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ロシアの資源外交と立国の礎


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ロシアも関税引き下げ譲歩 ベラルーシと石油輸出で合意

 ロシアからベラルーシを経由して
 欧州に向かう石油パイプラインの送油が
 一時止まった問題に関連して、
 ロシアのフラトコフ首相は12日夜、
 ベラルーシのシドルスキー首相との会談後、
 ベラルーシがロシアから購入する石油に課す輸出関税を
 引き下げることで合意したと明らかにした。

 ベラルーシ側がロシアの抗議を受けて
 1月から導入した石油通過税を廃止したのを受けて、
 ロシア側も一定の譲歩を示した形で、
 エネルギー価格をめぐる両国の対立はひとまず収束に向かった。

 ベラルーシはロシアから輸出税なしで原油を購入してきたが、
 ロシアは今月からベラルーシ向けにも輸出税を課すと通告。
 今回合意した方式による試算では、
 ロシアがベラルーシに課す今年の輸出関税は
 1トンあたり53ドルで、09年まで段階的に引き上げるという。
 ロシアは当初、1トンあたり180ドルの
 輸出関税を導入するとして、
 天然ガス価格の値上げと合わせてベラルーシの反発を招いていた。

   (asahi.com)


ロシアVSベラルーシのエネルギーバトルは
一応、決着がつきました。

ロシアもそれなりに譲歩したようですが
なんだかんだ言いつつ
ベラルーシがロシアの値上げを飲まされたわけで
ベラルーシ側の屈伏で幕を閉じました。

このニュースは日本のマスコミは適当に流した程度ですが、
とばっちりを喰らった形の欧州では大騒ぎとなりました。

まず、英仏の論調を2つ載せておきます。


◇プーチン氏の脅しを放置するな

 ドイツのメルケル首相は昨日、
 プーチン・ロシア大統領の
 エネルギー供給をめぐるいじめ姿勢について、
 さわやかなほど非外交的な反応を示した。
 首相は、ロシアが、ベラルーシおよび欧州連合(EU)諸国への
 石油輸出をいとも簡単に停止したことは
 「受け入れられない」と述べた。
 首相は、このような行動が「信頼を破壊した」とも述べたが、
 メルケル首相が他の西側諸国の首脳よりも
 クレムリンと近い関係にあることを考えると、
 これはかなりの重みを持たせた発言である。

 プーチン大統領が欧州へのエンルギー供給を遮断したのは、
 この一年間で二回目である。
 前回はウクライナ経由のルートだった。
 ルカシェンコ大統領の全体主義的な政権下のベラルーシは
 国際社会からはつまはじき状態にあり、
 西側諸国はこの価格をめぐる対立に
 巻き込まれないよう距離を置いている。

 しかし遅かれ早かれ、西側諸国は、
 プーチン氏のエネルギーを使った脅迫に
 反対する立場をとらざるを得なくなるだろう。
 ロシアは世界最大の天然ガス埋蔵量と、
 かなりの石油資源を持っており、いくらでも腕力を行使できる。
 英国の情報機関は、世界の秩序を維持するに当たって、
 エネルギー供給の安全を保障するのは、
 アルカイダの脅威に対処するのと同じレベルの
 課題だと見なしている。

 従って、強硬な政治的反応を必要としており、
 現在のEU議長国、主要国(G8)議長国として
 メルケル首相が主導すべきである。
 G8はプーチン大統領に対して、
 主要国の一員として同じテーブルに座りたいならば、
 G8のルールに従って行動すべきであり、
 さもなければG8の資格を剥奪されるリスクを
 冒すことになると伝えるべきである。
 またプーチン氏には、ロシアのエネルギー採掘は、
 西側の専門技術にひどく依存しており、
 その技術撤収の可能性があることもしっかりと思い出させるべきだ。

   (英デーリー・テレグラフ紙 2006/01/11)


◇エネルギーで恐喝するロシア

 ガスの次は石油。
 天然ガス価格をめぐるベラルーシとの口論が収まって
 何日もたたない一月七日、
 ロシアはポーランド、ドイツ向けに
 ベラルーシを経由する原油の供給を止めた。

 エネルギーを武器とするロシアの力の政策は当初、
 クレムリンへの従属を拒む旧ソ連諸共和国に向けられていた。
 ロシア・ベラルーシ間のいさかいはこの点、予想外だ。

 両国は一体化することを考えていたし、
 プーチン・ロシア大統領は
 ルカシェンコ・ベラルーシ大統領の最後の頼りでもあった。
 だが、目的を達成しようとするクレムリンには、
 「友情」も勘定に入らない。

 ウクライナ、モルドバ、アルメニア、グルジアと同様、
 ベラルーシも恐喝の対象となる。
 追従するか、言い値で支払うか、震え上がるか……。

 当面の効果と長期的な影響とで、
 エネルギー戦争のこの新たな展開は
 ロシア・ベラルーシ二国間関係の域を超える。
 欧州連合(EU)はその前面に立たされる。

 EU諸国が消費するガスの四分の一、
 石油の三分の一はロシアから供給されている。
 ロシアは西側との契約を一貫して守ってきたと主張する。

 確かに旧ソ連時代・冷戦当時を含めて、その通りだった。
 しかし、しばらく前から、
 西側に向けて直接ではなくとも、警告射撃には事欠かない。

 EU諸国はこうして、
 ロシア巨大エネルギー企業の野心に盾突くことが、
 どれほど高くつくかを思い知らされることになる。
 これら企業は政治権力の発露である。
 政治権力が企業側の発露でないとすればの話だが。

 EU諸国が従来通り、ばらばらの形で対応し続けるなら、
 やがてはロシアの要求に屈する以外、選択肢はなくなるだろう。

 EU共通のエネルギー政策、
 より広くは域内全体で協調した対ロシア政策が、
 これまでにも増して一層緊急に必要とされる。

   (仏ルモンド紙 2006/01/10)


どちらも「ロシアに警戒せよ」の論調で一致しています。
まあ、そうならざるを得ないでしょうね。


さて、原油高のおかげで
世界の石油や天然ガス産出国の羽振りがいいですね。
このロシアも、世界を騒然とさせているイランも、
そして南米の暴れん坊チャベス氏のベネズエラも。
しかし、彼らの天下はそう長くは続かないでしょう。

かつて1973年に石油ショックが発生し、
それまで超安値だった石油の価格が一挙に高騰しました。
この時、OPECなどの産油国は我が世の春を謳歌し、
逆に日本などの西側先進国は顔面蒼白となりました。

しかし、日本と先進国は
この窮地を省エネルギー技術の開発で乗り切りました。
あのサミット(先進国首脳会議)も
この石油ショックの危機感から始まったものです。

今回の石油高騰は
中国・インドの経済発展による需要増と
イラクの混乱などによって生じたものですが、
おそらくここ数年は
この傾向は続くのではないかと思います。

同時にそれは資源エネルギー産出国の天下が
しばらく続くことを意味してるわけですが、
日本と先進国はあの石油ショックで
省エネと原子力などの代替エネルギーの技術を促進させたように
今回は次世代エネルギーの開発が
そうとう急ピッチで進むと思われます。

高い需要が生じれば
それ相応の代替技術が開発されるのは自由主義諸国の常であり、
おそらく産油国の天下は10年も続かないでしょうね。

地下の資源を掘るしか能の無い連中は
資源の価格の変動に一喜一憂せざるをえませんが、
高い技術を追い求め、絶えず切磋琢磨して工夫を怠らない国は
なんだかんだ言いつつ、長い目で見たら勝利するものです。

世界史を眺めてみると
資源に恵まれなくとも技術や産業で
歴史上に輝きを残した国はいくらでもありますが、
その逆はありません。

資源をかさに他国を恐喝し、
国家間の約束事や契約を弊履の如く破り捨てるロシアですが、
資源以外にまともな技術や工業製品があるでしょうか?
せいぜい中国相手に好評を博している、
2流の武器ぐらいなものでしょう。

プーチンの高笑いもあと10年がせいぜいでしょう。
ロシアはいつまでも天然資源に頼るべきではありません。
資源外交と国際的恐喝に血道をあげる前に
そろそろ何をもって国の礎となすかを
真剣に考えるべきでしょう。

資源は掘ればやがて尽きる時がきます。
このようなものに国家の未来を託せば、
石油の暴落は国家の暴落につながります。

「ソ連邦崩壊後の新生ロシアは
人類史に何か誇れるようなものを生み出したか?」
そう問われて自国を振り返った時に
石油と天然ガスと2流の武器と暗殺団、
それ以外に何も無いことに気づくべきでしょうね。



関連過去記事

ロシアVSベラルーシ:欧州向け送油の停止
 ・・プーチンのエネルギー帝国主義

ロシア強硬策「サハリン2」事業停止へ
 ・・「生産分与契約」と国家の信義

ロシアの復活とプーチン様の2つの難問・・工業化と人口問題







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コメント

ロシアのエネルギー外交は本当に成功したのかなぁ??

 中国でのありとあらゆる資源の需要が伸びているといいますが、ほとんどはロクに加工もせずに転売しているようで、石油も同じ状況だそうです。だから中東は減産しないと在庫を抱えるかもしれないという状況・・マスコミは何を報道しているんだよ・・と朝からため息です。
 アメリカでは原発ラッシュが始まりますから、人口が減少し巨大な国境と未整備の社会資本ばかりのロシアの将来は、明るくないでしょうね。市場原理に慣れてないので農業までガタガタですし・・日本はシアワセですよ・・

  • 2007/01/17(水) 09:14:44 |
  • URL |
  • SAKAKI #a4IsQ2vY
  • [編集]

高値安定の主役

とても悔しいんですが(^^;、クローズアップ現代で商品先物をポートフォリオに組み入れた厚生年金基金のことが紹介されていました。

オイル関連のデリバティブは非常に多様化していますが、先物でロングポジションをやられると需要がないのに高くなるという憂慮すべき事態に陥ります。

投機マネーという鬼っ子が資源大国にどう作用するか、他人事ではないだけに注目しています。

  • 2007/01/18(木) 18:38:24 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

なるほど・・。

> SAKAKI殿

> ほとんどはロクに加工もせずに転売しているようで、
> 石油も同じ状況だそうです。

ええっ、そうなんですか。
つまり中国は
「取りあえず資源を押さえておけ」って感じなんですかね。

> だから中東は減産しないと在庫を抱えるかもしれないという状況

OPECでの減産発言は
高値つり上げの政治的な発言かと思ってましたが、
意外に純経済的な発言だったんですね。


> クマのプータロー殿

> 投機マネーという鬼っ子が資源大国にどう作用するか、
> 他人事ではないだけに注目しています。

この分野は私は疎いので逆に教えてほしいぐらいですが、
世界的に金余りだそうで、
投機資金の行方にも要注目ですね。

  • 2007/01/19(金) 03:26:31 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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