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韓国:作戦統制権返還問題・・自主国防と在韓米軍撤退

統制権返還問題で現職国防長官と歴代国防長官が衝突
 歴代国防長官らが7日に緊急会合

 戦時作戦統制権の韓国軍委譲問題をめぐって、
 尹光雄国防長官と歴代国防長官らが真っ向から対立している。
 歴代長官らの「現在進めている戦時作戦統制権の
 委譲論議を即刻中断するべきだ」との要請に対し、
 尹長官は「予定通り進める」との立場に固執しているため、
 歴代長官らは今月7日に緊急の会合を開き、
 対策を話し合うこととした。
 安全保障上の懸案をめぐり、現職の国防長官と
 歴代の国防長官が衝突するという、
 前例のない事態が展開しているわけだ。

   (朝鮮日報)


なんだか凄いことになってます、韓国。

「統制権返還問題」とは何か?
そもそも「統制権」とは何か?

これは下記の解説記事が詳しい。


【用語解説】作戦統制権

 作戦統制権(Operational Control)とは、
 「作戦計画や作戦命令書に明記された特定の任務や
 課業を遂行するため、指揮官に委任された権限」をいう。
 指揮権と混同されがちだが、
 実際には指揮権より範囲が狭い概念で、
 行政・軍需・軍規・内部編成・部隊訓練についての
 責任や権限は含まれていない。

 平常時の作戦統制権は韓国軍の合同参謀議長が有しているが、
 韓米両国軍の防御準備態勢(デフコン)が
 平常時の「デフコン4」から「デフコン3」に引き上げられた場合、
 韓米連合司令官(在韓米軍司令官)に
 引き渡されることとなっている。
 「デフコン3」は
 「重大かつ不利な影響を招きかねない緊張状態が展開したり、
 軍事介入の可能性が存在している状態」をいう。
 通常、全国で大規模な部隊移動を行ったり、
 戦時用備蓄物資を放出するなど、
 全面戦争に発展する兆候が非常に高まったときに
 デフコンが引き上げられる。
 一部地域で局地的な武力衝突が発生しても、
 デフコンが引き上げられるとは限らない。

 1999年の延坪海戦、
 2002年の西海交戦の際もデフコンの引き上げはなかった。
 1953年の韓国戦争(朝鮮戦争)休戦以後では、
 戦争ぼっ発の一歩手前まで行ったといわれる、
 1976年8月18日のポプラ事件の際、
 「デフコン3」に引き上げられたことがある。
 デフコンの引き上げも
 韓米連合司令官が好き勝手にできるものではない。
 韓米両国の合同参謀議長に申し入れ、
 両国の大統領の承認を得なければならない。
 一方の大統領が反対した場合、デフコンの引き上げはできない。

   (朝鮮日報)


「作戦統制権」とは
平たく言えば「狭義の意味での部隊指揮権」と言うべきか。

韓国軍の平時の「作戦統制権」は韓国側にあり、
それが戦時に移行すると
韓米連合司令官である米軍人将官に移る。

以前は平時の作戦統制権ですら米軍側にあった。
朝鮮戦争当時の1950年、李承晩大統領が
当時の国連軍司令官マッカーサー将軍に送った書簡を通じて
「韓国軍に対する指揮権を国連軍司令官に委譲する」と言い、
それ以降、米軍が指揮権を持っていた。

そして1994年12月、
平時の作戦統制権のみが韓国軍に返還された。

この問題はややこしい。
何故ややこしいかというと、
単に額面上だけみるならば
韓国にとって指揮権が返ってくるのは
大いにけっこうということになる。

だって独立国家でしょ。
平時はともかく、戦時になると
米軍指揮官の指揮下におかれるというのは
いかにも属国っぽくて嫌な感じ。
まあ、普通に発想すればそういうことになるんだろうね。

しかし、これに韓国の保守層は猛反対。
上記ニュースの軍OBたちの反発もそうだし、
保守系の大手三紙は皆が皆反対している。

逆に盧武鉉大統領を中心とする左派は
この統制権返還を推し進めている。

普通の感覚だと、骨っぽい保守派・右派ほど
自主国防・国家主権にこだわる気がするのだが
何故、こういうねじれ現象が起きてるのか?

以下、軍事的な観点と政治的な観点の
2つに分けて説明します。


<軍事的な観点>

まず、純軍事的な観点から言えば、
38度線で北朝鮮という軍事独裁国家と対峙する韓国は
いつでも彼等の軍事侵攻を意識し、
これを撃退する方法論を考えざるをえない。

韓国軍と在韓米軍という異なる国籍の軍隊が共に戦う場合、
統一指揮下で動いた方が効率がいい。
これは素人にだって分かる。
バラで戦うより、一心同体で戦った方がいいに決まっている。

ただし、米軍は全世界のどの地域においても
他国の指揮下に入ろうとしない。
これはプライドもあるだろうし、
自分らの軍隊の方が優れているという自負心もあるだろう。
さらに政治的思惑もあるだろう。

で、この場合はしょうがないから
韓国軍が米軍の指揮下にはいることで折り合いをつけるしかない。
この方式で今までやってきた。

しかし、作戦統制権の韓国への返還となれば、
下風に立つのを嫌う米国としては、
韓米連合司令部を解体し、
別軍として行動するようになるだろう。

これは、純軍事的に言えば
非効率的運用ということになる。

米軍はそれでいいかもしれないが、
国が侵略の危機にさらされる韓国としては、
「頼むから米国よ、指揮権を握っててくれ」となる。
軍事に敏感な韓国人ほどそう思い、
軍事オンチな人はそこらへんがピンとこない。
この差だな。


<政治的な観点>

軍事的にはあれこれ言うものの
もちろん保守系の韓国人だって、
「自主国防」の名の下、
自分の軍隊は自分たちで指揮したいのはやまやまだろう。

たとえば、自衛隊と在日米軍の関係のように、
常設の統一司令部などは設けないけど、
いざ危急の際には共同行動を取ることを建前にしている。

もちろん、これは建前で
本格的に日本本土周辺で大戦乱が勃発すれば、
自衛隊は米軍の指揮下に入ることは
ほとんど暗黙の了解みたいなもんだけどね。

つまり、普段においては
統一指揮で動くわけではないが、
それなりにデータリンクで情報の共有を行い、
訓練もたまに一緒にやって、
いざという時の共同行動に備えている。

保守系の韓国人にとって
おそらく、これが理想の韓国軍と米軍の関係だろう。
即ち、

◇米軍は引き続き韓国に駐留

◇あくまでも対等の同盟国同士

◇ただ、戦時は軍事的合理性を優先して
 統一指揮下で行動することもある。

こういうパターンですな。

これが彼等にとって「最善」の状態なのだが、
それはかなわぬ夢となろうとしている。

韓国は従来から作戦統制権の全面返還を言い続けており、
世論もこれを後押ししてきた。
これに対して米国は
なんだかんだと「返還」の言質は与えず、
まだ時期尚早としてきた。
少なくとも1年ぐらい前はそんな状態だった。

ところが、今年になって雲行きが変わってきた。
まず、韓国政府が
2012年までの返還を予定として掲げたところ、
なんと、米国側が、

  じゃあ、いっそのこと2009年までに返すよ。

と、アッサリ答えた。

そうなると話しは違ってくる。
逆に韓国側は焦って、

  ・・・いやいや、そんな性急にせずとも (;^_^A

と言う始末。

米国のこの方針転換には2つの意図がある。

1,在韓米軍の機動的運用。
  朝鮮半島だけではなく、他地域においても使う。

2,将来の在韓米軍撤退の布石

要するに、
「作戦統制権」「韓米共同軍」なんてものに縛られたくない。
RMA化によって少数精鋭主義を取る米軍は
一つの場所に固定することなく、
遊撃打撃軍として全世界を股にかけて
起動運用する方が効率がいいってことだろう。

だから彼等は朝鮮半島なんて土地に縛られたくない。
盧武鉉は在韓米軍が他地域の戦闘に投入されることに対して
強硬に反対しているけど、
これは米国人にとっては
あるいはラムズフェルド国防長官あたりから見ると
笑止千万な発想だろう。

だから彼等は「2009年に返す」と言い始めた。
こんなもんいらいない。
持ってけ泥棒。

もし、盧武鉉政権が韓米同盟を重視し、
両国の関係を緊密に保っていたならば
こういうことにはならなかったかもしれないが、
あの左派っぷり、反米っぷりには
米国も愛想も尽き果てたってことだろう。
だから米国ももはや遠慮はしない。

保守系の韓国人達が
自主国防の理想とプライドをかなぐり捨てて
「作戦統制権の返還は時期尚早!」と言っているのは
実はこの危機感がある。

「作戦統制権」と「韓米合同軍」の形態こそが
米国を朝鮮半島に引き留めておく重しになる。
これによって在韓米軍を鎖で半島につないでおく。
これが保守系諸士の発想というわけ。



関連資料リンク

「長官のクビかけて統制権返還の動きを食い止めよ」

尹国防長官「作戦統制権移譲に対する憂慮は過去の考え方」

「米日連合司令部が設置されるのに韓国は逆に・・・」

在韓米空軍、2回以上空中給油して海外で訓練

米国で頭をもたげ始めた在韓米軍の全面撤収論

「韓国ともめる前に在韓米空軍の撤退を」





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テーマ:韓国について - ジャンル:政治・経済

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コメント

アカの弊害

日本に強力な左派政権が出来たらアメリカはこの地域から軍を撤収するでしょうか?

考えられなくもないですが、そうなったら日本や台湾は中国になってしまいます。もしそうなったら私は自殺するしかありません。アメリカ人にはなりたくないし、中国人やロシア人なんてもっと嫌です。もっと、ずっと嫌な国もありますが・・・。

将来的にはアメリカの影響力を最小限に食い止めたいという思いはありますが、私が生きている間にそんなことが出来るかどうか・・・。

せめて、エネルギーでは独立していたいのですが・・・。

  • 2006/08/08(火) 07:46:01 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

次世代エネルギー

> せめて、エネルギーでは独立していたいのですが・・・。

もう数十年で次世代エネルギーの時代がやってきますよ。

この原油高で、次世代への流れは一層促進されるでしょう。
原油や石炭に頼る率が減れば
ある意味、日本は恐いもの無しですよ。

恐いものは獅子身中の虫である、
「平和ボケ」「外交オンチ」「自虐指向」
「少子化」「倫理的退廃」
こんなとこでしょうか。

まさに、国が滅びる時は内から滅びるわけですから。

  • 2006/08/09(水) 21:36:15 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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