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ソマリアの混沌・・エチオピア軍の進入、米国の介入論

軍越境情報で高まる緊張 ソマリアとエチオピア

 ソマリアの首都モガディシオなど、
 南部の大半を支配するイスラム原理主義勢力と、
 ソマリア暫定政府を支援する隣国エチオピアの間で
 緊張が高まっている。
 エチオピア軍がソマリアへ越境、
 そのまま居座り本格的な支援を始めたとの
 目撃情報が相次いでいるのが原因で、
 イスラム原理主義勢力の指導者らは国民に「聖戦」を呼びかけた。
 
 AP通信やロイター通信が伝えた目撃者情報によると、
 エチオピア軍兵士約400人が20日、
 暫定政府が拠点とする地方都市バイドアに現れ、
 ユスフ暫定大統領の官邸周囲に布陣。
 22日には国境近くの町ワジドで兵士約200人が目撃され、
 飛行場を接収し軍ヘリコプター2機が着陸したという。

   (共同通信)


ソマリアのニュースを見ていても
暫定政府やら、イスラム法廷やら、何とか勢力やら、
もう何がなんだかよく分かりませんので
ここで整理しておきたいと思います。

まあ、世界の人々にとっては
アフリカのソマリアでグチャグチャの内戦状態が続こうと、
お前ら勝手にやってろ、という気がしないでもありませんし、
事実、国際社会の捉え方はそんな感じだったのですが、
ここに来て様相が一変しました。
それはアルカイダと深い関係を持つとされる、
「イスラム法廷」なる勢力が力を伸ばしつつあるからです。

ソマリアは民族的には
ほぼソマリ族の単一民族国家なんですが、
その中で、多くの「氏族」が抗争を繰り返しています。

ほとんど群雄割拠状態に近いのですが
現在のソマリアは
政治的には3地域に分裂してまして

◇北部の「ソマリランド」

◇北西部の「プントランド」

◇南部の「ソマリア」

となっています。

一応、地図を載せておきます。
ピンク色の部分がソマリアです。
「アフリカの角」の異名そのままですね。

   So-map.gif


ソマリランドとプントランドは独立志向で
もう俺たちゃソマリアじゃないよ、と。
俺たちゃ独立国なんだよ、と表明しています。

老舗「ソマリア」を名乗っているのは南部地域のみで
この内部でも幾つかの氏族が熾烈な内戦を繰り広げてきました。

映画「ブラックホークダウン」を
見たことがある方もいらっしゃるでしょうが、
あれは、この南部の「ソマリア」の紛争を収めるべく、
同地に展開した国連平和維持軍及び米軍と
当時、首都モガディシオを制圧していたアイディード派との
1993年の戦闘を描いたものなんですね。

あれから、米軍と国連軍は這々の体で撤退し、
ソマリアは再び混沌の中で置かれました。
しかし、2000年5月、ジブチで和平会議が開催され、
実業家や氏族代表らが集まり暫定政府樹立に向けて討議を行い、
ソマリア暫定政府が成立しました。

ですが、この暫定政府を
北部のソマリランドとプントランドは認めず、
両地域は完全に独立状態になっており、
暫定政府の威令が及ぶのは南部地域のみでした。

さらに、暫定政府自身も一枚岩ではなく、
内部抗争が激しく、
大統領派と首相派の対立とか、
端から見ていると「ソマリア人に統治の才はあるのか?」
と思わせるような状況が続きました。

そこに彗星のように現れたのが
武装勢力「イスラム法廷」です。
この勢力はイスラム法に基づく支配を掲げており、
しなしば「イスラム原理主義集団」と呼ばれています。

イスラム法廷は
ソマリアの秩序回復を望む民衆や資産家らの援助を受け、
支配地域を徐々に拡大し、
とうとう今年の6月には首都モガディシオを制圧し、
暫定政府を地方都市バイドアに追い出してしまいました。

これに危機感をおぼえたのは米国で、
実はイスラム法廷は
かねがねアルカイダとの関連が噂されており、
6月下旬に新指導者に選出されたハッサン・ダヒル・アウェイスは
アルカイダとの結びつきで米国から指名手配を受けていました。

すぐさま米国と欧州各国は
「ソマリア連絡調整グループ」設立し、
6月15日にはニューヨークで関係諸国の初会合を持ち、
暫定政府を支援し続けることを表明しました。

また、米国内では
ソマリアへの軍事介入の議論が盛んになっており、
それをアルカイダが牽制するという一幕もありました。

ソマリア:ビンラディン容疑者「警告」テープに全面対決

そして、さらに状況は二転三転します。

追いつめられた格好のソマリア暫定政府ですが、
ここで「白馬の騎士」が登場します。
冒頭のニュースにあるように
かねてより暫定政府を後援していた隣国エチオピアが
ソマリアに軍事介入を行いました。

実は、このエチオピアの動きを
背後で糸を引いてるのが米国と言われてるんですが、
当然ながら、イスラム法廷はこの報に衝撃を受け、
エチオピア軍に対する「聖戦」を呼びかけてます。

ちなみに、イスラム法廷を支援しているのが隣国エリトリアで
エリトリアとエチオピアは領土紛争で
しばしば国境で戦闘を行う不倶戴天の仇同士です。

つまり、

  ソマリア暫定政府(後援:エチオピア&米国)
        VS
  イスラム法廷(後援:エリトリア)

この図式ですね。

もう、ここまでの段階で
あまりのグチャグチャぶりに
読む方も書く方もワケが分からなくなってきましたが(笑)、
まあ、これぞソマリアって感じで
その混沌ぶりは哀れとしかいいようがありません。

国家とは何か?
統一国家を成り立たせる条件とは何か?
思わず考えてしまいますね。

さて、最後に欧米の論調を2つ載せておきます。


◇ソマリアへの再介入

 クリントン政権は十数年前、
 ソマリアの国造りを支援する試みを突然、打ち切り、
 現地の米軍を撤退させた。
 共和党が破たん国家ソマリアの秩序再建は
 米国の責任ではないと批判したからだ。
 そして、ブッシュ政権は今、惨めな撤退の報いを受けつつある。
 アルカイダと関係のあるイスラム勢力が
 ソマリアの首都、モガディシオを制圧したためだ。
 アフガニスタンのタリバンのように、
 イスラム勢力は相争う軍閥を破って、
 秩序の回復を切望する人々から歓迎された。
 
 首都を制圧した「イスラム法廷同盟(ISU)」が
 タリバン式の政治体制を人々に押し付けるのか、
 あるいは首都を拠点にしていると思われる、
 アルカイダの戦闘員を保護するのかはまだ不明だ。
 ISUの指導者、シャリフ・アーメド氏は6日、
 「イスラム国家」の樹立を約束した。
 しかし、ISUはイスラム原理主義となじみの薄いソマリアに
 そのような体制を強制できるほど強力ではないようだ。
 ISU民兵の司令官の1人は、
 人道支援活動をしていた外国人数人の殺害に関連しており、
 1998年にケニアとタンザニアで米大使館を爆破した罪で
 起訴されたアルカイダの指導者3人を
 保護しているとみられている。

 ブッシュ政権当局者は
 このソマリア・イスラム勢力との話し合いを排除していない。
 彼らはアーメド氏から届いた穏健な書簡が
 テロリストへの支援を否定し、
 ISUは米国の敵になることを望まないとしている点を指摘する。
 ソマリアの地方都市バイドアに拠点を置く、
 弱体な暫定政府も首都の新勢力と
 交渉することに関心を示している。
 交渉は、米国とアフリカ諸国が時間をかけて
 ソマリアを安定させる政治プロセスを助長し、
 外国人テロリストを根絶するチャンスになるかもしれない。
 そうした交渉での提案には西側からの復興支援も欠かせない。
 ブッシュ大統領は対話と関与の再開に加えて、
 ソマリアがアルカイダをかくまうことを容認しない意思を
 明確に表明すべきだ。

 ソマリアは、破たん国家、
 特にイスラム圏の破たん国家の再建が、
 世界規模の反テロ戦争を遂行するにあたって
 米国の中心的な課題になるべきであることを
 あらためて示している。
 国造りは難しく、資金と努力を要する。
 ソマリアで米軍兵士18人が犠牲になった、
 1993年のヘリコプター撃墜事件や
 イラクで相次ぐ米兵の死傷がその困難さを示している。
 しかし、ブッシュ政権が
 まだこうした教訓をくみ取っていないことも目立つ。

 米政府はソマリア政府の強化に努めるより、
 首都モガディシオの軍閥に肩入れした。
 そのような「割安な戦術」は
 いずれもっと大きな混乱と危険な状況につながる。
 ブッシュ政権は現在、モガディシオで
 まさにそのような状況に直面することを強いられている。

   (ワシントン・ポスト 2006/06/08)


◇ソマリア情勢のジレンマ

 ソマリアはしばしば世界から忘れられてきた。
 しかし、アフリアの角にあるこの無政府状態の国家をいま、
 世界は思い出し始めている。
 米国が支援する軍閥勢力が5日、
 国際テロ組織アルカイダとつながりがあると言われる、
 イスラム原理主義組織によって首都モガディシオを追われた。
 今年に入ってすでに数百人が死亡しているソマリアに対して、
 米政府はいま、「対テロ戦争」の
 新たな戦線として神経をとがらせている。
 
 イスラム原理主義組織タリバンが支配する以前の
 アフガニスタンのように、
 ソマリアの諸問題は、放置されてきたことに特徴がある。
 氏族単位の武装勢力が1991年に独裁者バーレ大統領を打倒し、
 その数年後、国連が退散して以来、
 問題は悪化の一途をたどってきた。
 モガディシオは非常に危険で、暫定政府は首都入りできずに、
 別の場所に拠点を構えている。

 1998年のケニアとタンザニアの米大使館同時爆破事件に
 関与したアルカイダのメンバーはソマリアから出撃した。
 だから、米中央情報部(CIA)は
 「平和回復・反テロ同盟」を結成した軍閥勢力に
 隠密に資金を供給してきた。
 これがもう1つのアフガニスタンとの類似点だ。
 しかし、彼らの敵であるイスラム原理主義組織は、
 学校や慈善団体、イスラム法廷を運営して支持を獲得し、
 中央政府の欠如でできたギャップを埋めてきた。
 このイスラム法廷は、公開処刑や手足を切断する処罰を執行し、
 独立した権力中枢となっている。

 国連の武器禁輸にもかかわらず、
 武器で溢れたこの破たん国家は、
 アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者と
 ブッシュ米大統領の間の代理戦争を生む、
 豊かな土壌になっている。
 これに対し一般ソマリア人は、切に必要とする平和と安定が
 目前にあるかもしれないと期待している。

 米国は、映画「ブラックホーク・ダウン」で
 良く知られた事件で陸軍レンジャー部隊が殺された後、
 ソマリアから撤退した。
 しかし、放棄は無法と崩壊を後押しした。
 治安問題はいま非常に深刻で、
 干ばつに襲われた南部と西部の
 悲劇的な人道状況の影が薄くなるほどだ。
 外部世界は、モガディシオの新勢力と接触する道を
 注意深く探求し、彼らに暫定政府との協力を勧める必要がある。

 ソマリアをめぐるジレンマは、
 国家建設とテロとの戦いの間に
 どう適切なバランスを見いだすかにある。
 米国は、短期的な安全保障を重視し、
 このバラバラの国を
 再び統一させようという大きな努力を犠牲にしてきた。
 ブッシュ大統領は、軍閥支援がいとも簡単に
 逆効果をもたらすことをよく考えるべきだ。

   (ガーディアン 2006/06/08)


まあ、両者ともあれやこれや書いてますが、
要するに「う~ん、軍事介入すべきか否か?・・・」
「でも、特効薬など見あたらないよ」ってことでしょう。

統一意識の希薄な国家の内戦ほど
治癒する材料が難しいものはありません。

ただ、ここにアルカイダが絡むからやっかいなんですが、
米国での軍事介入論の高まりは
結局、米国の国力を消耗させようとする、
ビン・ラディンの思惑にはまるだけでしょうね。



関連資料リンク

外務省サイト:ソマリア

ソマリア





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コメント

国論を二分すると外国支援で入り込まれる。

コンゴも選挙で揺れてる。日本ではアフリカの混乱を未だに欧州諸国の植民地政策の負の遺産など
と主張する人々がいる。確かに歴史は連続しているので何の悪影響も無いと言うこと
は出来ない。しかし、正の影響もあったはずであり、また独立後は、たとえ冷戦に振り回されていたとしても、まさに独立国であったことは事実なのである。それで植民地時代より劣悪な政治が継続したとなれば、それは相応の評価があるべきであろうと思います。つまりザイールと言われてたときからモブツ大統領の長い独裁が
多くを占める。反共に徹することで多くの西側諸国から冷戦期に援助も受けたのだ
が、とかくこの人物は評判が悪かった。内外から得た富の着服の度合いは相当なもの
で、他のアフリカ諸国と比較してもより悪質だったと言えるだろう。独裁者のお約束のように、自分がいるからこの国は安定していると称していた。西側諸国はもちろん苦々しい目で見ていたのだが、結果としてこれが当たっているという現実をどう考えるべきか。また、ここではルワンダで発生した虐殺による政治不
安が波及した事も認識しておかなければならない。紛争を放置すると周辺に悪い影響
を与えるのは当たり前の事実だが、これはその典型例だ。ここまで現実の結果として出てくるまで放置されることはむしろ珍しいだけに、多くの国はこれを教訓とする必要があるだろう。実際のところ中東もそうである。10年前
のどこそこの国の外交がまずかったというような議論は、時に紛争そのものを語る言葉としては浮世離れしていることも頭に置いておいたほうがいいだろう。これは世界の主要な民主主義国が共通で間違えることではあるが。結論を言うと外交云々の善悪問題など紛争や戦争に直結する解決へ走るのが現実世界だと知らなければいけない。国論が二分すると外部からその国へ支援の形で入り込む(エイリアン)が主体となって内戦化する事が国力を疲弊させて来た。中東のヒズボラやアフガンのアルカイーダ。北朝鮮の主体思想、中共の内政干渉、日本の首相は中国の支部長のような様相を示してる今の様子は他人事では無い。国論を二分して付け込まれる愚は止めてもらいたい。

培ってきた歴史

本文中にも少し書いてますが、
この種のアフリカの混沌のニュースに接するたびに
国家を国家ならしめている構成要因について
考えざるをえません。

日本的感覚で言うと
国家や民族とは自然に当たり前に
存在するものなんでしょうけど、
それは万国の感覚からすると特異例なんでしょうね。

ソマリアは多くの氏族に分かれて交伐してますが、
彼等は統一意識が希薄なんでしょう。
「氏族に分かれて交伐」なんて、
日本的感覚から言うと、
こりゃ飛鳥時代の感じですよ。
蘇我氏VS物部氏、みたいな。

べつに差別するわけではないけど
培ってきた互いの歴史があまりにもちがうのでしょう。
もし、アフリカ諸国がアフリカのみで発展してきたのならば
もっと別な国家形態もありえたのでしょうね。
今の彼等の国家形態は
彼等の土壌からにじみ出てきたものではないですから。

たとえば、広域国家を支える倫理体系なり、
国家理念なり、
彼等はどういう風に獲得していくんでしょうか?

そこらへんのところを
もっと調べてみたい気がします。

  • 2006/07/31(月) 01:22:08 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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