいでした。

ファンは中国本土に生まれ、台湾で育ち、
米国に移住後の76年に米国籍を取得しました。
インドネシアの財閥リッポ・グループの在米代表となり、
92年ごろからクリントンへの献金活動を活発に行うようになります。

リッポ・グループの二代目総帥のジェームズ・リアディは
70年代からのアーカンソー州でのビジネスを通じて、
クリントン氏と密接な関係にありました。
リアディ一族は本拠をインドネシアに置いてますが、
みな中国系で中国本土での大規模な経済活動に関与してきました。

97年7月の米議会の公聴会では、
CIAのジョン・ディッカーソン氏が
当時、副次官補のファンの求めに応じて
37回にわたってアジア関連の極秘情報を
閲覧させたことを証言しました。
ディッカーソンはファンが
商務省の中国担当官であると思っていたとのこと。

しかし、ファンの上司だった、
前商務副長官ジェフリー・ガーテンによると、
ファンの職掌が管理部門担当であり、中国担当ではないこと、
ファンが何度も中国大使館を訪問したり、
中国大使館員からの電話を受けていたとのこと。

この公聴会では、リッポー財閥に詳しい、
国際通商専門家のトーマス・ハンプソン氏が
リッポー財閥と中国政府のつながりが濃いことを証言しました。

実は、リッポ・グループへの大口出資者に
「チャイナ・リソース」という会社がありましたが、
ここは中国人民解放軍総参謀部第2部が所有していました。
ちなみに総参謀部第2部とは
国家安全部と並ぶ中国の諜報機関です。

この総参謀部第2部とリッポ・グループが
それぞれ50%ずつ出資して作ったのが香港チャイナ銀行で、
ファンは80年代にこの銀行の副頭取となっています。

ファンは副次官補として1年半あまり働いた後、
クリントンの求めに応じて、商務省を辞め、
96年の大統領選に向けて民主党の財政副委員長になり、
選挙資金の担当係となりました。

結果的に、ファンの民主党及びクリントンへの献金実績は
4百万ドル(約4億8千万円)以上にのぼり、
そのほとんどが出所の不確かな違法献金と判断され、
後日、民主党が3百万ドルを返還しています。


さて、これらの疑惑の噴出に
議会では複数の調査会が設置され、
FBIの捜査も熱を帯びていきます。

米マスコミの中では
ワシントン・ポスト紙がこの問題の追及に熱心で
かつてウオーターゲート事件の調査報道で活躍した、
ベテランのボブ・ウッドワードなどを取材に投入しました。

その中でさらに
もう2人の中国系の人物が浮上してきます。

まず一人目は
アーカンソー州リトルロックで長年、中華料理店を開き、
クリントンの知己だった中国生まれのチャーリー・トリーです。

トリーはクリントンのセクハラ訴訟では
63万ドルもの巨額献金を行い、
米政界ではその名が知られていました。

ちなみに、この資金は
出所が不明という理由で受領が辞退されましたが、
トリーはそれと別個に
クリントン氏再選のための資金65万ドルを民主党全国大会に寄付して、
これまたその後に返却されています。

トリーはクリントン政権発足後、
ワシントンにビジネス・コンサルタント事務所を開き、
クリントンとのコネを利用して
中国の政府や軍の関連企業のために
米側との取引を支援する業務を始めました。

1996年2月、トーリーは、
ホワイトハウス内で開かれたパーティーに
中国政府直属の大企業「中国国際信託投資公司」の会長である、
王軍氏を招待するよう取り計らい、クリントンと面会させました。

実は王は、
中国の代表的な軍需産業「中国保利集団公司」会長でもあり、
この会社は人民解放軍の直営企業です。
さらに王は、中国の国家副主席だった故王震氏の息子でした。

この三ヶ月後、「保利科学技術公司」は
米国へ中国製AK47小銃2千丁を密輸しようして
同社の幹部数人が逮捕されています。

2人目はカリフォルニア在住の中国系米人のジョニー・チュンで
大口の献金をクリントに対して行い、
2年ほどの間にホワイトハウスを50回以上も訪問しています。

彼は米国内の中国系企業のコンサルタントであり、
98年3月に詐欺と脱税で起訴され(おそらく別件逮捕でしょうが)、
FBIに対してクリントンへの献金と
その背後の中国コネクションについて詳しく供述しました。

その内容は恐るべきもので、

◇96年6月、チュンは
 中国人民解放軍傘下の企業「中国航天国際公司」の役員で
 解放軍中佐の女性、劉朝英氏から
 民主党選挙資金用として約30万ドルの秘密献金を受け取った。

◇劉朝英氏は中国共産党中央委政治局常務委員や
 中央軍事委副主席などを務めた劉華清氏の娘で、
 この資金は中国軍情報機関から出たとチュンに告げた。

◇チュンはこの資金のうち
 約10万ドルを民主党全国委員会に違法献金、
 見返りに九六年七月、劉朝英氏を米国に招き、
 クリントンを囲む会合に出席させ、同氏と並んだ写真を撮った。

と、チュンは証言しました。

ここに至って米国世論は騒然となり、
米議会はこの疑惑を解明するために独立検査官の任命を求め、
クリントン政権は窮地に追い込まれていきます。

しかし、事態はこれだけにとどまらず、
一層の進展を見せ始めます。

米国の国家機密である航空宇宙技術が中国に流失し、
それにクリントンと中国の政治工作が関わっていたとの疑惑が
浮上してきたからです。


     <続く>



関連資料リンク

中国の「核」が世界を制す 伊藤 貫 (著)


関連過去記事

「慰安婦問題」とチャイナ・ロビー その2
 ・・ユダヤ・ロビーの実例

「慰安婦問題」とチャイナ・ロビー

中国諜報機関とコックス報告書





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ネットと選挙戦術・・米国と韓国の事情


  cnn.hillary.jpg


今日は短めに書きます。

まずは先月末のニュースからどうぞ。


米大統領選 ネット選挙戦、到来?
  ヒラリー流戦術、対話にフル活用

 2008年米大統領選に向け始動した、
 ヒラリー・クリントン上院議員(民主)が、
 テレビや新聞など既存のメディアを使わず、
 インターネットを出馬表明の場に選んだことが、話題を呼んでいる。
 27日にはアイオワ州入りし、
 いよいよ遊説を開始したクリントン氏だが、
 長く選挙戦の行方を左右する、
 重要なメディアとして君臨してきたテレビに代わり、
 インターネットがその座につくかどうか。
 今回の選挙は、「ネット政治」の本格的な幕開けとなりそうだ。

 ジョン・エドワーズ元上院議員、
 バラク・オバマ上院議員が相次いで大統領選への出馬表明を行った後、
 クリントン氏の出馬表明に全米のメディアの注目が集まっていた。
 しかしクリントン氏は結局、
 記者会見や集会などの従来の形ではなく、
 自らのウェブサイトを使い、
 ビデオ声明を流す形で20日、出馬表明を行った。

 サイト上、赤いスーツ姿で登場したクリントン氏は
 「あなた(YOU)と会話を始める」と切り出した。
 米タイム誌が2006年の「今年の人」に選び、
 流行語ともなった「あなた」、
 つまりインターネットを介して発言し、
 行動を始めた個々の人々を強く意識したメッセージだった。

 同氏は引き続いて3日連続で、
 支持者からの質問に答える「対話集会」をネット上で開催。
 さらに、「ヤフー・アンサーズ」
 (質問を投稿し、不特定多数からの回答を得るウェブサイト)に、
 同氏の長年のテーマである医療保険改革について
 「医療改革のために米国は
 何をしなければならないと思いますか」と投稿し、
 約3万7000件の回答を集めた。

 AP通信によると、こうした一連の作戦で、
 すでに約15万人がウェブサイト経由で
 支持者として登録したという。

 エドワーズ、オバマ両氏ももちろん、
 インターネットに出馬のメッセージを流すなど、
 ネットへの対応には気を配っている。
 しかし、クリントン氏の場合、
 思い切って従来のメディアへの対応を切りつめ、
 ネット最優先の姿勢を示す。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルはこうした戦略を、
 「大統領選での新たな、そして最も重要な戦場の一つ、
 “インターネット予備選”で成功を収めた」と評価している。

 米歴代の指導者は、
 いかにメディアを制するかに多大な努力を払う。
 フランクリン・ルーズベルト大統領は、
 「炉辺談話」と題した毎週のラジオ演説で国民の支持を獲得、
 1960年のケネディ大統領の当選を決定づけたのは
 テレビ討論会の印象だった。
 米国政治におけるインターネット戦略は、
 1990年代末から始まったとされ、
 04年大統領選では、民主党予備選に立候補した、
 ハワード・ディーン元バーモント州知事が、
 ブログ活用やネット経由での資金集めで
 一時旋風を巻き起こしている。

   (産経新聞)


ネットと政治の関係に関しては私は前々から興味を持ってまして、
何度か過去記事でも書いたことがあります。

米国:幻の構想「政策分析市場」・・実にWEB2.0的ではあるまいか?

ユーチューブが選挙を左右する!?・・米国の最新選挙事情

韓国:盧武鉉のネット操作と世論誘導
 ・・「ポータルは政権に掌握された」


上記ニュース中でも
2004年の米大統領選挙において
民主党予備選でハワード・ディーン候補が
ネットを駆使した選挙戦術を取ったことが触れられてますが、
ディーンの手法はあくまでも
サイトとメールを使って選挙資金と選挙ボランティアを
かき集めることに主眼をおいたものでした。

その意味では、2004年時点では
ネットは選挙戦術を補完するツールの一つに過ぎませんでした。

しかし、2008年の大統領選挙は違うと言われています。
もはや一部の新しい物好きが行う選挙戦術でも何でもなく、
選挙の主力兵器そのものになるでしょうね。

米国メディアは
「2008年はYouTube選挙の年になる」と予測しています。

動画を主体とし、サイト上の動画にて自らの主張を伝え、
また、対立候補へのネガティブ攻撃も
動画にて行うという手法です。

ヒラリー以外でも、同じ民主党のオバマなども
積極的にネットと動画を駆使しており、
自身の選挙用のSNSもすでに立ち上げています。

まあ、ここらへんの選挙事情は
日本とは全く違いますね。
日本政界はネットの選挙利用に関しては
かなり保守的ですから。
それが良いのか悪いのかは別問題ですが・・。


さて、米国と並んで
ネットが選挙に強大な影響を与えているのが韓国です。

現在の盧武鉉大統領の大統領選での勝利は
ネットのおかげといっても過言ではありません。
選挙戦術にネットを駆使しつつ、彼は大統領の座を射止めました。

盧武鉉政権:誕生前夜 その2・・ネットと選挙(前編)

盧武鉉政権:誕生前夜 その3・・ネットと選挙(後編)

その韓国も今年末に大統領選挙が行われる予定で
各候補者は早くもネット上でしのぎを削っています。

韓国でも主力兵器はやはり動画です。
韓国ではネット上の動画はUCCと呼ばれています。
User Created Contents(使用者製作コンテンツ)の略です。

韓国では動画サイトが大流行しており、
YouTubeのような投稿サイトも多く、
その中でも「パンドラTV」というサイトが人気です。

ちなみに、このパンドラTVには
ネットのことになると鋭い盧武鉉が
「希望チャンネル」という大統領公式動画コーナーを開き、
記者会見や公務の様子を撮影した映像を流しています。

この画像が「希望チャンネル」ですね。

    nomu.jpg


ノム氏はこういうとこは無駄に敏感な男ですから(笑)

先月下旬、ソウル市内で
「UCCを活用した第17代大統領選挙戦略説明会」が開かれ、
各大統領候補の選挙参謀や
各党の選挙関係者が多数つめかけました。

その説明会では動画サイト運営会社により、
以下のような講義が行われたそうです。

  「人の悪口を言ったり、
  駐車違反している場面が撮られたら10万票マイナス」

  「公の場で居眠りする場面は致命的。
  数百万人のユーザーが携帯とデジカメで
  あなたの活動を動画に収めてサイトにアップするだろう」

  「今度の大統領選挙は、
  一言でUCC選挙といっても過言ではない」

各選挙参謀達は熱心に聞き入っていたそうですね。


さて、米国と韓国の
選挙とネット事情について簡略に書いてきました。

今年末の韓国大統領選挙。
そして米国の大統領選挙。
いかなる「ネット・ウォーズ」が展開されるのか、
興味津々で観測していきたいと思っています。



関連資料リンク

米大統領選:ネット戦略を進化させる両陣営

FPN:大統領選における各候補者のインターネット戦略

韓国で動画投稿サイトが大ブーム・スター誕生&大統領も投稿


関連過去記事

中国:ウィキペディアの規制解除とその思惑

米国:幻の構想「政策分析市場」・・実にWEB2.0的ではあるまいか?

ユーチューブが選挙を左右する!?・・米国の最新選挙事情

中国政府:ネット上の動画も規制へ・・動画は「金盾」の盲点か?

政府:情報ポッドキャストの配信開始・・内容次第だね

韓国:盧武鉉のネット操作と世論誘導
 ・・「ポータルは政権に掌握された」










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イラク:米兵の戦死傷数に関する興味深い統計

なんだかんだ言いつつ、年末年始は忙しくて
おかげでまたもや更新が遅れてしまいました。

ノロウイルスを口実に
酒席のお誘いを断ろうかと思ってたのですが
なかなか難しいものです。
思惑通りにはいきませんでした (^^;)


さて、興味深いニュースがあったので載せておきます。


医療技術で、イラクの死亡兵は予想を下回る 米国

 イラク駐留米軍では、これまでに、
 2001年9月11日の同時多発テロ事件による死者数を上回る、
 3000人近い死者を出した。
 とはいうものの、応急処置の迅速化と医療の向上により、
 これまでの戦争と比較すると生存率は格段に上がり、
 3000人は「予想をはるかに下回る」数字であるという。

 米国防総省(Pentagon)の統計では、
 イラク駐留米軍の死者1人につき負傷者7人以上が出ている計算となる。

 政府説明責任局が6月に発表した報告書には、
 「負傷がもとで死亡する確率は、第2次大戦時には30%であったが、
 アフガニスタンとイランにおける戦闘では、
 医療の向上により、3%にまで低下した。
 しかしながら外傷性脳損傷や手足を失うなど、
 重い障害を負って帰国する人は多い」とある。

 装備や軍事車両の高性能化、空中査察の徹底化も、
 米軍の死傷者数の減少に貢献している。
 イラク戦争は「モチベーションが高く、
 高度に武装した集団を相手にしたベトナム戦争や朝鮮戦争」とは
 性質が違うということも、背景にある。
 イラクの武装勢力は、
 道路わきに仕掛けられた爆弾などの簡易爆発物と
 遠隔操作の迫撃砲を唯一の「武器」として、米軍に対峙している。

 国防総省の統計(9日時点)によると、
 米兵の累計負傷者数は、簡易爆発物によるものが1万1233人。
 迫撃砲やロケット弾によるものが1969人。
 銃弾によるものが1358人。
 落下物に当たったり銃弾の跳ね返りを受けたことに起因したもの、
 爆音による難聴といった副次的な負傷は、1579人にのぼる。
 連合軍による空爆の際に負傷した米兵も663人を数え、
 死者は5人にのぼっている。
 軍用機の墜落事故による負傷者は39人、死者は76人。
 一方で、パラシュート事故、交通事故、
 手榴弾などによる負傷者は比較的少ない。

 統計は、「若い兵士の犠牲者が多く、
 幹部の犠牲者が少ない」というもう1つの真実も
 浮かび上がらせてくれる。
 2日の時点で、22歳以下の負傷者は6704人。
 負傷者の半数以上は24歳以下であるという。
 また、一般兵士の負傷者が1万3800人を超えているのに対し、
 下士官の負傷者は6980人、
 幹部に至ってはわずか1269人にとどまっている。

 人種的に見ると、
 負傷者の75%にあたる1万5807人が白人となっており、
 黒人は1806人、ヒスパニックは1328人である。

 性別では、負傷者の圧倒的大半が男性だが、
 女性の負傷者も434人を数えている。

   (AFP)


ついにイラクでの米兵の戦死者が3千名近くに達しました。

上記ニュースを見ていると
これでも医療の進歩で戦死者の数は抑えられているとのこと。

確かに第二次大戦並みの戦死率であれば
2倍程度に達しているのではないでしょうか。
今、映画で話題になっている硫黄島での戦いでは
戦死傷者2万8600名のうち、
戦死者は6千800名でした。

また、負傷者の内訳が興味深く、
簡易爆発物によるものが最大の1万千名であり、
中国やソ連から武器供与を受けたベトコンや
北ベトナム軍と戦ったベトナム戦争に比べると
戦い自体はさほど苛烈とは言えないのではないかと思います。

それは士官や下士官の負傷率にも表れていて、
一般兵士に比べると幹部の負傷率が少なめであり、
これは散発的な戦闘がほとんどで
全軍をあげての激闘というパターンがあまり無いからでしょうね。

また、相手がよく訓練された軍隊ならば
間違いなく幹部を狙撃してくるでしょうから。

これを見ていて思うのですが、
案外、駐留米軍が現在の3倍程度の兵力があれば
あっさり反米ゲリラの跳梁は
押さえ込めたのではないかと思います。
もっともそれは短期的な話しであり、
10年単位の長期では難しいとは思いますが。

「ローマ人の物語」を書いた作家の塩野七生さんが
マスコミとのインタービューで、

  米国は覇権を維持する覚悟もなく、資格も無い

と言ってましたが、
確かに3千名程度の死者で「撤兵するか否か」とオタオタし、
イラクという一方面の戦争だけで財政的に逼迫する米国は、
世界の覇者たる気概と力量を欠いてると言わざるを得ません。








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米国:信教の自由とキリスト教精神・・イスラム教徒が聖書で宣誓?

イスラム教徒初の下院議員、コーラン手に宣誓表明
 米で議論沸騰

 イスラム教徒が米国の下院議員の就任宣誓で、
 キリスト教の聖書ではなく、
 イスラム教の聖典コーランを手に宣誓することは許されるのか。
 
 11月の米中間選挙で、
 イスラム教徒として史上初めて下院議員に当選した、
 民主党のキース・エリソン氏(43)=中西部ミネソタ州選出=が、
 来年1月に予定される宣誓の際、
 コーランを手に宣誓すると表明し、全米に波紋を広げている。
 憲法で保障された信教の自由か、
 それともキリスト教を中心とする、
 米国の伝統を尊重すべきかで議論が沸騰している。

 1日付の米紙USA TODAYなどによると、
 エリソン氏は来年1月4日に予定される就任式で伝統的な聖書を拒み、
 「コーランを手に宣誓する」と宣言した。
 これに対し、ウェッブサイト
 「Townhall.com」上のコラムで、
 保守系コメンテーターのデニス・プレガー氏が
 「米国の伝統を傷つける」
 「聖書で宣誓できないのなら、下院議員を務めるべきでない」
 と猛反発した。
 プレガー氏の批判をきっかけに、
 このサイトには約800通のコメントが寄せられ、
 賛否両論の議論が繰り広げられる事態となった。
 
 保守系のブロガーは「米国はキリスト教国だ」
 「イスラム教徒は最近、過大な影響力を持ち始めている」として
 コーランでの宣誓を批判。
 一方、「米国は政教分離だ」
 「信教の自由は憲法で保障されている」といった擁護論も展開された。
 プレガー氏のコラムが掲載されて以来、
 ミネソタ州のエリソン氏の事務所には、
 議員辞職を求めるなど数百通の抗議の電子メールが殺到したという。
 
 しかし、エリソン氏側は
 宣誓でコーランを携える初の議員になると主張。
 「憲法はどの聖典を手に就任宣誓することも認めている。
 これは信教の自由の問題だ」と反論している。
 一方、プレガー氏は、自分はユダヤ人だとしたうえで、
 「米国の長い歴史上、
 新約聖書を認めることができないユダヤ教徒でさえ、
 公職に就く際には、(キリスト教の)聖書で宣誓してきた」と主張。
 そのうえで、プレガー氏は、エリソン氏が言うように、
 誰もが自分の好きな聖典を選んで宣誓ができるのなら、
 人種差別主義者が議員に選ばれた場合、
 ナチス・ドイツの“バイブル”であった、
 アドルフ・ヒトラー総統(1889~1945年)の著書、
 「わが闘争」で宣誓することを認めることになってしまうと反論した。

   (iza!)


この論争は非常に興味深いですね。

イスラム系の議員氏はコーランで宣誓しようとし、
これに反対する保守系コラム氏は
「あくまでも聖書で宣誓せよ」と言う。
いかにも多民族国家の米国らしい問題です。

さて、このニュースは日本人の記者が書いた記事だけに

  「憲法で保障された信教の自由か」
  
  「それともキリスト教を中心とする、
  米国の伝統を尊重すべきか」

という2つの対立軸で内容を構成してますが、
私はもう一つ別な観点があると思います。
それは、

  イスラム教徒がキリスト教の聖書を用いて宣誓した場合、
  それは本当に「宣誓」になりうるのか?

ということです。

自分の信じてないものにかけて誓ったことが
「宣誓」として意味があるのか?ってことです。
おおらかな宗教的態度を取る日本人には
こういう発想はとっつきづらいかもしれませんが・・。

本論に入る前に歴史上のエピソードを書いておきます。

江戸時代に幕府はキリスト教を禁止しており、
隠れキリスタンを弾圧していました。
見つかると牢屋にぶち込まれ、改宗を迫られるわけですが、
その際に転向に同意した者に幕府や各藩は誓約をさせました。

  私は「デウス(キリスト教の神)」を信じないことを誓います。

その他に聖書を踏ませる(踏み絵)などして
本当に内心から改宗したのか否かの確認をとったわけですが、
この誓約の時に幕府や藩の役人達が困ったのは
「何にかけて誓わせるのか?」ということです。

即ち、たとえばキリスタンから仏教徒に改宗する場合、
普通に考えるならば、

  仏陀にかけて改宗を誓います。

となります。

本当に心から仏教に改宗した人はこれでいいのですが、
問題は改宗したと偽り、
実は内面ではキリスト教の信仰を持ち続けている人の場合です。

この偽改宗者が

  仏陀にかけて改宗を誓います。

と言ったところで、宣誓にならないわけです。
何故なら、彼は仏陀を信じてないわけで
自分の信じないものに掛けて誓ったことなど、
彼の内面的倫理からみれば誓約の名に値しません。
破ったところで彼の倫理感は痛まないわけです。

ここらへん日本人的宗教観から見れば
実に小難しい話しなのですが、
そこで幕府や諸藩が考え出した宣誓方法は、

  私はデウスにかけて
  デウスを信じないことを誓います。

というものでした。

なんと珍妙な言い方でしょう。
一見、言葉自体が矛盾してるじゃないかと思えます。

これを本当に改宗した人に言わせたところで
本人はもはやデウスを信じてないので
あまり誓約としては意味がないわけですが、
それは幕府や諸藩も重々承知していました。

問題は偽りの改宗を宣言した人で、
この人物に、

  私はデウスにかけて
  デウスを信じないことを誓います。

と言わせようとすると、
この人物が真面目な信者であればあるほど、
内面の倫理的葛藤が大きくなるわけです。

  デウスにかけてデウスを信じません。

熱心で純な信者ほどこのセリフが言えず、
言葉に詰まるわけです。

で、そこで役人達は
「お前は心から改宗しとらんじゃないか!」と言い、
再び牢屋にぶち込むわけです。

これは江戸時代に実際に行っていた、
ある意味、珍妙な宣誓方法です。
しかし、論理的帰結としてこれ以外になかったわけです。


さて、話しを現代に戻します。

この江戸期のエピソードから
上記のニュースを見ると、実に興味深いものがあります。

ニュース中の保守系コラム氏は
このイスラム系の議員に対して、

 「米国の伝統を傷つける」
 
 「聖書で宣誓できないのなら、下院議員を務めるべきでない」

と猛反発したそうですが、
彼の言い分も理解できます。

確かに米国の国家理念及び国民性は
キリスト教精神によって形成されており、
その国の議員がコーランに基づき宣誓するということは
伝統と国家理念から見て許容しがたいものがあります。

しかし、この保守系氏の迂闊なことは

  聖書にて宣誓せよ

と言っていることです。

これはすでに見てきたとおり、
宣誓として意味を成さないわけです。

さらに、保守系氏は

 自分はユダヤ人だとしたうえで
 「米国の長い歴史上、
 新約聖書を認めることができないユダヤ教徒でさえ、
 公職に就く際には、聖書で宣誓してきた」と主張。

とありますが、
これはユダヤ系議員は
長い間、無効な宣誓をし続けてきたということで
それ自体が問題じゃないかと思うんですがね。

おそらく米国の国会議員の誓約というものは、

  国家に対して忠誠を誓い、職責を貫徹します

こういう類の内容なのでしょうが、
本来、自らの是とする宗教や倫理基準にてらして誓わせないと、
その宣誓自体が意味がないということになるわけです。


日本においても国会議員も宣誓してますし、
裁判などでも「真実を述べる」という意味で宣誓しています。
これを破れば偽証罪ということになるわけですが、
では、日本人は何に対して「宣誓」しているのでしょうか?

たいていの日本人は
それが仏教徒であれ、神道の徒であれ、
「釈迦に誓って」とか「天照大神に誓って」という発想はありません。

日本人の場合、意識的にしろ無意識にしろ、
たいていが「自らの良心」にかけて誓っているわけです。
これが普通の日本人の宣誓のあり方だと思います。

しかし、これはキリスト教圏やイスラム教圏の人間には
理解しがたいことなのです。

  自らの良心?
  そんなあやふやなものに誓ったところで
  それが誓約になりえるのか?

彼らにとっての誓約とは
神などの絶対的存在に誓ってこそ
「誓約」たりえるのであって、
相対的存在である人間の良心に誓うという発想は
とても信じがたいことだと思います。

まあ、どっち良いか悪いかとか、
どっちが優れているかということではなくて、
かくも日本人と彼らでは発想の機軸が違うということですね。


この米国でのイスラム系議員の宣誓問題には
模範解答などありません。

あっちを立てればこっちが立たずで
国家理念としてのキリスト教精神を立てれば信教の自由に反し、
信教の自由を優先すれば国家理念に抵触します。
また、キリスト教精神を前面に押し出して
非キリスト教徒に聖書にかけて誓わせようとすると、
これは宣誓行為として無意味になります。

まあ、セレモニーと割り切ってやるなら別ですが、
「誓約」ということで
一定の精神性なり規範性を付加するならば、
当人が最も信じ、
最も精神的に依拠するものに対して誓わせなければ、
意味がありません。

問題の根源は
キリスト教精神で培われてきた国家に
「信教の自由」という近代的理念の増築をしてるからで、
ここから問題の全てが発生しています。

キリスト教という原木と、信教の自由という接木が
互いに最も相矛盾している箇所が
この議員の宣誓という問題として表れているわけです。

それは米国のみならず、
同じキリスト教圏の欧州でも
イスラム系の移民の増加などで同じ悩みを抱えており、
また、イスラム圏の国家も
本来のイスラム教の理念と
近代国家としての欧米的価値観の狭間で苦悶しています。

これの解決策は
キリスト教、イスラム教のみならず、
全ての価値観を包含・統合しうる理念を新たに創造するか、
はたまた世界が日本のように
寛容な宗教的態度と「自らの良心」に重きを置く、
価値観に転換するかのどちらかです。

即ち、より高次な思想体系の創出か、
世界が日本化するかのどちらかということになります。

まあ、どちらも難しい道ではありますが・・。



関連過去記事

米国とイスラエル・・ユダヤ系ロビーとキリスト教福音派








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米民主党の躍進と「オバママニア」・・愛読メルマガから

私の愛読メルマガの中から
最近、興味深かった記事を4つ載っけておきます。

まずは「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」の第1627号から。


◆ブッシュ政権、民主党との政策協調へ転換。
 もっとも慌てたのは中国だった
 ちかく米国は対中国経済政策を大転換の可能性

 ヘンリー・ポールソン財務長官が、
 バーナンキFRB議長以下、多くの閣僚を伴い、
 来月北京を訪問するという緊急のスケジュールが浮上したが、
 これは、米国の対中政策転換の兆しと、
 『ヘラルド・トリビューン』紙(11月24日付け)が
 大きく伝えている。

 表向きの対中貿易交渉での要求は
 (1)貿易不均衡是正、
 (2)為替政策とくに人民元切り上げ要請、くわえて
 (3)海賊版、著作権の取り締まり強化とされる。

 ブッシュ政権は中間選挙敗北後、
 ただちにペロシ次期下院議長を
 ホワイトハウスに呼んで昼飯をともにし、
 協調路線を訴える一方で、
 タカ派のラムズフェルド国防長官を更迭した。
 これでイラク政策が転換するのは時間の問題になった。

 後任のゲイツ新国防長官は、CIA人脈。
 パパ・ブッシュに近く、その背後には共和党穏健派、
 というより親中派がひかえる。
 スコウクロフト、ベーカー等々。

 さてペロシ女史は、ジェンダー・フリーとフェミニズムの過激派。
 とびぬけて左翼的で、カリフォルニアの特定地域選出。
 したがってこういう左翼過激派が当選してくるのだが、
 日本でいえば辻元清美が
 衆議院議長になったような異常事態なのである。

 ヒューマニズムの観点からペロシは、
 過去にも激しく中国の非民主的政治姿勢を問題視してきた。
 彼女が次期米国連邦議会下院を率いる以上、
 これまでのように大甘な中国政策は許されまい。
 民主化、ヒューマニズム、臓器密輸、死刑などの問題で
 米議会と中国はより対決的になるだろう。

 中間選挙結果に慌てたのは日本ではなく、中国である。
 喜んだのは、じつは台湾。
 台湾のマスメディアや与野党を問わず、
 民主党の勝利に歓迎の論調だった。
 (ちょうど筆者は中間選挙に日に台湾にいた)。

 こうした米国の政治潮流の変化をとらえ、
 ポールソンが経済使節団を組織化して北京へ向かう。
 これで大幅な北京からの譲歩がなかったならば、
 つぎに「シューマー・グラハム法案」の
 最上程もありうる(前掲ヘラルド紙)。
 
 実際にシューマー上院議員(NY選出、民主党)は
 「廃案となった前の法案(中国からの輸入品すべてに
 27・5%の報復関税をかける)にかわって、
 新しい法案を用意したい」と語っている。


私はステレオタイプの理解で
民主党躍進は中国にとって有利と考えていたけど、
意外にそうでもなさそうですね。

まあ、確かに
米民主党は「自由」や「人権」などの理念をこねくり回す政党だし、
逆に共和党は伝統的に現実主義の政党で、
最近のネオコンの伸張がむしろ例外だったくらいで。

台湾の論調が民主党の勝利を歓迎というのも
正直、予想外でした。
私は民主党の躍進は

  ヒラリー・クリントンの大統領戦勝利
       ↓
  中国に大甘な政策を取る

こういう図式で見ていたので
これは意外な内容ですね。

もっと複眼的に情勢を見ないといけないということか・・。


次に、その米大統領選絡みで
JMMの「No.402 Extra Edition」から。


◆バラク・オバマ現象
 From Kramer's Cafe in Washington DC Vol.46

 中間選挙キャンペーンで
 一躍その名を全米に知らしめたバラク・オバマ上院議員は
 若干45歳、上院議員歴僅か2年にして、
 2008年の大統領選挙の民主党有力候補として
 ヒラリー・クリントン上院議員と肩を並べるようになった。
 雑誌の表紙を飾り、オペラ・ウインフリーや
 ラリー・キングのトーク番組や政治番組でも引っ張りだこだ。
 「オバママニア」と呼ばれるおっかけまでいて、
 とにかくロックスターさながらのすごい人気なのだ。

 なぜそんなに人気があるのか。
 ケニア人の父とカンザス生まれの白人の母をもつオバマ氏は
 確かに細身でハンサムしかもエレガントだ。
 米国法曹界の最高峰ハーバード大学法律大学院在学中は
 黒人としては数少ない学内法律論文雑誌の編集長も務めた秀才だが、
 インテリ特有の傲慢さはなくさわやかな笑顔と
 自身の生い立ちをアメリカンドリームと重ねる演説で聴衆を魅了する。
 
 ブームの最初のきっかけは
 ボストンで行われた2004年民主党党大会での演説だ。
 その演説以来ファンになったという20歳の女子学生は
 彼の出ている雑誌は全て購入し「彼は私にとって
 (大統領になるかもしれない)希望の星」だという。

 甘いルックスだけでなく筆も立つ。
 最新の著作「The Audacity of Hope」も
 ニューヨークタイムズ紙のノンフィクション分野で
 ベストセラーとなった。
 主要各誌は著作にちりばめられた知性に感嘆し、
 リベラリズムの現実的側面や道徳的観念を再認識させたことや、
 オバマ氏の一貫した謙虚な姿勢を大絶賛。


JMMの場合、
あんまり長々と引用しちゃうと怒られそうなので
ほどほどにしておきますが、
以後、オバマの出身や育った環境、
その思想形成の背景などを書いています。

ハワイ出身で、
ケニア留学生だった父とハワイに勉強に来ていた母のもとで生まれ、

  人種や民族が入り混じった、
  ハワイという特殊な環境で育ったことが
  オバマ少年の性格形成に多大な影響を与えたようだ。

  自分が米国本土の黒人との違和感、
  つまり、ワイキキの中流家庭に育ち
  ケニア人学者の父を持った彼は、
  ハーレムやデトロイトで育った同胞とは
  違うと感じていたという。

こういう黒人としては
珍しい幼少環境にあったようですね。

その後、弁護士として
キリスト教系の貧困に苦しむ黒人たちに助けを差し伸べる、
NPOのコミュニティグループで働き、
やがて政治家への転身を果たしたそうです。

もの凄い文才と演説の才能の持ち主であることが書かれており、

  2004年当時の大統領候補ジョン・ケリー氏が
  民主党党大会でスピーチをしてくれないかと頼んだことで
  民主党内部でも注目されはじめ、
  流れるような演説で一夜にしてセンセーションを巻き起こした。

  このころから「オバママニア」という言葉が生まれ、
  希望や夢をこれほど早く実現した人はいないとして、
  2005年タイム誌は
  世界で最も影響力のある100人の1人として選んだほどだ。

「オバママニア」なんて言葉も出来てるそうです。

私は民主党の大統領候補として
ヒラリーが絶対有利と思っていたのですが、
この人は案外、台風の目になりそうな雲行きです。


三つ目は、全然話題が変わって電気自動車の話しです。
萬晩報の11月28日号から。


 Who killed the Electric Carという、
 興味深いドキュメンタリー映画が昨年、アメリカで制作され、
 今年上映された。
 制作はソニー・ピクチャーだからマイナーではない。
 最近、DVDが発売されているから日本でも観られるようになった。

 1990年代、環境問題から
 電気自動車にスポットライトが当てられた時期があった。
 トヨタはRV車のRAV4に
 電気自動車バージョンを開発し、発売した。
 同じころGMもまた
 EV1という電気自動車スポーツカーを売り出した。
 環境問題に取り組む自動車メーカーの本気が伝わっていた。

 電気自動車が出現した背景には、
 アメリカのカリフォルニア州の深刻な環境問題があった。
 1990年、州政府は州内で自動車を販売しているメーカーに対して、
 2003年までに年間販売台数の10%を無公害車、
 つまりZero Emission car(排ガスゼロの車)とするよう、
 義務付ける州法を制定した。
 メーカーが本気にならざるを得なかったのはそうした事情があった。

 そんな環境が一変したのがブッシュ政権の誕生だった。
 電気自動車に対する熱気は失せ、
 カリフォルニアのくだんの州法も廃止されてしまった。
 それよりも多くの期待を担ってきた電気自動車そのものも
 道路から姿を消してしまったのだ。

 やがてEV1はGM自身の手ですべてリコールされ、
 事実上、公道から姿を消した。
 車はリサイクルどころか廃車処分となり、次々と野積みにされた。
 2003年のことだった。

 Who killed the Electric Carという映画は
 そんなアメリカの事情をドキュメンタリーで描いたものである。
 映画は関係者に対する多くのインタビューを通じて
 だれがEV1に引導を渡したのか、
 何が原因だったのかを迫っていく。
 アメリカ政府、GM,石油業界などが容疑者として登場するが、
 映画自身は答を出していない。


そういえば電気自動車って脚光を浴びていたのに
最近では全然ニュースで見ませんね。

あれの問題点は充電ステーションの普及だと思ってましたが、
結局、官の側が本腰を入れないと普及は難しいでしょう。

また、メルマガを読む限りでは
米国の場合、積極的に
電気自動車を葬り去ろうという勢力がいたようです。

まあ、現ブッシュ政権は
米国の石油産業の利益代表の側面がありますから、
さもありなんという感じです。
京都議定書にも調印しなかったしね。


最後に、ニッケイ新聞の228号から。
「ニッケイ」と言っても「日経」じゃありません。
ブラジルの日系人コミニュティの新聞です。

PCC(州都第一コマンド)という、
ブラジル・サンパウロ州の最強・最悪の犯罪軍団の内幕について
このニッケイ新聞はよく取り上げているのですが、
その中の女性部隊に関するニュースです。


◆PCCが女性軍団結成=男顔負けの戦士として暗躍

 聖州(サンパウロ州)最大の犯罪組織、
 州都第一コマンド(PCC)の組織内に女性軍団が結成され、
 少なくとも十八人の幹部が存在することが、
 聖州保安局の調べで明らかになった。
 
 女性軍団の誕生は国内犯罪史上初めてのことで、
 彼女らは州都第一女子第一コマンドと呼ばれている。
 これによりPCCは未成年による予備軍も含め、
 幅広い層の党員を抱えていることになる。

 これら十八人の女子幹部は、
 男子幹部あるいは将軍と呼ばれる最高幹部から「洗礼」を受けた者で、
 一般組織内にも顔が知られて一目置かれている。
 洗礼を受ける際には男子党員同様に、
 PCCの十六カ条の掟に誓約し、
 違反した場合は除名処分になるほか、
 裏切り行為は男子と同じ制裁が待ち受けている。死だ。
 
 女子幹部は市内の訓練所で
 機関銃や自動小銃の狙撃の訓練を受けて
 重火器の扱いは手慣れたもので、
 留置所を襲撃して仲間を奪回したり、警察署襲撃に加わるなど、
 男勝りの女戦闘士として暗躍している。
 洗礼を受けた上司の承認の下に、
 一般党員に命令を下す権利も与えられている。

 女子幹部の中には麻薬取締法違反で逮捕されて
 刑務所暮しをしているのが数名いる。
 彼女らは刑務所内でパイロット(統制)の役割を果している。
 PCCでは同性愛を禁止しているので、これを監視すること、
 PCCにタテつく受刑者に制裁を加えること、
 時によっては暴動を煽動するなどが役目。
 聖州内には九八二四人の女子受刑者がおり、
 PCCがそれを統轄しているのが現状だ。

 いっぽうで市内での女子幹部は、
 麻薬売買とくに経理を担当している。
 さらに仲間の家族への医療補助や遺族への
 生活補助の役目を担っている。


なんだかもの凄い現実です。

このPCCってのは
「州都第一コマンド」でググってもらえば分かりますが、
ブラジルのサンパウロやリオデジャネイロなどで暗躍する犯罪組織で、
その巨大な組織構成は、ほとんど政府機構を越えています。

犯罪だけでなく、構成員の家族の相互扶助や
構成員の子弟の教育までも行っており、
一大コミニュティを形成しています。

今年の5月などは
PCCが刑務所で大規模な暴動を起こすと共に
軍隊や警察署・消防署・裁判所などを機関銃や手榴弾などで襲撃し、
パトカーや刑事なども狙撃するという前代未聞の事件を起こしました。
ここまでくると単なる犯罪組織というより軍隊に近いです。

ブラジルという国家の過酷な裏面です。



宮崎正弘の国際ニュース・早読み

JMM

萬晩報

BRASIL NEWS:ニッケイ新聞







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ラムズフェルド米国防長官の退任・・米軍改革の功罪

米国防長官:イラク占領「うまくいかなかった」講演で語る

 辞任が決まったラムズフェルド米国防長官は9日、
 カンザス州の同州立大学で講演し、イラクでの米軍の活動について
 「(03年3月からの)大規模戦闘はすばらしい成功を収めたが、
 (占領からの)第2段階では
 十分にうまくかつ迅速にはいかなかったのは明らかだ」と述べ、
 戦略や戦術が十分に機能しなかったことを認めた。
 
 長官は、宗派間抗争やイスラム過激派同士の対立によって
 「状況はさらに複雑化した」と指摘。
 「米国は陸海空軍を持たず、
 闇にまぎれて作戦を実施する凶暴な武装勢力と
 初めて対峙した」と述べ、
 対応に苦慮していることを明らかにした。
 
   (毎日新聞)


2003年5月1日、ブッシュ大統領は、
空母エイブラハム・リンカーンの艦上で

  「イラクにおける主要な戦闘活動は終了した。
  この戦闘で米国と同盟諸国は勝利を収めた」

と高らかに宣言しました。

歴史の中で時として起こる喜劇のような一コマですが、
今思えば、あれは何だったんだろうと思いますね。

さて、ラム長官がとうとう辞任しました。
事実上の更迭です。

私のラムズフェルド評は

  軍政家としては一流、政治家としては三流

というものです。

以下、解説します。


ドナルド・ラムズフェルド。
1932年生まれ。
海軍に入隊してパイロットになった後、政治家に転身。
1975年からフォード大統領の下で国防長官となる。
77年から民間に戻り、民間企業の重役などを務める。

ブッシュ政権下で再び国防長官となり、
世界規模の米軍再編を行う。
イラク戦争では積極的に侵攻賛成の立場を取り、
少数の兵力のみで
戦争の勝利と戦後統治は可能とブッシュに進言した。

いざ開戦後、米軍は鮮やかな快進撃を行い
戦争にはパーフェクトで勝利しました。
しかし、占領統治後のゲリラ戦は泥沼状態に陥り、
ラム長官もろともあえなく沈没してしまいました。

ラムズフェルドは米軍の再編と効率化を図り、
RMAによる少数精鋭の軍隊に仕立て上げましたが、
敵が通常の軍隊ならば無敵であった米軍も、
ゲリラ戦ではその神通力は発揮されず、
今も十数万の兵力がイラクで苦闘を続けています。

この十数万という兵力規模が
イラクのような国家においては過小であったことは明らかで、
これはラムズフェルドの責任ですね。

開戦直前の2003年2月、
エリック・シンセキ米陸軍参謀総長は議会の公聴会で、

  イラクの戦後処理には「数十万人」の米軍部隊が必要

と見解を述べ、
これに激怒したラム長官が
シンセキを退任に追い込むという一幕がありました。

このシンセキ参謀総長はハワイ出身の日系人で
日系として初めて大将に昇進した人物です。
また、ラム長官と同じく米軍の改革を推し進めていた人で、
あの米陸軍の「ストライカー旅団(SBCT)」は
この人の発案によるものです。

ただし、軍の改革に関しても
このシンセキのような軍の将官と
文官であるラムズフェルドでは温度差があり、
ラムズフェルドはとかく急進的で
少数精鋭の効率化された軍隊を目指していました。

ラムズフェルドは略歴を見ての通り、
民間企業に勤めていた時期が長く、
企業経営の手法を軍政に持ち込もうとしました。

即ち、効率化、省力化、経済効率。
贅肉をそぎ落とし、無駄を一切省く。
余剰機能と人員をバッサリ削減する。

確かに企業と軍隊は
共に一定の目的を追求する機能組織であることから、
共通する要素も数多くあります。
ビジネス書は軍隊運営の参考に使えますし、
逆に、兵書が経営者に好まれたりします。

しかし、企業と軍隊では全く異なる部分が3つあります。
一つは軍隊は利益を生み出さず、
もう一つは軍事作戦の失敗は死を意味し、
最後に軍隊とは企業以上にプロフェッショナルの集団であり、
一旦削減してしまうと急には元には戻せないということです。

ラムズフェルドが最も嫌った「余剰」の部分こそが、
ある意味、軍隊にとって最も重要な部分であり、
戦争につきものの不確定要素が出現した際に
これに対応する余裕を与えてくれるものなのです。

一定の余剰こそが、ある一つのシステムが機能しない時に、
別のシステムが確実に取って代われる余裕を生み、
即座に代替の行動が取れるようになります。

企業経営のように経済効率のみを追求すれば、
事前に想定した環境下においては
素晴らしい能力を発揮するでしょうが、
別な想定外な環境や状況が出現した場合、
これに対応する余裕が無くなります。

つまり「環境特化」が行き過ぎると、
別な環境下では全く役に立たなくなるわけです。

数百キロ離れた場所から
航空機やミサイルで敵をピンポイントで攻撃し、
極力人的損耗を避けることは得意な米軍が、
都市のゲリラ戦の泥沼に引きずり込まれれば、
その神通力は発揮できず、
必要なのは電子兵装のチップではなく、
小銃と汗と血と、そして兵数となります。

数万年前の地球に「サーベルタイガー」という動物がいました。
その名前の如く巨大なサーベルのような牙をもった肉食獣で、
大きな牙でマンモスやゾウなどの
大型の動きの鈍い動物を襲っていました。

その大きな牙と発達した顎は
動きの鈍い大型動物を襲うのに適してましたが、
逆に敏捷性に欠けていました。

やがて、気候の変動により獲物となる大型の動物が減少し、
変わって足の速い小型の動物が増え始め、
彼の武器である大きな牙は欠点へと変わっていきます。

結局、自然の淘汰作用で
獲物を狩れないこの特異な肉食獣は滅びていくわけですが、
これなどは「環境特化」の一例です。

一定の状況・環境に特化しすぎると
別な状況化では全く役に立たなくなる。
これは身近な日常生活の道具などもそうですね。
特化品と汎用品の違いです。

同じことが、個人の才能・特性や組織形態にも言えるわけで、
このラムズフェルドの軍改革は
あまりにも効率を重視し、余剰機能と人員を削減したために、
正規軍相手に抜群の破壊力を発揮する米軍も
想定外の環境が出現すると対応能力を失うわけです。

おそらく人件費を脇に置いても
米軍とは世界一金のかかっている軍隊でしょう。
その軍隊が二束三文の装備しかもたぬ、
イラクのゲリラ相手に手こずっているわけで、
ラムズフェルド的効率思考から言えば、
投資に見合わない馬鹿げた結果ということになります。

むしろコストの高い電子兵装を減らしてでも
人員を増やし、兵の防弾チョッキや
兵員輸送車の薄い装甲を厚くした方が、
ことゲリラ戦では効果が大きかったでしょうね。


ただし、私は思うのですが、
このラムズフェルドの軍改革とイラク戦の結果は
彼個人の能力に全ての責任を負わせるのは酷な気がします。

もっと根元的に考えるならば、
これは米国の国家戦略と
現実の間にひずみがあるのです。

つまり、米国の国力が退潮傾向にあり、
財政も膨大な赤字を抱える中で、
その軍隊は戦後一貫して
世界秩序の維持を担わされていることに問題の根本があります。

世界の秩序維持という米国の国家戦略から見れば、
ラムズフェルドの軍改革は無茶な内容だと思います。
効率化とは言え、軍の兵数をバッサリ削り、
再編と少数精鋭の名の下で縮小させたわけですから。
これは軍の高官達もそのような目で見ていると思います。

しかし、米国の国力や財政規模から考えると、
縮小・再編を行わざるを得ない台所事情があるわけです。

このギャップですね。
壮大な国家戦略と赤字財政のギャップ。
世界の秩序・覇権維持と国力衰退のギャップ。

このギャップの中で
ラムズフェルドは知恵をしぼらなければいけなかったわけで、
まあ、同情の余地はあると思います。
少ない元手で大きな目標を負わされたわけですから。

これは歴史の大きな観点から見るならば、
過渡期の国家の一コマです。
過渡期の国家の理念と現実のギャップを負わされた、
一人の軍政家・政治家のワンシーンです。

そのギャップの中で彼はとにもかくにも
敵の正規軍相手には無敵に近い軍隊を作り上げたわけで、
これは評価していいと思います。

しかし、効率化を重視するあまりに人員と機能を削りすぎ
特定環境に特化させすぎたわけで、
この「環境特化軍隊」を
別種の環境が待ち受けていると想定できずに
侵攻作戦を行ってしまったことは彼の不明によるものです。

よって、軍政家として一流、政治家として三流。
これが私のラムズフェルド評です。





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米国:幻の構想「政策分析市場」・・実にWEB2.0的ではあるまいか?

今さらながら、
梅田望夫さんの「ウェブ進化論」を読みました。
ゾクゾクするほどの快感を覚えましたが、
この本の後半に「予測市場」なる概念が出てきます。

これは未来の事象を予測して
その結果を先物取引するという人工市場です。

「ウェブ進化論」では以下のように書いています。

  もともと市場メカニズムには
  不確実な将来事象の期待値を
  現時点の価格に置き換える機能が内包されている。
  事実、市場の動向はものごとの将来をよく当てる。

  ならば、ありとあらゆる未来の重要テーマについて
  ネット上で人工市場をつくればいいじゃないか。
  これが予測市場の考え方である。

そして、これの具体例として
米国の「アイオワ電子市場」なる、
仮想市場プロジェクトがでてきます。
米アイオワ大学が研究目的・非営利で運営しているもので
当局の許可を得て現実の通貨で取引が行われています。

この市場では各種の未来予測を取引していますが
2004年の米大統領選の結果予測も取引の対象となりました。

正式には「2004年米大統領選先物市場」といいまして、
多くのトレーダーが「未来予測」を
あれこれと金銭目的で先物取引した結果、
驚く無かれ、ブッシュの僅差での勝利を
この市場ではピタリと正確に予想したそうですね。

さて、前置きが長くなりましたが、
私はこの「予測市場」の部分を読んだ時、
数年前の2つのニュースを思い出しました。


米国防総省、将来のテロ攻撃などについて
 賭け金を集める市場を構想

 ワシントン発米上院軍事委員会のジョン・ワーナー委員長は、
 米国防総省がテロリスト攻撃の予測を推進するために、
 いわば予測の先物市場を設立する計画について、
 これを破棄することになると明らかにした。

 バージニア州選出の
 上院議員(共和党)でもあるワーナー委員長は、
 このプログラムを監督する国防総省の
 国防高等研究計画庁(DARPA)の
 トニー・テザー長官と電話で会見した結果、
 「これは中止するべきだということで、双方が同意した」
 と述べている。

 ほとんど表沙汰にされてこなかった国防総省の計画は、
 将来のテロリスト攻撃や
 特定の指導者に対する暗殺の起こる可能性について、
 投機家がインターネット上から賭ける方式の
 先物取引市場を設置する構想だった。
 同計画を促進するためのウェブサイトは、
 すでに運用を開始していた。

 2名の民主党上院議員によって
 この計画が明るみにされた28日、
 国防総省は、実行される可能性のあるテロの計画について
 情報を入手する新しい方法だと弁明した。

 「残虐行為とテロリズムに関する、
 連邦政府公認の賭博場というアイディアは馬鹿げており、
 グロテスクだ」と28日に計画を明かした議員の1人、
 ロン・ワイデン上院議員(オレゴン州選出、民主党)は語った。

 このプログラムは
 『政策分析市場』(Policy Analysis Market)と呼ばれている。
 DARPAでは、
 「テロリストの攻撃を防止するためにできる限り幅広く、
 新しい諸方法を調査する」研究努力の一環だと説明している。

 トレーダーは、
 ちょうどエネルギー資源を扱うトレーダーが
 現在や将来の原油価格に値を付けるように
 先物契約を売買するはずだった。
 しかしこの場合の先物契約は、
 たとえば、経済、市民および軍の行動、
 あるいはテロリストによる攻撃のような
 特定の出来事といった条件を考慮して、
 中東で何が起きるかという予想シナリオに基づくものなのだ。

 自分の予想が実際に起きた場合、
 その先物契約をしていた投機家は、
 市場に賭け金を出していたが予測が外れたトレーダーから
 上がりを集める仕組みになるはずだった。

 28日に同市場のウェブページに掲載されていた図では、
 先物取引の例として、パレスチナ自治政府の指導者、
 ヤセル・アラファト議長が暗殺される可能性と、
 ヨルダンのアブドラ2世が国王の座を追われる可能性という、
 架空のシナリオが掲載されていた。
 ウェブサイトでは、このプロジェクトの市場は
 中東とすると謳っていたにもかかわらず、
 北朝鮮によるミサイル攻撃の可能性を示す図も含まれていた。

 ドーガン上院議員は問題の市場について、
 「信じられないほど愚劣だ」と述べている。

 「米国の政治界の要人の暗殺や、
 あれやこれやの組織を転覆させるといった筋書きに賭け金を張る
 ……そんな賭博場を他の国が開設して
 人々に賭を勧めることなど、想像できるだろうか?」

 しかし28日の声明でDARPAは、
 市場が「分散していた情報や、
 さらには隠されていた情報さえも」
 明らかにする可能性があると述べていた。
 「選挙結果を予想するような
 場合における先物市場の優秀性は証明されている。
 専門家の意見よりも優れている場合もしばしばある」

 政策分析市場のウェブサイトは、
 投資家がどれほどの金額を市場に投じるか明らかにしていないが、
 「利益を得る可能性と、損失の痛手」があるため、
 アナリストたちは正確な予測を立てるよう、
 動機づけられるはずだとしている。

 取引は10月1日に開始が予定されていた。
 市場は当初、トレーダーを1000人と限定し、
 来年の1月1日までには少なくとも1万人に増やす見込みだった。

   (WIRED NEWS 2003/07/29)


賭け金を集める「政府運営の政策分析市場」、支持派が反論

 テロ攻撃の予想に役立つとして
 先物取引市場を設立するという計画が物議を醸し、
 米上院が計画を破棄させたことに対し、
 29日(米国時間)、批判の意見が出はじめた。

 ロン・ワイデン上院議員をはじめとする議員たちは、
 米国防総省の『政策分析市場』(PAM)プロジェクトを
 「グロテスク」だと感じたかもしれない。
 しかしこの「アイディア市場」を支持する側は、
 計画の即時中止は、米国の情報機関から、
 正確に将来の出来事を予測することで
 定評のあるツールを奪いとることになると主張している。

 政策分析市場を発案したのは、
 プライバシーを踏みにじると悪名の高かった、
 『テロ情報認知』(TIA)データベースを編み出した頭脳集団、
 DARPAの情報認知局(IAO)だった。
 この事実は、テロに関する先物取引市場を開くという、
 試みに対する反感を、さらに高めた。

 しかし、このプロジェクトを支持する側からの指摘によると、
 機密情報の収集活動とは、多くの場合厄介なもので、
 いかがわしい人物に金を渡したり、
 敵対する可能性のある人物を排除したりすることもあるという。
 アイディアを取引対象とする先物市場というコンセプトを
 ごく初期のころから支持しており、
 PAMプロジェクトにも関わっているロビン・ハンソン氏は、
 先物市場というと響きはよくないかもしれないが、
 このコンセプトには倫理を犠牲にする行為を
 強いられる要素は何もないと述べる。
 これは人々の叡智を結集するための、
 1つの方法にすぎないというのだ。

 「われわれは諜報活動のために
 さまざまなことを行なっているが、
 これはその中でもいちばん良心の呵責が少ない方法だ。
 よからぬことを教えてもらうために人々に金を払う。
 諜報活動のプロセスとは、本来そういうものだ」
 とハンソン氏は説明する。

 また、取引市場を開くほうが
 密告者に金を払うよりも高い効果を得られる可能性がある。

 取引市場は、
 「誰一人として答えがわからない場合情報が、
 異なった知識基盤を持つ多数の人々に分散している場合には、
 非常に的確に出来事を予想できる傾向がある」と
 アイオワ大学のジョイス・バーグ教授は述べている。
 バーグ教授は、PAMプロジェクトの作成に協力した。
 「市場は、このように分散した情報を統合することにかけては、
 非常に優秀だということが判明している」

 また、ハンソン氏によると、
 市場は、第一級の識者にも不可能な方法で、
 特定の主題に関する情報を持った人々を
 集めることもできるという。

 「その題材について知識はあるが、
 発言の資格がない人たちを集められる。
 (中東内の)地域に実際に住んでいる人たちの意見も集る」
 とハンソン氏。

 また、市場は政策に関する論議と比較して
 「空回りする傾向が少ない」とハンソン氏は指摘し、
 「人々が口にすることではなく、
 実際に考えている情報が手に入る」と語っている。

 それでも、上院議員たちは懸念を寄せている。
 中東での事件に関する金融市場を作ることで、
 テロリスト本人が自分に賭け金を出して、
 自身が行なった攻撃から
 利益を手にする可能性が出てくるというのだ。

 上院では少数派である民主党のリーダー、
 トム・ダシュル上院議員(サウスダコタ州選出、民主党)は、
 数人の同僚議員の感情を代弁して、
 PAMを「テロ行為の実行を誘発するものだ」と糾弾した。

 しかし市場専門家のペノック氏によれば、
 これは全くの誤りだという。

 「テロリストが(攻撃に金を投資する)
 行為に出るという事実そのものが、
 手の内を見せることになる」とペノック氏。
 テロリストが金を投じれば、先物価格は上昇する。
 その事実が指導者たちに
 テロ攻撃の可能性を警告することになる。

 「市場によって、他の手段では知り得ない、
 何かが起きそうだという予兆がわかる」とペノック氏。

 PAMシステムには問題もあると、ペノック氏は認めている。
 市場は、あらかじめ想定したアイディアに対してしか
 賭けられない仕組みになっている。
 誰も思い付かなかったようなテロの計画は、
 実行に移されない限りPAMの取引の場には登場しない。
 したがって、2001年9月11日の同時多発テロ攻撃で
 飛行機をミサイルとして使うというアルカイダの手口を、
 この市場のトレーダーが予測できた可能性は低い。

   (WIRED NEWS 2003/07/30)


今は更新が止まってしまったワイアードニュースが
2日連続で報道したこの記事を読んだ時の驚きは
今でもハッキリと覚えています。

「政策分析市場(PAM)」。
なんという破天荒な発想でしょうか。
これを考えた人は大したやつだと思いました。

その大したやつとは、
米国防省内の一角で怪しげな兵器やプロジェクトを考案している、
国防高等研究計画庁という組織で、
通称「DARPA(ダーパ)」と呼ばれています。

知る人ぞ知る組織で
わりと兵器マニアなんかは知ってる人が多いと思います。
米軍の未来戦兵器などを続々と生み出してる部署ですから。

また、この組織はITの歴史の中にも登場します。
即ち、インターネットの元祖である、
「アーパネット」を作ったのは、
このDARPAの前身の米高等研究計画局「ARPA」です。

さて、この「政策分析市場」ですが、
上記の「予測市場」と発想は全く同じで
要は「未来予測」を市場取引の材料にしようという試みで、
衆知を集めることで、
結果的に精緻な予測結果がはじき出せるだろうというのが眼目です。

これに対する肯定的意見を
ニュース中からピックアップすると、

  市場が、分散していた情報や、
  さらには隠されていた情報さえも
  明らかにする可能性がある。

  選挙結果を予想するような場合における、
  先物市場の優秀性は証明されている。
  専門家の意見よりも優れている場合もしばしばある。

  「利益を得る可能性と、損失の痛手」があるため、
  アナリストたちは正確な予測を立てるよう、
  動機づけられるはず。

  誰一人として答えがわからない場合情報が、
  異なった知識基盤を持つ多数の人々に分散している場合には、
  非常に的確に出来事を予想できる傾向がある。

  市場は、このように分散した情報を
  統合することにかけては非常に優秀だ。

  市場は、第一級の識者にも不可能な方法で、
  特定の主題に関する情報を持った人々を
  集めることもできる。

  その題材について知識はあるが、
  発言の資格がない人たちを集められる。
  (中東内の)地域に実際に住んでいる人たちの意見も集る。

  市場は政策に関する論議と比較して
  空回りする傾向が少ない。
  人々が口にすることではなく、
  実際に考えている情報が手に入る。

  市場によって、他の手段では知り得ない、
  何かが起きそうだという予兆がわかる。



う~ん、無茶苦茶面白そうですね!

この構想、政治的にも面白い試みですが、
それ以上に、WEB2.0的な意味で興味が湧きますね。

以下、「ウェブ進化論」から引用。

  果たして世の中の誰が
  「正しく判断する能力」を持つのか。
  誰がどのように重要な意思決定をすべきなのか。

  「個」が十分に分散していて
  しかも多様性と独立性が担保されているとき、
  そんな無数の「個」の意見を
  集約するシステムがうまくできれば、
  集団としての価値判断のほうが正しくなる可能性がある。

  米国が圧倒的に進んでいるのは、
  インターネットが持つ、
  「不特定多数無限大に向けての開放性」を大前提に、
  その「善」の部分や「清」の部分を
  自動抽出するにはどうすればいいかという視点で、
  理論研究や技術開発や新事業創造が
  実に活発に行われているところなのだ。


結局、この「政策分析市場」構想は
米上院の猛反対、
「倫理にもとる」という非難で潰れてしまいました。

しかし、はたしてこれが実現していれば
その後の米国の国策はどうなったのでしょうか?
倫理的な問題を除外するならば
一考の価値がある構想ではないでしょうか?



ウェブ進化論:本当の大変化はこれから始まる





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ユーチューブが選挙を左右する!?・・米国の最新選挙事情

ユーチューブ 米選挙戦の新たなツールに

 11月の米中間選挙を控え、
 だれでも映像を投稿、閲覧できる動画サイト、
 「ユーチューブ」が選挙戦の強力な道具になりそうだとして、
 注目を集めている。
 ユーチューブは米国のインターネットサイト。
 これまでテレビCMなどを流す資金力がなかった候補でも、
 映像を駆使した選挙PRを流すことができる。
 CM費用の多寡が勝敗を左右してきただけに、
 各陣営も早急な対応を迫られている。
 
 ユーチューブのサイトで
 「ブッシュ」というキーワードで映像を検索すると、
 1万本を超えるビデオが表示される。
 また、ブッシュ大統領に対する立場や考え方を表明した上で
 ビデオを公開しているグループごとに、
 映像を検索することもできる。
 
 米紙クリスチャン・サイエンス・モニターは
 「政治家たちよ気をつけろ。
 あなた方はすでにユーチューブの世界に生きている」と題し、
 ユーチューブが政治にもたらす変化を指摘した。
 同紙によると、今月初めの民主党コネティカット州予備選で
 現職のリーバーマン上院議員を破ったレイモント氏の支持者は、
 候補者のちょっとした失敗やおかしなしぐさをビデオに撮り、
 ユーチューブに投稿し続けたという。
 同紙は「ユーチューブはすでに、
 選挙戦で欠くことのできない役割を果たしている」と述べている。

 米紙ワシントン・ポストも同様に、
 これまでの選挙戦では大々的なテレビ広告を打つことができる、
 資金力の有無が決定的な役割を果たしてきたのに対し、
 ユーチューブには誰もが映像を投稿できることから、
 「今後、ごく一般的な市民が
 選挙戦の主導権を握る可能性がある」と指摘した。
 
 選挙におけるインターネットの影響力については、
 2000年の大統領予備選でマケイン上院議員(共和党)が
 インターネットを通じて多額の選挙資金集めに成功したことなどから、
 注目を集めるようになった。
 2004年の選挙ではさまざまな人々が
 日記型のホームページに意見を書き込む「ブログ」が、
 世論形成に影響を与えているとして話題を呼んだ。
 
   (iza!)


このニュースは面白いなあ。

ニュース中の
「今月初めの民主党コネティカット州予備選」とは
8月8日に行われた、
米民主党のコネティカット州上院選候補を決める予備選挙。

米軍のイラク駐留継続を支持する現職候補が
無名の新人である実業家ネッド・レイモント氏に敗れ、
米国ではかなり話題となった。

この新人の武器となったのがインターネットで
「ムーブオン・ドット・オルグ」という市民団体の支援と
「デイリー・コス」という政治系ブログの応援。

まず、この「ムーブオン・ドット・オルグ」ですが、
民主党左派を支援している市民団体で
「反ブッシュ」の活動家の巣窟となっている。
会員は三百万人。
ほとんどメールのみで会員間の連絡を行い、
まとまった集会などはほとんど行わない。

会員はメールで互いに議論し、戦略を練り、
個別に選挙区の各家庭を訪問して
支援候補の支持を訴え、献金を呼びかける。
この選挙の時は献金額は25万ドルも集まった。

つぎに「デイリー・コス」というブログですが、
リベラル派の2人の超有名ブロガーが運営しているブログで
毎日六十万のアクセスがあるとのこと。
う~ん、羨ましい(笑)

まあ、この2つのネット上の武器を使って
レイモント氏は選挙に勝ったわけですが、
ニュース中にもあるように
市民団体「ムーブオン・ドット・オルグ」は
この時、ユーチューブを積極的に活用し、
対立候補のネガティブな画像を投稿し続けた。
こいつが勝敗にかなり響いたとのこと。

ネットが世論に影響を及ぼし始めて久しいし、
最近ではブログも大きな武器となりつつある。
ここにきて「動画投稿」ですか。
動画は作りようによっては
一つの大きなメッセージの塊となるもんね。

日本の政治家もこの状況は注視した方がいいよ。
こういう選挙手法がいいか悪いかは別として、
数年遅れで、この米国の選挙事情は
日本の現実となるでしょう。



YouTube


関連過去記事

中国政府:ネット上の動画も規制へ・・動画は「金盾」の盲点か?




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米国とイスラエル・・ユダヤ系ロビーとキリスト教福音派

イスラエル軍が地上戦拡大=安保理の停戦決議直後-レバノン

 イスラエル軍は12日、レバノン南部での地上作戦を拡大した。
 国連安保理は11日に
 レバノンでの戦闘停止を求める決議を採択したばかりだが、
 イスラエル軍はイスラム教シーア派武装組織ヒズボラによる、
 イスラエル領内へのロケット攻撃を封じ込めるため、
 逆に攻撃強化に踏み切った。
 
 イスラエル軍はこれまで、レバノン南部のイスラエル国境から
 約6~8キロの範囲内に限定して地上部隊による作戦を続けていたが、
 12日は国境の北11キロの村などに兵を進めた。
 イスラエル政府は、軍が国境から約20キロ離れた、
 リタニ川周辺まで展開することを承認しており、
 部隊がさらに北上する可能性もある。
 
   (毎日新聞)


国連安保理が11日に
レバノンでの戦闘停止を求める決議を採択したばかりですが、
そんなことはお構いなしに
イスラエルは戦線を拡大しています。

この彼等のアグレッシブな態度には
驚きというか、興醒めというか、瞠目というか、
強烈な印象を受けてしまいますね。

さて、このイスラエルの行動に
ある意味、肩入れを行っているのが米国で
今や「イスラエルVSヒズボラ」は
「米国VSイラン」の代理戦争の様相すら見せ始めました。

何故、米国はあそこまでイスラエルに肩入れするのか?
そこには「旧約の民」に対する「新約の民」の
愛憎入り交じった微妙な感情もあるのでしょう。

私は子供の頃、
ロサンゼルスオリンピックの開会式をテレビで見て、
イスラエル代表団が入場した時の
あの嵐のような会場の大歓声を今でも覚えています。

わずか十数人の貧相で有名選手などいないイスラエル選手団に
米国民は自国の選手団と同レベルぐらいの
熱狂的な歓声を浴びせていました。

子供心に
「これはいったい何なんだろう?」とも思いましたし、
両国が心情的に他国とは全く異質な関係にあることが
直感的に理解できました。

この「旧約の民」に対する米国民の心情以外にも
米国が政治的にイスラエルを擁護する理由は2つあります。
これはもっと現実的な理由ですが、

1,ユダヤ系ロビー団体の影響力

2,キリスト教福音派の影響力

この2つですね。

両方とも解説文を書くのが面倒くさいので(笑)、
他メルマガから部分的に引用させていただきます。

まず、「JMM」の386号から。


◇「米国議会とイスラエルロビー」

 ブッシュ政権は、
 停戦を許せばイスラム軍事組織ヒズボラが再編成され
 イスラエルが将来的な攻撃にさらされると早期停戦を拒否してきた。
 これはイスラエルのオルメト首相らが主張する、
 ヒズボラを撃退しテロを根絶しイスラエルを守るために
 爆撃は必要であるという立場とほぼ変わらない。
 米国の過剰なイスラエル擁護は国際社会から疑問視されているが、
 米国議会ではイスラエルロビーを敵に回せば
 政治資金ばかりか選挙で落とされかねない、
 切実な議員の現状が背景にある。
 イスラエルロビーの影響力の大きさが
 実力以上にあると信じられていることで、
 米国国内のイスラエルに関する議論の幅は
 イスラエル国内のそれよりさらに狭いといわれている。

 イスラエルロビーとは
 ユダヤ系アメリカ人団体や選挙資金提供者、
 シンクタンクなどを含む一大勢力であり、
 イスラエルの国益を推進及び支持する目的の下に
 20世紀の後半50年間に急激に勢力を伸ばした。
 ロビイングが成功したためか、
 米国の直接対外援助の最大の受益国家はイスラエルであり、
 年間30億ドルあまりを受け取る。
 また米国はイスラエルをあらゆる面で特別待遇にする。
 例えば軍事問題であればNATO加盟国と同等に扱い、
 自由貿易であればカナダやメキシコと同じように待遇する。
 年間を通して米・イスラエルの
 共同戦略タスクフォースや会合などが頻繁に行われており、
 ホワイトハウスにはイスラエルが攻撃されれば
 米国が駆けつけて助けるという大統領の公約束が飾られているという。
 ロビイングが効を奏し世論も総じてイスラエルに同情的だ。
 今年2月のギャロップ調査によれば、
 イスラエルへの共感度が1991年湾岸戦争以来最高の59%を示し、
 一方パレスチナに対しての共感度は15%にとどまった。

 秋の中間選挙を視野に入れ、
 強力なイスラエルロビーを味方にしたい共和党及び民主党の議員達は、
 先を争ってイスラエルへの忠誠心を証明すべく、
 反テロ(=反ヒズボラ、反ハマス)を唱えている。
 「議員らのイスラエル支持はこれまでになく高い」というのは、
 主要イスラエルロビー団体のAIPAC
 (American Israel Public Affairs Committee)であり、
 上院・下院でロビイングを行っているAIPACの報道官は
 「最近の議会での活動は、開いているドアを押すくらい簡単だ」という。

 現在AIPACは200人のロビイスト・研究者等のスタッフを抱え、
 年間の予算は4700万ドル、
 草の根活動員は5年前の2倍の10万人となり、
 毎年リクルート活動は全米300の大学で行われているという。
 AIPACが強力な影響力を行使できる源泉となっているのは、
 議会でのロビイング活動もさることながら、
 巨大な草の根ネットワークの存在、
 そしてAIPACのアドバイスを仰ぐ数千の資金があることだ。

 伝統的にはユダヤ票は民主党で、
 現在でも主流は民主党支持である。
 それゆえ民主党の政策に最も影響力を与えるのが
 ユダヤ人社会といわれている。
 ユダヤ系有権者は国内問題の多くや社会問題について
 民主党に同調する。
 しかし、近年共和党もイスラエル支持を明言する議員が増え、
 キリスト教福音派はかつて反ユダヤともささやかれたが、
 今では共和党内で
 イスラエルとの結びつきを強める指導的勢力となっている。

 つまり現在の議会の情況は、
 共和党のラフッド議員が言うように
 「イスラエルが議会下院を制している」といっても過言ではない。
 「下院はイスラエルに著しく傾斜しており、
 それ以外のことは全て反対する。
 まるで津波にのまれるようだ」という。
 先週可決された決議案にも、もちろん一大ロビイングが展開された。

 7月25日火曜日、議会上院はイスラエル支持決議案を可決し、
 ヒズボラ、ハマス、シリア、そしてイランを非難し
 ブッシュ大統領に
 「引き続きイスラエルを全面的に支持するよう」要求。
 その中には停戦の言葉はなく、
 両党の指導者を含む61名の上院議員が連名で法案提出した。
 27日木曜日には議会下院が別に
 「イスラエルに対し無差別で非難すべき軍事攻撃を行った」
 ハマスとヒズボラを非難する決議案を可決。
 この中でイスラエルの自衛の権利を支持している。

   (JMM)


次に「世界キリスト教情報」の814号から。


◇米福音派指導者はブッシュ政権のイスラエル政策を支持

 レバノンのシーア派民兵組織『ヒズボラ』とイスラエル軍の戦闘は
 幼児など民間人まで巻き込んで激化している。
 イスラエルは即時停戦を明確に否定、
 レバノン国境への地上部隊増強も既に決定し、
 戦闘は泥沼化の様相だ。
 宗教団体も関心を強め、議論が盛んになっている。
 
 7月18、19の両日、福音派キリスト者3500人以上が、
 イスラエル支持のためにワシントンに集結した。
 「私たちはイスラエルのために主張するようイザヤに命令されている。
 イスラエルにあらゆる手段で応じる能力があって欲しい」と、
 テキサス州さんアントニオで会員1万8000人の
 メガチャーチを主宰するジョン・ハギー牧師は言う。
 
 20日に、米下院は対ヒズボラ交戦でイスラエルを支持し、
 その敵を非難する決議を410対8で採択した。
 圧倒的多数の賛成は、下院の与党共和党指導者ジョン・ベーナ議員が、
 イスラエルと米国の
 「独特な関係」によるものだと語ったことを反映している。
 
 米政府と福音派キリスト者の双方が、中東論議や紛争の際には、
 即座にイスラエルとその行動を支持する傾向がある。
 
   (世界キリスト教情報)


まず、ユダヤ系ロビー団体の話からいきますと、
上記の「AIPAC」の影響力は強烈です。

今年の3月でしたか、米国の超有名な学者、
シカゴ大のミアシェイマー教授と
ハーバード大のウォルト教授が
共同で「イスラエル・ロビー」という論文を発表しました。

The Israel Lobby

イスラエル批判論文がハーバード大から

ユダヤ系ロビー団体の影響力の強烈さと
その手の内を赤裸々にさらしたもので
こいつは大激震を巻き起こしました。

二人が著名な学者だったこともありますが、
それ以上に世間がおののいたのは

  ここまで真実を書いていいわけ?

ってことです。
米国社会のタブーをもろに発表しちゃったわけですね。

米国ではかなりの衝撃を与えましたが、
日本じゃ、ほとんど報じられませんでした。
徳間の「マルコポーロ」の後遺症でしょうか?
単なる見識不足でしょうか?

じっくり内容をみたい方はこちらをどうぞ。

ミアシャイマー等のイスラエルロビー批判論文の日本語訳


次に「キリスト教福音派」ですが、
これの影響力が米国内で増しています。

一言で言えば

  聖書の内容を一字一句信じてる人々

ってことになりますが、
意訳すると、

  ハルマゲドンとキリストの再臨を待望する人々

ってことです。

だから、そのためにはイスラエルには頑張ってもらわねばならず、
彼等が導火線になって中東に大戦乱が起きるのも必然だし、
そもそもイスラエル建国自体が
終末に至る神の計画どおり、という発想ですね。

で、この連中がブッシュ政権と共和党に対して
かなりの影響力を持っています。

まあ、日本人の感覚からいうと
米国のこの手のキリスト教事情ってのは
あまりにも理解しがたいものがありますが、
それが現実でございます。

きわめて寒い現実ですね。



関連メルマガ

JMM

世界キリスト教情報






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米国:テロ対策VS報道の自由・・テロ組織の資金ルート

テロとの戦いか報道自由か 米政権VSメディア激論

 ブッシュ米政権がテロ対策の一環として、
 国際金融取引情報を極秘に入手していたことをすっぱ抜いた米紙、
 ニューヨーク・タイムズの報道に対し、
 政権側が「テロとの戦いを困難にする恥ずべき行為だ」
 (ブッシュ大統領)と一斉に非難を浴びせ、
 議会の一部からは刑事訴追を求める声も上がる事態となっている。
 同紙は報道の公益性を盾に真っ向から反論、
 「国民の知る権利」と、「国民の安全」のどちらが
 優先されるべきかをめぐる論議が激化してきた。
 
 問題にされているのは米財務省などが
 2001年の米中枢同時テロ後、
 国際決済情報の交換組織「SWIFT」(本部・ベルギー)から
 金融取引情報を入手していたと伝えた23日付同紙報道だ。
 
 報道を受け記者会見した、
 リービー財務次官(テロ・金融犯罪担当)によれば、
 この措置は同時テロ2日後に大統領令で合法化され、
 SWIFTの金融取引情報を
 テロリストの所在や資金洗浄組織網の把握に使ってきた。
 世界7800の金融機関が参加するSWIFTでは、
 1日平均1100万件の決済情報が交換され、
 国際資金移動の80%以上の情報が集まる。
 同次官は「5年間で数十万件以上の
 資金移動について調べた」と述べた。
 
 SWIFT側は03年にプライバシー保護を理由に
 情報提供中止を申し入れたものの、
 米政府は情報入手継続の重要性を唱え押し切ったという。
 ウォールストリート・ジャーナル、
 ロサンゼルス・タイムズの両米紙も同様に報じ後追いした。
 
 こうした中、大統領は26日、記者団に対して、
 「テロリストが何をやろうとしているか突き止めるには
 資金の流れを追うことだ。
 同時テロに関する委員会も進言した」とし、
 それを妨害したとの観点から報道を批判した。
 
 スノー財務長官はニューヨーク・タイムズ紙側との間で
 掲載を見送るよう協議を重ねてきたことを明らかにしたうえで、
 「報道は米国民の安全に有害だ」と掲載を非難、
 「生きる権利より知る権利ばかりを書き立てている」と、
 非難の矛先を報道機関全体にも向けた。

   (産経新聞)


6月のニュースで恐縮ですが、
私、この件には個人的に興味津々なんですね。

というのは、いずれ本店ブログの方で
アルカイダについてじっくり書いてやろうと思っていて、
今、資料をいろいろ読んでいる最中なんですが、
この世界規模の広域テロ組織に関して一番関心がある部分が
「資金の出所」と「資金の流れ」なんです。

ある程度のことなら分かっています。
巷間言われているとおり、
サウジの富豪や西アフリカのダイヤモンド、
さらにイスラム圏から広くかき集める喜捨金、
これらが独自のネットワークを通じて
アルカイダのもとに流れ込んでます。

彼等はかなり金融知識に秀でてますから、
米国政府等に尻尾をつかまれないように
極秘の金融ネットワークを形成しています。

ちなみに、このアルカイダという組織は、
リーダーであるオサマ・ビン・ラディンが
サウジの富豪の出身で手広く事業をやっていたこともあり、
組織の形態やら戦略の発想がひどくあか抜けています。

たとえば、アルカイダの戦士というと
なんとなくイラクやアフガンで
もじゃもじゃの髭面にターバンを巻いて
カラシニコフの小銃でドンパチやってる男達を
思い浮かべてしまいますが、
それだけじゃないんですね。

彼等はITやネットの技術者や
金融のエキスパートをリクルートするのに熱心で、
現にそういう人材を多く抱えています。

ネットは、情報の収集や仲間への指示、
さらに世論攪乱や政府機関へのハッキングで
大いに効果を発揮しますし、
金融は、自分たちの資金のみならず、
ある意味、米国の脆弱なアキレス腱でありますから、
攻守両面使えるというわけです。

発想としては中国の「超限戦」の感覚に似てますね。
「敵の弱き部分を打て」という感じで、
ゲリラ戦の発想そのままです。

さて、上記ニュースですが、
この米国政府によるテロ資金ルート解明の動きを
ニューヨーク・タイムズがすっぱ抜いて
米国高官のみならず、共和党の大物達も大激怒しました。

さらに、この暴露記事が出た後に、
一人のイラク駐留米軍の中尉が
ニューヨーク・タイムズ紙に抗議の書簡を送り、
これが話題となりました。


 「もっと早くに手紙を書くべきでした。
  私は、合衆国陸軍の中尉です。
  この四日間、イラクの最も危険な地域を
  パトロールしてきました」

 「残念なことですが、ある夜遅く部下を監督していると、
  数マイル先で大きな爆発音が聞こえました。
  数時間後、道路脇に仕掛けられていた強力な爆弾で、
  百三十人の私の中隊の中の一人が死亡、
  一人が重傷を負ったことが分かりました。
  この爆弾を仕掛けたテロリストを見つけ、
  殺害するか、捕獲することを強く願っています」

 「ですが、当然ながら、これらテロリストは
  土の中から湧き出てくるわけではありません。
  迫撃砲、砲弾、起爆剤、配線や
  電気回路を入手するために資金が必要です。
  爆弾を設置する地元の住民を訓練したり、
  それに対して支払う数カ月分の給料に当たる資金も
  当然、必要となります」

 「あなた方は、公共のためになることを
  したと思っているかもしれません。
  しかし、あなた方のしたことによって、
  私の部下を含む全兵士、罪のないイラク人の命を
  危険にさらすことになるのです。
  聞き慣れた音ですが、また爆発音を聞けば、
  あなた方が、資金の動きを察知されないようにする方法を
  テロリストらに指南していなければ、
  この爆発は阻止できたかもしれないと思うでしょう」


この中尉の名前はトム・コットン。

コットン中尉はハーバード大学法科大学院の修了生で
9・11事件後、仕事を捨てて
テロリストと戦うために陸軍に志願したとのこと。

この中尉の抗議書簡の内容は他紙に掲載され、
大きな話題となりました。

ところが、ここから
コットン中尉の真偽を巡って喧々囂々の議論が起きました。
リベラル陣営からは
「コットンなる人物は存在しない」
「ハーバード大学を出て、陸軍に志願するやつなどいない」
などの非難と懐疑の声も出ていました。

しかし、米国陸軍は
コットン中尉が実在の人物であることを明らかにしました。
101空挺師団第506歩兵連隊の所属で
130人の部下を率い、
イラクの最前線でパトロール任務にあたっているとのこと。

そしてつい先日も、路肩爆弾によって部下を一人失い、
一人が重傷をおったばかりとのこと。

ニュースの題名にあるように
政府のテロ対策VS報道の自由、って感じですが、
私はこの場合にどっちが優先されるべきなのか、
現行法及び米国の国家理念に照らして
どっちが正しいのか、なんとも結論がでません。
判断は留保させていただきます。

う~ん、でも考えさせられますね。
政府の施策と言論の自由について。

自由主義国家においては
永遠のテーマなんでしょうけど。





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米軍、住民を射殺・・文明の発達とゲリラ戦

父親の命ごい無視し射殺 近所の住民が米紙に証言

 イラクに展開中の米海兵隊員が
 民間人24人を殺害した問題で、
 犠牲者の男性が英語で命ごいをするのを無視し、
 米兵が男性と妻子を殺していた疑いが強いことが
 28日までに、近所のイラク人住民の証言で分かった。
 
 昨年11月19日、
 バグダッド北西のハディーサで起きた事件を
 目撃した近所の住民によると、
 海兵隊員の乱入を受けた男性は、
 英語で「わたしは友だち。わたしは悪者ではない」と訴えたが、
 結局「彼も妻も娘らも殺された」という。
 殺されたこの男性の家からは
 1歳から14歳の女児5人の遺体が見つかった。

   (共同通信)


状況がかつてのベトナム戦争に似てきたね。
住民を射殺したこともそうだけど、
それ以上に、それが大々的にマスメディアによって
米国内と世界で報道され、
一層の政権非難と厭戦気分を引き起こす点が。

上記ニュースの内容が
果たして正しいのか誤報かは私にも分からない。
ただ、シビアな乾いた目で論評するならば、
文明の発達っていうのが
古来からのゲリラ戦においてどっちに得に働くのか?
「侵攻軍VSゲリラ勢力」のどちらの有利になるのか?

単純に、武器の発達や
電子技術の発達による情報収集能力の向上は、
数年前の米軍のアフガン侵攻戦に見られるように
侵攻軍側の有利に働いた。
技術の向上がゲリラの存在をあぶり出し、
ピンポイントで抹殺してしまう。

しかし、逆に、マスメディアの発達という要素が
そしてヒューマニズムの世界的浸透という要素が、
結果的にゲリラ側に有利に働く。

呵責にして非道なる侵攻軍が
銃撃を繰り広げ、爆撃で全てを吹き飛ばし、
人々の生活を焼き払ってしまう。

侵攻軍がゲリラ勢力に手を焼けば焼くほどに
上記ニュースのような悲劇は必ず起きる。
無辜の住民が射殺され、それをマスメディアが全世界に流し、
侵攻国は窮地に陥る。

ロシアでのチェチェン紛争なんかもそうで、
ゲリラ戦が残虐なものになればなるほどに
世界の同情はゲリラサイドに集まり、
「侵攻軍VSゲリラ勢力+世界世論」になってしまう。

最初の命題に戻るけど、
文明の発達っていうのが
古来からのゲリラ戦においてどっちに得に働くのか?
「侵攻軍VSゲリラ勢力」のどちらの有利になるのか?

技術の発達という意味では侵攻軍側。
「戦闘」においては侵攻軍の有利に働く。
逆に、マスメディアの発達という意味においてはゲリラ側。
「政略」の観点ではゲリラサイドに有利に働く。



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