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イスラエル:オルメルト政権が窮地に・・副首相の反旗と支持率低下


   オルメルト.jpg


オルメルト首相に辞任要求=リブニ副首相が反旗
 政権崩壊の危機-イスラエル


 イスラエルのリブニ筆頭副首相兼外相は2日、
 オルメルト首相と会談した後、記者会見し、
 同首相に辞任を求めたことを明らかにした。
 国民の高い人気を誇る政権ナンバー2が公然と反旗を翻した形で、
 オルメルト政権は1年前の発足以来最大の危機を迎えた。
 
 リブニ氏はこの中で、
 レバノン紛争で傷ついた国民の信頼回復を目指す立場から、
 自身が職を辞す考えはないことを強調。
 オルメルト首相辞任後は総選挙を行わず、
 第1与党カディマが引き続き政権運営に当たるべきだとし、
 「時期がくれば」カディマ党首の座を狙いたいとの考えを示した。
 
 一方、4月30日に公表された、
 レバノン紛争の対応を検討する政府調査委員会の暫定報告で、
 オルメルト首相と共に「重大な失敗を犯した」と断じられた、
 第2与党労働党の党首、ペレツ副首相兼国防相も
 辞任表明を検討しているとの情報が流れ始めた。
 
 リブニ氏は、昨夏のレバノン紛争以降は
 支持率低迷にあえいでいる同首相とは対照的に、
 イスラエル国内の世論調査で安定して高い人気を誇っている。
 「次期首相」の呼び声も高く、
 台頭を懸念する首相との確執が深まっていた。
 イスラエルでは「リブニ氏がこれに乗じ、
 倒閣に乗り出した」との見方が広がっている。  

   (時事通信)


オルメルト政権が窮地に追い込まれています。

4月30日、イスラエル政府の独立調査組織、
「ヴィノグラード調査委員会」が中間報告書を発表しました。

この「ヴィノグラード調査委員会」とは
2006年夏に起きたヒズボラとのレバノン紛争を検証する組織で
同紛争でのイスラエルの敗退ぶりに
ショックを受けた世論の後押しで作られました。
元裁判長のエリヤーフ・ヴィノグラードが委員長を務めています。

その発表された報告書の結論は、

◇戦闘の失敗の責任は
 オルメルト首相(中道右派・カディマ党首)、
 ペレツ国防相(中道左派・労働党党首)、
 ハルツ前軍参謀総長、の3人にある。

◇オルメルト首相は、
 戦闘の発端となったヒズボラによるイスラエル兵拉致への対応として
 包括的な計画がないままに国を戦争に導いた。
 また、軍事経験がないのに専門家に相談せず、
 詳細な軍事計画もないまま、拙速に判断した。

◇ペレツ国防相は、軍事に関する知識・経験が欠如していた。

◇ハルツ前参謀総長は、
 オルメルト、ペレツ両氏が軍事問題に経験がないことを知りつつ、
 (兵士拉致に)衝動的に対応した。
 また、軍の戦闘準備が整っていないことなどを
 国防相らに正しく伝えなかったとした。

というものでした。

中間報告書は
戦闘開始から最初の5日間に関するもので、
戦闘全体についての最終報告書は8月末に発表される予定です。

すでに支持率が急降下しているオルメルト首相にとっては、
この中間報告書の内容は打撃でしたが、
実は報告書が発表される前から
その内容が現政権にとって厳しいものであることは
報道などによって明らかにされていたので、
まあ、オルメルトにとっては
「織り込み済みの打撃」といった感じだったと思います。

中間報告書の発表後、オルメルトはテレビで声明を発表し、

  「非常に厳しい内容だ。
  意思決定者の間で失敗があり、私がそれを主導した」

と失敗を認めつつも、

  「私が(責任を取って)辞任するのは適当でなく、
  そうするつもりもない」

  「政府が(開戦などの)決定を下したのであり、
  過ちはこの政府が正す」

と辞任を拒否しました。

また、首相が党首を務める与党カディマは30日夜の会合で、
夏に予定される最終報告までは首相を支持する方向で一致しました。

しかし、世論はそれでは収まりません。

3日にはエルサレムやテルアビブで大規模な反政府デモ隊が起き、
急遽行われた3大紙の世論調査では
首相の辞任を69%が求め、
国防相への辞任要求は74%という結果になりました。

そして、冒頭のニュースにあるように
与党カディマのエース的存在であるリブニ副首相兼外相が
オルメルトに辞任を求め、倒閣に動き出しました。

リブニは女性で
国民に人気のある「次期首相候補」の一人です。
また、欧米諸国などに受けのいい政治家です。

レバノン紛争時は
軍事強硬路線を推し進めたオルメルトに対し、
リブニは早くから政治的解決を求めていました。


さて、急展開を見せ始めたイスラエル情勢ですが、
倒閣に動いたリブニ副首相や
首相辞任を求めるイスラエル世論の多数に共通する懸念は、

  「オルメルトには退陣してほしいが
  これを機に右派のリクードが伸張するのは困る」

というものです。

実際、3日の反政府デモでは、
右派に漁夫の利を与えることを恐れた左派系市民らに
デモに参加することを躊躇する動きがあったそうです。

もともと、昨年夏のレバノン紛争後に
敗戦責任追及の世論が盛り上がっていった背景には
これを機会にカディマから政権の座を奪おうとする、
リクードの動きがあったことは事実です。
リクードは右派系軍人の支持を得てますからね。

事実、イスラエルのマーリブ紙の世論調査によると、
もし、早期総選挙が実施された場合、国会の120議席中、
リクード(現有12議席)が30議席を獲得して
勝利する見込みとの結果が出ました。

さらに、与党カディマは現29議席から20議席に転落し、
中道左派の労働党は18議席、
極右政党「イスラエルわが家」が
14議席を獲得するとの予想結果でした。

この世論調査を見れば
与党カディマや連立する労働党を支持する左派と中間層は
倒閣の勢いが微妙に鈍るでしょうね。
まあ、そこがオルメルトの付け目でもあるわけですが・・。

以下、この件に関する英紙ガーディアンの論評を載せておきます。


◇オルメルト首相の責任
 
 この中間報告書の結論は、
 どんな首相であれ、辞任するに値するものだ。
 ハルツ前参謀総長は既に辞任している。
 ペレツ国防相は、経験不足を指摘されており、
 労働党の党首争いに生き残ることはできないであろう。

 オルメルト首相は、
 与党カディマ出身の閣僚たちに辞任する意思はないと伝えたが、
 残された日々のカウントダウンは始まったと言うべきだろう。
 首相は報告書の内容に反論するつもりはない。
 その戦術は、責任を拡大することである。
 すなわち、皆が批判されるのなら、皆に責任があるのだから、
 だれも辞任する必要はない、という方向にもっていく作戦だ。

 解散して総選挙を行えば、
 リクードのネタニヤフ党首が漁夫の利を得ることになろう。
 だからオルメルト首相は時間稼ぎをする必要がある。
 しかしこれは内政上の計算である。
 イスラエルはこれまで、
 パレスチナ側に交渉すべき相手がいないことを、
 交渉拒否を正当化する理由としてきたが、
 今回はイスラエル指導者が、
 その判断力に致命的欠陥があると指摘された。
 パレスチナ側にとって今回初めて、
 和平交渉をすべき相手が存在しなくなったのである。

   (ガーディアン 2007/05/01)


いずれにせよ、中東の台風の目たるイスラエルの情勢は
今後も二転三転の展開がありそうですね。



関連資料リンク

イスラエル 首相・軍が指揮に「失敗」
 昨夏のレバノン攻撃で中間報告書

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イラン情勢の悪化:在テヘラン外国大使館は撤退準備!?


     imbu.jpg


今日は短めに。

私がちょくちょく目を通しているサイト「中東TODAY」に
興味深いニュースが載ってましたので引用します。


在テヘラン外国大使館は撤退準備検討

 先週の土曜日に、ヨルダン・タイムズが伝えたところによれば、
 イランの首都テヘランにある外国大使館は、来るべき戦争に備え、
 脱出の準備を検討し始めているということだ。

 脱出の際には、どのルートで国外に出るのか、
 どの種類の書類を持って出るのか、
 焼却する書類は、水と食料は、ガードは、
 妻子は何時帰すのかといった細かい内容のようだ。
 もちろん脱出に遅れ、当分の間、
 戦争の下に居続けなければならないということもあるだろう。

 今回、もし戦争が起これば、トルコのインジルリク空軍基地が
 イラン攻撃に使われる可能性があることから、
 イラン・イラク戦争の時のように、トルコが飛行機を飛ばして、
 助けてくれることは期待しないほうがいいだろう。

 中国がイランに愛想を尽かし、ロシアが核関連の支援を止め、
 技術者もイランから撤退させる、という一連の動きの中で、
 イギリス海軍の拿捕事件が起こっている。
 こうした状況は、アメリカ・イギリスとイランが
 戦争開始になる可能性がすこぶる高い、
 と判断したほうがいいのではないか。
 イスラエルもまた、イランとの戦争は不可避だと言い出している。

   (中東TODAY)


ニュース中のヨルダン・タイムズの報道によらず、
どうもイランを巡る一連の動きはきな臭いですね。

先日のイランによる英兵連行事件などもそうですが、

イラン「艦艇侵犯」 革命防衛隊捕捉、報復か
 決議直前の英兵拘束

イラン「拘束英兵は侵入犯、裁判に」両国関係が緊張

イラン革命防衛隊、米国のイラン攻撃をけん制

イランと英国、
互いに自らの正当性を訴え、相手を非難しており、
正直、どちらの主張が正しいのかさっぱりわかりません。

ただ、イラン情勢に戦雲が漂ってきたのは事実のようで
それを素早く察知した幾つかの国が
早速、大使館の引き揚げ準備に入ったということでしょう。

そういえば、今日もこんなニュースが流れました。


イラン、米兵を攻撃か イラク国境で昨年9月

 AP通信は26日までに、昨年9月にイラクのイラン国境付近で、
 訓練中の米軍兵士らがイランからの攻撃を受けていたと伝えた。
 米兵に死傷者はなかったが、
 一緒にいたイラク兵ら6人が行方不明になっているという。

 イランは23日、イラク国境付近のペルシャ湾で領海侵犯したとして
 英海軍兵士ら15人を拘束し、英国から非難を受けている。
 米軍も昨年9月の攻撃について「任務を果たしていただけ」とし、
 落ち度はないと主張している。

 APによると、攻撃があったのは
 イランと国境を接する東部のディヤラ州。
 米兵がイラク国境警備隊員らの訓練をしていたところ、
 イラン側がロケット弾などを撃ち込んできたという。
 
   (U.S. FrontLine)


AP電発のニュースですが、
何故、去年の9月の出来事が今になって報じられるんでしょうね?
ここらへん、どうも情報工作の臭いが漂ってます。

日本人の感覚からすると
今、米国によるイラン攻撃などは
まさに「狂気の沙汰」という感じなのでしょうし、
怜悧な第三者が観察すれば
米国の国力的にあり得ないような話しです。

しかし、ブッシュ政権が懸念しているのは
イランと中東のこんな動きでしょう↓

外貨準備のドル比率を20%に引き下げ=イラン中銀総裁

湾岸諸国でドル離れ加速の見通し=ドバイ国際金融センターCEO

また同時に、冷静な国力計算などを無視して
意地でも米国にイランを攻撃してほしいという勢力は存在するわけで、
イスラエルなどはその筆頭でしょうし、
その意を受けた米国内の強力なユダヤロビーと
さらに、それと同盟関係にあるキリスト教右派などですね。

キリスト教右派はブッシュ政権の大きな集票マシーンであり、
米共和党にとっても欠かせない支持層です。

次の大統領選は
共和党候補者にとって不利であり、
民主党候補者にとって有利であるならば、
米国がイラン攻撃に踏み切れるのは
ブッシュ政権の任期、あと2年のうちということになります。

いずれにせよ、きな臭い報道が最近やたらと流れてきます。
どこまでが真実で、どこまでが情報工作なのか分かりませんが、
イランを巡るニュースの断片一つ一つに要注目です。



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米国とイスラエル・・ユダヤ系ロビーとキリスト教福音派

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イラン選挙:大統領派の惨敗と改革派の躍進・・中東情勢に変化をもたらすか?


  イランのアハマディネジャド大統領.jpg


皆様、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します m(__)m

さて、新年一発目はちょっと古いニュースで恐縮ですが、
10日ほど前に結果の出たイランの選挙についてです。


イラン、大統領派惨敗 国際的孤立、民意は穏健派へ 
 
 イランで15日に行われた統一地方選は
 21日までに集計が終わり、
 その結果、穏健保守派が圧勝、
 保守強硬派のアフマディネジャド大統領派の惨敗が明らかになった。
 イランの最高指導者を選出する「専門家会議」選挙でも
 強硬派は伸びなかった。
 核開発問題などでの強硬姿勢で、国際的孤立を深める一方の
 アフマディネジャド大統領に対する国民の不安が、
 色濃く反映された可能性が強いとみられている。
 
 内務省が21日に発表した、
 テヘラン市議会選(定数15)の最終結果では、
 2005年の大統領選でアフマディネジャド氏に敗れた、
 ガリバフ市長を支持する穏健保守派候補が8議席、
 03年の選挙で議席を失っていた改革派が4議席を獲得。
 アフマディネジャド大統領派はわずか2議席で、
 1人は独立系となった。
 テヘラン以外の地方でも強硬派の票は伸びず、
 穏健保守派と改革派が席巻。
 ロイター通信によると、前回の統一地方選で惨敗した改革派が
 40%程度の議席数を奪還したもようだ。

 一方、統一地方選と同じ日に行われた、
 専門家会議選(定数86)では、
 穏健保守派が60議席以上を獲得、
 改革派も現有議席の倍以上の15議席前後を確保したもようだ。
 とりわけテヘラン選挙区(定数16)では、
 穏健保守派のラフサンジャニ師(元大統領)が
 2位以下に大差をつけてトップ当選し、
 アフマディネジャド大統領に強い影響力を持つ
 保守強硬派のイスラム法学者、
 メフバフ・ヤズディ師は8位に留まった。

 テヘラン市議会選は
 次の国政選挙の行方を占うものとして注目されてきた。
 1999年には改革派が15議席を独占し、翌年の総選挙で圧勝。
 一方、03年の市議会選では保守強硬派が圧勝し、
 04年の総選挙での改革派惨敗と05年の大統領選での
 アフマディネジャド氏の勝利につながった。

 金権体質などで批判の多いラフサンジャニ師だが、
 保守派の中でも現実感覚は鋭く、
 今回の専門家会議選では
 穏健改革派の法学者グループとも連携を強めたとされる。
 地方議会選や専門家会議の結果が
 直ちに国政レベルの政策に反映するものではないものの、
 こうした流れから見ると、
 07年の総選挙と08年の大統領選に向けた民意は、
 保守、改革派を問わず、
 中道穏健勢力に向かっているとみることができそうだ。

   (産経新聞)


イランの政治形態というものは民主主義ではありますが、
「イスラム共和制」と呼ばれる独特の仕組みです。
まず、これを簡単に説明しておきます。

イランの政治指導者は
「最高指導者」と「大統領」の二本立てとなっています。

最高指導者は
「イラン・イスラーム共和国の
全般的政策・方針の決定と監督について責任を負う」とされ、
行政、司法、立法の三権の上に立ち、
軍の最高司令官でもあり、宣戦布告の権限を持っています。

任期は無く終身制で、
必ずしも一人の人物の必要が無く、
複数でもかまわないとされています。
現在の最高指導者は「アリー・ハーメネイー」の一人です。

この最高指導者を決めるのが
ニュース中にある「専門家会議」で
最高指導者の任命権と罷免権を持っています。

次に「大統領」ですが、
実際の行政は大統領が行います。
閣僚の指名権を持ち、
任期は4年で連続3選は禁止されています。

この最高指導者と大統領の二重体制は
西側諸国の政体と異なっており、
なかなか理解が難しいものです。

この政体は1979年のイラン革命後に創設され、
「法学者(ファギーフ)による統治」というイスラム的な概念と
「共和国」「議会」「大統領」「民主主義」などの
西欧的な政治概念の折衷構造となっています。

イランの憲法では
国民の主権が明確に謳われているものの、
同時に神の法とその代理人であるイスラム法学者に
絶大な権限を与えています。

そしてそれが最高指導者と大統領という二重体制につながり、
最高指導者はイスラム的概念と法学者の代表であり、
大統領は国民主権の声を代弁する形となっています。

この政治形態は
イラン革命の立役者であるホメイニが創造したものですが、
近代国家とイスラム法の折衷という意味で
苦心の後が見受けられますし、
後にこれがイランの政治混乱の要因となりました。

さて、今回の選挙では
「専門家会議」「統一地方選」及び、
欠員の国会議員(4議席)を選ぶもので
去年の12月15日に一斉に実施されました。

結果は冒頭のニュースにあるように
アフマディネジャド大統領の保守強硬派は
どこもかしこも惨敗で、
代わってラフサンジャニ元大統領らの保守穏健派や
ハタミ前大統領らの改革派が躍進しました。

アフマディネジャドは
2005年6月の大統領選挙で
貧困層を味方につけて勝利しましたが、
失業率が実質20%という経済状況から
国民各層から不満がわき起こっており、
今回の敗北となりました。

アフマディネジャドはご承知の通り、
核開発で欧米諸国と対立し、
「イスラエルを滅ぼせ」等の過激発言で有名な男ですが、
この外交路線に対しても国民からは
不安の声が上がり始めています。

イランはこのところの石油代金の高騰によって
かなり財政的には潤ってますが、
それでも経済状況が厳しく、
国民から現政権に不満が持たれていると言うことは、
よほどアフマディネジャドの行政手腕が未熟ということでしょう。

12月11日には
アフマディネジャドがイラン大学で講演中に
学生達が「独裁者に死を!」と叫び始め、
アフマディネジャドの面前で、彼の肖像画を燃やしました。
また演説中に爆竹が何度も鳴らされ、
「米国に対抗するのでなく、我々に何とかしてくれ」
という学生のシュプレヒコールが上がったそうです。

これに対してアフマディネジャドは
「この身が千回焼かれようが、
国家の理想から一歩たりとも引き下がらないことを
米国は知るべきだ」と言ったそうですが、
内心は穏やかではなかったでしょうね。

そして今回の選挙結果は
彼の支持基盤を揺るがしたことは間違いなく、
2008年の議会選挙と
2009年の大統領選挙を視野に入れて
なんらかの政策の変更が行われていくと思われます。

さて、この選挙結果は
アフマディネジャドと対立する欧米諸国では
諸手を挙げて歓迎されました。

ここでニューヨークタイムズの論調を紹介しておきましょう。


◇良識示したイランの有権者

 イランのアハマディネジャド大統領にとって
 この一カ月間は順調ではなかったが、
 それは虐げられたイラン人と外部世界にとって良いニュースだ。

 アハマディネジャド氏が問題を抱えていることは
 先週の地方議会と専門家会議の選挙で鮮明になった。
 アハマディネジャド氏の支持者は驚くほど惨敗した。
 選挙に勝ったのは体制派保守のラフサンジャニ元大統領派と
 ハタミ前大統領率いる改革派だった。

 イスラエルに対する、
 悪意ある敵対者であるアハマディネジャド氏は、
 彼の政権に蔓延する腐敗があまりに悪評を呼んでいるため
 政治生命も危うくなっている。
 ハタミ氏の支持者はより高潔だが、
 数十年にわたってイランを
 改革する機会をとらえることができずにいる。

 アハマディネジャド氏は、
 こうした関係を国際原子力機関(IAEA)と国連の無視、
 そしてホロコーストの否定という茶番によって
 意図的に破壊してきた。
 この茶番劇は有権者をかき集めることを狙ったものだったが、
 彼の支持者たちが選挙で敗北するのを救えなかった。

 先週、テヘランのエリート大学の一つで
 学生たちが注目すべき勇気を示し、
 アハマディネジャド氏を独裁者、ファシストと公然と非難し、
 彼の演説を中断させた。
 彼らの怒りは、教授や学生たちを
 あからさまに政治的理由で追放したことや、
 基本的自由に対する弾圧、
 それに経済政策の失敗と外交的挑発で
 彼らの将来が危機に瀕しているという懸念から
 かき立てられたものだった。

 確かにその恐れはあるし、
 その危険を認めるイラン人の発言を聞くのは心強い。
 ワシントンは経済制裁を推進して、
 アハマディネジャド氏にもそれを認めさせる必要がある。

   (ニューヨークタイムズ 2006/12/12)


まあ、こんな感じで大喜びしております(笑)

米国にとっては
イランは核開発以外にも懸念すべき国となっています。
それはドルからユーロへのシフトです。

去年の12月18日、
イラン政府のゴラムフセイン・エルハム報道官は
外貨準備をドルからユーロに変更すると共に
石油取引にもユーロを使用する旨、明らかにしました。
また将来の商業取引もユーロを使用して行くと表明しました。

現在、イランはユーロへのシフトを進めており、
ドルに全く依存しない態勢を目指しています。
これは短期的には
核開発に伴う米国からの経済制裁に対抗するためですが、
長期的には自国のユーロシフトが引き金となり
他国へ波及していくことで
米国の覇権の崩壊を狙ってるんでしょうね。

今、ドルはユーロに対して一方的に下がり続けており、
この傾向は止まりそうもありません。
おそらくブッシュ政権はこのイランの動きと合わせて
ドルの威信低下を憂慮しているものと思われます。






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イラク情勢:サウジがスンニ派武装勢力を支援か?

武器購入の資金源はサウジ個人、イラクのスンニ派武装勢力

 イラクで頻発する反政府武装勢力の攻撃で、
 サウジアラビアの個人が
 数百万ドル単位の活動資金の供給源となっており、
 その大部分は武器購入に充てられている事実が8日判明した。
 AP通信が、複数のイラク政府当局者と
 資金の流出経路などに詳しい消息筋の情報として報じた。

 サウジ政府はこれまで、
 イラク武装勢力へ自国から資金が流れていることを否定している。
 同通信によると、ブッシュ米大統領の諮問機関で超党派の
 「イラク研究グループ」が6日発表した、
 今後のイラク政策についての提言を盛り込んだ報告書も、
 イラクのイスラム教スンニ派武装勢力は
 資金の多くをサウジアラビア人に頼っていると指摘していた。

 AP通信の取材に応じたイラクへの運搬トラックの運転手複数は、
 サウジから箱に詰め込まれた現金をイラクへ輸送したと証言したという。

 イラク政府高官は、サウジの資金は個人から出されており、
 イスラム教の大義や慈善推進の名目でねん出されていると指摘。
 寄付金がイラクへ流出していることを知っている者もいるが、
 善意でイスラム教指導者へ贈り、使途は知らない場合もあるという。

 イラク政府高官によると、
 サウジで集められた現金2500万ドル(約28億7500万円)が
 イラクのスンニ派指導者へ渡されたが、
 ロシア製の携帯型の対空ミサイルの調達に使われたという。
 ルーマニアの武器商人から闇市場で買い入れていた。

 サウジはスンニ派主体の国で、
 米軍主導の軍事作戦で崩壊したイラクのフセイン旧政権も
 スンニ派が主流だった。
 現在のイラク政府は、スンニ派と対立するシーアが主導権を得ている。
 サウジは、シーア派が多数のイランが
 イラクへ政治的影響力を及ぼすことにも警戒感を募らせている。

 AP通信によると、サウジ内務省の報道官は
 同国内で組織だったテロ資金源の存在を否定、
 許可もしないと述べた。
 約1年前には、不審な資金の流れを
 取り締まる専従班も設置したと主張している。

   (CNN)


このニュースによると、
サウジがイラクでのシーア派の伸張を恐れるあまり、
スンニ派に資金を流しているとのことです。

なるほど、今まで米国の手前、
その種の裏工作を抑制していたサウジが
とうとう米軍撤退後を睨んで
スンニ派への後援を始めたわけですか。

ただ、これにはもう一つ別な観点があります。
それはイラク国内のスンニ派武力組織は
シーア派に対抗するために
アルカイダと密接に結びついていました。

これにサウジも資金を流すようになったわけで、
まあ、スンニ派武力組織といってもいろいろあるのでしょうが、
スンニ派の後ろ盾にサウジとアルカイダがいるという、
なんとも妙な構図が出来上がりつつあるわけですね。

おそらくこの資金の流れを
サウジ政府自身がやるというよりも
篤志家が寄付という形で政府黙認のもとにやっているのでしょうが、
仇敵であるサウジとアルカイダが
共にスンニ派を支えるという奇妙な状態で
まさに呉越同舟です。

サウジとしては
アルカイダ系の武装組織が肥大化するのは避けたいのでしょうが、
一方でイランが後援するシーア派の勢力拡大も阻止したく、
究極の選択で後者を優先させたのでしょうね。


さて、私は先日のベーカー報告書が出た際にも
記事に書きましたが、

ベーカー報告書:イラク米軍撤退を勧告・・中東大乱時代の始まり

あの報告書の中で
今後、米軍はイラク軍部隊の訓練に
比重を移すとありましたが、
それに対して悲観的なニュースが流れてきました。


イラク軍の自立には最低3年が必要―米シンクタンク

 米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が
 このほど発表した報告書によると、
 イラク軍と治安部隊が自立できるようになるには
 3年から5年が必要だと指摘した。
 
 これは同研究所の上級研究員で
 元国防省高官のアンソニー・コーデスマン氏の執筆によるもので、
 1年半から2年でイラク軍の自立は可能としている米軍の評価と
 大きな食い違いをみせている。

 「イラク軍の発展と内戦の挑戦」と題した報告書では、
 「現状レベルの米軍と同盟国軍の支援、
 そして顧問団の努力に現実のイラク軍は頼らざるを得ず、
 それは少なくとも2008年まで、
 おそらく2010年まで続くだろう」としている。

 また同報告書は「米軍と同盟国軍の大幅な削減は
 永久的に中止する必要がある。
 イラク軍は単純に言って自国の防衛の重荷を
 負う準備ができていない」と指摘、
 性急な段階的削減、早期撤退論に警告を発している。

 コーデスマン氏は何度もイラクを訪れ、
 現地の専門家と対話を重ね、
 イラク軍と治安部隊の装備欠如や人員不足、
 イラク軍部や内務省内での腐敗が
 深刻であることを指摘している。

   (世界日報)


これを見ている限りでは
ベーカー報告書の柱の一つである、
「イラク軍部隊の自立」は画餅に帰しそうです。

もともとイラク戦争後に
バース党主体の旧イラク軍を解体してしまったため
一から軍を創建していかねばならなくなり、
このツケが今になってまわってきているわけです。
職業軍人は一朝一夕には作れないといういい見本です。

しかし、米軍は今までにも
それなりにイラク軍の訓練や教育に
エネルギーを注いできたわけですが、
なんだかんだ言いつつうまくいかないのは、
このイラクという国自体に
国家としての求心力がないのではないかと思ってしまいます。

スンニ派とシーア派という宗派の分裂と、
クルド人という第三勢力の混在する国家。
この国の統一国家としての理念というのは
端で見ているよりもけっこう薄いのかもしれませんね。
もともとイギリスの中東政策が作り上げた人工国家ですし。



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ベーカー報告書:イラク米軍撤退を勧告・・中東大乱時代の始まり

イラク米軍、戦闘部隊撤退、08年目標
 研究グループ、戦略転換を勧告

 米イラク政策の見直しを進めてきた、
 ベーカー元国務長官ら超党派による「イラク研究グループ」
 (ISG)は6日、イラク治安部隊の役割を強化することで、
 駐留米軍の大幅な撤退をめざすなどの
 79項目の勧告をまとめた報告書をブッシュ大統領に提出した。
 報告書は戦闘部隊撤退の目標期限として
 「2008年初め」と言及したが、
 軍事、外交上の前提条件を多く伴う内容で、
 明確な撤退期限には踏み込めなかった。
 
 報告書は全文で160ページ。
 イラク政策が争点となった中間選挙での与党共和党の敗北を受け、
 ブッシュ政権が超党派での取り組みを示すため、
 ベーカー元長官、ハミルトン元下院議員を共同議長に
 有識者10人で作るISGに提出を求めていた。
 米軍の死者が2900人を超える中、
 今後の焦点はブッシュ政権が
 勧告をどこまで新政策に吸収するのかに移る。
 
 報告書はイラク情勢について、
 「きわめて深刻で悪化している」と指摘。
 現状を放置すれば「イラク政府の崩壊と
 人道的な悲劇への混迷に陥る」との厳しい認識を示し、
 情勢打開に向けた「新たな外交、政治的取り組み」が必要だと指摘した。
 
 イラク駐留米軍の任務について、
 報告書は「イラク治安部隊への支援に比重を移すべきだ」と勧告した。
 条件が満たされた場合は、08年1~3月(第1四半期)までに
 戦闘部隊を軸とした兵力の撤退が可能だとした。
 
 外交面での取り組みとして、
 報告書はイラク武装勢力との関係が強く指摘されているイラン、シリアと
 イラク治安情勢の安定に向けた交渉を進めるよう求めた。
 兵力削減には、こうした条件が
 すべて満たされることが前提となっている。
 
   (iza!)


ようやくベーカー報告書が提出されました。

いずれイラク情勢については
ザックリとした長文論考を書こうと思ってますが、
今日は走り書きに感想などを書いておきます。

まず、結論として言えるのは、
これはベーカー自身も言っていることですが、
完全な解決策でも何でもないということです。

いろいろある方策の中から、
消去法で一番マシなやつを選んだだけです。

前提としてあるのは、

1,現有兵力によるイラクの秩序安定は不可能

2,米国の国家財政はこれ以上の負担に耐えきれない

この2点です。

現有兵力で情勢の打開は不能、
さらに財政的に増兵は不可。
この2大前提のもとでの思考の道筋としては、

 「まず、撤退ありき」

 「撤退後のイラクの混乱を最小限に食い止める」

 「それが不可能ならば、
 イラクの混乱を周辺国に波及させない」

おそらくこの流れだと思いますね。

さて、報告書の中の柱は以下の2つです。

 ◇米軍の撤退に伴うイラク軍への役割委譲

 ◇シリア・イランとの外交、支援要請

まず、「イラク軍への役割委譲」ですが、
これはやらないよりはやった方がマシと言う程度に過ぎません。
イラク軍や治安組織の育成が
うまくいってないことは周知の通りで、
最近ではテロ組織もこれを妨害しようと
米軍よりはイラク軍の新兵を標的に攻撃を仕掛けています。

米軍がいる現状でこの有様ですから、
いずれ撤退すると分かっている米軍が後援するイラク軍に
誰が志願するというのでしょうか?

人間は勝ち馬に乗りたがるものですから、
撤退を明言した後は
イラクでの米軍の威信は急速に失われていくでしょう。

こうなると現在のイラク治安部隊は
一年後に売国奴扱いで処刑される可能性が高くなるわけで、
志願者が激減するのは目に見えています。

次に「シリア・イランとの外交」。
ここがこの報告書のポイントです。
それ以外はどうでもいいと言えます。

ベーカーが具体策として何を考えてるのかは分かりませんが、
米国が追求する外交目的は、

1,イラクの安定

2,石油生産力の復旧

3,米国の権益確保

であって、
もはや「民主主義の確立」は望んでないでしょう。

この観点に立っていえば
米国がシリア・イランと交わす外交というものは
結局のところ取引でしょう。

シリアに対してはレバノンでの勢力浸透、
イランに対しては核開発に対する圧力を弱める。
おそらくこういう取引内容になるでしょう。
また、そうでなければ両国は応じないでしょうね。

まあ、この報告書は
2003年から始まったイラク情勢の混沌の
一つの分岐点になるでしょう。

各国と各組織は米軍撤退後を睨み、
このパワーの空白状態に自らの力を拡張させんと、
あれこれと方策を練り、駆け引きが活発化していくでしょう。

シリア・イラン以外にも
イスラエル・サウジの動きなどが気がかりです。

イスラエルは悲愴な覚悟で
イランの核開発を自らの力で止めようと決意するでしょうし、
サウジは隣国イラクの混乱とイランの伸張に脅威をおぼえるでしょう。

風雲は急を告げています。
中東大乱の幕開けです。



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米国:イラク政策の転換とサプライズのバース党復権?

米軍のイラクでの役割シフトを勧告へ=関係筋

 米国のイラク政策転換の選択肢を模索している、
 超党派の「イラク検討グループ」は、
 今後約1年間で、イラクでの米軍の戦闘的な役割を
 支援的なものにシフトすることを勧告する見通し。
 関係筋が29日明らかにした。
 同関係筋は「基本的に、配置転換ということだ」と述べた。
 
 この案は、米軍の段階的な撤退に伴い、
 戦闘部隊をイラク国内の基地や地域周辺に移動させるというもので、
 今後約1年にわたり実行されるもよう。
 
 検討グループが合意した米軍の段階的撤退勧告については、
 ニューヨーク・タイムズ紙が先に、
 はっきりとした日程は示されていないと報じていたが、
 同関係筋は「(撤退の)完了する時期については、
 来年中のいつかということが示唆されているようだ」と語った。
 
 同関係筋によると、検討グループはまた、
 米国によるイラン、シリア両国との直接対話の実現に向け、
 地域会議の開催を要請することも決定した。
 
   (ロイター)


この勧告が最終的にどういう内容になるのか、
非常に興味津々です。

まあ、ニュースで伝えられているように

 1,米軍の段階的撤退と権限委譲

 2,イラン・シリアと話しをつける

これが二本柱になりそうですね。

さて、数日前の「中東TODAY」に
面白い記事が載っていたので紹介しておきます。


イラク・信憑性のあるまさか

 11月21日のネット新聞「ハフィントン・ポスト」に、
 ブッシュ政権の「イラク秘密工作を暴露」という記事が
 載ったというニュースが、
 大沼安史氏によってネットの世界に紹介され、
 いま日本中を駆け巡っている。

 この記事の内容を簡単に説明すると、
 ベトナム反戦運動の立役者で、
 イラクの反戦も行っているトム・ヘイドンという人物の情報が元だ。

 彼の情報によれば、
 アメリカは遂にシーア派政権を頼りに出来なくなり、
 バアス党との協調路線を取る、というものだ。
 彼はこの情報をイギリスとヨルダンの、
 信頼できる情報筋から入手したと語っている。

 その内容は、アジーズ元副首相兼外相が復権する、
 バアス党が合法化される、というものだ。
 当然のことながら、この流れのなかでは、
 サダムの刑も軽くなるだろうことが予測される。

 アメリカのハドレー補佐官が、最近バグダッドを訪問したが、
 そのときに以下の項目の提案をした、
 とトム・ヘイドンは伝えている。

 1:武装勢力に対する全面的恩赦
 2:バアス党を政党として認める
 3:イラク分割をやめ、州の権限を拡大する

 アメリカがこうしたことを、
 実際に考えているか否かは確認できないが、
 選択肢の一つとしては、
 検討してみているであろうことが推測される。

   (中東 TODAY)


なかなか興味深い内容ですね。

この記事の元ダネはここです。

机の上の空:バース党を合法化 アジズ元外相復権
 武装勢力と秘密交渉も

元ダネの方を読んでもらえれば分かりますが、
これは冒頭のニュースの「イラク検討グループ」、
通称「ベーカー委員会」の発案のようです。

まあ、この情報がどこまで本当なのか分かりませんが、
あったところで不思議じゃないという感じがします。

米国のイラクでの現状というのは
「二兎を追う者は一兎をも得ず」
この状態に陥っているわけですね。

即ち、

1,イラクでの民主主義政体の確立

2,イラクでの石油利権保持

3,イラクの秩序安定

4,米国の威信保持

5,米軍の損害の抑止

米国の対イラク政策というものは
この5つを追いかけているわけですが、
もはや5つ全てを維持できる状況ではなくなってきました。

こういう場合は
何を捨てて、何を維持するか、
それを取捨選択しなければなりません。

まさに大海に投げ出された人間と同じで、
沈まぬように身につけている物を
重い物から外していかねばなりません。

全て捨てるという選択肢もあり得ます。
米軍の全面撤退です。

しかし、そこまでいかずとも
保持できる部分は保持しようとするならば、
何が一番重く難しいか、
逆に何が一番軽く、実現が易しい項目か、
これの見極めが必要となってきます。

シビアに客観的に見るならば
この5つの中で一番真っ先に捨てなければならないのは、
1の「イラクでの民主主義政体の確立」です。
これが一番重い項目です。

逆にこれにこだわり続ける限り
他の4つが犠牲に成り、全てを失いかねない。

もし、「民主主義」にあくまでこだわるなら、
そのしわ寄せがいくのが
5の「米軍の損害の抑止」です。
ここが最大の犠牲になります。

上記の「バース党を合法化?」とのニュースは
結局、1を捨てて2~5を維持しようとする試みです。

最終的には独裁もどきの強権体制を作り、
イラクの秩序を回復し、米軍はその後ろ盾となり、
石油の利権も握り続ける。

私自身はこの解決策が最上と思いますが、
果たしてブッシュがこれを採用するか否か?
宗教的信念で「民主主義の拡大」を訴えた彼がこれを飲めるか?
非常に興味津々です。

米国はイラクでの民主主義にこだわり続ける限り、
全てを失うことになるでしょう。



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ヒズボラとアルカイダ・・その提携と「グローバル指向」

ソマリア:イスラム勢力720人がヒズボラの戦闘に参加

 レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラと
 イスラエルの戦闘が続いていた7月中旬、
 ソマリアのイスラム勢力が兵士720人をレバノンに送り、
 ヒズボラを支援していたと
 国連の報告書が指摘していることが15日、わかった。
 強力な戦闘能力を誇示するヒズボラの
 影響力の広がりを示すものと言えそうだ。
 
 それによると、ヒズボラは
 6月にソマリアの首都モガディシオを制圧した、
 イスラム原理主義勢力「イスラム法廷連合」に
 軍事訓練を提供したり、
 他国からの武器購入をあっせんするなどの関係を持ち、
 7月には同連合から戦闘経験を基準に選抜された兵士720人が
 レバノンに派遣された。
 
 この間、兵士の家族には1人当たり2000ドル、
 死亡した兵士の家族には最高3万ドルが支払われ、
 無事帰還した兵士には月100ドルの報奨金が支払われている。
 ヒズボラは支援の見返りにイランやシリアに
 同連合への武器売却などを働きかけたという。
 ロイター通信によると、イスラム法廷連合側は
 国連報告について「でっち上げ」と否定している。
 
 報告書はまた、
 イランが同連合に携行型の地対空ミサイルを輸出し、
 その見返りに同国でのウラン調達などを計画していると明記。
 ソマリア暫定政府側を支援するエチオピアなどを含め、
 計10カ国が決議に違反して武器を供給していると指摘している。

   (毎日新聞)


この毎日のスクープは
ヒズボラと他のイスラム武装勢力の裏面のつながりを
強く感じさせる内容でした。

もともとレバノンだけの
ローカルな組織に思われがちなヒズボラですが、
意外なことにグローバルに展開してるんですね。

ニュース中では
ヒズボラとソマリア武装勢力の共闘関係を伝えています。
この内容がどれだけの真実を含んでいるのか分かりませんが、
全て事実であったところで不思議ではありません。

それは、ヒズボラとソマリアとの結びつきに
もう一つ重要な要素が介在しているからでです。
それはアルカイダです。

ソマリアの武装勢力「イスラム法廷」とアルカイダの結びつきは
ほとんど天下公認の事実となってしまいましたが、
では、ヒズボラとアルカイダの関係は?

そもそもヒズボラはイランが後援するシーア派組織で、
アルカイダはスンニ派系の組織。
犬猿の仲のような気がしないではありません。
しかし、この両者は強い提携関係にあります。
もっとも表向きには両者とも否定してますがね・・。

アルカイダの指導者オサマ・ビン・ラディンは、
アフガニスタンでのソ連との戦いが終わった後、
1991年4月から腹心と共にスーダンに入り、
スーダン政府の協力のもとアルカイダの支部を作りました。

ここで軍事訓練用のキャンプや
はては投資会社や商社・農業会社までを設立し、
スーダンの銀行に莫大な出資を行ったりしています。

このスーダン時代にビン・ラディンは
ある重要な宣言を行っています。
それは歴史的な怨念関係にあるシーア派とスンニ派の対立を
棚上げさせるというものでした。

1998年の
アルカイダによるケニアとタンザニアの米大使館爆破事件。
この時の米議会での宣誓供述書のなかで
FBIのコールマン捜査官は

  アルカイダは
  イラン政府とその関連テロ組織のヒズボラを含む、
  シーア派のテロ・グループとの宗教上の違いを棚上げし、
  共通の敵である米国とその同盟国に対抗するために
  手を組む準備を行っている。

と証言しています。

この後、実際にビン・ラディンは
ヒズボラとの同盟を成立させました。
この情報はその当時はあまり重要視されてませんでしたが、
9・11事件後は、ことの重要さに気づいた米国の情報機関は、
この両者の裏面のつながりを探ろうと必死になっています。

アルカイダはその莫大な資金の運用を
欧米諸国の国際的な監視の目をかいくぐって行う必要があり、
金塊やダイヤモンドなどの宝石類による現物取引を多用しています。
銀行を経由して資金を動かすと証拠が残ってしまうからです。

たとえば西アフリカ一帯は
ダイヤモンドの産地として知られていますが、
ここにアルカイダのバイヤーが多く入り込んでいます。

西アフリカの小国にシエラレオネという極貧国があります。
ここはダイヤの採掘国なのですが
長年の内戦とRUF(革命統一戦線)という武装組織の跳梁で
疲弊しきっています。

この最も平均寿命の短い国の一つであるシエラレオネでは、
RUFがダイヤの採掘利権を持ち、アルカイダと提携して、
ここで高額のダイヤの密売が行われています。
実はこの両者の提携関係を仲介したのがヒズボラでした。

ちなみに、この西アフリカのダイヤは紛争地帯で多く産出され、
その争奪に多くの血が流れていることから
しばしば「ブラッド・ダイヤモンド(血染めのダイヤモンド)」と
呼ばれています。

このアルカイダとシエラレオネのダイヤの関係は
まさに「血染めのダイヤモンド」そのものです。

さて、上記ニュースが伝えるように
今やイスラム武装勢力のネットワークは
全世界に張り巡らされています。

通信と運搬手段の発達によって
物と人と情報が全世界を駆けめぐる時代ですから、
彼らが「グローバル指向」であるのは
ある意味、当然といえば当然なのかもしれませんね。



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イラク三分割案とローマ法王発言

イラク分割案の支持高まる
 ~米政権に有効な将来計画なし

 イラクを宗派と民族別に分割すべきという意見が、
 支持を広げつつある。

 クリスチャン・サイエンス・モニターによると、
 クルド族が住むイラク北部では現在、以前は公共機関で
 民族の旗とともに揚がっていたイラク国旗が見られない。
 民族自治政府の代表が掲揚を禁じたためだ。
 またバグダッドでは先週、議会のシーア派が、
 同派住民と石油資源が集中する南部を
 自治区とする内容を含むイラク分割案を提案した。

 宗派・民族による分離は避けられないと考える、
 イラク専門家が確実に増えつつある一方、
 名目上の統一民主国家は可能としながらも
 分割が最終的には中東の安定化につながると考える人々は多い。

 いずれの専門家も、
 ブッシュ政権がイラクの将来について有効な計画を持たず、
 このままでは混乱が続くという見方は同じ。
 米陸軍の情報将校だったラルフ・ピーターズ氏は
 「当然、米国は第2案どころか
 7案、8案まで考えていなくてはならない。
 しかしその様子はない」と話す。
 「なぜかというと、ブッシュ政権は
 基本的には今のやり方が正しいと思っているからだ」

 フセイン政権崩壊直後は、
 統一されたイラク国家誕生の可能性があったが、
 旧支配勢力のスンニ派が排除され、
 シーア派勢力が増大したことも含め
 米国の働きかけがそれを困難にした。
 勢力を弱めたスンニ派、石油で豊かな北のクルド、南のシーア派と、
 イラク内部は完全に分裂しつつある。

 米国、また世界経済にとって最悪の展開は、
 南部のシーア派が(石油が豊富な)サウジアラビア北部の
 少数派シーア派の独立を扇動したり、
 北のクルドに肩入れすることだろう。

 民族による分割がイラクを救うと考える専門家の1人が、
 ジョセフ・バイデン上院議員(民主)だ。
 同議員はイラクをシーア派、スンニ派、クルドの地域に分割、
 それぞれの安全を確保しつつ、石油収益は分割、
 外交は中央政府に一任するという提案をしている。

 ただし米国が
 イラク国内の活動を監視できる期間はほぼ過ぎた以上、
 外部によるイラク国家形成案はあくまで案のまま、
 というのが大方のアナリストの意見だ。
 米国はイラクでの戦闘をやめ、
 撤収して後の決断を任せるべきという意見も強くなっている。

   (U.S. FrontLine)


イラクの三分割案は、
すでにイラク戦争の直後に
米国のシンクタンク「外交評議会(CFR)」から出てるけどね。

田中宇の国際ニュース解説:世界大戦の予感

今思えば、あれは卓見だったなあってことになる。

ここに来て、米国のイラク侵攻とその後のイラク統治は
結局、失敗だったということが明白になりつつある。
彼らのやったことは「パンドラの箱」の開封。
中東戦乱時代の幕開け。

特に、国家間の勢力均衡を重視する論者たちから見れば
イラク戦争など愚の骨頂で
あれは中東のバランス・オブ・パワーをぶっ壊し、
同地域を不安定にさせただけ。
論者たちは「それ見たことか!」と思ってるでしょう。
私なんかもその徒党だけどさ。

米国が60~70年代程度の国力と兵力を持っていたならば
イラクの泥沼も解決可能なのかもしれないが、
現実は13~15万程度のせこせこした兵力を
イラクに常駐させてゲリラと戦う日々で、
これでは局面の打開はおろか、現状の維持も出来ないだろうね。

以下、読売の過去記事。


◇米軍活動、「戦闘本位」改め「復興」に比重を
 国防総省の諮問委が提言

 米国防科学委員会(国防総省の諮問機関)はこのほど、
 アフガニスタンとイラクで行われた戦争および戦後復興の経験から、
 米軍は戦闘本位になっている取り組みを改め、
 復興局面に必要な計画立案と遂行能力を
 強化すべきだなどとする提言を発表した。
 
 報告書では、敵国に対して米軍がとるべき対応を、
 平時、戦時、戦後復興の各局面で検討した。
 この中で、冷戦後、米国は他国の治安回復や復興に
 一年半から二年おきの頻度で関与、
 それぞれの任務が五―八年続いており、
 こうした任務は今後も増加すると予測。
 
 さらに、復興局面に必要な能力をより強化しなければ
 人員不足に陥りがちな現状を改善できないとし、
 「国防総省は復興局面の重要さを
 戦闘局面と同様な真剣さで考えておらず、
 こうした姿勢を改めるべきだ」と苦言を呈している。
 
 また、過去の戦争の事例などから、
 治安回復に必要な兵員数・政府職員数・民間契約業者数など、
 占領機構全体の人数を算出、
 戦後も秩序が維持されている国が相手であれば人口千人あたりに五人、
 秩序が乱れた国では二十人が理想とした。
 
 人口約二千四百万人のイラクでは、
 単純計算で四十八万人程度の占領統治組織が必要になるが、
 現在のイラク駐留米軍は約十五万人で、
 米政府関係者や他の多国籍軍部隊を加えても、
 人数は不足していることになる。
 
 一方、「国家対テロリスト」の非対称型の戦いについては、
 テロリストを識別して行方を追う、
 ID・TTL(個人の認定、識別、追跡、居場所の特定)技術を
 開発する必要があるとし、
 国防総省と新たに創設される国家情報長官のもと、
 原子爆弾を開発したマンハッタン計画に匹敵するような
 大規模な研究に着手すべきだと提言している。
 
   (読売新聞 2004/12/27)


これは一年半年前の記事ですが、
見事にイラク統治の未来を予測している。
また、今読んでみても
うなずかされる部分が多いね。

  「国防総省は復興局面の重要さを
  戦闘局面と同様な真剣さで考えておらず、
  こうした姿勢を改めるべきだ」

この部分なんかは
イラク戦争の快勝と対比される戦後統治の泥沼など、
米国防省の功罪をハッキリと書いている。

さらに、

  過去の戦争の事例などから、
  治安回復に必要な兵員数・政府職員数・民間契約業者数など、
  占領機構全体の人数を算出、
  戦後も秩序が維持されている国が相手であれば
  人口千人あたりに五人、
  秩序が乱れた国では二十人が理想とした。
 
  人口約二千四百万人のイラクでは、
  単純計算で四十八万人程度の占領統治組織が必要になるが、
  現在のイラク駐留米軍は約十五万人で、
  米政府関係者や他の多国籍軍部隊を加えても、
  人数は不足していることになる。

この「統治人員の公式」は面白い。

この公式でいえば
イラクの秩序が維持されている状態であれば12万人。
秩序が乱れれば48万人が必要。

まあ、自身の算出した公式換算から見ても
程遠い人数で占領統治をやってるわけで、
これ、企業でいえば「超過労働」「超過勤務」ですな。
そりゃ、米兵もストレス溜まるでしょう。

さて、米国はこれ以上の大兵力をイラクに展開できず、
また現有兵力でこのイラクの泥沼を打開する見込みがない以上、
最終的には撤退せざるを得ない。
遠い将来か近い将来などの時期の違いはあっても
最後は撤退の選択をするでしょう。

問題は撤退の仕方で、
方法論としては二つ。

1,南ベトナムのように
  あとはイラク政府に任せてさっさと総撤退

2,上記のイラク三分割案

良策は後者の「三分割案」。
イラクをクルド人・スンニ派・シーア派の3国家に分割し、
米軍は石油を産出する北部のクルドと
南部のシーア派地区に駐留する。
中部のスンニ派地区は国連あたりに任せる。

だが、実現するのは難しい。
何故なら周辺諸国の同意を取り付けなければならず、
ここらへんが難関ですな。

ただ、何の策も無く、さっさと撤退するだけでは、
イラクが大混乱に陥るのは必至で、
米政府としては「三分割案」の方向を密かに検討してると思うよ。
単に公表してないだけでね。

おそらくここに来て
米国のイラク専門家やシンクタンクなどから
イラク三分割の発言がチラホラ聞かれるようになったのも、
自然の勢いということもあるけど、、
米政府が意図的にやらしてる部分もあるでしょう。
つまり「世論の醸成」という意味で。

また、他国や周辺諸国に対して
この三分割案で同意を取り付けなければいけないけど、

  米軍の総撤退orイラク三分割

この二者択一を迫られた場合、
イラク周辺の諸国は、イランとトルコ以外は、
表向きはともかく、内心では最後は賛成せざるをえないでしょう。

米軍が単純に総撤退すれば
イラクは周辺諸国の草刈り場となる。
現状から考えて、イランの勢力伸長は確実で、
これはサウジ・エジプト・シリアなどの望むところではない。

あと、トルコですな。
米軍が総撤退すれば彼らは間違いなく
北部のクルド地区に軍事介入するでしょう。

だから、最終的にはイラン・トルコを除けば
周辺諸国はイラク三分割に裏では賛成するだろうね。


さて、ここにきて
ローマ法王の「反イスラム」発言のニュースが飛び込んできた。

ローマ法王:「聖戦」批判演説にイスラム社会の反発広がる

まあ、よく見ると決して
単純な反イスラム発言と言えないとは思うけど、

worldNote:ローマ法王の講演が論じているもの  

これがイスラム教徒達を刺激して、
各地で反発の声が上がっているようです。

このニュースで一番衝撃を受けているのは
おそらく米国でしょう。

米国の対イスラム戦略は、
英国流というほどでもないけど
「分割して統治せよ」が基本で、
シーア派やスンニ派などのイスラム諸宗派の反目を利用するもの。

できるだけ、

  米国VSイスラム教徒

  キリスト教国家VSイスラム教国家

の図式に陥ることなく、

  米国+クルド人+シーア派VSスンニ派

  米国+スンニ派VSイラン+シーア派

みたいな形に持ち込もうとしていた。

しかし、上記の法王発言。
これは

  キリスト教VSイスラム教

の図式に成りかねず、
米国として非常に頭の痛いところ。
「余計なことを言いやがって」というのが率直なとこでしょう。

逆に内心大喜びしているのが、
アルカイダなどの反米テロ組織で、
対異教徒戦争の図式になれば彼らは思わずニンマリだろう。





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米軍:イラク戦での軍紀弛緩と感覚の「泥沼」

イラク軍への権限移譲、今後1年半内に可能 米司令官

 イラク駐留の多国籍軍司令官の
 ジョージ・ケーシー米陸軍大将は30日、バグダッドで記者団に、
 米軍などが育成に当たるイラク軍、治安部隊が
 今後1年─1年半内に任務遂行で自立し、
 同国内における治安維持の権限を
 多国籍軍からおおむね引き継げる、との見通しを示した。

 この権限移譲が、駐留米軍の撤収規模や時期に
 どう影響するのかには触れなかった。

 イラクでは、武装勢力による爆弾テロなどが連日のように発生。
 イラクのマリキ首相は、米軍と協力し、
 首都バグダッドでの治安回復を至上課題にしているが、
 目立った成果はまだ見えていない。
 30日にも各地で、爆弾攻撃があり、多数が死亡している。

 南部のディワニーヤでは28日、
 イスラム教シーア派の武装組織とイラク軍が交戦、
 兵士20人が死亡した。
 この衝突でのイラク軍の戦闘能力を質問された同司令官は、
 10人以上のイラク兵は弾薬を使い果たした後、処刑されており、
 兵士の士気などに問題はなかったとの考えを示した。

   (CNN)


ケーシー司令官の発言、

  米軍などが育成に当たるイラク軍、治安部隊が
  今後1年─1年半内に任務遂行で自立し、
  同国内における治安維持の権限を
  多国籍軍からおおむね引き継げる

これは政治的発言だろうな。
と、誰もが思ったでしょう。
イラクの現状は司令官の楽観的発言には程遠い。

私はこのニュースを見て、
少し前の以下の記事を思い出した。


酒におぼれる異常な日常 少女レイプの駐イラク米兵

 イラク中部で3月、
 米兵が14歳のイラク人少女をレイプし家族4人を殺害、
 隠ぺいのため遺体を焼いたとされる事件の審理が
 バグダッドの米軍事法廷で続いている。
 法廷証言などから、暴力と死に直面し
 酒と薬におぼれる駐留米兵の異常な日常が明らかになってきた。

 「攻撃の恐怖で眠れず、部隊には絶望が満ちていた」。
 実行犯とされる米兵5人(うち1人は除隊)の同僚は8日、
 軍事法廷でこう証言した。

 イラクの中でも特に治安が悪いバグダッド南方マハムディヤ。
 5人はこの地域でも「不運な部隊」(米紙)に属し、
 2月には通常5日交代の検問所勤務を30日連続で命じられた。
 昨年9月から今年6月まで、
 5人の所属する中隊だけで8人が死亡した。

 米メディアによると昨年12月には、
 検問所に立ち寄ったイラク人の男が
 兵士らと握手を交わした直後、
 短銃を取り出し兵士2人の頭部を銃撃。
 レイプ事件の主犯格グリーン元兵士は必死で救命活動を続けた。
 この後グリーン元兵士は
 「イラク人は全員悪者だ」(上官の法廷証言)と
 口にするようになったという。

 部隊では
 イラク軍兵士から調達した酒や鎮静剤などをのみ
 「恐怖を和らげる」ことが日常化。
 レイプ事件直前も、
 5人はウイスキーを回し飲みしていたとされる。

   (U.S. FrontLine)


なんだかこういう記事を見てると、
イラク戦もベトナム戦争の状況に極似してきたと思う。

現在の米軍は全員が志願兵で
ベトナム戦争時の徴兵とは違う。
だから、ベトナムで起きた米兵の極端な士気低下や、
民間人の殺害、麻薬やアルコールによる軍紀の弛緩など、
そういうことは起きづらいと思われてきた。

しかし、上記記事の現実。
これはベトナム戦争と同じだね。
いかに異民族・異国家での長期のゲリラ戦が
侵攻軍兵士の心を歪ませるかを物語っている。

これはかつてのアフガンでのソ連軍もそうだったし、
今、アフガンでタリバンの残党と戦っているNATO軍も
おそらくこの現象に呑み込まれるのではないかな。

米国のイラク戦での問題点は
兵士の死傷や士気低下もあるけど、
それ以上に問題なのは前途に全く展望が無いこと。
中途半端な10数万の兵力で現状を維持するだけで精一杯。
前途を打開する妙策が全くない。

先が見えない戦争ほど兵士の士気を低下させるものはない。
そして国民の戦争遂行意欲も低下していく。

米兵の死傷のニュースが日常となり、重要ニュースでもなく、
感覚は麻痺し、それを誰も気にもとめない。
駐留米軍はゲリラの掃討が日常の業務となり、
イラク人は日々、何十から何百単位で死亡していく。

これは軍事の泥沼であり、政治の泥沼。
さらには感覚の泥沼でもある。



関連過去記事

米国:イラク混沌の処方箋は?・・老覇者の苦悶

イラクの現状を伝えるブログと「民主化」という信仰






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イスラエルの興味深い動き・・戦争調査委員会の設置とイラン空爆の予兆

レバノン攻撃 イスラエルのオルメルト首相も失敗認める

 イスラエルのオルメルト首相は28日、
 レバノンへの軍事攻撃について、
 政府の対応を検証する委員会を設置することを明らかにしたうえで、
 「(攻撃について)問題点と失敗があった」と、
 約1カ月にわたった戦闘で
 成果が得られなかったことについて失敗を認めた。
 
 同首相はイスラエル北部ハイファで演説、
 160人というイスラエル兵の死者を出しながら、
 イスラム教シーア派勢力ヒズボラに拉致された、
 2人のイスラエル兵士の奪還という当初の目的を
 いまだに果たせていないことについて、
 「期待した通りの目的をいつも達成できたわけではない。
 攻撃には問題点も失敗もあった。
 予備兵や市民の中からあがっている批判の声を
 真摯に受け止めたい」と述べた。
 
 一方で、首相は
 「徹底検証は政府機能を麻痺させることになりかねない」として、
 委員会は政府から独立したものではなく、
 委員は首相が指名するとした。
 そのうえでイスラエルはイランからの脅威に
 備えなければならないと攻撃を正当化した。

   (iza!)


この件でオルメルトはかなり追求されてますね。

招集解除になったイスラエルの予備兵たちが
娑婆に戻った後で、
続々と政府と軍指導部の失策を糾弾する声をあげて、
「敗戦」調査委員会の設置を要求しています。
これがかなりの勢いになっています。

イスラエルでは、戦争や戦闘が失敗に終わった後には
必ずこの種の調査委員会を設置し、
失敗の原因と責任を追及してきました。
第4次中東戦争やレバノン侵攻作戦の後など。

第4次中東戦争後には首相が責任を取って辞職し、、
レバノン侵攻後は国防相であったシャロンが辞任に追い込まれました。
それが恐いからオルメルトは
独立の権限をもった調査委員会の設置を拒んでるわけですな。

もっともオルメルトは、

  「イスラエル国防軍のあごにパンチを加えたくはない。
  軍を調査委員会の管理下に置いて、
  次の任務を遂行できないような状態にすべきだろうか?」

と、軍の弱体化への懸念を反対の口実にしてますが。

予備兵達の批判の矛先は
オルメルト首相、ペレツ国防相、
さらに軍のハルツ参謀総長の3人です。

ハルツ自身も

  「参謀総長から兵卒に至るまで、数多くの失策があった」

と、戦争の失敗を認めています。

このイスラエルの予備兵達の発言力の強さは
国民皆兵国家である、この国の特殊性を反映してるんでしょうが、
調査委員会の設置を要求するあたりは、
なんだか古代ローマ帝国のような感じを受けてしまいます。


さて、今、このイスラエルで
別の注目すべき動きが進行中です。
それはイランの核施設に対する空爆の動きです。

机の上の空」というブログがありまして、
ここは頻繁に海外メディアの記事を翻訳して載せてるのですが、
その中で興味深いニュースがありました。

イスラエル 対イラン「作戦マネージャー」を任命

イスラエル 対イラン自力攻撃を検討

両方とも、イスラエルのイラン空爆に絡む動きで、
「ハーレツ」「エルサレム・ポスト」という、
イスラエル紙の翻訳記事です。

本当の情報なのか、
あるいは意図あってイスラエル軍が
マスコミにこの種の情報をリークしているのか?
非常に興味深い内容です。

まあ、時が経てば経つほど
イランの核開発はいっそう進行するわけで、
現情勢が続く限りは、
私はイスラエルは間違いなく空爆に踏みきると見ています。

ただ、1981年のイラク原子炉空爆、
つまり「バビロン作戦」では
ヨルダンとサウジの国境を突っ切るだけで済みましたが、
さすがに今度の相手はイランです。
長大な航続距離が必要となり、かなりの困難な作戦となるでしょう。

イスラエル、イラク原子炉を空爆・・1981年「バビロン作戦」

彼等の発想は
「国家と民族の生き残りに必要であるか否か?」であって、
それにプラスして戦力と戦費の検討を加えた上で、
あっさりと実力行使に踏み切ります。
そこには何の倫理的ひるみも感じません。

米国がイラクの泥沼にはまっている現状、
これは自分たちでやるしかないと
彼等は思い始めているでしょうね。






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敗戦とイスラエル・・「戦争とは他の手段をもってする政策の継続」

「オルメルト首相辞任を」63%…イスラエル紙調査

 イスラエル紙イディオト・アハロノトは25日付で、
 ヒズボラ攻撃で成果が出せなかったとして、
 オルメルト首相辞任を求める意見が
 63%に上るとの世論調査結果を報じた。

 首相率いるカディマや連立与党・労働党の人気が急落し、
 右派野党リクードが支持率で1位となった。

 「だれが首相にふさわしいか」の質問では、
 リクード党首のネタニヤフ元首相が22%で首位。
 オルメルト首相は11%で4位にとどまった。

   (読売新聞)


これはイスラエル国民の敗北感の表れでしょう。

14日にイスラエルとヒズボラの停戦が発効して以来、
いくつかの著名なブログやメルマガで

  「イスラエルとヒズボラ、どちらの勝利であるか?」

との論議が起こりまして、
私も興味深く見ていました。

私見を言うと、過去記事で書いたとおり、

レバノン紛争の終結とイスラエルの敗北

私はヒズボラの勝利だと思ってます。

べつにアラブ贔屓というわけではなく、
両者のどちらが
所定の戦略目的を達成できたかという視点です。

イスラエルの戦略目的は、

  「拉致された2人のイスラエル兵の奪還」

  「ヒズボラの壊滅」

ヒズボラの戦略目的は、

  「イスラエルの侵攻を防ぐ」

これを見ればどちらの勝利かは一目瞭然だと思います。

確かにヒズボラも
この紛争で大きな打撃を受けています。
しかし、死傷者数や損害などの比較で
戦争の勝敗が決まるものではありません。

たとえばベトナム戦争、
あるいはイラクでの米軍とゲリラ組織との戦い。
これらの戦争・戦闘を見ても、
死傷者数や損害で言えば
米軍とベトコン・北ベトナム軍、
米軍とイラクのゲリラ組織、
圧倒的に米軍の方が損害が少ないでしょう。

では、ベトナム戦争は米国の勝利か?
あるいは、イラクでの戦闘で米軍は勝利をおさめているのか?
否、否。
「戦略目的の達成」という観点から見なければ
戦争の勝敗などは分かるものではありません。

クラウゼヴィッツ曰く、

  「戦争とは他の手段をもってする政策の継続」

つまり、戦争とは外交の延長、政治の延長であるということ。
その意味では、勝敗の判定の際には
損害の多寡の比較など無意味だということです。

ここで英紙ガーディアンの記事を引用しておきます。


◇代償を払うイスラエル
 
 イスラエルは、1カ月におよぶヒズボラとの戦争で、
 2つの目的を達成することができなかった。
 1つは7月12日にヒズボラに拉致された、
 2人のイスラエル兵を取り戻すことであり、
 もう1つは、イスラエルがヒズボラから
 ロケット弾攻撃を受ける脅威を取り除くことである。
 
 イスラエルのように
 活発な民主主義国家では当然想定されることではあるが、
 イスラエルの政治指導者も、軍の指導者も
 その説明責任が問われようとしている。
 その先頭に立っているのはマスメディアである。
 例えば、日刊紙ハーレツは、
 イスラエル国防軍(IDF)参謀長の
 ダン・ハルーツ中将の辞任を要求している。

 さらに深刻な批判は軍内部、
 それも上層部と戦場の兵士の双方からもたらされている。
 歩兵部隊の最高責任者で、
 近く退役することになっているヨッシ・ハイマン准将は、
 歩兵を実戦に対して十分に備えさせることができなかったことに
 自ら遺憾の意を表明しながらも、
 IDFの「おごりの罪」を告発した。
 同時に、レバノンに派遣された予備役の兵士グループも、
 ペレツ国防相とハルーツ参謀長に対して、
 IDFの指揮官たちを告発する文書を送った。

 この告発書は、
 将校たちの慢性的な優柔不断さを非難するとともに
 「われわれの上官の間に見られるのは、
 準備不足、不真面目さ、見通しの欠落、
 合理的決定を下す能力の欠如だけだと強く感じる」と述べている。
 この文書に署名したのは、1980年代、90年代に
 イスラエル軍のレバノン駐留に抗議した、
 「平和主義者」の予備役ではなく、
 ヒズボラの民兵を壊滅させるため
 厳しい任務に耐える用意がある兵士たちである。

   (ガーディアン 2006/08/22)


イスラエル軍の内部でも
この「敗戦」の責任を問う動きが始まっているようですね。

しかし、これは同時に
イスラエルの強さの表れでもあります。
敗戦と同時にその原因を探り、責任を追及する。
そして二度と同じ轍は踏まない。
こういう理知的な態度は米軍と共通しています。

まあ、復仇の機会はすぐにでも訪れるでしょう。
戦乱がこの地から去ることは
しばらくはあり得ないでしょうから。





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レバノン紛争の終結とイスラエルの敗北

停戦決議の舞台裏 イスラエルの苦戦に米国は動いた

 ブッシュ米大統領は14日、レバノンでの停戦発効を受け、
 イスラム教シーア派組織ヒズボラが「敗北を喫した」と語った。
 しかし、実際にはイスラエル軍がヒズボラの抵抗で
 予想以上に掃討作戦に手間取り、犠牲者も増えたため、
 米国としても11日の国連安全保障理事会での
 停戦決議を急いだようだ。
 
 「コンディ(ライス国務長官の愛称)は10日夜に決断した。
 (国連本部のある)ニューヨークに行き、
 まとまるまで座り続けると」。
 米政府高官は14日付の米紙ニューヨーク・タイムズに
 決議採択の舞台裏を打ち明けた。
 同長官が11日にニューヨーク入りするまで決議の行方は
 不透明だった。
 
 米仏両国は5日、いったんは戦闘停止に向けた決議案で合意した。
 ところが、イスラエル軍の撤退が盛り込まれていなかったため、
 レバノン側が反発。
 修正協議を行ったが、米国は国際部隊の派遣前に
 イスラエル軍が撤退することには難色を示した。
 シラク仏大統領は独自案の提出、
 ボルトン米国連大使は拒否権行使の可能性を示唆した。
 
 イスラエルはその間、
 レバノン南部での地上作戦拡大の方針を決めた。
 ヒズボラのロケット弾攻撃にイスラエル側の死傷者も増え、
 米政府内では「イスラエルが軍事的勝利を収めるのは難しい」(高官)
 とみて停戦が必要との認識が広がった。
 ライス長官によるニューヨーク行きの決断は
 こうした米政府内の考えを反映したものといえる。

   (iza!)


今回の紛争に関してはいろいろな見方がでてますが、
ただ一つ言えるのは
「イスラエルが戦略的に敗北した」ということ。

個々の戦闘だけとってみれば勝敗は様々に分かれるのでしょうが、
「ヒズボラの壊滅」という当初の戦略目的を達成することなく、
国連決議に救われるような形で撤退するわけですから、
これはイスラエルの敗北です。

この紛争の結果は、
今後の中東情勢に激震を巻き起こすでしょうね。
イスラエルの不敗神話が崩れたことは大きい。

確かに第四次中東戦争でもイスラエルは
緒戦においてエジプト軍の対戦車ミサイル部隊に
大打撃を食らいましたが、
戦争終盤においては巻き返し、
アラブ側の敗色に慌てたブレジネフが仲介に入ることで
あの戦争は終結しました。
即ち、個々の戦闘では勝ち負けはいろいろあったものの、
戦争全般においては戦略的に勝利しました。

しかし、今回の紛争は全く逆です。
また、第四次中東戦争では
エジプトやシリアなどの国家の正規軍が相手でしたが、
今回の相手は、ただの武装組織に過ぎません。
それに負けたわけです。

逆にヒズボラは
イスラエルの侵攻を防ぐという戦略目的を達成しました。
もちろん、彼等の打撃も大きかったでしょうが、
それ以上に「イスラエルに勝った」という無形の財産を手にしました。

この紛争での戦闘を見てると、
「民心を得ない侵攻軍はゲリラ戦に弱い」という古来からの原理が
そのまま当てはまるような展開でした。
これは米国のイラク侵攻も同様ですが。

また、イスラエルもさることながら、
これを後援していた米国の中東政策も打撃を受けるでしょう。
アフガン情勢の悪化、イラクの混沌、
そしてイスラエルの敗北。

「中東の民主化」という、
大風呂敷をかかげたブッシュ政権ですが、
これでは民主化どころの騒ぎではありませんね。

さて、この混沌の情勢の合間にも
米国のイラクとアフガンの戦費は財政を圧迫し、
米兵の血は流れ続けています。
そして、事態は好転してるかというと全く良くなっていません。
それ以上にまずいのは
「好転する公算」が全く無いことです。
打開の方法論が無い。
前途が全く見えない。
米国の国力の限界が
全世界にハッキリとさらされる結果となっています。

これから十数年、この地域の混乱は
拡大することはあっても、終息は無いでしょう。
地域の「重し」になっていたのが米国という存在ですから、
この重しが軽くなれば秩序が乱れるのは当然のことです。



関連資料リンク

ヒズボラ、強力な対戦車ミサイルで抵抗
 イスラエル軍に大きな誤算

中東 TODAY:ヘズブラの勝利はアラブを激変させた

首相と国防相の支持率下がる イスラエル世論調査






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トルコ:イラク北部へ越境侵攻作戦の動き!?

今日の産経に驚愕のニュースが載ってました。
ちょっと長いけど、そのまま引用します。


中東危機の連鎖 一橋大大学院教授・内藤正典氏

 イスラエルのレバノン侵攻は、
 中東に危機の連鎖をもたらしつつある。

 焦点は、意外なことにトルコである。
 中東地域で唯一のNATO(北大西洋条約機構)加盟国であり、
 長年にわたってアメリカとの協調路線を歩み、
 イスラエルとさえ軍事協力関係をもつトルコで、
 今、急激に反米感情が高まっている。

 イスラエルがレバノンに侵攻した7月中旬、
 トルコでも、分離独立を志向する、
 クルド武装組織PKK(クルド労働者党)と
 治安部隊との戦闘が激化し、
 3日間で15人のトルコ軍兵士が犠牲になった。
 兵士の葬儀は毎日大きく報道され、
 PKKへの憎悪は高まるばかりである。
 あらゆるメディアは連日、
 「イスラエルのようにわれわれもやる」と書きたて、
 現在、PKKが活動拠点を置くイラクへの
 越境攻撃に対する支持をあおった。

 その最中の7月21日、
 私はトルコのエルドアン首相と会見する機会を得た。
 「新聞が連日イラクへの越境攻撃に言及しているが」
 と問いかけると、首相は、私の質問を遮り
 「それは政府の見解であり、私が最初に述べたことだ」
 と北イラク侵攻の可能性を明らかにした。
 エルドアン首相は「トルコの忍耐はもはや限界に達した」と述べ、
 自国防衛のために、隣国に拠点を置くPKKを
 攻撃することには正当性があると主張した。

 トルコにおける治安部隊とPKKの衝突は
 80年代から90年代にかけて激しさを増し、
 双方に多くの犠牲者を出した。
 1999年にリーダーのアブドラ・オジャラン氏が
 ケニアでトルコの情報機関に捕らえられ、
 2000年以降は急速に沈静化していった。

 しかし、PKKはイラク戦争後、
 高度の自治を保障された北イラクのクルド人地域に活動拠点を築き、
 トルコ側に越境して衝突を繰り返している。
 アラブ人のスンニ派とシーア派が
 イラク国内で泥沼の衝突に陥り内戦状態と化している今、
 北イラクのクルド人だけが対米協調を崩さず、
 アメリカの庇護(ひご)の下で自立を強めている。

 トルコがイラク領内のPKK拠点を攻撃することについて、
 イラクのタラバニ大統領(クルド人)や
 アメリカは強く反対している。

 一方、レバノン情勢に目を移せば、
 アメリカは、イスラエル軍兵が
 レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに
 拉致されたことへの対抗手段として、
 イスラエルがレバノンに大規模な侵攻作戦を行うことを容認した。
 しかし、トルコに対しては、
 トルコ軍兵士が殺害されたにもかかわらず、
 イラクへの越境攻撃を容認しない。
 トルコ国民からみると、
 明らかなダブルスタンダード(二重基準)となる。
 アメリカへの反発はかつてない高まりを見せている。

 エルドアン首相が述べたように、トルコ政府は、
 すでにテロ対策会議と閣議決定によって、
 軍部に対して越境攻撃作戦の立案を指示した。
 軍部は作戦行動について何も明らかにしていないが、
 PKKによるトルコ側への攻撃が続けば、
 トルコ軍は確実に越境攻撃に出る情勢となった。

   (産経新聞)


イラク戦争で最も得をした者は誰か?

それはクルド人です。
イラク国内において民族の自治権を要求しつつも
長らくフセイン政権の弾圧にあっていた彼ら。
時には化学兵器で攻撃されたこともあります。

そのクルド人はイラク戦争終結後、
新生イラク政府のもと、大幅な自治権を獲得、
さらにイラクの大統領に
クルド人の英雄であるジャラル・タラバニが就任しました。

今では殺し合うシーア派とスンニ派をよそに、
イラク北部の自治区で
フセイン時代とはうってかわった民族自治を謳歌しています。

かつてイラクでのクルド人独立勢力は
クルド民主党とクルド愛国同盟に分裂してましたが、
今は一本化し、自治政府の下に糾合されています。

さて、上記ニュースです。
これには驚きました。
トルコでそういう動きが強まっているとは。

確かにトルコは
国内でのクルド独立運動を弾圧してきました。
クルド人はトルコ・イラク・イランの三ヶ国にまたがっており、
三ヶ国の政府からそれぞれ迫害されてきました。

上記ニュース中の
クルド武装組織PKK(クルド労働者党)は
民族の独立を訴えてトルコ国内でテロ活動を行っており、
トルコ軍と長年にわたって戦闘を交えてきました。

1995年にはトルコ軍がイラク領内に侵攻し、
イラク北部のPKKの拠点を越境攻撃しました。
さらに、これにフセイン政権も呼応し、
自国のクルド人地区に侵攻しました。

今、イラクでのクルド自治区の成立により、
トルコとイラン国内のクルド人の士気は上がっており、
イラクを策源地として
トルコ・イラン国内での独立運動が活発化しています。

トルコとイラン政府にとってみれば
分離独立主義者であるクルド勢力の活発化は
当然、好ましいものではなく、
彼等は警戒心を強めています。

今年の4月、イラン軍が突如、イラクに越境侵入し、
クルド人自治区のPKKの拠点を攻撃しました。
これにイラク政府が非難声明を出しています。

クルド勢力にイラン・トルコが軍事圧力…独立波及警戒

この時は越境攻撃とは言いつつも
PKKの拠点に砲撃を加えただけで、
侵攻作戦というより牽制攻撃に近いものでした。

しかし、冒頭のニュースを見る限りでは
トルコは本格的な介入戦を意図しているようですね。

イラク政府は内戦寸前の国内状況に手一杯であり、
駐留米軍も治安維持に兵力が全て取られている状況です。
トルコもそこを見越しているんでしょうけど。

まあ、その意味で言えば
国が乱れ、弱体化するとは惨めなものです。
周辺諸国からいいようにやられてしまう。
トルコ軍は、いまやイラク軍など歯牙にかけてないでしょう。
恐いのは米軍と国際世論のみ。

さて、このトルコのエルドアン首相ですが、
米国に対して手厳しい人物で知られています。

かつてイラク戦争開戦時に
米国はトルコ領を通過して
イラクを攻撃する許可を求めましたが、
エルドアンはこれをはねつけています。

おかげで米軍は一個師団が宙に浮く形となり、
結局、イラク戦争自体が楽勝だったからよかったものの、
あれが辛勝程度だったら、
戦後、米国はトルコに報復措置をとったでしょうね。

最近では、こういうニュースもありました。


「エルドアン首相はアルカーイダの庇護者?」

 トルコ国内で、いま密かに話題になっていることがある。
 それはエルドアン首相とアメリカの関係が、
 今後どうなっていくのかということだ。

 アメリカは一人のサウジアラビア人ビジネスマンを、
 アルカーイダの支援者としてマークし、
 アメリカとヨーロッパにある彼の資産を、
 凍結するという手段に出た。

 加えて、アメリカは
 トルコにある彼の資産も凍結することを考え、
 エルドアン首相に要請した。
 しかし、エルドアン首相は、
 この人物がアルカーイダとは何の関係も無い、として
 サウジアラビア・ビジネスマンの、
 在トルコ資産の凍結を拒否している。

 トルコの国内では、エルドアン首相が首相就任前に、
 彼から資金的な援助を受けていたために、
 彼の資産を凍結出来ないのではないか、
 という噂がささやかれてもいる。

   (中東 TODAY)


この人物、米国の言うことは聞きそうにありませんね。

今や、どこの国の政府でも
米国から「アルカイダとの関連性を・・」と言われると
たいてい恐れ入ってしまうのですが、
このトルコ首相はなかなか硬骨というか、
強固なキャラのようです。
とてもNATO諸国の一員とは思えません。


さて、我々日本人としては
北朝鮮情勢やレバノン情勢に目を向けがちですが、
意外にトルコという伏兵が
思わぬ所から飛び出してくるかもしれません。



関連資料リンク

クルド人問題とは

中東・西欧マンスリー:ザルカウィの脅迫とイラク情勢



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米国:イラク混沌の処方箋は?・・老覇者の苦悶

◆主戦場はアフガンとイラクだ
 
 世界は先週、制御不能になるかのように
 レバノン、北朝鮮、バグダッド、
 ムンバイと各地で危機が相次ぎ、
 罪のない人々数百人が死亡した。
 国際社会でこんなに重苦しい出来事が続いたのは久しぶりだ。
 唯一の超大国である米国も北朝鮮やシリアの独裁政権を
 自分の意思に従わせることはできないでいる。
 超大国は多くの問題を同時に処理できなければならないが、
 米国の指導力を緊急に必要としている地域は、
 イスラエル、朝鮮、イランなど多方面にわたっている。

 しかし、いくら危機が山積しても、
 ブッシュ政権は自らが始め、
 まだ勝利していないアフガニスタンとイラクの
 戦争への集中的取り組みを忘れてはならない。
 アフガンの治安は悪化の一途をたどり、
 地方の当局者は米軍から
 北大西洋条約機構(NATO)軍への治安維持任務の移譲が
 米国の関与後退を意味するのではないかと懸念している。
 だが、困窮に陥った国を見離す危険はもう分かっている。
 アフガンは復興支援の増強を求めており、
 米軍に取って代わる欧州諸国の部隊は米兵と同じように断固、
 タリバンと戦わなければならない。

 一方、イラクでは宗派間の争いが激しさを増している。
 この1年でイスラム教スンニ派が政治プロセスに参加し、
 シーア派のマリキ首相による同派民兵の蛮行追及、
 アルカイダ勢力の弱体化など
 事態進展への歩みはあったものの、
 イラク政府が国民の安全を保障できなければ、
 こうした進展もまったく無意味になる。
 政府が治安を確立できないなら、
 イラク人はあらゆる面で民兵の力に頼るようになり、
 内戦への火ぶたが切られることになろう。

 北朝鮮は今後も挑発行動を続け、
 イランも手先となっているテロリストを
 そそのかすことになろう。
 このため、ワシントンでは対応策として
 イラクからの即時撤退論を頻繁に耳にするようになった。
 だが、即時撤退は、イラクを混乱の中に放置し、
 米国の国際的立場を強化せず、逆に敵を力付け、
 先週の危機を引き起こせるようなグループに
 聖域を与えてしまうだろう。
 それよりも、イラクでの使命を成功させるため、
 極めて困難な活動に力を集中する方がよい。

   (ワシントン・ポスト 2006/07/16)


このワシントン・ポストの論考ですが、
硬骨で実に小気味いいですね。
なかなか骨太な意見だと思います。

もちろん、日本人の視点からすると
米国がいつまでもアフガンやイラクに
エネルギーを傾注している現状は困りものであり、
少なくともアフガンなんか放っておいて
北朝鮮にもっと目を向けてくれよといいたくなります。

この問題の根幹は、

  衰えた覇権国家の力の割り振り

ってことなんでしょうが、
かつて100のパワーを持っていて
余裕で世界中の問題に対応していた超大国が、
今や40のパワーに衰えて、
そのパワー配分に四苦八苦している現状ですね。

サッカーにたとえるならば、
割り当てられた守備範囲がやたらと広い、
高齢DFってとこでしょうか。

かつての強健な体力も衰え、足腰もガタがきて、
右に走れば、左に敵FWに走り込まれ、
左に寄れば、空いた右のスペースががら空きとなり、と。

さて、私は現在の情勢が続けば
必然的に米国はイラクからの撤退を余儀なくされると思ってます。
何故なら、現在のイラクの混沌に対して
米国には解決手段が無いからです。

だからどこかで撤退せざるを得ない。
ワシントン・ポストにはお気の毒ですけど。

今のイラクの混沌は、米国の軍事力によって
最悪の内戦一歩手前で
なんとかギリギリで支えられているにすぎず、
イラク再生・イラク復興なんて、ほど遠いものがあります。

では、この混沌の根本要因は何でしょうか?

1,異教徒・異国人によるイラク支配

2,民主主義

3,イラクが多宗派・多民族による、
  寄せ集めの人工国家であること。

1は容易に分かりますね。
キリスト教徒たる米国人がイラクを支配すれば
そりゃ摩擦が起きるのは当然でしょう。
また、3も混沌の要因そのものです。

では、2の「民主主義」が何故、混乱の原因なのか?

まあ、民主主義の構成条件・定着条件に関して
ああだこうだ、ここで書く気はありませんが、
民主主義の欠点は一歩間違えれば
多数派による少数派への強権支配に転落するということです。

シーア派・スンニ派・クルド人の
3勢力がひしめいているイラクですが、
互いに融和せず、それぞれが排他的で
独自性を強く持てば持つほど、
民主主義というシステムは多数派専横の道具となります。

なまじっか米国がこういうシステムを
イラク現状況の中に導入しようとすれば
混乱を生み出すのは当然のことです。

では、この3つの要因から見て、
米国にとってイラク情勢の打開策は何か?

1,単純に撤退する。

2,イラク三分割

3,開発独裁政権を打ち立てて、それを米国が後援する。

この3つでしょうね。

まず、1からいきますと、
これはある意味、一番楽勝な道です。
出ちゃえばいいんですから。
ただし、その後に来るイラクの破局的混乱と
中東情勢の不穏化はハンパじゃありません。

イラクは中東の枢要の地であり、
また、石油の生産量・埋蔵量から言えば、
ここが混乱することは世界に大きな影響を与えます。
それはかつて同じように撤退したベトナムの比ではありません。

次に2の「三分割」ですが、
これはイラク戦争直後に
米国のシンクタンク、米外交問題評議会(CFR)が提唱して
話題になったことがあります。

どうせ、シーア・スンニ・クルドと
三者はかみ合わないんだから、
いっそのこと分割しちゃえという案です。
この場合、緩やかな連邦制国家にする穏健論と、
完全に三国を独立させる強硬論の2つがあります。

後者の強硬論ならば、

 北国家・・クルド人
 
 真ん中国家・・スンニ派

 南国家・・シーア派

の、3つに分割して、
石油が取れる北と南に米軍が進駐して押さえ込み、
真ん中は放置するという案です。

これだと民族・宗派の対立も押さえられるし、
費用対効果から言えば
無駄の多いバクダット等の真ん中は面倒みなくてすみます。
押さえるとこだけ押さえて、
あとは勝手にやってろよって感じの策ですね。

最後の3。
「開発独裁政権を打ち立てて、それを米国が後援する」
これは要するに、
民主主義なんて建前論は捨てて
実利だけ得ようという案です。

民主主義でみんなに一票持たせるから混乱する。
じゃあ、独裁政権を打ち立てて、
米国が背後でコントロールすればいい。
そして強権政治によって
混乱しがちな国家の分裂と混沌を押さえ込む。

少数派であるスンニ派あたりに政治権力を持たせて、
かつてのサダム時代のように
強権と人権無視と秘密警察で国内を完全に掌握させる。

まあ、これはブッシュ・ドクトリンの
「中東の民主化」理念の放棄でもあります。

でも、サウジなんかもそうだし、
米国が独裁政権・非民主政権を後援している例は
それこそ過去から現在に至るまでいくらでもあります。

ただ、イラクは米国にとって
中東民主化のショーウインドウと見なしてきただけに、
この案をとった場合の世界に与える衝撃は大きいでしょうね。

米国がロシアと周辺諸国に対して取っている民主化攻勢、
これにも影響してくるでしょう。

「民主主義」という国家理念は
米国にとって武器でもあります。
いわば国家ブランドですね。
これがあるから諸外国に信用されている側面があるわけで、
これを平然と無視し、イラクに独裁政権を建てれば
米国のブランド力は低下するでしょう。


まあ、3つの方策を書きましたけど、
なんだかんだ言いつつ、
いずれも困難な道であることは変わりないですね(笑)

でも、これ以外に無いんじゃないですか?
どの道、現状のままでいくならば
国家財政の赤字に耐えかねて
どこかの段階でイラク進駐路線は破綻するでしょう。



関連過去記事(本店ブログ)

イラクの混沌と統治の泥沼・・イラク戦争と湾岸戦争




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イラクの現状を伝えるブログと「民主化」という信仰

6月13日付けのニューヨークタイムズに
イラクの現状を伝える興味深い記事が載ってました。

以下、引用します。


◆戦時下の生活

 タイムズ・スクエアで
 2006年の新年を祝った紙吹雪の片付けが終わったころ、
 少数のイラク人ブロッガーたちが
 タイムズ紙に情報提供を開始した。

 年の初めは、ブロッガーたちの苦情のタネは
 自動車爆弾よりも新年を祝う気にもさせない停電や
 闇市での燃料の高値、夜間外出禁止令に関するものが多かった。
 だがいつもそうではない。
 バグダッドで歯医者をしているゼヤドは1月、
 「この2年の間に私は2回の武力衝突と
 1回の自動車乗っ取り事件の現場からほうほうの体で逃げ出した。
 2人の人が頭を撃ち抜かれるのを目撃したし、
 弾丸を浴びた子どもが私の友人と私に
 病院に連れて行ってくれと懇願するのも見た。
 つい最近はバグダッドの公道で私の乗ったタクシーが
 米軍の車列の後ろで車を道路側に寄せたところ、
 1人の米兵が理由もなく私を目がけて発砲したが、弾はそれた。
 タクシーの運転手はきっとゴム弾だったのだよと
 私を慰めてくれた」と書いてきた。

 5月に3人のブロッガーが戻ったとき、
 彼らの書く情報は変わっていた。
 粗末なインフラや米兵から逃げ隠れする話は減って、
 イスラム過激派に対する不安や
 スンニ派とシーア派の殺し屋たちが
 近隣に恐怖をもたらしている話が増えた。
 彼らが繰り返し指摘した転機は、
 2月22日に起きたサマラにあるシーア派アスカリ聖廟の
 黄金のドームの破壊だった。
 ブロッガーたちは、タリバンのようなイスラム過激派の存在が増えて
 バグダッドの住民に暴力的に制限を加えていると
 書くことも多くなった。
 「彼らは殺すと脅して彼らのルールを押し付けている」
 と大学生のハッサンは5月に書いた。

 ハッサンは6歳の妹について書いた。
 誘拐されたり、殺されたりすることを恐れて、
 家族が外で遊ぶことを許さない。
 妹は「動物園に行ったことがないし、
 公園にも一度しか行っていない」というのだ。

   (ニューヨーク・タイムズ 2006/06/13)


実に生々しいですね。

イラク戦争当時、従軍した米兵や
バクダットに住むイラク人などがブログで情報を発信し続けた。
特にサラーム・パックスというイラク人による、
「バグダッドからの日記」が有名だった。
これを「WIRED NEWS」なんかが盛んに取り上げていた。

サラーム・パックス―バグダッドからの日記

ブログはこういう点は凄いよね。
生の情報を現場から伝えてくれる。

あの中国での反日暴動のおりは
中国の日本人留学生などが
暴動の様子を現場レポートでブログに投稿してたけど、
あれも凄かった。
上海では当局が、暴徒の日本領事館への投石を
全く制止しなかった様子などが書かれていた。

上記ニュースは
現場の状況を知るもののみが語れる臨場感がある。
生の言葉そのものだね。

一方、イラク絡みでこんなニュースも。


「民主化」はほとんど失敗 米政治学者が事例研究

 米国が軍事力を背景に
 イラクなどで進める民主政権づくりについて、
 日本やドイツを含む過去150年の事例から
 「ほとんど失敗している」と指摘する米政治学者の論文が
 このほど発表された。
 ブッシュ大統領は先日のバグダッド訪問で
 米国がイラク政府を全面的に支える方針を強調したが、
 歴史の教訓からすると、道のりは険しそうだ。
 
 発表したのは、
 エール大学などで政治学を教えたジェームズ・ペイン博士。
 米英両国が、軍事力を背景に民主政権づくりに努めた51例を
 150年前までさかのぼって調査。
 成功例とされているのは戦後の日本、ドイツ、イタリア、
 パナマ、フィリピンなど14件、27%だった。

   (共同通信)


だそうです。
当然といえば当然の気が。

民主主義が成り立つのは
それを成り立たしめる歴史的・文化的条件があるのであって、
その国の国民なり民族なりが
それを構築せしめる価値観を持ってなきゃ無理。
山本七平さんが言った「掘り起こし共鳴現象」ってやつかな。

これが無ければ民主主義の導入は単なる衆愚政治や、
多数派が少数派を虐待する構図になる。
アフリカなんかの部族間抗争はだいたいこのパターン。

米国は戦後この方、
全世界の様々な国に介入し続けたけど、
その中で民主主義が確立しえた国はむしろ少数でしょう。

いい加減に学習しなさいよという感じ。
民主主義というシステムの導入よりも
そのシステムを成り立たせている価値観を導入する方が
結果的に遠回りに見えて近道だと思うんだけどなあ。

あれほど過去の事例に学ぶことに熱心な国が
こと国家理念に関する部分になると
痴呆症にかかったように全く周囲が見えず、
先例と現実を受け付けなくなる。
国際政治の七不思議の一つだな(笑)



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イラク関連の「アマノジャク報道」を2つ

イラク関連の報道を2つ。
2つとも意外な観点の「アマノジャク」報道。

まずは仏紙ルモンドから。


◆ザルカウィは勝った

 アブムサブ・アル・ザルカウィを6月7日、
 米空軍の空爆で殺害、除去したことは、
 米国にとってひとつの勝利である。
 またザルカウィを敵として戦った、
 イラク政府・情報機関の勝利でもある。
 さらに、それはイラク国民の圧倒的多数にとっての勝利だ。
 彼らは親米であれ反米であれ、
 このアルカイダ指導者の最大の被害者だったからだ。

 しかし、この勝利も現実は覆い隠すべくもない。
 イラク戦争で現時点の勝者は、ザルカウィにほかならない。
 このヨルダン人聖戦主義者は死に至るまで、
 3年足らずで主な賭けに勝った。

 その第1。
 ザルカウィは国際機関・組織を
 敗走させてみせると予告していた。
 彼はバグダッドの国連事務所を攻撃、
 次いで西側の人々を人質にして首を切り落とし、
 国連諸機関、非政府組織、外国実業人のイラク退避で、
 目的を達成する。

 第2。
 ザルカウィは米軍への仮借ない戦いを予告していた。
 事実、米軍のどのようなパトロールも、
 しばしば多くの死者が出るゲリラ攻撃を受けることなしに、
 バグダッドの基地から出発し、
 「スンニ派三角地帯」に足を踏み入れることは、期待できない。

 第3。
 西側・サウジアラビアに対する、
 ウサマ・ビンラディンの戦いと違うところだが、
 ザルカウィは特に、シーア派、クルド人への情け容赦ない攻撃と、
 イラクの内戦とを予告していた。
 内戦は現に始まっている。

 スンニ・シーア両派の民兵は連日殺りくを演じ、
 住民の避難が始まり、住民社会相互の不信、
 それどころか憎悪はイラクに燃え上がっている。

 2004年以来潜在化し、06年春に一層激化したこの戦いは、
 ザルカウィの最大の勝利だ。
 彼はゲリラを含むスンニ派イラク人に、
 シーア派に対する絶対的な憎しみを植え付けた。

 従って彼の消滅でイラクの挑戦は何も変わらない。
 何よりも、イラクの根本的な問題が解決されなければならない。
 主権と統治、米国の占領、イランの介入、経済の壊滅、
 社会のイスラム化。それらの解決が根本の課題である。

   (ルモンド 2006/06/10)


勝った勝ったと西側メディアは騒いじゃいるが、と。
どっこい勝ったのはザルカウィじゃないかと。

いかにもルモンドで、
ニヒルに米国の勝利報道を皮肉っています。
こうところがフランス人のいやらしいところですね(笑)

要は、なんだかんだ言いつつ、
イラクは泥沼と化したわけで
それはザルカウィの死後も変わらない。
むしろ、この泥沼を現出した立役者の一人が
ザルカウィじゃないかと。
だから彼は勝ったんだと。


さて、もう一つのニュース。


メディアの米軍報道は「偏向」―監視団体調査

 主流メディアはブッシュ政権だけでなく、米軍にも批判的――。
 米メディアの報道姿勢を監視している、
 「メディア・リサーチ・センター」(MRC)は15日までに、
 イラクなどに駐留する米軍に関する報道が
 兵士の不祥事を伝える内容に偏り、
 勲章を授与された兵士らの功績が
 ごくわずかしか報じられていないとする調査結果を公表した。

 MRCは5月17日から6月7日までの約3週間、
 NBC、CBS、ABCの3大ネットワークが、
 米海兵隊によるイラク西部ハディサでの
 民間人殺害疑惑について報じた時間を調査したところ、
 合計で3時間半に達することが分かった。
 最も長かったのがABCの85分で、
 NBCが67分、CBSが58分だった。

 一方、米軍では対テロ戦争で20人の兵士が、
 最高位あるいはその次位の勲章を受章しているが、
 2001年9月から最近まで、
 3大ネットワークが彼らについて報じた時間は
 合計で52分にとどまっている。
 20人のうち14人については、
 一度も触れられたことがないという。

 この調査結果について、
 MRCのリッチ・ノイエス調査部長は
 「テレビネットワークは(兵士たちの)ポジティブな話に、
 軍の不祥事ほどの関心を示さない」と批判。
 MRCは、同疑惑が調査段階であるにもかかわらず、
 「マサカー(虐殺)」「マスマーダー(大量殺人)」
 などの言葉を用いていることも問題視している。

 3大ネットワークやCNN、
 ニューヨーク・タイムズなど米主流メディアは、
 程度に違いはあるがリベラル色が強く、
 ブッシュ政権に批判的な立場を取っている。
 このため、ブッシュ政権や大統領支持者からは、
 主流メディアのイラク報道がネガティブな側面ばかりを
 強調していることに強い不満が出ている。

   (世界日報)


いかにも反リベラルの世界日報らしい内容ですが、
まあ、こういうパターンはベトナム戦争の時もあったこと。

結局、イラクでの諸々の事象のうち、
何を報じ、何を棄てるのかという取捨選択の問題でしょうが、
それはやっぱり報道機関の姿勢によって左右されるでしょう。

この状況は日本のマスメディアも同様なわけで
話しはちょっと飛びますが、
最近、靖国に関するニュース・記事がやたらと増大してます。

もちろん靖国の問題が
時節がら注目を集めている側面がありますが、
それだけじゃなくて
自民党の次期総裁選で靖国が争点となりそうなこと。
そして、中国がこの部分を注視し、
あたかも「次期総裁は中国が指名」ばりの状況に
なっていることが大きいでしょう。

だから、マスコミ各紙も
自分のとこの報道理念から見て
好みの人物に総裁になってもらいたく、
靖国を題材に記事の投げ合いが生じている。

まあ、ハッキリ言えば
朝日・毎日=福田、産経=安倍、の構造ですね。
読売は分祀派に転向したので
どこを応援してるのかは知らないけど。

朝日は「A級戦犯」「分祀を!」「アジア外交立て直し」を連呼し、
産経は「靖国参拝」「内政干渉反対」と矢継ぎ早に書く。

私は後者に賛成ですが、
このマスコミの状況は非常に興味深いものがあります。
特にここ一ヶ月の産経の靖国関連の報道は連射連発という感じで
「中国製総裁」誕生への危機感を感じます。

あらら、話しがイラクから靖国に流れちゃいましたね (^_^;)


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対イラン同盟・・イスラエルとアゼルバイジャンが接近中

イスラエルがアゼルバイジャンに接近

 アゼルバイジャンはイランやトルコと接する、
 中央アジアの一番西側に位置する国だが、
 最近イスラエルがこのアゼルバイジャンに対し、
 これまでにも増して急接近し始めている。

 実はこのアゼルバイジャンは、
 イランによって国土の半分程度を奪われたと主張している。

 アゼルバイジャン側に言わせれば、
 イランの領土のうち、西側一帯(イラン領土の3分の1程度か)が
 かつてはアゼルバイジャンの領土であった。
 それが証拠には現在700万人のアゼルバイジャン人が、
 イラン国内に居住しているということだ。

 したがって、アゼルバイジャンの対イラン感はすこぶる悪い。
 イランと同じシーア派イスラム教徒の国なのだが、
 スンニー派のトルコと親しい関係にある。
 つまり、イスラエルからしてみれば、
 イランに対する工作、軍事攻撃いずれの場合でも、
 アゼルバイジャンは格好の協力国ということであろう。

 いま、イスラエルが
 アゼルバイジャンとの関係を強化し始めているということは、
 イランに対する工作は既に始まっており、
 近い将来軍事攻撃を開始することも予測させる。

 なおイスラエルはアゼルバイジャンに対し、
 経済協力にあわせ武器の供給も行っている。

   (中東 TODAY)


これは興味深いですね~

1991年8月、ソ連邦の崩壊に伴いアゼルバイジャンは独立。
同年12月、アゼルバイジャンは隣国アルメニアとの間で
ナゴルノ・カラバフ自治州の帰属をめぐって
宣戦布告なき戦争に突入。

ナゴルノ・カラバフは
アゼルバイジャン領の中にあるのが、
人口はアルメニア人が多数を占め、
アルメニア人武装勢力がアゼルバイジャン軍を追い出して
アルメニア領への編入を主張、
これにアルメニア軍が介入して戦争になった。

アゼルバイジャンはイスラム教シーア派の国。
一方のアルメニアはキリスト教国。

これに近隣大国のイランはアルメニアの後押しをした。
イランはアゼルバイジャンと同じイスラム教シーア派の国。

一方、イランのライバルであるトルコは
アゼルバイジャンを後援した。
トルコはイスラム教スンニ派の国。

つまり、

  アゼルバイジャン(シーア派)=トルコ(スンニ派)

  アルメニア(キリスト教)=イラン(シーア派)

この組み合わせ。

互いに国益を巡って
信教の区分けなんて知ったこっちゃないと
アルメニアはイランとくっつき、
対抗上、アゼルバイジャンはトルコと盟を結んだ。

この戦争は、双方1万7000人の死者と
100万人以上の難民を出し、
1994年にロシアの調停で停戦となった。
結果はアゼルバイジャンの敗北、
ナゴルノ・カラバフは
全土、アルメニアの支配下に置かれただけでなく、
アゼルバイジャンの国土の20%はアルメニアに占領された。

さて、前振りが長くなりましたが、
この「ナゴルノ・カラバフ紛争」で見られるように
アゼルバイジャンはイランと歴史的に仲が悪い。

上記ニュースにあるように
アゼルバイジャンはイランの北西部にある、
東アゼルイバイジャン県・西アゼルバイジャン県などを
自らの領土と主張している。
この地方にはアゼルバイジャン人(アゼリー人)が多く住んでおり、
両国の間では小さな紛争が度々起こっている。

イランという国はペルシア系住民が過半を占めるが、
多くの少数民族が存在する。
アゼルバイジャン人以外にアラブ人・クルド人などが居住している。

イランの核開発を巡り、
米国の攻撃があるのではないかと噂される中、
両国の緊張の高まりと同時に
米国の対イラン戦争計画なるものがしばしば報道をにぎわした。

それによると、米国はイランを攻撃すると同時に
イラン内の少数民族の蜂起を煽るというもの。
特に注目されているのが、
上記のアゼルバイジャンとイランの国境地帯、
そしてアラブ系住民が多数を占めるイランの南西部のフゼスタンと
トルコとの国境地帯のクルド人居住区。

このアゼルバイジャンとイスラエルの接近のニュース。
こいつは非常に興味深い。
現実に、米国による、あるいはイスラエルによる、
イラン攻撃が本当に始まるのか否かは分からないけど、
いつ始まってもいいように
イスラエルがアゼルバイジャンに
唾をつけておこうという意図だろうね。


参考資料リンク

中東 TODAY:イランは軍事攻撃よりアゼルバイジャン工作





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イラク歴史教科書:フセイン時代を削除・・国家と歴史の抹殺

フセイン時代は削除され「空白」 イラクの歴史教科書

 イラクの教育現場で、
 歴史をどう教えるかが大きな問題となっている。
 フセイン政権の崩壊後間もなく、
 敗戦直後の日本の「墨塗り」と同様に、
 教科書の一部が切り取られた。
 その後、宗派対立が悪化するなか、
 教育省は新たな指導要領を打ち出すことができず、
 現代史は教科書から削除され、「空白」の状態が続く。

 イラクの教科書は国定だ。
 戦争前は「アラブ民族主義」を掲げる、
 バース党イデオロギーに基づき、
 歴史教科書は68年のバース党政権の誕生や、
 79年のフセイン大統領就任を大きく扱った。

 国語(アラビア語)の教科書でも
 「尊く親愛なる我らのフセイン大統領よ、勇敢な騎士よ」
 といった詩が教材に使われた。

 政権崩壊と米軍の占領で、
 旧政権をたたえる内容は禁止された。
 03年はページを破るなどで対応し、
 04年からはこうした項目を削除した。
 現行の歴史教科書は王制の倒れた58年の革命で終わっており、
 子どもたちはその後の歴史を教科書から学ぶことができない。

 教育省は新しい指導要領と教科書をつくろうとしているが、
 作業は進んでいない。
 戦後、宗派や民族ごとの分断が深まっているためだ。

 アブドルハミド担当部長は
 「中立的な教科書を作りたいが、
 立場ごとに見解が異なる微妙な問題が多く難しい。
 新政府最大の課題の一つだ」と朝日新聞のイラク人助手に語る。

 宗派対立から宗派ごとの住み分けが進むなか、
 教育現場では教科書への不満が強まっている。
 教科書から離れて自派の視点を教える教師も増えている。

 「戦争の前は、どんな社会だったんですか」

 旧フセイン政権で中枢を占めたスンニ派の多い、
 バグダッド北部タミヤ地区。
 中学校の社会科教諭サミール・サルマニさん(45)は、
 教科書から消えた前政権時代のことを
 生徒に聞かれるたびに、こう答える。

 「昔の方がいいに決まっている。
 91年の湾岸戦争後は3カ月で電気が復旧した。
 今はどうだ。
 だれがイラクを壊したのか、よく考えなさい」

 サルマニさんは「教科書を変える必要はなかった。
 変えるなら、米軍への『抵抗戦士』の闘いの意義を教えるべきだ」。

 一方、前政権に抑圧されたシーア派居住区、
 サドルシティーの中学教諭ファイサル・アッバスさん(53)は
 「教科書には多数派であるシーア派の視点が少ない」
 と不満を募らせる。
 生徒には「テストにはこう書きなさい。
 でも事実は違う、と教えている」という。

 湾岸戦争後にクルド人が事実上の自治を得た北部では、
 クルド自治政府が学校を運営している。
 教科書は、フセイン時代を削除したものが出た04年まで、
 独自のものが使われていたという。

 教育省は「国家の統一を守る」として、
 国定教科書制度を維持する方針だ。
 ただ、自派に有利な内容に導こうという政党や武装勢力、
 宗教界などからの圧力も想定される。
 アブドルハミド部長は「外部の干渉」については
 「答えられない」と明言を避けた。

   (アサヒ・コム)


なんだか他人事とは思えませんね・・。

堂々たる歴史と文化を持ち、
一定の価値観のもとに構成されている世界の幾多の国家・民族は
世界史の攻防の中で侵略と被侵略の歴史を繰り返しつつも、
時の風雪に耐え、国家や民族の一体感を守り続けている。

ある時は滅び、ある時は占領軍の膝下に組み敷かれながらも、
一定の時が経てば不死鳥のように復活する。

結局、一定の価値観と文化的まとまりをもった民族・国家を
他者が意図的に抹殺してしまうのは難しいこと。

しかし、中国の古書に言う。
一国を滅ぼすには何が必要か?

 「歴史を抹殺すること」

さすれば国家・民族は滅ぶという。

国家・民族のアイデンティティは
古来から連なる文化と価値観の連続性であり、
そこには先人の智慧と汗と努力と、
そして栄光と悲惨が詰め込まれている。

これを抹殺すればいい。
さすれば国家・民族の一体感は失われる。
後には同種の顔つきの人間達が生息する、
中身は似て非なる国民・民族へと変容してしまう。

イラクは難しいです。
もともとはイギリスの中東植民地政策のもとで、
チョンチョンとカッターナイフで切るように
国境を切り分けて作られた人工国家。

イラクの教科書作成を手がける行政担当者が
最終的に直面する疑問。

 イラクって、そもそも何なの?

これ、でしょうね。
即ち、国家のアイデンティティをどこに置くかってこと。

歴史の教科書というのは
単なる歴史人物と年号の暗記本ではない。
そこにあるのは国家の理念の体現であり、
文化と価値観の後世への伝承である。

イラクとはそもそも何なのか?
この答えが見つからない限り、
あるいはスンニ派・シーア派・クルド人等の諸勢力の間で
国家理念の合意を得られない限りは
歴史教科書なんて書きようがない。

歴史教科書というものは
その国の流行の価値観の反映でもある。
「皇国」の時代は「皇国」の教科書であり、
「GHQ」の時代は「GHQ」の教科書である。
国家理念の変遷と共に教科書も移り変わる。

冷戦と55年体制時は
平和憲法と戦後民主主義の価値観がまぶされ、
国家が理念を失って経済繁栄に逃げ込めば
教科書から軍人と武将が抹殺される。

上記のイラクの現状を伝えるニュース。
ああ、決して他人事ではありませんな。
心ある日本人なら誰もがそう思うんではないかな?



テーマ:歴史 - ジャンル:政治・経済

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