短く斬れ

ニュース・短評・データ・資料を怒濤の如く。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このページのトップへ

非同盟諸国会議と怒濤の国連演説・・チャベス・ウオッチ 2006/09

前回に続き、チャベス・ウオッチの2回目。
ベネズエラのチャベス大統領の定点観測です。

メルコスル加盟と反米漫遊の旅・・チャベス・ウオッチ 2006/08


<チャベス、ベトナムを訪問>

 2006/08/01

話しは8月初頭にさかのぼる。

7月下旬から8月頭にかけて
反米行脚の世界漫遊の旅に出かけたチャベス。

ベラルーシ、ロシア、カタール、イラン、ベトナム、マリ。
これら諸国を一気に駆け抜けるハードな外遊だったが、
多くの国で大歓迎の大喝采を受けた。

ただ一つ違っていたのがベトナム。

チャベスは勃興しつつあるアジアの
反米色の強い国を取り込もうと
中国・ベトナム・マレーシア・北朝鮮などを
外交のターゲットとしている。

反米ネットワークをアジアにも構築して
ベネズエラが豊富な石油資源と外貨を使ってその結束点になる。
さらに非常任理事国の選挙票固めにも使えるとの意図。

まず、その橋頭堡を確保すべく、ベトナムに降り立ったチャベス。
実はチャベス訪問前に
ベトナムの新聞がベネズエラとの過去の故事を取り上げて
両国の友好ムードは高まっていた。

以下、産経新聞から。


 64年10月、
 解放戦線の特殊工作員のグエン・バン・チョイという若者が
 南ベトナム政府によって公開処刑された。
 マクナマラ米国防長官を暗殺するため、
 一行が通過するサイゴン(現ホーチミン市)の橋に
 爆薬を仕掛けようとしたという罪だった。
 ところが、その処刑直前、
 ベネズエラの都市ゲリラが米軍将校を人質として誘拐し、
 処刑の中止を求めるという事件があったのだ。

 この試みは失敗したが、
 国際連帯の証しとしてベトナムの抗米勢力に強い感銘を与えた。

 チャベス氏訪越当日の
 ニャンザン(ベトナム共産党機関紙)社説はこの故事にふれ、
 「米侵略者に対するベトナム人民の正義の戦いを
 ベネズエラ人民は強く支持した」と過去を振り返った。

   (産経新聞 2006/08/24)


この友好ムードを見たチャベスは好機とばかりに
ベトナムのグエン・ミン・チェット国家主席や、
ハノイの経済フォーラムでベトナム財界人を相手に
怒濤のような反米節を展開した。

  「米帝の怪物が、われわれを阻止し、
  卑劣な手段で攻撃するという陰謀をあきらめることは決してない。
  けさ、われわれはブッシュ大統領の発表を聞いた。
  それはまたもや、われわれ、ベネズエラ、
  そして私自身に敵対するものだ」

  「帝国主義者どもは獣にも劣る。
  連中は原爆を落とし、ハノイを爆撃し、
  ベトナムの森にナパーム弾を落とした」

  「もし彼らがわが国を侵略するならば、
  われわれはベトナムがやってきたように、
  抵抗し、失敗させるだろう」

  「われわれは、そうしたことが起こらないよう望んでいる。
  われわれは相互尊重、自由、
  そしてベトナムのように自由になることを望んでいる」

嵐のようなアジテーションだったが、
これに対してグエン国家主席は苦笑いし、
財界人たちは唖然として聞き入っていた。
こ、こいつは正気か、と。

ベトナム戦争はすでに31年の昔であり、
現在、ベトナムはドイモイ政策によって
半資本主義路線により経済の発展に努めている。
悲願であった米国との国交回復も11年前に果たした。

チャベスの演説に対して
ベトナム政府の面々は「帝国主義」という言葉は一切使おうとせず、
米国批判も全く口にしなかった。

ベトナムのメディアも
チャベス氏の反米発言を完全に黙殺し、伝えようともせず、
代わりにエネルギー分野での協力や
相互の貿易促進といった無難な話ばかりを報じた。

ベトナムは

  過去は過去、現在は現在

と、過去と現在を峻別し、
過去の出来事は歴史であり、
現在の政治に影響を与えさせないという姿勢を示した。

ベトナム人の過去の記憶に刺激を与えて、
反米を煽ろうとしたチャベスのもくろみは崩れた。

チャベスは傷心の中、ベトナムを去った。


<ベネズエラ、ミサイル防衛システム導入へ>

 2006/08/03

チャベスは、
対空ミサイル防衛システムを導入する方針を明らかにした。

彼はかねてより米政権が
自身の暗殺や政権転覆を狙っていると主張している。

ロイター通信によると、チャベスは

  「われわれは200キロかなたの標的を捕捉し、
  熱誘導ミサイルを発射する防空システムを構築する」

と語ったとのこと。

購入先や導入時期には触れなかったが、
軍事交流を深めているロシアから購入する可能性が高い。


<ベネズエラ、イスラエルと断交か?>

 2006/08/08

チャベスは、イスラエルと断交する見通しだと語った。

チャベスはイスラエルによるレバノンへの攻撃を批判して
駐イスラエル大使の召還を表明。
イスラエルも駐ベネズエラ大使を召還すると発表した。

チャベスは、

  「イスラエルのような国と
  外交関係を保つことに何の関心もない」

  「米国の支援を得て
  人々を殺害するイスラエルに強い憤りを覚える」

  「(イスラエルは)ナチスがやったことと同じような、
  もしかすると、それよりもっと邪悪なことをやった」

  「(レバノンでは)大量虐殺が起きた。
  だから、イスラエルの責任者はこの大量虐殺の件で
  国際法廷に引き出されるべきだと、私は信じる」

とイスラエルを批判した。


<チャベス、病中のカストロを見舞う>

 2006/08/13

かねてより反米の先達として
チャベスはキューバのカストロ議長に心酔していたが、
そのカストロが病に倒れ、
慌ててキューバに見舞いに訪れた。

その席でカストロの実弟のラウル第一副議長がチャベスに、
高名なメキシコの画家が描いた、
カストロ議長のポートレートを寄贈。

受け取ったチャベスは、

  「わたしも議長の絵を描こうとしたことがあるが、
  あなたの鼻が非常に難しくて、できなかった」

と言うと、カストロは、

  「まだ私は、(美容)手術を受ける元気はあるよ」

と、冗談で切り返した。

現在、ベネズエラとキューバは密接な関係にあり、
ベネズエラは大量の石油をキューバに送り、
ソ連崩壊後の青息吐息だったキューバ経済を助けた。

逆にキューバは
2万人の医師団をベネズエラに送り込み、
貧困者への無償治療を行い、
チャベスの貧困者票の取り込みを助けている。

国家としてギブ・アンド・テイクの関係にある両国だが、
国家と国家の垣根を越えて、
どうもカストロとチャベスは仲が良さそうだ。
カストロもチャベスを
反米の弟子のように考えているのか?


<ベネズエラ、北朝鮮への石油輸出を表明>

 2006/08/16

ベネズエラのランヘル副大統領は
北朝鮮に石油を輸出する用意を表明した。

ランヘル副大統領は北朝鮮への石油輸出の可能性について

  「何も特別なことではない。
  石油を買ってくれる国に我々は売るだけだ」

と語った。

また、チャベスは北朝鮮との連携を強めるため
同国を訪問する計画を明らかにしている。


<チャベス、中国を訪問>

 2006/08/22

ベトナムで冷ややかな応対を受けたチャベスだが、
アジアの成長著しい中国には反米の期待をかける。

中国を訪問したチャベスは
8月24日に北京市内の人民大会堂で胡錦涛・国家主席と会談。
両首脳はエネルギー分野での協力拡大を含む
戦略的パートナーシップの強化で合意した。

会談で胡錦涛は、

  「これを契機に両国政府の交流、
  鉄道建設、造船、ハイテク技術などでの経済協力、
  文化・教育面での協力関係を深めていきたい」

と提案。

チャベスもこの提案に同意し、

  「エネルギー、鉄道建設、
  通信、農業などの方面での協力を
  更に発展させていきたい」

との考えを示した。

チャベス大は、北京での歓迎式典後に記者団に対し

  「向こう数年間で、
  ベネズエラから中国への石油輸出が日量50万バレルになり、
  10年間で100万バレルに達することを望んでいる」

と述べた。

同日、国営ベネズエラ石油は中国石油天然気集団(CNPC)と
ベネズエラ国内2カ所の油田の共同開発に関する合意文書に調印し、
中国企業3社と原油掘削設備の建造などで
協力していくことで合意した。

また、チャベスは、
ベネズエラの国連安全保障理事会入りに向けて、
中国の胡錦涛・国家主席から個人的な支持を取り付けたと述べた。

総じてベトナムでの失敗に懲りたのか
チャベスの反米トーンも抑えられており、
中国は中国でチャベスの反米姿勢に引きずられないようにし、
結局、両者の話は「石油と資源」に終始した。


<「ぜいたくは敵」とゴルフ場接収>

 2006/09/03

ベネズエラの首都カラカスのバレト市長は、
慢性的な住宅不足の解消のため、
市内にある二つのゴルフ場の接収命令を出した。
 
同市長は、

  「スラム街の目の前で、
  人がゴルフを楽しんでいるのを見るのは嘆かわしい」

と述べ、チャベス大統領に倣って、
大胆な貧困対策に取り組む意向を示した。

ゴルファーからは、反発の声が上がっているとのこと。


<非同盟諸国首脳会議開幕 反米の盟友が結集>

 2006/09/15

発展途上国を中心とした、
非同盟諸国会議(117カ国・1機構)の首脳会議が
キューバの首都ハバナで始まった。

キューバで非同盟諸国の首脳会議が開催されるのは
1979年以来27年ぶりの2回目。
強硬な反米姿勢を掲げるベネズエラ、ボリビア、イランなどの
反米盟友諸国が大集結とあって、
キューバには世界から報道陣が殺到し、異様なムードにつつまれた。
まるで富士の裾野の「東映怪獣大決戦」状態であった。

当然の如く、チャベスは獅子吼した。

  「米帝国主義は衰退の道をたどっている」

  「帝国主義者とは友人になることはできない。
  ワシントン(主導)の新自由主義は完全に失敗だった」

と、米国を批判するとともに
イランの核問題に関して、

  「イランが米国による攻撃を受けることがあれば、
  米向けの原油輸出を停止する」

  「広島と長崎に原爆を落とした米国に
  他国の平和目的とした核開発を指図する権利はない」

  「イランが原油輸出を停止すれば
  世界の原油価格は1バレル100ドルを超える」

  「エネルギーのための核開発は未来への道筋となる」

  「どんな場合にも我々はキューバと共にあるように、
  あなたたち(イラン)と共にある」

と吼えまくった。

この非同盟諸国会議は
チャベスを中心とした反米強硬派に牛耳られてしまい、
米一国支配と米国の内政干渉に対する反感、
核問題におけるイランと北朝鮮の擁護、
まさにチャベスの主張通りの宣言文を採択して
9月17日に閉会した。

これに対して穏健派諸国の
インド・パキスタン・マレーシア・チリ・ペルー・コロンビアなどは、
不快感を表明した。


<チャベス、国連で米大統領を名指し批判>

 2006/09/20

ニューヨークで国連総会が開かれ、
意気揚々と米国に乗り込んだチャベス。

「敵国」のまっただ中での興奮のせいか、
国連総会での彼の演説は
まさに国連史上に残る猛烈な罵倒演説となった。

まず、チャベスは
言語学者でブッシュ政権を批判する論客としても知られる、
ノーム・チョムスキーの著書を提示しながら、

  「これは素晴らしい本だ」

  「スーパーマンの映画ばかり見ていないで、
  米国人はチョムスキーの本『覇権か生存か』を読むべきだ」

  「数ヶ国語で翻訳されており簡単に読める」

と、各国の国連代表に推薦した。

ここまではまだよかった。
ほんのジャブ程度だった。
ここからチャベスは吼えまくった。

チャベスは前日にブッシュ大統領が国連で演説したことを踏まえ、

  「悪魔が昨日ここにやってきた。まさにこの壇上に。
  まだ地獄の硫黄の臭いが残っている」

と、お祓いの為に天を仰いで十字を切った。

さらに怒濤の罵倒演説。

  「われわれは米帝国主義に抗して立ち上がる。
  親愛なる独裁者様(ブッシュ大統領)、
  あなたは残りの日々を悪夢のように過ごすことになる」

  「(ブッシュ大統領は)
  世界を所有しているかのように演説した。
  その演説内容は精神科医の分析対象になるだろう」

  「(ブッシュ演説は)
  世界の人々に対する現在の支配と搾取、
  略奪を維持するための妙案の公開。
  ヒッチコック映画のシナリオに使えそうだから、
  タイトルを『悪魔の手法』とすることを提案する」

  「米国の帝国主義が覇権主義的支配を強固にしている」

  「われわれは(ブッシュ大統領の)
  そうした行動を許してはならない。
  世界を独裁しようとする体制が確立されるべきではない」

また、チャベスは
米国が安保理で拒否権を握っている点を指摘し、

  「国連をベネズエラに移転すべきだ」

と言い、
国連総会が年に1度の審議機関に過ぎず、
世界情勢の問題に何も影響を与えていないこと、
常任理事国の拒否権は「非民主的」であると主張した。

また、ベネズエラは
非常任理事国入りを目指していると訴え、

  「米国は真実と自主独立の声を恐れているため、
  これを阻止しようと躍起になっている」

と批判した。

これに対して、米ボルトン国連大使は

  「チャベス大統領の今日の言葉遣いは
  彼の人柄を反映している。
  われわれは国際問題を
  漫画にするような態度には対応しない。

  「大統領は(国連の)演台でも、
  (ニューヨーク市内の)セントラルパークでも
  言論の自由を行使できることを知っているが、
  ベネズエラの国民に同じ自由を認めていないことが真の問題だ」

と皮肉の応酬を行った。

さらに米ライス国務長官は

  「“悪魔”は絶対に言ってはいけない言葉」

と怒りまくった。

米国はよほど頭にきたのだろう。
チャベスに同行して訪米していたベネズエラのマドゥロ外相が
ニューヨークのケネディ国際空港から帰国しようとした際に、
空港当局が約1時間半にわたって拘束した。

米政府は即座に
「拘束は誤った情報によるもの」と謝罪し釈放したが、
これはどう見てもチャベスの演説に対する米国の反撃。

このチャベスの国連演説はCNNによって全世界に生中継され、
さらにネット上ではアップされた動画が駆けめぐった。

ちなみに、チャベスの「推薦」のおかげで
泡沫書であったチョムスキーの本「覇権か、生存か」は
アマゾンのランキングによると
2万664位から人気が急上昇してベスト10入りした。

さらに、演説の最中にチャベスはうっかりと、

  「チョムスキーに生前に会えなくて残念だ」

と言ったため、
チョムスキー家には確認の電話が殺到した。
チョムスキーはいまだ存命中である。



関連資料リンク

非同盟首脳会議:米主導秩序への「対抗勢力」印象づけ閉幕

ベネズエラ大統領、米大統領を「悪魔」と批判 国連演説

ベネズエラ:訪米の外相、空港で一時拘束 米政府謝罪

チャベス大統領が国連で「推薦」の本、ベストセラーに


関連過去記事

メルコスル加盟と反米漫遊の旅・・チャベス・ウオッチ 2006/08


関連過去記事(本店ブログ)

南米の左傾化 その3・・チャベス・ベネズエラ大統領

南米の左傾化 その4・・反米とボリバル主義

南米の左傾化 その5・・「21世紀の社会主義」と中国の接近






スポンサーサイト
このページのトップへ

コメント

> チョムスキーに生前に会えなくて残念だ

サイードと間違えてるな(笑

  • 2006/09/29(金) 16:33:44 |
  • URL |
  • worldnote #5hYG8PUI
  • [編集]

ネタの宝庫

チャベスの言葉は汚いのですが、ツッコミどころ満載なので憎めません。

ベネズエラは北朝鮮に売るのはいいが、代金はウルトラダラーということを知っているのだろうか?
アメリカの金融制裁のターゲットが増えるだけだと小一時間・・・。

  • 2006/09/29(金) 22:52:12 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

見てみたい対決

> worldnote殿

サイードって、あの大江健三郎と仲良しの?


> クマのプータロー殿

> 代金はウルトラダラーということを

いや、さすがにそれはやらないでしょう (^_^;

「チャベス VS 北朝鮮」ってのも面白いかも。
異種格闘技みたい。

  • 2006/10/01(日) 02:26:28 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

プロフィール

ケイ

Author:ケイ
憂国と好奇心の30代男

マイブログ・メルマガ

 待避禁止!

 宇宙開発ニュース β版

 メルマガ:古今東西の名言

サイトマップ

 過去記事一覧

 過去記事一覧(本店ブログ)

最近の記事

カテゴリー

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。