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中国の宇宙開発と軍事利用 その1・・衛星攻撃兵器(ASAT)


       長征2号丙.jpg


中国、衛星破壊実験に成功 弾道ミサイル使用

 中国が高度約850キロの宇宙空間で、
 弾道ミサイルに搭載した弾頭で
 老朽化した自国の人工衛星を破壊する実験に成功し、
 米情報当局が詳細を確認中だと米航空専門誌が18日伝えた。
 スノー大統領報道官は同日の記者会見で、
 中国に既に懸念を伝えたと述べ、実験情報を事実上確認した。

 中国による衛星破壊実験が表面化したのは初めて。
 実験の成功が事実なら、
 有人宇宙飛行に成功するなど「宇宙大国」化を目指す中国が、
 米国などの軍事衛星に対する直接攻撃能力を獲得したことを意味し、
 宇宙空間をめぐる米中間の緊張が新局面に入ることは避けられない。

 米政府当局者によると、
 米国のほかオーストラリア、カナダも中国に懸念を伝え、
 日本、英国、韓国も懸念伝達を準備している。
 国際社会の警戒感が一気に高まるのは必至だ。

 同専門誌エビエーション・ウィーク・アンド・
 スペース・テクノロジー(電子版)によると、
 実験は米東部時間の今月11日午後5時28分
 (日本時間同12日午前7時28分)に行われた。
 中国の衛星発射センターがある四川省西昌の上空付近の宇宙空間で、
 弾道ミサイルを直撃し破壊する「キネティック弾頭」により、
 1999年に打ち上げた気象衛星「風雲1号C」を破壊した。

 同誌は、残骸が「宇宙のごみ」として、
 他の衛星などに悪影響を及ぼす可能性も指摘。
 CNNテレビは、今回の実験前、
 中国が計3回の失敗を繰り返していたと伝えた。

 米国は85年を最後に
 衛星を標的にした同種の実験を実施していない。

   (iza!)


こういうニュースが飛び込んできたので
ちょうどいい機会ですから
中国の宇宙開発とその軍事利用について
何回かに分けて書いておきます。


米国防省は毎年議会あてに
「中国の軍事力」と題した報告書を提出しています。

1998年に提出された報告書には
すでに中国の「宇宙の軍事化」に対する警鐘が鳴らされています。

  中国は国際的威信を高めるために宇宙開発を進めており、
  少なくとも十年後には有人宇宙飛行を成功させるであろう。
  この有人宇宙飛行計画は2010年から20年にかけて
  軍事目的の宇宙開発へと発展することになるだろう。

  中国はすでに
  十分な外部からの技術支援で衛星追跡能力を備えており、
  (軍事スパイ用の)低軌道衛星を追跡できる、
  高性能レーダーを開発しているとみられる。
  近い将来には軍事衛星を破壊できる兵器開発に成功するだろう。

2003年版では、

  中国指導部は恐らく、
  ASATシステム(対衛星兵器)及び
  全体的な対宇宙攻撃システムや宇宙配備のミサイル防衛が
  今後避けることはできないとみている。

  中国は長年、独自の宇宙ステーションや
  再利用可能な宇宙船の開発計画を進めてきた。
  有人宇宙飛行を試みる最大の動機は政治的な威信確立だろうが、
  2010~20年の時期には、軍事宇宙システムの改善に
  役立つのはほぼ間違いない。

そして2005年版には、

  2004年中に中国は10個の人工衛星を打ち上げた。
  2010年までには計100個以上の衛星を
  軌道に乗せようとしている。

  中国は地上配備のASAT兵器開発に向けた研究を行っている。
  国防情報局(DIA)は、
  中国が最終的に人工衛星に損害を与えるか、
  破壊し得るレーザー兵器を開発するかもしれないとみている。

と書かれています。

とまあ、この報告書を見ていると、
冒頭のニュースなどは
「ついに来るべきものがきたか!」ってな感じですね。

実は、昨年の9月にも似たようなニュースが流れました。


中国、米偵察衛星にレーザー照射 米紙が報道

 米軍事専門紙ディフェンス・ニュースによると、
 地球を回る軌道上にある米国の軍事偵察衛星が、
 中国領内に設置された対衛星兵器によるレーザー照射を受けた。
 照射は光学機器など衛星の「目」を狙って
 偵察能力を奪うことを目的としたもので、
 これまで数年にわたり複数回の照射が確認されたという。
 複数の消息筋の話として伝えた。
 照射による衛星への実害や、
 実際の運用に影響があったのかは明らかでない。

 この兵器は高密度レーザーを
 軌道上の衛星に向けて照射するものだが、
 中国の開発レベルでは当面、衛星の破壊よりも
 偵察活動を妨害する「目つぶし」を狙っているもようだ。
 
 米国防当局は、最近の国防報告で、
 偵察衛星の破壊や妨害を狙う、
 中国の対衛星兵器の開発に警鐘を鳴らしてきた。
 米の偵察衛星には、精密な光学機器を使って
 高い解像度を誇る「キーホール」や、
 天候に左右されないレーダー装置を搭載した、
 「ラクロス」などがあり、
 中国側のレーザー照射はこうした衛星を狙ったものとみられる。

   (iza!)


この時はレーザー照射による目つぶし攻撃程度でしたが、
今回はもろに弾頭ミサイルで衛星を破壊したわけです。


中国は湾岸戦争とイラク戦争などから
米軍の長所と短所をよく学んでいます。

米軍がRMA(情報軍事革命)技術により、
急速にレベルアップしている反面、
そのRMAを支えるIT技術や
衛星測位システム(GPS)に依存を深めており、
ここが弱点となっていることをよく知悉しています。

兵士との通信、敵の追跡、スマート爆弾の誘導などで、
米軍の衛星依存は年を追うごとに高まっており、
中国がここに目をつけたのは当然でしょう。

元来、人工衛星とは脆くデリケートなもので、
電磁波放射やスペースデブリ(宇宙ごみ)などに対して極めて脆弱です

中国が対衛星攻撃兵器(ASAT)の開発に熱心なのも
この米軍のアキレス腱の部分を斬ってやろうという試みで、
米国にとっては脅威そのものです。

現在、宇宙空間に飛んでいる人工衛星は
数から言えば米国のものが圧倒的であり、
また米軍の戦闘手法がGPSなどに依存している以上、
同じ衛星攻撃でも、米国が中国に対して仕掛けるのと、
中国が米国に対して仕掛けるのでは
ダメージの度合いが違うわけです。

また、衛星攻撃の副次効果として
衛星の破片が散乱してスペースデブリ(宇宙ごみ)となります。
これが他の人工衛星にとって故障の原因となりかねず、
それで今回の中国の行動が非難されているわけですが、
人工衛星大国である米国としては座視できないでしょう。

もともと、この種のASATの開発は
冷戦期の米国とソ連が先行していました。

米国では、地上から打ち上げたミサイルで
人工衛星を破壊したり、
空軍の戦闘機に衛星攻撃用のミサイルを搭載させ、
高々度で発射する技術が開発されました。
また、レーガン政権時のスターウォーズ計画などが有名です。

旧ソ連では「キラー衛星」という名の特殊衛星が開発され、
これは衛星に衛星を体当たりさせて破壊するというものでした。

しかし、冷戦終結後、ソ連邦は崩壊し、
米国も自国の衛星だらけの宇宙空間では
ASATなどを作っても金の無駄であると、
議会の反対によって予算が大幅にカットされてしまいました。

しかし、今回の中国の衛星破壊実験。
これは米国を慄然とさせたでしょうね。
とうとう来るべきものが来たか、と。



関連資料リンク

「宇宙兵器」開発プロジェクトを進める米国防総省

「宇宙戦争」米軍の脅威に 中国、衛星攻撃能力を誇示か


関連過去記事

日本の宇宙開発・・中国との相違とその問題点






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コメント

目には目を

依存度を高めているポイントがアキレス腱であるという認識は、依存度を高めている当事者にはなかなか解りづらいものです。先進工業諸国のレアメタルしかり、アメリカ軍の人工衛星しかりです。

石油に関しては、ある意味ではアメリカも中国も利害が一致しています。

日本は、アメリカと共同で地上を攻撃する衛星の実用化を急ぐべきです。これが出来るのは今のところ両国のコラボレーションからしかできません。

宇宙の軍事バランスは、アメリカのスーパーパワーである「マネー」にも悪影響を及ぼします。中共が、アメリカのように振る舞う世の中は控えめに見ても腐ったイカスミのように暗くて臭いです。

  • 2007/01/20(土) 21:32:19 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

対策として、スペースデブリを取り除く掃除機のような兵器や衛星破壊レーザー迎撃レーザーを開発する。

アメリカは本気でシナを懲罰すべきである。このままでは核実験を行った北同様、やったもの勝ちの既成事実化になる。

アフリカ問題、バチカンとの確執、国内暴動、環境問題を抱えたシナの動きから目が離せない。

北京オリンピック開催できるのか?

  • 2007/01/21(日) 22:50:57 |
  • URL |
  • ジャポネーズ #-
  • [編集]

戦場の宇宙への拡大

> クマのプータロー殿

> 依存度を高めているポイントがアキレス腱であるという認識は

衛星破壊は米軍のアキレス腱ですね。
たぶん、予想していたこととは言え、
米国の軍関係者はゾッとしたと思いますよ。
GPS衛星と偵察衛星を潰されたら
米軍の戦力は大幅にダウンするでしょう。

偵察機なり偵察衛星なりが
高空を飛んで情報収集するさまは
敵軍にとっては頭の痛い問題ですからね。

北朝鮮やイランの核開発部門の連中は
何度となく空を見上げては
腹立たしい思いをしてるでしょう。


> ジャポネーズ殿

今の衛星攻撃の技術というものは
これから来るであろう本格的な宇宙時代からすれば
実に原始的なものでしょう。

飛行機で言えば第一次大戦の頃のように
複葉のプロペラ機がすれ違いざま拳銃で撃ったり、
レンガを投げつけたりの段階だと思います。
これからもっともっと進歩するでしょうね。

また、飛行機同様に
「制宙権」を握るものが覇権を制する時代が来るでしょう。
まあ、ここらへんは「その3」で書くつもりなので
あまりネタバレにしたくありませんので・・ (^^;)

  • 2007/01/22(月) 00:58:43 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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