短く斬れ

ニュース・短評・データ・資料を怒濤の如く。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このページのトップへ

日米同盟とアーミテージ報告書 その1・・ジャパン・ハンド


       アーミテージ前米国務副長官.jpg


日米同盟「深化の段階」 アーミテージ「予言」第2弾

 現代にも「予言」書と呼ぶことができる文書があるようだ。
 日本が今後、歩むことになる道を示す文書だ。

 リチャード・アーミテージ元米国務副長官ら、
 超党派の外交・安全保障専門家グループは16日、
 ワシントンで記者会見し、
 「日米同盟-2020年を見据え、アジアを正しく導く」
 と題した報告書を発表した。

 2000年10月のいわゆる「アーミテージ・ナイ報告」の続編だ。
 7年前の報告書は
 「日米同盟のモデルは米英同盟であるべきだ」として
 日米同盟の強化を提言した。

 「アーミテージ・ナイ報告」が注目されるのは、
 その提言内容が、実際の米国の対アジア政策に反映されるからだ。
 前回の報告書は、ブッシュ政権の対日政策の「青写真」となった。

 第2弾となる今回の報告書の執筆者には前回同様、
 米国を代表する日本研究者らが名を連ねている。
 共和党側からアーミテージ氏や
 マイケル・グリーン前国家安全保障会議アジア上級部長らが、
 民主党系では、クリントン政権で国防次官補を務めた、
 ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授らが参加した。

 ブッシュ政権が残り任期2年となる中、
 超党派の日本専門家らによって策定された報告書は、
 再び次期米政権の対日政策に反映される可能性が高い。

   (iza!)


アーミテージ報告書の第二弾が発表されました。
数回に渡ってこの提言について
春原剛氏の「ジャパン・ハンド(文春文庫)」という本を参考にしながら、
書いてみたいと思います。

まず、何故、この報告書がかくも重要視されるのか?
今日はこれについて書きましょう。

執筆の中心メンバーの4人、
リチャード・アーミテージ、マイケル・グリーン、
ジョセフ・ナイ、カート・キャンベル、
彼らは現政権の高官などではなく、今は在野の人物にすぎません。

しかしながら、新聞各紙が
この報告書についてこぞって報道し、
マスコミ以上に日米の政官界がこの報告書に注目するのは、
執筆メンバーが米政界における「ジャパン・ハンド」の大物だからです。

ジャパン・ハンド。
知日派とでも訳すべきでしょうか。
米国の対日政策を手中におさめる人物とでもいうべきでしょうか。

アーミテージとグリーンは共和党、
ナイとキャンベルは民主党ですが、
彼らは属する党派こそ違えど、それぞれに密接な関係にあり、
細かな差異こそあれど、その政策の根本は共通しています。

現在、米国の対アジア外交は党派の壁が急速に薄れつつあり、
民主・共和両党の政策に大きな違いがなくなっています。
アジア政策の超党派化です。

この4人を代表とするジャパン・ハンドの面々は
米国の対日政策に対して大きな影響力を持ち、
ある者は時の政権の高官となって政策を左右し、
ある者は在野のシンクタンクの属して活発な提言を行い、
また、それぞれが党派の壁を越えて
研究会などで意見の交換を行っています。

よって、この人物達の報告書は大きな注目を集めるわけです。
前回の2000年に提出された第一弾のアーミテージ報告書も
この7年間を振り返ってみるならば
日米両国の政策に大きな影響を与えています。


さて、個々の人物について解説しておきます。

まず、中心人物のリチャード・アーミテージ。
第一期ブッシュ政権の国務副長官です。
日本の報道番組のインタービューなどでもよく登場しますね。

第一期ブッシュ政権において米国務省のアジア外交を統括し、
パウエル国務長官の片腕的存在でした。
自他共に認める日米同盟の守護神的存在。
小泉=ブッシュの日米蜜月時代の立役者です。

アナポリス海軍兵学校を卒業後、
ベトナム戦争に従軍し、数々の武勇伝を残しています。
海軍特殊部隊(SEALS)の隊員だったという噂もありましたが、
後に米国務省のサイトで否定しています。

退役後は、後に大統領候補となったボブ・ドールの秘書を経て、
1981年にレーガン政権の国防次官補代理、
1983年からは国防次官補を務めました。

米共和党知日派の重鎮であり、
彼の徒党は俗に「アーミテージ・スクール」と呼ばれています。

在野の人となった現在も彼の影響力は大きく、
その人脈を駆使して日米関係に影響を与えています。

次に、マイケル・グリーン。
この人の経歴はかなり異色です。

1961年生まれ。
日本に留学し、静岡県の高校で英語を教え、
東大で学びました。

1986年に日本政界の研究のため再来日し、
5年間ほど日本に滞在しました。
まず、岩手日報の記者となり、
その後、椎名素夫議員の秘書を二年間務めました。

やがて、日米安保の専門家として米政界で頭角を現し、
クリントン政権では国防省の対日政策顧問として
「日米防衛協力のための新指針」の策定に関与しました。

ブッシュ政権では大統領補佐官、
国家安全保障会議(NSC)の上級アジア部長に抜擢され、
2005年12月に政権を去るまで
アーミテージ国務副長官やケリー国務次官補らと共に
ブッシュ政権の対日政策を仕切りました。

彼は大統領補佐官時代に
当時の安倍官房長官と親交を結び、
小泉政権末期での北朝鮮によるミサイル乱射事件などでは
シーファー駐日米大使らと共に
日米連携のパイプ役となりました。

また、グリーンは
安倍首相の政権公約「日本版NSC」の
米側の指南役でもあります。

三番目にジョセフ・ナイ。
「ソフト・パワー」なんて言葉が有名で
政治家と言うよりは学者として知名ですね。
民主党の知日派の大御所的存在です。

カーター政権で国務次官補、
クリントン政権では国防次官補と国家情報会議議長を務め、
1995年に「ナイ・イニシアティヴ」と呼ばれる、
「東アジア戦略報告」を作成しました。

この「東アジア戦略報告」が土台となり、
「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」が策定され、
クリントン政権下で漂流しかかっていた日米同盟の立て直しに
奔走しました。

2000年に発表されたアーミテージ報告書第一弾は、
米国では「アーミテージ・ナイ報告」と
二人の名前を並記しています。

最後に、カート・キャンベル。
ジョセフ・ナイの門下生的存在です。

元来は対ソ連政策の専門家でしたが、
ナイに見いだされ、対日政策の研究者へと舵をきりました。

クリントン政権では国防次官補代理となり、
ウィリアム・ペリー(国防長官)やジョセフ・ナイが政権を去った後、
唯一の日本専門家として対日政策を切り盛りし、
とかく日米関係が冷却しがちで、
中国重視派が幅をきかせていたクリントン政権において
孤軍奮闘していた人物です。

米国のマスコミからは
「クリントン政権下で唯一、
日本のことを気にかけている政治任命者」とも呼ばれました。

おそらく、次の大統領選で
民主党から大統領が誕生した場合は、
この人物が対日政策の中心となるでしょう。


この4人に共通するのは「日米同盟の重視」です。

価値と利害を共有する世界で最も重要な同盟関係。
それが彼らの日米同盟に対する見解です。

彼らジャパン・ハンドの面々は
しばしば自らを「庭師(Gardener)」に喩えます。
「同盟」という庭園を整備し、
丹念に土を耕し、肥料を与え、雑草が生えれば取り除き、
地道に作業をする日米同盟の庭師的存在というわけです。

春原剛著「ジャパン・ハンド」には
カート・キャンベルのコメントが載っています。

  「同盟には
  自動的に作動するスプリンクラーもなければ
  便利な芝刈り機もない。
  ただ、庭師による地道な努力が求められている」

戦後半世紀以上続いた日米同盟は
冷戦終結後にその存在意義を見失い、
「漂流」と呼ばれるまでの危機的状態となりましたが、
今や復活を遂げ、小泉政権下では最高の蜜月状態となりました。

それが日本にとって良きことなのか否か?
各人によって見解は分かれるでしょうが、
これを維持しようという熱意を持った人々の努力と奔走によって
同盟関係が支えられてきたのも事実です。


さて、次回はアーミテージ報告書の内容について論評します。



参考資料リンク

ジャパン・ハンド 春原 剛 (著)








スポンサーサイト
このページのトップへ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

プロフィール

ケイ

Author:ケイ
憂国と好奇心の30代男

マイブログ・メルマガ

 待避禁止!

 宇宙開発ニュース β版

 メルマガ:古今東西の名言

サイトマップ

 過去記事一覧

 過去記事一覧(本店ブログ)

最近の記事

カテゴリー

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。