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中国の危険な3つのカード・・外交カードとは何か?

5月31日の産経新聞に載っていた記事が
非常に興味深かったので引用します。

何が興味深いかって?
「外交カード」という概念ですね。
ある意味、日本人には最も分かりづらい概念です。


◆【湯浅博の世界読解】中国の危険な3つのカード
 
 米国南部にあるデューク大学の教授が
 食事しながら興味深い話をしてくれた。
 大学には、中国から若手の官僚たちが
 定期的に短期研修にやってくる。
 彼らはそこで国際政治や経済を学ぶが、
 同時に、胡錦濤政権の外交戦略を縦横に語ることになる。
 
 官僚たちの指摘は、
 いまの胡錦濤政権が対米重視ではあっても、
 米国に対して多くの外交カードを持とうとする点で、
 江沢民前政権とは決定的に違うと評価する。
 いまの中国は、ブッシュ政権に対して
 少なくとも三枚の外交カードをちらつかせているという。

 これらの三枚が主要国からみればいずれも
 “レッド・カード”に該当するからいかにも厄介なのだ。

 その筆頭は、拉致と麻薬と偽札を世界にばらまく
 金正日総書記の北朝鮮だ。
 北朝鮮には中国資本を注ぎ込んで鉱物資源をたぐり寄せ、
 日本海側の港湾の使用権も獲得した。
 北への影響力を誇示すれば、貴重な外交カードになる。

 ついで、核開発で
 米欧を振り回しているイランが二枚目のカードだ。
 米欧は、アフマディネジャド大統領の
 核への野心を阻止しようと知恵を絞る。
 ところが中国は、暴言を吐き続ける大統領を擁護し、
 石油の分捕りを優先させて米欧の制裁に反対する。

 三枚目として中国は、イスラム原理主義組織、
 ハマスが主導するパレスチナ自治政府を支持し、
 米欧との違いをみせる。
 ハマスはイスラエルの存在を認めず、
 武装闘争を放棄していない。
 ハマス上級幹部でもあるザハル外相は
 経済支援をしぶる米欧日を批判し、
 他方で中国にすり寄る。

 イラク戦争前は、
 フセイン独裁政権のイラクが含まれていたから、
 ブッシュ政権が「悪の枢軸」と警戒する国ばかりだ。

 中国の若手官僚らは、
 胡主席が四月の米中首脳会談の際に
 中国がいかに多くのカードを持っているかを
 ブッシュ大統領に伝えたはずだといっている。

  「それが狙いなら首脳による敵対的外交ですね」

 教授の答えはこうだ。

  「米中が正面から戦争する状況にないなら、
  外交は激しい戦略ゲームになる。
  そこで胡錦濤政権はいかに多くのカードを
  手に入れるかに腐心する」

   (産経新聞)


何やら分かったような分からないような・・・。

何故、北朝鮮を支援することが外交カードとなるのか?
何故、イランの現政権を支援することが外交カードとなるのか?
何故、ハマスを擁護することが外交カードとなるのか?

不思議ちゃあ不思議ですよね。

日本人的感覚からすると、
相手は世界の超大国なわけで、
そんなことをすれば米国との関係が悪化して
得るものよりも失うものの方が大きいじゃないか、
どこが「カード」だよって思いますよね。

逆に、
米国に協力して北朝鮮を日干にし、
米国に協力してイランを批判し、
米国に協力してハマスを罵倒することが
米国との仲を良好に保つわけで
こっちの方がずっといいじゃないかと。
これが日本的外交感覚でしょう。

要は、外交とは何か?
あるいは国際社会とは何か?という認識の問題です。

欧米各国にしても中国にしても
彼らは国際社会を「陣取りゲーム」のように考えています。
永遠の陣取りゲームです。
パワーとパワーが激突して勝者が敗者を支配するという、
実に単純にして「力」のみを基準にした世界観です。

そこにはモラルとか道徳の入る余地はなく、
国益を追求するために
自らは強者たろうとし、相手を弱者に蹴落とす世界。

その国際社会における外交とは、

  「国益を追求するために 、
   相手より力関係で有利な位置に立つための技術」

単純に言っちゃえば、そういうことです。

この前提にたって、
「外交カード」とは何かというと、
トランプのセブンブリッジやポーカーのカードと同じで、
それを切ることによって自分が優位につけるカード。
相手からすると「おおっ、それを出すか!」みたいなカード。
これが外交カードってやつです。

大雑把に言うと、外交カードは基本的に2種類しかありません。
アメとムチ。
この2種です。

アメは懐柔・利益提示であり、ムチは力の誇示・力による脅し。
利益を与えて自国の望む方向に誘導するか、
力の誇示や恫喝・嫌がらせで相手から利益を引き出すか。

で、最初の設問に戻りますが、
中国は、

 何故、北朝鮮を支援することが外交カードとなるのか?
 何故、イランの現政権を支援することが外交カードとなるのか?
 何故、ハマスを擁護することが外交カードとなるのか?

答えは簡単です。
これはムチなんです。
米国の国策に反するようなことをわざわざやる。

米国として選択肢は2つで、
怒って中国に殴りかかるか、
あるいは中国に「まあまあ、もっと穏便にいこうよ。
君らが強硬だから僕も困ってるんだよ」と
何か別の利益を与えて取引するか、
このどちらかですね。

上記の産経記事のタイトルが
「危険な3つのカード」となっているのは、
下手をすると中国が
米国に殴られる可能性もあるカードだからです。

現在、中国は米国の足元を見ています。
イラクの泥沼にはまり、
二正面作戦は難しい米国の足元を。

「危険な」カードをちらつかせたところで
米国は殴ってこれないとギリギリの判断をしてるわけです。
で、何かの局面で米国は中国を黙らせるべく、
中国の「危険なカード」を引っ込めさせるべく、
何らかの取引材料を提示してくるだろうと。

たとえば、日本はイランに
アザデガン油田という権益をもってますが、
今、米国はイランに対する経済制裁の絡みで
この油田権益を日本に放棄するように求めてきています。

アザデガン油田開発 米、日本に凍結要請 イラン核阻止へ障害

アザデガン油田が開発され、
石油を通じて日本からイランに外貨が流れ込む構図は
米国にとって利敵行為になるわけでしょう。

米国は日本に対して
「放棄しなきゃ、日米関係は悪化するぞ」と
ムチを振るってきてるわけです。

米国にとってもここは力関係の冷厳な計算で、
日本にそれを要求して
日本が怒って日米関係が悪化する可能性よりも
日本がそれを飲む可能性の方が高いと見ているわけです。

逆に「アザガン油田」は
ある意味、日本にとっての「危険なカード」になり得ます。

「やなこった」と。
「だれが権益を放棄するかよ」と。
「もし、米国が日本の主権侵害のごり押しをするならば
日米関係悪化も厭わない。日本はそれだけの覚悟がある。」
「もし、放棄してほしければ別の何らかの取引材料を提示しろ。
ただで放棄なんてそんな芸の無いことができるか!」と。

はたして、これを日本が米国に言えるかですね。
ここは冷徹な計算です。
あっさり放棄することのプラスとマイナス、
断って取引を仕掛けることのプラスとマイナス。
これを総合勘案して、どっちが得かを考えることです。

もう一度繰り返すと
国際社会における外交とは、

 「相手より力関係で有利な位置に立つための技術」

ってこと。

「友好」とは手段であって目的そのものではない。
目的はあくまで国益追求。

米国が日本の友好国だからって
「いいよいいよ、日本の好きにやってよ」とは言ってくれない。
現実は「油田を放棄せよ」と言ってくる。

ごり押しと言えばごり押しですが
別に彼らの目的は日本との友好ではなく、
国益追求ですから当然のことです。
日本との友好なんて手段に過ぎない。

なんか、乾ききったドライな世界で
日本人的感覚からすると心が冷えてきそうですが(笑)
まあ、これが世界の現実ってものです。
しょうがないやね。



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テーマ:中国問題 - ジャンル:政治・経済

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コメント

迷惑

今日のテーマは難しいですね。アメとムチも使いよう、TPOを誤ると自爆します。外交とは利益の調整。一方的に自国のみを利する外交はよほどの大国でなければできません。日本はそこをわきまえ、分相応な利益を追求する平和国家と考えていました。他国を侵略しなければ、他国からも侵略されないというのは幻想でした。中国を見てるとつくづくそう思います。軍事費や、宇宙開発の予算を優先させ、今餓えている国民を幸せにする考えはないようです。
13億の民の命より、国益優先でその先に何があるのでしょう。餓えた民を何億も永遠に抱え、国益を永遠に追及し続けるのでしょう。

自国民にも支援が必要なのに、インドネシアに支援金拠出し外交を優先させます。

日本は巻き込まれたくないです。

としても、3つのカードはどれもやくざの脅しの三首の神器にしか見えません。国家の品格なんて考えないのでしょうね。

  • 2006/06/01(木) 20:36:09 |
  • URL |
  • 外交 #-
  • [編集]

要はバランスですかね

要は、現実主義と理想主義の調和でしょう。

現実主義のみではギスギスして醜悪になる。
(その極端な例が北朝鮮でしょうけど。)
逆に理想主義のみでは
分不相応な路線を選択し、
自らの基盤を破壊して没落しかねない。

これは国家のみならず
企業・個人にもいえるしょう。

米国なんかは
現実+理想主義の混ざり外交ですね。
しばしば、理念優先で外交的に失敗することも多い。

ほどよい調和が英国ぐらいでしょうか。
けっこう悪どいこともやってますが
あまりそう見えないのは不思議ですよね。

  • 2006/06/01(木) 20:59:20 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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