短く斬れ

ニュース・短評・データ・資料を怒濤の如く。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このページのトップへ

イラン選挙:大統領派の惨敗と改革派の躍進・・中東情勢に変化をもたらすか?


  イランのアハマディネジャド大統領.jpg


皆様、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します m(__)m

さて、新年一発目はちょっと古いニュースで恐縮ですが、
10日ほど前に結果の出たイランの選挙についてです。


イラン、大統領派惨敗 国際的孤立、民意は穏健派へ 
 
 イランで15日に行われた統一地方選は
 21日までに集計が終わり、
 その結果、穏健保守派が圧勝、
 保守強硬派のアフマディネジャド大統領派の惨敗が明らかになった。
 イランの最高指導者を選出する「専門家会議」選挙でも
 強硬派は伸びなかった。
 核開発問題などでの強硬姿勢で、国際的孤立を深める一方の
 アフマディネジャド大統領に対する国民の不安が、
 色濃く反映された可能性が強いとみられている。
 
 内務省が21日に発表した、
 テヘラン市議会選(定数15)の最終結果では、
 2005年の大統領選でアフマディネジャド氏に敗れた、
 ガリバフ市長を支持する穏健保守派候補が8議席、
 03年の選挙で議席を失っていた改革派が4議席を獲得。
 アフマディネジャド大統領派はわずか2議席で、
 1人は独立系となった。
 テヘラン以外の地方でも強硬派の票は伸びず、
 穏健保守派と改革派が席巻。
 ロイター通信によると、前回の統一地方選で惨敗した改革派が
 40%程度の議席数を奪還したもようだ。

 一方、統一地方選と同じ日に行われた、
 専門家会議選(定数86)では、
 穏健保守派が60議席以上を獲得、
 改革派も現有議席の倍以上の15議席前後を確保したもようだ。
 とりわけテヘラン選挙区(定数16)では、
 穏健保守派のラフサンジャニ師(元大統領)が
 2位以下に大差をつけてトップ当選し、
 アフマディネジャド大統領に強い影響力を持つ
 保守強硬派のイスラム法学者、
 メフバフ・ヤズディ師は8位に留まった。

 テヘラン市議会選は
 次の国政選挙の行方を占うものとして注目されてきた。
 1999年には改革派が15議席を独占し、翌年の総選挙で圧勝。
 一方、03年の市議会選では保守強硬派が圧勝し、
 04年の総選挙での改革派惨敗と05年の大統領選での
 アフマディネジャド氏の勝利につながった。

 金権体質などで批判の多いラフサンジャニ師だが、
 保守派の中でも現実感覚は鋭く、
 今回の専門家会議選では
 穏健改革派の法学者グループとも連携を強めたとされる。
 地方議会選や専門家会議の結果が
 直ちに国政レベルの政策に反映するものではないものの、
 こうした流れから見ると、
 07年の総選挙と08年の大統領選に向けた民意は、
 保守、改革派を問わず、
 中道穏健勢力に向かっているとみることができそうだ。

   (産経新聞)


イランの政治形態というものは民主主義ではありますが、
「イスラム共和制」と呼ばれる独特の仕組みです。
まず、これを簡単に説明しておきます。

イランの政治指導者は
「最高指導者」と「大統領」の二本立てとなっています。

最高指導者は
「イラン・イスラーム共和国の
全般的政策・方針の決定と監督について責任を負う」とされ、
行政、司法、立法の三権の上に立ち、
軍の最高司令官でもあり、宣戦布告の権限を持っています。

任期は無く終身制で、
必ずしも一人の人物の必要が無く、
複数でもかまわないとされています。
現在の最高指導者は「アリー・ハーメネイー」の一人です。

この最高指導者を決めるのが
ニュース中にある「専門家会議」で
最高指導者の任命権と罷免権を持っています。

次に「大統領」ですが、
実際の行政は大統領が行います。
閣僚の指名権を持ち、
任期は4年で連続3選は禁止されています。

この最高指導者と大統領の二重体制は
西側諸国の政体と異なっており、
なかなか理解が難しいものです。

この政体は1979年のイラン革命後に創設され、
「法学者(ファギーフ)による統治」というイスラム的な概念と
「共和国」「議会」「大統領」「民主主義」などの
西欧的な政治概念の折衷構造となっています。

イランの憲法では
国民の主権が明確に謳われているものの、
同時に神の法とその代理人であるイスラム法学者に
絶大な権限を与えています。

そしてそれが最高指導者と大統領という二重体制につながり、
最高指導者はイスラム的概念と法学者の代表であり、
大統領は国民主権の声を代弁する形となっています。

この政治形態は
イラン革命の立役者であるホメイニが創造したものですが、
近代国家とイスラム法の折衷という意味で
苦心の後が見受けられますし、
後にこれがイランの政治混乱の要因となりました。

さて、今回の選挙では
「専門家会議」「統一地方選」及び、
欠員の国会議員(4議席)を選ぶもので
去年の12月15日に一斉に実施されました。

結果は冒頭のニュースにあるように
アフマディネジャド大統領の保守強硬派は
どこもかしこも惨敗で、
代わってラフサンジャニ元大統領らの保守穏健派や
ハタミ前大統領らの改革派が躍進しました。

アフマディネジャドは
2005年6月の大統領選挙で
貧困層を味方につけて勝利しましたが、
失業率が実質20%という経済状況から
国民各層から不満がわき起こっており、
今回の敗北となりました。

アフマディネジャドはご承知の通り、
核開発で欧米諸国と対立し、
「イスラエルを滅ぼせ」等の過激発言で有名な男ですが、
この外交路線に対しても国民からは
不安の声が上がり始めています。

イランはこのところの石油代金の高騰によって
かなり財政的には潤ってますが、
それでも経済状況が厳しく、
国民から現政権に不満が持たれていると言うことは、
よほどアフマディネジャドの行政手腕が未熟ということでしょう。

12月11日には
アフマディネジャドがイラン大学で講演中に
学生達が「独裁者に死を!」と叫び始め、
アフマディネジャドの面前で、彼の肖像画を燃やしました。
また演説中に爆竹が何度も鳴らされ、
「米国に対抗するのでなく、我々に何とかしてくれ」
という学生のシュプレヒコールが上がったそうです。

これに対してアフマディネジャドは
「この身が千回焼かれようが、
国家の理想から一歩たりとも引き下がらないことを
米国は知るべきだ」と言ったそうですが、
内心は穏やかではなかったでしょうね。

そして今回の選挙結果は
彼の支持基盤を揺るがしたことは間違いなく、
2008年の議会選挙と
2009年の大統領選挙を視野に入れて
なんらかの政策の変更が行われていくと思われます。

さて、この選挙結果は
アフマディネジャドと対立する欧米諸国では
諸手を挙げて歓迎されました。

ここでニューヨークタイムズの論調を紹介しておきましょう。


◇良識示したイランの有権者

 イランのアハマディネジャド大統領にとって
 この一カ月間は順調ではなかったが、
 それは虐げられたイラン人と外部世界にとって良いニュースだ。

 アハマディネジャド氏が問題を抱えていることは
 先週の地方議会と専門家会議の選挙で鮮明になった。
 アハマディネジャド氏の支持者は驚くほど惨敗した。
 選挙に勝ったのは体制派保守のラフサンジャニ元大統領派と
 ハタミ前大統領率いる改革派だった。

 イスラエルに対する、
 悪意ある敵対者であるアハマディネジャド氏は、
 彼の政権に蔓延する腐敗があまりに悪評を呼んでいるため
 政治生命も危うくなっている。
 ハタミ氏の支持者はより高潔だが、
 数十年にわたってイランを
 改革する機会をとらえることができずにいる。

 アハマディネジャド氏は、
 こうした関係を国際原子力機関(IAEA)と国連の無視、
 そしてホロコーストの否定という茶番によって
 意図的に破壊してきた。
 この茶番劇は有権者をかき集めることを狙ったものだったが、
 彼の支持者たちが選挙で敗北するのを救えなかった。

 先週、テヘランのエリート大学の一つで
 学生たちが注目すべき勇気を示し、
 アハマディネジャド氏を独裁者、ファシストと公然と非難し、
 彼の演説を中断させた。
 彼らの怒りは、教授や学生たちを
 あからさまに政治的理由で追放したことや、
 基本的自由に対する弾圧、
 それに経済政策の失敗と外交的挑発で
 彼らの将来が危機に瀕しているという懸念から
 かき立てられたものだった。

 確かにその恐れはあるし、
 その危険を認めるイラン人の発言を聞くのは心強い。
 ワシントンは経済制裁を推進して、
 アハマディネジャド氏にもそれを認めさせる必要がある。

   (ニューヨークタイムズ 2006/12/12)


まあ、こんな感じで大喜びしております(笑)

米国にとっては
イランは核開発以外にも懸念すべき国となっています。
それはドルからユーロへのシフトです。

去年の12月18日、
イラン政府のゴラムフセイン・エルハム報道官は
外貨準備をドルからユーロに変更すると共に
石油取引にもユーロを使用する旨、明らかにしました。
また将来の商業取引もユーロを使用して行くと表明しました。

現在、イランはユーロへのシフトを進めており、
ドルに全く依存しない態勢を目指しています。
これは短期的には
核開発に伴う米国からの経済制裁に対抗するためですが、
長期的には自国のユーロシフトが引き金となり
他国へ波及していくことで
米国の覇権の崩壊を狙ってるんでしょうね。

今、ドルはユーロに対して一方的に下がり続けており、
この傾向は止まりそうもありません。
おそらくブッシュ政権はこのイランの動きと合わせて
ドルの威信低下を憂慮しているものと思われます。






スポンサーサイト
このページのトップへ

コメント

ドルの威信低下

ユーロにシフトするのは良いのですが、EUがそれを望んでいるのかな?

コペルニクス的展開がEUに起こらなければ、どこで持て余すか・・・。

  • 2007/01/04(木) 19:28:03 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

受けるでしょう

> EUがそれを望んでいるのかな?

国によりますね。
フランスあたりは大いに望むでしょう。

もともとEUは欧州の復権のために作ったわけですから
流れとしてその方向にいけば
彼らは拒みはしないでしょう。

大国で覇権を嫌がるってのは日本ぐらいなもんでしょう。

  • 2007/01/05(金) 03:51:22 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

プロフィール

ケイ

Author:ケイ
憂国と好奇心の30代男

マイブログ・メルマガ

 待避禁止!

 宇宙開発ニュース β版

 メルマガ:古今東西の名言

サイトマップ

 過去記事一覧

 過去記事一覧(本店ブログ)

最近の記事

カテゴリー

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。