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韓国:386スパイ事件・・北朝鮮の対南工作と386世代

10月24日午前10時30分。
韓国の防諜組織「国家情報院」の捜査員が、
韓国の野党第3党・民主労働党の前中央委員である、
李ジョンフン宅を訪れた。

捜査員達は、在米韓国人実業家の張ミンホの写真を見せながら、
「この人をご存知ですね?彼はスパイです」と言い、
李の手首に手錠をかけた。

同時刻、張ミンホと他3名が
スパイ容疑で国家情報院に連行されていた。

結局、逮捕されたのは以下の5名。

◇張ミンホ(44歳)・・在米韓国人実業家

◇李ジョンフン(43歳)・・民主労働党・前中央委員

◇崔キヨン(40歳)・・民主労働党・事務副総長

◇ソン・ジョンモック(42歳)

◇李ジンガン(43歳)

国家情報院によると、
この5名は北朝鮮国家機関の指令を受けて、
韓国内の政治情報を北朝鮮に送り、
反米・親北の世論工作を行っていたとのこと。

5名の元締めは張ミンホ。
米国市民権者であり、米国ではマイケル・チャンと名乗っていた。

1981年、ソウルの私大を休学、
米国に渡り米軍に入隊し、米国市民権を獲得した。
1983年、米国のグラナダ侵攻に反対するデモに参加し逮捕。

1989年、北朝鮮の
対南工作機関「対外連絡部」所属の在米韓国人に取り込まれ、
北朝鮮への服従と韓国への裏切りを決意する。
彼は北朝鮮に無許可で渡航し、スパイ教育を受けた後、
金日成父子に忠誠を誓って朝鮮労働党に入党した。

1989年、在韓米軍に所属、
龍山基地に勤務しながら軍事情報などを北朝鮮に流した。

1990年7月、工作活動の内容を評価され、
北朝鮮にて統一に貢献した人に与える「祖国統一賞」を授与される。

米軍除隊後、彼は積極的な対南工作に乗り出していく。
1990年、ソウル江南地域に3Dアニメーション製作会社を設立。

彼は、実業の人脈を足がかりに
韓国の386世代と呼ばれる同世代の若手と交流を図り、
革新系政治家・反米市民団体などに浸透していく。

この流れの中で彼が取り込んでいったのが
上記の逮捕された4名である。

張は北朝鮮の対外連絡部から
「元活動家のうち、集示法(集会とデモに関する法律)や
国家保安法に違反した前歴のある者を取り込み、
地下組織を作れ」という指令を受け、
「金正日に一心にお仕えする」という意味の
「一心会」という秘密組織を結成した。

北朝鮮の工作機関「対外連絡部」は
朝鮮労働党の下部組織であり、
主に韓国に対する諜報工作を主任務としており、
その目的は韓国の赤化併呑である。


5名の逮捕と同時に
国家情報院は彼らの家宅捜索を行った。

ここで捜査員達は驚愕する。
張ミンホの家と事務所からは
暗号で書かれた膨大なデータと人名リストが押収された。

これまで彼が協力者に仕立て上げた10余人の名簿と連絡先。
そして彼が人脈を築き上げてきた政界人と市民団体幹部らのリスト。
与党ウリ党の議員や元補佐官の名が含まれていた。
さらに、暗号で書かれた多くの報告文書の束、
指令受信用の短波ラジオ、無線通信解読用CDなども押収された。

暗号文は現在、国家情報院によって解読中であるが、
この人名リストと報告文を一読した捜査員は
「驚天動地に値する内容」「核爆弾が出てきた」と語った。

また、金昇圭国家情報院長はマスコミのインタビューに
「実状を知れば衝撃的な内容」と答えた。

報告文の内容の一部はすでに公表されており、
韓国に関する各種の詳細な情報、政界・軍・在野団体などの動向、
北朝鮮の核実験実施以後、民主労働党と各政党別の
政策の変化まで集めた報告文などが含まれていた。

さらに北朝鮮当局から
張への指令文には以下のようなものがあった。

◇今年5月のソウル市長選挙で、
 野党ハンナラ候補の当選を防ぐため、
 民主労働党に与党ウリ党候補への集票を指令。

◇昨年6月、尹光雄国防長官解任決議案が国会に提出された時期、
 民主労働党が解任案の否決を先導せよと指令。

また、張が2002年に作成した報告文には

 「環境団体と市民団体を中心に環境問題を引き込み、
 反米闘争を展開する」

という内容も含まれていたとのこと。

この文章の全てが解読された暁には、
北朝鮮に協力者として引き込まれた人物と団体名、
北の赤化工作の実態など、
韓国政界と世論に激震が走ることが予想される。


国家情報院が
押収した膨大な資料の解析の他に関心を寄せているものに、
張ミンホとIT分野のつながりがある。

上述のように張は1990年、
ソウルに3Dアニメーションの製作会社を設立した。
その後、複数のIT系企業を経営し、
やがてその絡みで
韓国国会の科学技術情報通信委員会所属の議員らと知り合い、
主要な国家機密を扱う国防委員会・統一外交通商委員会所属の
議員へと親交を広げていった。

また、張が今年初めまで代表を務めていたIT系企業は
韓国情報通信部傘下の各機関を顧客としており、
ここから北朝鮮に情報が漏れていた可能性も取りざたされている。

さらに張と共に逮捕されたソン・ジョンモクは、
国家情報院付設研究所の
情報保安広報を担当していた会社のメルアドを何故か所持していた。
ここに北朝鮮がネットを通じて
韓国の国家機関の機密データを
盗取しようとしていたことを窺わせる。

おそらく捜査員の念頭にあるのは
ここ最近、その恐るべき実力が知られ始めた、
北朝鮮のハッカー部隊の存在と、
北のネットを通じた韓国への世論工作があると思われる。


この事件で逮捕された5名は全て40歳代前半であり、
彼らは韓国で「386世代」と呼ばれている年齢層である。

386世代とは、
60年代に生まれ、80年代に大学生活を送り、
韓国の民主化が進展した90年代当時、30歳代だった世代。

この世代は現在の韓国各層で要職についているが、
彼らの主な政治的傾向性は、左傾と親北・反米。

民族主義的で北朝鮮との連隊を重視し、
反米・反日であり、
朝鮮半島の分断は米国の策謀との発想を持っている。

また、マルクス主義的な価値観が強く、
結果平等・反体制を是としている。

また同時にこの層は
韓国政府が国策として推し進めた、
IT化の洗礼を真っ先に浴びた世代であり、
ネットの未来と可能性を最も信じている世代とも言われている。

そして、この世代の
政治的傾向性を体現する存在が盧武鉉政権である。
張ミンホは、この386世代を手づるに
協力者の人脈を広げていった。

このスパイ事件は、
別名「386事件」と呼称されている。
特に韓国の保守系大手紙朝鮮日報が
この名称を大々的に喧伝している。

朝鮮日報にしてみれば
盧武鉉政権の親北体質に危機感を感じ、
この政権を構成する386世代の左傾ぶりを
苦々しく思っていただけに、
事件が386世代を核として広がりを見せ始めたことから、
これを好機として政界の同世代を中心とする左派人脈に
メスを入れてほしいとの思いもあるのだろう。

ここらへんは
いかにも朝鮮日報らしいアクの強さである。


今後、この事件の展開は
張ミンホの協力者ネットワークの解明と
彼の膨大な暗号データの解析待ちの状態となっているが、
その展開次第では、
捜査のメスが政権内部の奥深くに及ぶ可能性もある。

これまで盧武鉉政権の打ち出した施策を見ていると、
あれがどれだけ盧武鉉自身が自覚してるかはともかく、
北朝鮮の意向に大きく左右されているのが分かる。

太陽政策の親北的な雰囲気の中で
北朝鮮による多くの謀略と工作が野放しにされ、
北のネットワークは
権力内部に深く浸透していると見ていいと思う。

そして、この事件の行き着く先は
権力闘争と政界内の抗争につながると思われる。
捜査のメスが権力の内部に迫るほどに
その摩擦は大きくなり、韓国政界は激震するだろう。

真摯に真実を解明しようとする者、
捜査を妨害する者、罪状から逃れようとする者、
政敵を追い落とそうとする者、
この流れを権力掌握に利用しようとする者。
多くの思惑と利害がこの事件の進展と共に渦を巻き始めると思う。

北朝鮮の核実験などで
その無能ぶりを露呈した盧武鉉政権だが、
このスパイ事件は政権の末期症状を加速化させるだろう。



関連過去記事

韓国政界大揺れのスパイ事件
 ・・盧武鉉政権の弱体化と防諜機関の復活








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コメント

こんばんは

このスパイ事件は、裏での暗闘が凄いことになりそうですね。台湾といい韓国といい、混乱になりそうです。

  • 2006/11/06(月) 21:54:39 |
  • URL |
  • SAKAKI #-
  • [編集]

翻って日本はどうなのでしょう?日本にはスパイはいないのでしょうか?スパイにまで言論の自由を与え自由に跋扈させている日本はスパイ天国。スパイ防止法案を議題にしないのは、議員の保身なのでしょうか?

  • 2006/11/07(火) 01:43:04 |
  • URL |
  • ジャポネーズ #-
  • [編集]

朝鮮総連を見ると

日本はスパイと解っていて市民権すら与えていると私には感じられます。

スパイに活動と安全の保証を与える国、それが日本の実情だと思います。

クライアントを問わなければ、日本の議員は8割以上何らかのスパイ行為を無自覚に行っているとしか思えません。金儲けの手段が無くなるようなことは積極的に行うはずがありません。有権者の意識が変わること以外、解決の目処は立たないと思います。

  • 2006/11/07(火) 06:32:01 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

日本の場合

> SAKAKI殿

台湾もすごいことになってますね。
朝鮮半島と台湾は日本の安全保障に直結する問題だから
そのうち書かないとなあ・・

> 裏での暗闘が凄いことに

この事件の解釈は2つに分かれるんですよ。

1,盧武鉉政権が北朝鮮に対して強硬姿勢にシフトした。

2,盧武鉉政権のタガが緩んで、
  国家情報院がスパイ摘発を積極的に行えるようになった。

私は後者ですが、
前者で解釈する人もいますね。

後者を前提としたら、
これから政権内部で暗闘が始まると見ていいと思います。


> ジャポネーズ殿

> 翻って日本はどうなのでしょう?

それを言われると、一人の日本人として肩身が狭いですね。

スパイ防止法が無い国ですから。
警察の公安部も頑張ってはいますが、
片手を縛られた状態で防諜やってるようなもんですから。

たとえば米国が主導して
イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド
などで構成される「エシュロン」なんてものもありますが、
ああいうのに日本に正式メンバーの声がかからず、
単なる「サードパーティー」に過ぎないのも、
スパイ防止法が無いことが大きいですね。
日本から情報が漏れてはかないませんから。

まあ、エシュロンの場合は
人種的にアングロサクソンで固めてるってのもありますが。


> クマのプータロー殿

> 日本の議員は8割以上何らかのスパイ行為を

その意味では米国なんかも
議会へのロビー活動が活発ですよね。

「チャイナ・ロビー」「イスラエル・ロビー」など、
私には、あの「ロビイスト」という職業自体が
非常に奇っ怪に思えるんですけど。

米国には、CIAのような諜報組織や
FBIのような防諜機関がありますけど、
今、米国で通信の傍受や
テロリストへの拷問の是非が議論されているのも
従来の防諜機能では国が守れないという危機感でしょう。

この意味においては日本はのんびりしてますよ、ホントに。
いまだにスパイ防止法が無いんですから
信じがたい国です。

まあ、そのうち時勢に押されて出来るでしょう。
この情勢のままいけば確実に成立するでしょう。

  • 2006/11/07(火) 16:56:11 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • 2006/11/10(金) 12:28:32 |
  • |
  • #
  • [編集]

50代から60代の政治家

> 上から下までシャッフル

同意です。

私としては日教組教育の影響を受けすぎた人が
早いとこ、引退してくれることを祈っています。
50代から60代の政治家にそういう人が多いですね。

  • 2006/11/13(月) 01:41:55 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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