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ベーカー報告書:イラク米軍撤退を勧告・・中東大乱時代の始まり

イラク米軍、戦闘部隊撤退、08年目標
 研究グループ、戦略転換を勧告

 米イラク政策の見直しを進めてきた、
 ベーカー元国務長官ら超党派による「イラク研究グループ」
 (ISG)は6日、イラク治安部隊の役割を強化することで、
 駐留米軍の大幅な撤退をめざすなどの
 79項目の勧告をまとめた報告書をブッシュ大統領に提出した。
 報告書は戦闘部隊撤退の目標期限として
 「2008年初め」と言及したが、
 軍事、外交上の前提条件を多く伴う内容で、
 明確な撤退期限には踏み込めなかった。
 
 報告書は全文で160ページ。
 イラク政策が争点となった中間選挙での与党共和党の敗北を受け、
 ブッシュ政権が超党派での取り組みを示すため、
 ベーカー元長官、ハミルトン元下院議員を共同議長に
 有識者10人で作るISGに提出を求めていた。
 米軍の死者が2900人を超える中、
 今後の焦点はブッシュ政権が
 勧告をどこまで新政策に吸収するのかに移る。
 
 報告書はイラク情勢について、
 「きわめて深刻で悪化している」と指摘。
 現状を放置すれば「イラク政府の崩壊と
 人道的な悲劇への混迷に陥る」との厳しい認識を示し、
 情勢打開に向けた「新たな外交、政治的取り組み」が必要だと指摘した。
 
 イラク駐留米軍の任務について、
 報告書は「イラク治安部隊への支援に比重を移すべきだ」と勧告した。
 条件が満たされた場合は、08年1~3月(第1四半期)までに
 戦闘部隊を軸とした兵力の撤退が可能だとした。
 
 外交面での取り組みとして、
 報告書はイラク武装勢力との関係が強く指摘されているイラン、シリアと
 イラク治安情勢の安定に向けた交渉を進めるよう求めた。
 兵力削減には、こうした条件が
 すべて満たされることが前提となっている。
 
   (iza!)


ようやくベーカー報告書が提出されました。

いずれイラク情勢については
ザックリとした長文論考を書こうと思ってますが、
今日は走り書きに感想などを書いておきます。

まず、結論として言えるのは、
これはベーカー自身も言っていることですが、
完全な解決策でも何でもないということです。

いろいろある方策の中から、
消去法で一番マシなやつを選んだだけです。

前提としてあるのは、

1,現有兵力によるイラクの秩序安定は不可能

2,米国の国家財政はこれ以上の負担に耐えきれない

この2点です。

現有兵力で情勢の打開は不能、
さらに財政的に増兵は不可。
この2大前提のもとでの思考の道筋としては、

 「まず、撤退ありき」

 「撤退後のイラクの混乱を最小限に食い止める」

 「それが不可能ならば、
 イラクの混乱を周辺国に波及させない」

おそらくこの流れだと思いますね。

さて、報告書の中の柱は以下の2つです。

 ◇米軍の撤退に伴うイラク軍への役割委譲

 ◇シリア・イランとの外交、支援要請

まず、「イラク軍への役割委譲」ですが、
これはやらないよりはやった方がマシと言う程度に過ぎません。
イラク軍や治安組織の育成が
うまくいってないことは周知の通りで、
最近ではテロ組織もこれを妨害しようと
米軍よりはイラク軍の新兵を標的に攻撃を仕掛けています。

米軍がいる現状でこの有様ですから、
いずれ撤退すると分かっている米軍が後援するイラク軍に
誰が志願するというのでしょうか?

人間は勝ち馬に乗りたがるものですから、
撤退を明言した後は
イラクでの米軍の威信は急速に失われていくでしょう。

こうなると現在のイラク治安部隊は
一年後に売国奴扱いで処刑される可能性が高くなるわけで、
志願者が激減するのは目に見えています。

次に「シリア・イランとの外交」。
ここがこの報告書のポイントです。
それ以外はどうでもいいと言えます。

ベーカーが具体策として何を考えてるのかは分かりませんが、
米国が追求する外交目的は、

1,イラクの安定

2,石油生産力の復旧

3,米国の権益確保

であって、
もはや「民主主義の確立」は望んでないでしょう。

この観点に立っていえば
米国がシリア・イランと交わす外交というものは
結局のところ取引でしょう。

シリアに対してはレバノンでの勢力浸透、
イランに対しては核開発に対する圧力を弱める。
おそらくこういう取引内容になるでしょう。
また、そうでなければ両国は応じないでしょうね。

まあ、この報告書は
2003年から始まったイラク情勢の混沌の
一つの分岐点になるでしょう。

各国と各組織は米軍撤退後を睨み、
このパワーの空白状態に自らの力を拡張させんと、
あれこれと方策を練り、駆け引きが活発化していくでしょう。

シリア・イラン以外にも
イスラエル・サウジの動きなどが気がかりです。

イスラエルは悲愴な覚悟で
イランの核開発を自らの力で止めようと決意するでしょうし、
サウジは隣国イラクの混乱とイランの伸張に脅威をおぼえるでしょう。

風雲は急を告げています。
中東大乱の幕開けです。



関連資料リンク

外交努力と米軍任務変更の2本柱 イラク研究G報告書
 早期撤退には反対



関連過去記事

ラムズフェルド米国防長官の退任・・米軍改革の功罪

イラク三分割案とローマ法王発言

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 ・・戦争調査委員会の設置とイラン空爆の予兆



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文明の挑戦と応戦 前編・・オサマ・ビン・ラディンの戦略

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 ・・1981年「バビロン作戦」











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コメント

現実直視

イラン、シリアの協力を取り付けること、これがこの報告書の目玉でしょう。

返す刀で脱石油を進展させることも忘れてはなりません。アメリカが石油の大消費国から「金払いの良い優良顧客」になれば現在の反米勢力は存在感を一気に失います。石油という資源に余り拘泥しないアメリカはやはり唯一のスーパーパワーたる資格があります。

そのために、日本に頭を下げる準備をしておくことを党派に関係なく大統領やその候補者、そして国務省にお勧めします(^^;。

  • 2006/12/09(土) 18:17:16 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

脱石油とドル下落

> 脱石油を進展

そうですね。
ただ、それ以上のスピードでドルが下落し続け、
中東産油諸国がドル離れを始めています。

米国がドルで石油を買えなくなったら
彼らはどうするんでしょうか?
途方に暮れるんじゃないでしょうか(笑)?

まあ、それも見越しての脱石油かもしれませんが
日本はせっかくの原油高状態ですから
脱石油を急速に進めてほしいものです。

これが進めば、もはや中東情勢に
一喜一憂することはなくなりますし、
ロシアの高飛車な態度に泣かされることもありません。

  • 2006/12/12(火) 01:36:48 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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