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中国の宇宙開発と軍事利用 その3・・ガリレオと北斗


   ガリレオ計画.jpg


中国による人工衛星破壊実験の波紋が
世界的に広がりつつありますね。
特に米国の衝撃はハンパじゃないようです。

さて、前回と前々回の続きです。

中国の宇宙開発と軍事利用 その1・・衛星攻撃兵器(ASAT)

中国の宇宙開発と軍事利用 その2・・人民解放軍総装備部


宇宙に巨大な「破片の雲」・中国の衛星破壊実験で衝突の恐れ

 中国の弾道ミサイルによる人工衛星破壊実験を受けて、
 米政府当局者らは22日、宇宙空間に破壊された、
 衛星の破片によるスペースデブリ(宇宙ごみ)が
 大規模な「雲」を形成しており、
 各国の衛星のほか、国際宇宙ステーションにも
 衝突する恐れがあると警告した。

 また、専門家はデブリが高度約400キロから約3000キロの
 広い宇宙空間にわたり観測され、
 この軌道上にある120個以上の衛星が危険にさらされていると強調。
 軍事衛星のほか、民間衛星へ衝突すれば日常生活に影響が出かねず、
 国際的にも懸念が広がっている。

 ロイター通信によると、米国防総省関係者は
 「今回の実験が国際宇宙ステーションも含めて
 (衛星とデブリによる)衝突の危険性を
 高めたことは間違いない」と批判した。
 同ステーションは日本などが参加し
 高度約400キロの軌道上に建設中。

   (NIKKEI NET)


今回の衛星破壊実験のニュースを見ていて驚いたのは
破壊当事者の中国はともかくとして
米国がこの実験の一部始終を詳細に掴んでいることです。

 中国は1月12日、
 四川省の西昌宇宙センターからミサイルを発射し、
 1999年に打ち上げられ
 地上約850キロから870キロの宇宙空間にあった、
 中国の気象衛星「風雲1号C」(FY-1C)に衝突させ破壊した。
 「風雲1号C」は実験直後、
 遭難信号を発すると共に米空軍のレーダーから消え、
 破片が散らばる様子が確認された。

この実験の進行状況をハッキリと掴んでいるわけですが、
こういう芸当が出来るのは世界でも米国だけでしょう。

欧州・ロシア・中国などでは
他国の宇宙空間での衛星実験の一部始終を
ここまで詳細に掴めるとは思えず、
ましてや日本などは到底無理です。

逆にいうならば
衛星破壊実験などで中国が意図しているのは、
この米国による宇宙空間からの監視体制の打破ですね。
これを狙ってるわけです。

天空の高みから他国の施設や軍事行為を監視し、
その位置と状況をハッキリを掴む。
これは軍事的には相当の利点であり、
敵対国にとっては脅威そのものでしょう。

中国は衛星破壊実験で
この「米国の眼」を潰すことを意図しましたが、
同時に中国は自らの「宇宙の眼」を着々と構築しつつあります。


2005年12月28日、
カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から
1基のロケットが打ち上げられました。
このロケットにはESA(欧州宇宙機関)の
「GIOVE-A」という人工衛星が搭載されていました。

この「GIOVE-A」は
EUが米国の妨害を押し切って始めた、
「ガリレオ計画」の最初の試験衛星でした。

「ガリレオ計画」とは
米国の「GPS」に対抗して
欧州が独自に進める衛星測位システムです。

今やカーナビや携帯電話の位置測位などで
日常生活にとけ込んでいる衛星測位システム「GPS」ですが、
これは国際的なものでもなんでもなく
実は米国防省が運用しているシステムです。

当初は米軍の軍事目的のみに使っていましたが、
徐々に民間にも測位情報を開放していき、
クリントン政権時に現在の10メートル精度のレベルまで
情報を全面公開しました。

欧州各国はこの衛星測位システムの重要性を認識しており、
このシステムを米国一国が握ることを憂慮し、
2003年、独自の衛星測位システム、
「ガリレオ計画」を推進することで合意しました。

「ガリレオ」は
宇宙空間に合計30機の測位衛星を打ち上げ、
GPSをしのぐ精度の測位情報を地上に送るシステムで
2008年までに4基の衛星を打ち上げ、
試験運用を実施する予定です。

2004年、
この「ガリレオ計画」に中国が参画しました。

ガリレオ計画にかかる総費用は34億ユーロ。
そのうちEUが32億ユーロ、中国が2億ユーロを負担。
中国は研究段階から、技術開発・地上設備・ユーザーサービスなど
すべてのプロセスに参画することで合意しました。

米一極支配に対抗するガリレオ計画に
中国が参加したことの衝撃は大きく、
その後、イスラエル・ウクライナ・インド、
モロッコ・サウジアラビア・韓国が
この計画に参入しました。

また、中国はガリレオ計画とは別個に
独自の衛星測位システムを開発しており、
「北斗衛星システム」と呼ばれています。

測位精度はGPSと同等の10メートル。
2000年より試験衛星を打ち上げ、
2008年には中国及び周辺地区での利用を可能にし、
最終的には35基の測位衛星を軌道に乗せ、
対象エリアを全世界に拡大する予定です。

何故、中国は
ガリレオと北斗の両システムを並行して進めるのか、
その意図はいまいち計りかねます。

現在、このような世界的な衛星測位システムは
完備しているのは米国のGPS(Global Positioning System)のみで
それを欧州のガリレオ(GNSS)、ロシアのGLONASS、
そして中国の北斗が追いかけている状態です。

我が日本はどうかというと
一時期、「準天頂衛星」という測位システムを計画し、
衛星3機の打ち上げを構想したこともありましたが、
結局、計画段階で止まったままです。

もっとも、この「準天頂衛星」システムは
独自の測位システムというよりはGPSを補完するもので、
日本列島のみが対象です。
まあ、財政難のおりとは言え、
欧州・ロシア・中国と比較すると何とも寂しい限りですね。

実は日本も欧州から
ガリレオ計画への参加を求められていたのですが、

「ガリレオ」計画売り込みへ EU、東京で説明会を計画

日本に参加要請へ:EUのGPS「ガリレオ」計画

対米配慮か財政の問題なのか、
結局、蹴ってしまった経緯があります。


中国は米国に次ぐ宇宙大国を目指しており、
この趨勢がこのまま続けば
地上での先進各国、米国・欧州・日本の序列などは
いずれ宇宙では意味をなさなくなるでしょう。

まさに着々という感じで
宇宙開発を推進している中国。

日本も早くこの現実に目覚めてほしいものです。


   <続く>



関連資料リンク

ガリレオという名のスペース・パワー

ガリレオ計画、最終局面に入る

中国:EU「ガリレオ計画」に参入、米GPSに対抗

中国独自のGPS実用化、全世界に測位衛星35基へ


関連過去記事

中国の宇宙開発と軍事利用 その2・・人民解放軍総装備部

中国の宇宙開発と軍事利用 その1・・衛星攻撃兵器(ASAT)

日本の宇宙開発・・中国との相違とその問題点








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コメント

初コメ失礼します。
ガリレオと北斗を同時進行する理由ですが、
ガリレオを共同開発して得た技術を北斗に転用しようとしている
と言うコトではないでしょうか??

自前で全部作るより、一部ガリレオに乗っかった方がコストが低いとか…

自分の想像ですが(汗

  • 2007/01/25(木) 00:23:14 |
  • URL |
  • たす #-
  • [編集]

併用の理由

> ガリレオを共同開発して得た技術を北斗に転用

技術習得のためというわけですね。
おそらく、おっしゃってる理由が一番確率が高いと思います。

あと、この併用は技術的な理由もそうですが、
政略的な部分もあるでしょうね。
「ガリレオ」は米一極支配への抵抗の象徴となってる部分があるので、
その意味でも中国は一部資金負担の共同参画を決めたのかもしれません。
あれで宇宙開発においてEUと急接近できるわけですから。

  • 2007/01/25(木) 00:57:46 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

武器禁輸要請への意趣返し

日米のEUに対する対中武器禁輸要請に対しての、中共の解答とも受け取れます。禁輸要請が「通常兵器」に対するものだとすれば、こんなやり方もあるという非常に大人の対応です。

  • 2007/01/25(木) 06:12:18 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

MDへの対抗

それにプラスして
米国のMD構想に対する対抗心でしょうね。

MDが、人工衛星を使って
弾道ミサイルの早期警戒と情報収集を行い、
ミサイルを迎撃しようと言うならば、
じゃあ逆に、その人工衛星を落としちゃえば
MDは機能しなくなるという発想です。
実に的確で、実に困りものです。

米軍の衛星情報に依存している日本の防衛力には
そうとうの脅威です。

  • 2007/01/28(日) 01:50:19 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
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