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中国の太平洋進出と豪州の反発


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「海洋基本法」成立へ 権益確保 民主も賛成

 25日召集予定の通常国会に
 自民党が提出する「海洋基本法案」に対し、
 民主党は賛成する方針を固めた。
 これにより、同法案は自民党、公明党の与党に加え、
 民主党の賛成多数で成立する見通しとなった。
 国の海洋政策の根幹にかかわる法律だけに、
 与党側は野党第1党の前向きな動きを歓迎。
 平成19年度予算成立後、早期の採決に向け、
 近く民主党と同法案の扱いについて、協議を開始する。
 
 同法案は、海洋政策を担当する省庁が、
 国土交通省や外務省、経済産業省、防衛庁など
 8つに分かれている現状を改め、
 海域を総合的に管理するのが目的だ。
 基本理念として
 (1)環境保全
 (2)持続可能な開発・利用
 (3)国際的協調
 -などの重要性を明記。
 その上で、海洋政策担当相の任命、
 首相を議長とする総合海洋政策会議の設置、
 海洋基本計画の策定などを盛り込む。

 海洋国家として、日本の権益を守る基本法の制定には、
 東シナ海の石油・ガス田開発を一方的に進める、
 中国を牽制する狙いがある。
 自民党が12月に固めた、法案の基礎となる海洋政策大綱案では、
 「隣接国による石油・ガス田開発や海洋調査、
 密輸・密入国、工作船の侵入、
 シーレーンの安全確保などの問題に適切な対応ができず、
 国益を損なっている」と指摘した。
 
   (iza!)


ようやく「海洋基本法」が成立しそうですね。

2004年あたりに中国による東シナ海の油田開発が問題となり、
それから2年の歳月を経て成立の見通しとなりました。
確かに国家の慶事ではありますが、
あれから2年間もかかったということが
この国の政治家の危機意識の欠如を物語っています。

さて、この法案成立への出発点となった、
中国による東シナ海の油田開発と
南シナ海への覇権拡大については
過去に本店ブログで詳細に取り上げたことがあります。

東シナ海ガス田問題 その1・・資源と国益

東シナ海ガス田問題 その2
 ・・南シナ海の実例:中国の覇権拡大

東シナ海ガス田問題 その3
 ・・南シナ海の実例:中国の戦略転換

今日は少し角度を変えて
太平洋の島嶼国家に対する中国の浸透と
豪州の反発について書きます。
例として俎上に載せるのは、
去年末にクーデターが起きたフィジーです。


フィジーで実権掌握、国軍司令官が暫定首相に

 昨年12月のクーデターで実権を掌握した、
 フィジーのバイニマラマ国軍司令官は5日、暫定首相に就任した。

 同氏は、国軍司令官としてもとどまる方針を表明、
 今後も国軍が政治の主導権を握り続ける考えを鮮明にした。

 司令官は4日、クーデターで失脚させたイロイロ前大統領に
 行政権を返還することで大統領職に復帰させている。
 同大統領がバイニマラマ司令官を暫定首相に任命した。

   (読売新聞)


フィジーのクーデターは
その背景にフィジー系住民とインド系住民の抗争など
様々なものがありますが、それは割愛します。

このクーデターという非民主的手段により
政権を握ったバイニマラマ国軍司令官は
自らが暫定首相に就任しましたが、
当然ながらこの動きに
「南太平洋の警察官」を自任する豪州は強く反発しています。

豪州は近年、軍事費増強や積極的な国際派兵により
南太平洋の盟主となりつつあります。

12月8日、ロイター通信は

  「豪政府は450億ドル(約5兆2300億円)規模の
  大型先端兵器購入を推進している」

と報じました。

実際に豪州は、米国産の次世代戦闘機、
「F-35」の100機導入を早々と決めており、
2012年までに空母2隻、
2014年までには巡航ミサイルの購入を計画しています。

豪州陸軍の兵力は5万名ですが、
そのうち3千名をイラクとアフガニスタンに駐屯させ、
南太平洋の島嶼国家の紛争には
積極的に兵を送り、軍事介入を行っています。

ニュージーランドを除く南太平洋十数カ国には、
豪州の軍事顧問団が派遣されており、
ハワード豪首相は「太平洋はオーストラリアの管轄区域」
とまで語っています。

実はこの豪州の覇権に対して
いくつかの太平洋の島嶼国家は反発を強めており、
その彼らが頼る先が中国というわけです。

フィジーのクーデターでは
豪州はニュージーランドと共に経済制裁を行ってますが、
その内容は、

◇2006-2007年度の援助金(6億ドル)の留保

◇軍や暫定政府の関係者の自国への入国を禁止

◇スポーツ選手の交流の停止

◇07年からの季節労働者の受け入れ禁止

などです。

援助金の留保はともかくとして
後の3つは付け足しに過ぎません。

豪州にとってこの制裁は
厳しいわけでもなく、甘すぎるわけでもなく
きわめて曖昧な内容となっています。
豪州のお家芸である兵力派遣も
このクーデターでは行ってません。

豪州がこの竜頭蛇尾のような措置を取った背景には
これ以上、フィジーの軍部政権を追いつめると
彼らが中国に傾斜しかねないという恐れがあるからです。

去年の4月、フィジーにおいて
「中国・南太平洋諸国経済協力フォーラム」が開催されました。
これは中国政府の主催によるもので
中国からは温家宝首相が訪れ、
フィジー、パプアニューギニア、クック諸島、ミクロネシア連邦、
ニウエ、サモア、バヌアツなどの島嶼国家との
首脳会議が2日間に渡って行われました。

会議では、中国から
これら諸国への債務の帳消しと
3億7400万ドルの援助協定が調印され、
開会式で挨拶に立った温家宝は、
中国の太平洋地域への関与は「外交的な便宜主義」ではなく、
「戦略的決定」であると述べました。

すでに太平洋島嶼国家では
約3千社の中国企業が活動しており、
ホテル、プランテーション、被服縫製工場、漁業、伐採事業に
中国から10億ドルを上回る投資が行なわれています。
さらにこの5年間に
中国と諸国間の貿易は3倍に増大しています。

当然ながら、これら諸国には
中国人が数多く進出し始めていますが、
現地では住民との摩擦も起きています。

ソロモン暴動で華僑など249人避難、大陸移送も

この中国の太平洋進出を一層複雑なものにしているのが
実は台湾との国交獲得競争です。

太平洋地域の国連加盟12カ国のうち
中国と国交がある国がフィジー、トンガなどの6カ国、
反対に台湾支持はソロモン諸島など6カ国です。

中国・台湾双方が
国家のメンツにかけて国交を獲得しようと
これらの諸国に多額の援助金をばらまいています。
そのうちの数割は現地政府の権力者の懐に入り、
これによる政治腐敗がこの地域での大きな問題となっています。

また、これらの島嶼国家は援助金を多くせしめようと
中国と台湾を天秤にかけることもしばしばです。

2003年7月、フィジーの北東に位置する島嶼国家キリバスが
突如、台湾との国交を宣言し、中国を慌てさせました。

何故、中国が慌てたかというと、
台湾との国交もさることながら、
キリバスには中国の人工衛星の観測基地が置かれていたからです。

中国の宇宙開発は軍事と一体であり、
この観測基地は自国の衛星のみならず、
日米などの宇宙開発やミサイル発射を監視する重要な拠点でした。

やむなく中国は観測基地を破棄し、
キリバスから撤退したわけですが、
当然、この裏では台湾から巨額の金が流れたことは間違いなく、
さらに、私はその背後では
米豪が糸を引いていたのではないかと思っています。

さて、この中国の太平洋進出と
それに伴う巨額の資金援助に豪州は神経を尖らせています。

豪州はこれらの太平洋諸国に対して
「民主主義」「人権」「政治腐敗の根絶」などを基準にして
援助と介入によるコントロールを行っており、
それに反発している諸国が
民主主義も人権も問わない中国に傾斜し、
多額の小切手外交にコロリと親中国家に転向しているわけです。

話しはフィジーに戻りますが、
クーデターを起こした軍事政権側は
12月7日の記者会見で

  「フィジーには、豪州などとは違った形の民主主義がある。
  内政に干渉しないでほしい」

と、豪州を非難すると共に、
中国・台湾・インドネシアに支援を求める考えを示しました。
これは豪州の対中警戒感をいっそう煽ったでしょうね。


今や南太平洋は
「警察官」を自任する豪州と勢力浸透を狙う中国との
陣取りゲームの海となっています。

この現実を多くの日本人はあまり知らずにいますが、
かつて日米が覇権を争って激突した南太平洋が
豪中の角逐の場となるとは
なんとも隔世の観がありますね。



参考資料リンク

フィジー 軍、全権掌握を宣言 太平洋地域、続く政情不安

温家宝首相、フィジーを初訪問、中共・台湾外交合戦の一環

中国の太平洋島嶼諸国への“援交”進出を懸念 東京でシンポ

軍事大国・豪州、アジア・オセアニアの「小盟主」に

NICHIGO PRESS:フィジーで軍事クーデター

やしの実大学:やしの実ニュース









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コメント

フィジィのクーデターに中国がからんでいたとは思いませんでした。日本のメディアはここまで報じてません。

シナのやることは世界中どこでも同じ。アフリカにおいても太平洋諸国に対すると同じ工作がくまなくなされ、紛争が絶えません。シナの悪事が白日の下にさらされ糾弾される日が遠からず訪れることを願ってやみます。

  • 2007/01/08(月) 01:03:01 |
  • URL |
  • ジャポネーズ #-
  • [編集]

アフリカと同じです

パターンはアフリカと全く同じですね。
援助金の大盤振る舞いと
「人権」や「民主主義」の無視。

まあ、このクーデター自体は
中国が糸を引いたりはしてないとは思いますが、
ただ、クーデターを行った軍部には
必ず豪州が制裁を仕掛けてくることは読めていただろうし、
その場合には中国に頼ればいいとの発想は
事前にあったと思います。

本来はここに日本も絡まなきゃおかしいんですよ。
これは2003年の統計ですが、
フィジーに対する援助金の額は
日本・豪州・ニュージーランドの順です。
日本は豪州の2倍援助しています。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/fiji/data.html

いい加減に、こういう金だけ出して
全く口は出さない外交はやめてほしいものです。

日米豪の連携なんて最近は言ってますけど、
本気でやりたければ
豪と連携して中国の覇権拡大にストップをかけるぐらいの
器量を見せてほしいものです。

あと、本文中には書きませんでしたが、
最近、豪州では中国のスパイが増大しており、
防諜組織の再編に乗り出しています。

http://www.cnn.co.jp/world/CNN200612280030.html

最初にこのニュースを見た時は

 何故、豪州で中国のスパイが増えてるのか?

と思ってましたが、
中国の太平洋諸国への浸透の資料を読んで
その意図がよく分かりました。

  • 2007/01/08(月) 01:23:26 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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