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イラク三分割案とローマ法王発言

イラク分割案の支持高まる
 ~米政権に有効な将来計画なし

 イラクを宗派と民族別に分割すべきという意見が、
 支持を広げつつある。

 クリスチャン・サイエンス・モニターによると、
 クルド族が住むイラク北部では現在、以前は公共機関で
 民族の旗とともに揚がっていたイラク国旗が見られない。
 民族自治政府の代表が掲揚を禁じたためだ。
 またバグダッドでは先週、議会のシーア派が、
 同派住民と石油資源が集中する南部を
 自治区とする内容を含むイラク分割案を提案した。

 宗派・民族による分離は避けられないと考える、
 イラク専門家が確実に増えつつある一方、
 名目上の統一民主国家は可能としながらも
 分割が最終的には中東の安定化につながると考える人々は多い。

 いずれの専門家も、
 ブッシュ政権がイラクの将来について有効な計画を持たず、
 このままでは混乱が続くという見方は同じ。
 米陸軍の情報将校だったラルフ・ピーターズ氏は
 「当然、米国は第2案どころか
 7案、8案まで考えていなくてはならない。
 しかしその様子はない」と話す。
 「なぜかというと、ブッシュ政権は
 基本的には今のやり方が正しいと思っているからだ」

 フセイン政権崩壊直後は、
 統一されたイラク国家誕生の可能性があったが、
 旧支配勢力のスンニ派が排除され、
 シーア派勢力が増大したことも含め
 米国の働きかけがそれを困難にした。
 勢力を弱めたスンニ派、石油で豊かな北のクルド、南のシーア派と、
 イラク内部は完全に分裂しつつある。

 米国、また世界経済にとって最悪の展開は、
 南部のシーア派が(石油が豊富な)サウジアラビア北部の
 少数派シーア派の独立を扇動したり、
 北のクルドに肩入れすることだろう。

 民族による分割がイラクを救うと考える専門家の1人が、
 ジョセフ・バイデン上院議員(民主)だ。
 同議員はイラクをシーア派、スンニ派、クルドの地域に分割、
 それぞれの安全を確保しつつ、石油収益は分割、
 外交は中央政府に一任するという提案をしている。

 ただし米国が
 イラク国内の活動を監視できる期間はほぼ過ぎた以上、
 外部によるイラク国家形成案はあくまで案のまま、
 というのが大方のアナリストの意見だ。
 米国はイラクでの戦闘をやめ、
 撤収して後の決断を任せるべきという意見も強くなっている。

   (U.S. FrontLine)


イラクの三分割案は、
すでにイラク戦争の直後に
米国のシンクタンク「外交評議会(CFR)」から出てるけどね。

田中宇の国際ニュース解説:世界大戦の予感

今思えば、あれは卓見だったなあってことになる。

ここに来て、米国のイラク侵攻とその後のイラク統治は
結局、失敗だったということが明白になりつつある。
彼らのやったことは「パンドラの箱」の開封。
中東戦乱時代の幕開け。

特に、国家間の勢力均衡を重視する論者たちから見れば
イラク戦争など愚の骨頂で
あれは中東のバランス・オブ・パワーをぶっ壊し、
同地域を不安定にさせただけ。
論者たちは「それ見たことか!」と思ってるでしょう。
私なんかもその徒党だけどさ。

米国が60~70年代程度の国力と兵力を持っていたならば
イラクの泥沼も解決可能なのかもしれないが、
現実は13~15万程度のせこせこした兵力を
イラクに常駐させてゲリラと戦う日々で、
これでは局面の打開はおろか、現状の維持も出来ないだろうね。

以下、読売の過去記事。


◇米軍活動、「戦闘本位」改め「復興」に比重を
 国防総省の諮問委が提言

 米国防科学委員会(国防総省の諮問機関)はこのほど、
 アフガニスタンとイラクで行われた戦争および戦後復興の経験から、
 米軍は戦闘本位になっている取り組みを改め、
 復興局面に必要な計画立案と遂行能力を
 強化すべきだなどとする提言を発表した。
 
 報告書では、敵国に対して米軍がとるべき対応を、
 平時、戦時、戦後復興の各局面で検討した。
 この中で、冷戦後、米国は他国の治安回復や復興に
 一年半から二年おきの頻度で関与、
 それぞれの任務が五―八年続いており、
 こうした任務は今後も増加すると予測。
 
 さらに、復興局面に必要な能力をより強化しなければ
 人員不足に陥りがちな現状を改善できないとし、
 「国防総省は復興局面の重要さを
 戦闘局面と同様な真剣さで考えておらず、
 こうした姿勢を改めるべきだ」と苦言を呈している。
 
 また、過去の戦争の事例などから、
 治安回復に必要な兵員数・政府職員数・民間契約業者数など、
 占領機構全体の人数を算出、
 戦後も秩序が維持されている国が相手であれば人口千人あたりに五人、
 秩序が乱れた国では二十人が理想とした。
 
 人口約二千四百万人のイラクでは、
 単純計算で四十八万人程度の占領統治組織が必要になるが、
 現在のイラク駐留米軍は約十五万人で、
 米政府関係者や他の多国籍軍部隊を加えても、
 人数は不足していることになる。
 
 一方、「国家対テロリスト」の非対称型の戦いについては、
 テロリストを識別して行方を追う、
 ID・TTL(個人の認定、識別、追跡、居場所の特定)技術を
 開発する必要があるとし、
 国防総省と新たに創設される国家情報長官のもと、
 原子爆弾を開発したマンハッタン計画に匹敵するような
 大規模な研究に着手すべきだと提言している。
 
   (読売新聞 2004/12/27)


これは一年半年前の記事ですが、
見事にイラク統治の未来を予測している。
また、今読んでみても
うなずかされる部分が多いね。

  「国防総省は復興局面の重要さを
  戦闘局面と同様な真剣さで考えておらず、
  こうした姿勢を改めるべきだ」

この部分なんかは
イラク戦争の快勝と対比される戦後統治の泥沼など、
米国防省の功罪をハッキリと書いている。

さらに、

  過去の戦争の事例などから、
  治安回復に必要な兵員数・政府職員数・民間契約業者数など、
  占領機構全体の人数を算出、
  戦後も秩序が維持されている国が相手であれば
  人口千人あたりに五人、
  秩序が乱れた国では二十人が理想とした。
 
  人口約二千四百万人のイラクでは、
  単純計算で四十八万人程度の占領統治組織が必要になるが、
  現在のイラク駐留米軍は約十五万人で、
  米政府関係者や他の多国籍軍部隊を加えても、
  人数は不足していることになる。

この「統治人員の公式」は面白い。

この公式でいえば
イラクの秩序が維持されている状態であれば12万人。
秩序が乱れれば48万人が必要。

まあ、自身の算出した公式換算から見ても
程遠い人数で占領統治をやってるわけで、
これ、企業でいえば「超過労働」「超過勤務」ですな。
そりゃ、米兵もストレス溜まるでしょう。

さて、米国はこれ以上の大兵力をイラクに展開できず、
また現有兵力でこのイラクの泥沼を打開する見込みがない以上、
最終的には撤退せざるを得ない。
遠い将来か近い将来などの時期の違いはあっても
最後は撤退の選択をするでしょう。

問題は撤退の仕方で、
方法論としては二つ。

1,南ベトナムのように
  あとはイラク政府に任せてさっさと総撤退

2,上記のイラク三分割案

良策は後者の「三分割案」。
イラクをクルド人・スンニ派・シーア派の3国家に分割し、
米軍は石油を産出する北部のクルドと
南部のシーア派地区に駐留する。
中部のスンニ派地区は国連あたりに任せる。

だが、実現するのは難しい。
何故なら周辺諸国の同意を取り付けなければならず、
ここらへんが難関ですな。

ただ、何の策も無く、さっさと撤退するだけでは、
イラクが大混乱に陥るのは必至で、
米政府としては「三分割案」の方向を密かに検討してると思うよ。
単に公表してないだけでね。

おそらくここに来て
米国のイラク専門家やシンクタンクなどから
イラク三分割の発言がチラホラ聞かれるようになったのも、
自然の勢いということもあるけど、、
米政府が意図的にやらしてる部分もあるでしょう。
つまり「世論の醸成」という意味で。

また、他国や周辺諸国に対して
この三分割案で同意を取り付けなければいけないけど、

  米軍の総撤退orイラク三分割

この二者択一を迫られた場合、
イラク周辺の諸国は、イランとトルコ以外は、
表向きはともかく、内心では最後は賛成せざるをえないでしょう。

米軍が単純に総撤退すれば
イラクは周辺諸国の草刈り場となる。
現状から考えて、イランの勢力伸長は確実で、
これはサウジ・エジプト・シリアなどの望むところではない。

あと、トルコですな。
米軍が総撤退すれば彼らは間違いなく
北部のクルド地区に軍事介入するでしょう。

だから、最終的にはイラン・トルコを除けば
周辺諸国はイラク三分割に裏では賛成するだろうね。


さて、ここにきて
ローマ法王の「反イスラム」発言のニュースが飛び込んできた。

ローマ法王:「聖戦」批判演説にイスラム社会の反発広がる

まあ、よく見ると決して
単純な反イスラム発言と言えないとは思うけど、

worldNote:ローマ法王の講演が論じているもの  

これがイスラム教徒達を刺激して、
各地で反発の声が上がっているようです。

このニュースで一番衝撃を受けているのは
おそらく米国でしょう。

米国の対イスラム戦略は、
英国流というほどでもないけど
「分割して統治せよ」が基本で、
シーア派やスンニ派などのイスラム諸宗派の反目を利用するもの。

できるだけ、

  米国VSイスラム教徒

  キリスト教国家VSイスラム教国家

の図式に陥ることなく、

  米国+クルド人+シーア派VSスンニ派

  米国+スンニ派VSイラン+シーア派

みたいな形に持ち込もうとしていた。

しかし、上記の法王発言。
これは

  キリスト教VSイスラム教

の図式に成りかねず、
米国として非常に頭の痛いところ。
「余計なことを言いやがって」というのが率直なとこでしょう。

逆に内心大喜びしているのが、
アルカイダなどの反米テロ組織で、
対異教徒戦争の図式になれば彼らは思わずニンマリだろう。





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