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トルコ:イラク北部へ越境侵攻作戦の動き!?

今日の産経に驚愕のニュースが載ってました。
ちょっと長いけど、そのまま引用します。


中東危機の連鎖 一橋大大学院教授・内藤正典氏

 イスラエルのレバノン侵攻は、
 中東に危機の連鎖をもたらしつつある。

 焦点は、意外なことにトルコである。
 中東地域で唯一のNATO(北大西洋条約機構)加盟国であり、
 長年にわたってアメリカとの協調路線を歩み、
 イスラエルとさえ軍事協力関係をもつトルコで、
 今、急激に反米感情が高まっている。

 イスラエルがレバノンに侵攻した7月中旬、
 トルコでも、分離独立を志向する、
 クルド武装組織PKK(クルド労働者党)と
 治安部隊との戦闘が激化し、
 3日間で15人のトルコ軍兵士が犠牲になった。
 兵士の葬儀は毎日大きく報道され、
 PKKへの憎悪は高まるばかりである。
 あらゆるメディアは連日、
 「イスラエルのようにわれわれもやる」と書きたて、
 現在、PKKが活動拠点を置くイラクへの
 越境攻撃に対する支持をあおった。

 その最中の7月21日、
 私はトルコのエルドアン首相と会見する機会を得た。
 「新聞が連日イラクへの越境攻撃に言及しているが」
 と問いかけると、首相は、私の質問を遮り
 「それは政府の見解であり、私が最初に述べたことだ」
 と北イラク侵攻の可能性を明らかにした。
 エルドアン首相は「トルコの忍耐はもはや限界に達した」と述べ、
 自国防衛のために、隣国に拠点を置くPKKを
 攻撃することには正当性があると主張した。

 トルコにおける治安部隊とPKKの衝突は
 80年代から90年代にかけて激しさを増し、
 双方に多くの犠牲者を出した。
 1999年にリーダーのアブドラ・オジャラン氏が
 ケニアでトルコの情報機関に捕らえられ、
 2000年以降は急速に沈静化していった。

 しかし、PKKはイラク戦争後、
 高度の自治を保障された北イラクのクルド人地域に活動拠点を築き、
 トルコ側に越境して衝突を繰り返している。
 アラブ人のスンニ派とシーア派が
 イラク国内で泥沼の衝突に陥り内戦状態と化している今、
 北イラクのクルド人だけが対米協調を崩さず、
 アメリカの庇護(ひご)の下で自立を強めている。

 トルコがイラク領内のPKK拠点を攻撃することについて、
 イラクのタラバニ大統領(クルド人)や
 アメリカは強く反対している。

 一方、レバノン情勢に目を移せば、
 アメリカは、イスラエル軍兵が
 レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに
 拉致されたことへの対抗手段として、
 イスラエルがレバノンに大規模な侵攻作戦を行うことを容認した。
 しかし、トルコに対しては、
 トルコ軍兵士が殺害されたにもかかわらず、
 イラクへの越境攻撃を容認しない。
 トルコ国民からみると、
 明らかなダブルスタンダード(二重基準)となる。
 アメリカへの反発はかつてない高まりを見せている。

 エルドアン首相が述べたように、トルコ政府は、
 すでにテロ対策会議と閣議決定によって、
 軍部に対して越境攻撃作戦の立案を指示した。
 軍部は作戦行動について何も明らかにしていないが、
 PKKによるトルコ側への攻撃が続けば、
 トルコ軍は確実に越境攻撃に出る情勢となった。

   (産経新聞)


イラク戦争で最も得をした者は誰か?

それはクルド人です。
イラク国内において民族の自治権を要求しつつも
長らくフセイン政権の弾圧にあっていた彼ら。
時には化学兵器で攻撃されたこともあります。

そのクルド人はイラク戦争終結後、
新生イラク政府のもと、大幅な自治権を獲得、
さらにイラクの大統領に
クルド人の英雄であるジャラル・タラバニが就任しました。

今では殺し合うシーア派とスンニ派をよそに、
イラク北部の自治区で
フセイン時代とはうってかわった民族自治を謳歌しています。

かつてイラクでのクルド人独立勢力は
クルド民主党とクルド愛国同盟に分裂してましたが、
今は一本化し、自治政府の下に糾合されています。

さて、上記ニュースです。
これには驚きました。
トルコでそういう動きが強まっているとは。

確かにトルコは
国内でのクルド独立運動を弾圧してきました。
クルド人はトルコ・イラク・イランの三ヶ国にまたがっており、
三ヶ国の政府からそれぞれ迫害されてきました。

上記ニュース中の
クルド武装組織PKK(クルド労働者党)は
民族の独立を訴えてトルコ国内でテロ活動を行っており、
トルコ軍と長年にわたって戦闘を交えてきました。

1995年にはトルコ軍がイラク領内に侵攻し、
イラク北部のPKKの拠点を越境攻撃しました。
さらに、これにフセイン政権も呼応し、
自国のクルド人地区に侵攻しました。

今、イラクでのクルド自治区の成立により、
トルコとイラン国内のクルド人の士気は上がっており、
イラクを策源地として
トルコ・イラン国内での独立運動が活発化しています。

トルコとイラン政府にとってみれば
分離独立主義者であるクルド勢力の活発化は
当然、好ましいものではなく、
彼等は警戒心を強めています。

今年の4月、イラン軍が突如、イラクに越境侵入し、
クルド人自治区のPKKの拠点を攻撃しました。
これにイラク政府が非難声明を出しています。

クルド勢力にイラン・トルコが軍事圧力…独立波及警戒

この時は越境攻撃とは言いつつも
PKKの拠点に砲撃を加えただけで、
侵攻作戦というより牽制攻撃に近いものでした。

しかし、冒頭のニュースを見る限りでは
トルコは本格的な介入戦を意図しているようですね。

イラク政府は内戦寸前の国内状況に手一杯であり、
駐留米軍も治安維持に兵力が全て取られている状況です。
トルコもそこを見越しているんでしょうけど。

まあ、その意味で言えば
国が乱れ、弱体化するとは惨めなものです。
周辺諸国からいいようにやられてしまう。
トルコ軍は、いまやイラク軍など歯牙にかけてないでしょう。
恐いのは米軍と国際世論のみ。

さて、このトルコのエルドアン首相ですが、
米国に対して手厳しい人物で知られています。

かつてイラク戦争開戦時に
米国はトルコ領を通過して
イラクを攻撃する許可を求めましたが、
エルドアンはこれをはねつけています。

おかげで米軍は一個師団が宙に浮く形となり、
結局、イラク戦争自体が楽勝だったからよかったものの、
あれが辛勝程度だったら、
戦後、米国はトルコに報復措置をとったでしょうね。

最近では、こういうニュースもありました。


「エルドアン首相はアルカーイダの庇護者?」

 トルコ国内で、いま密かに話題になっていることがある。
 それはエルドアン首相とアメリカの関係が、
 今後どうなっていくのかということだ。

 アメリカは一人のサウジアラビア人ビジネスマンを、
 アルカーイダの支援者としてマークし、
 アメリカとヨーロッパにある彼の資産を、
 凍結するという手段に出た。

 加えて、アメリカは
 トルコにある彼の資産も凍結することを考え、
 エルドアン首相に要請した。
 しかし、エルドアン首相は、
 この人物がアルカーイダとは何の関係も無い、として
 サウジアラビア・ビジネスマンの、
 在トルコ資産の凍結を拒否している。

 トルコの国内では、エルドアン首相が首相就任前に、
 彼から資金的な援助を受けていたために、
 彼の資産を凍結出来ないのではないか、
 という噂がささやかれてもいる。

   (中東 TODAY)


この人物、米国の言うことは聞きそうにありませんね。

今や、どこの国の政府でも
米国から「アルカイダとの関連性を・・」と言われると
たいてい恐れ入ってしまうのですが、
このトルコ首相はなかなか硬骨というか、
強固なキャラのようです。
とてもNATO諸国の一員とは思えません。


さて、我々日本人としては
北朝鮮情勢やレバノン情勢に目を向けがちですが、
意外にトルコという伏兵が
思わぬ所から飛び出してくるかもしれません。



関連資料リンク

クルド人問題とは

中東・西欧マンスリー:ザルカウィの脅迫とイラク情勢



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コメント

クルド=ユダヤ

国境線を無理矢理引いたツケは、国境を越えて活動する「国以外の団体」という形で国家の存在を脅かしております。
クルドもユダヤもそういう意味では似たもの同士かもしれません。コミュニティにとけ込んでくれればまあ何とかなりそうですが、そういった協調性はアラブでは命取りですから(^^;、圧倒的な力で押さえつけるしかありません。

アメリカは、日本に対してナニをしたのか、解っていなかったのだと痛感します。あそこまで国全体を「焼け野原」にしなければ民族的な「挫折感」を味合わせることは出来ません。日本の基準からすれば、「やられ方が甘すぎる」と言うのが本音であり、小池百合子代議士もそういう意味のことをイラクの部族長相手にカマしておりました。

時代が時代なだけに、昔のようなことは出来ませんが、同じような打撃が与えられなければ効果もないと識るべきです。

  • 2006/07/31(月) 19:26:17 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

妙な時代

> クルドもユダヤも似たもの同士かもしれません。

確かにそうですね。
ただ、クルド人の場合、三カ国にまたがり、
三ヶ国のどこでも少数民族なのが異質ですね。
さらに全て合わせれば数千万人になり、
その数は侮れないと。

イラクの場合はフセイン政権の崩壊に乗じて
まんまと自治権の強化に成功し、
彼らの意図してることころは「独立」でしょうが、
トルコとイランはそれを許さないでしょう。

> 「やられ方が甘すぎる」

なるほど。

その意味では現代って時代は
妙な時代ですな(笑)

  • 2006/08/01(火) 21:02:37 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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