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資源戦略とバイオ燃料・・ブラジルと米国のエタノール同盟


   guuyuyu8788.jpg


ブラジル エタノールを一大輸出産業に 米伊と提携、生産拡大 
 
 米国と並ぶエタノールの世界2大生産国であるブラジルが、
 エタノールの世界戦略を加速している。
 米国やイタリアとの提携などを通じて
 技術の高度化と生産量の拡大を急ぎ、
 エタノールを鉄鉱石や自動車などと並ぶ
 一大輸出産業に育成する計画だ。

 AP通信などによると、
 エタノール輸出で世界最大手のブラジル国営石油、
 ペトロブラスは3月27日、
 伊エネルギー大手のENI(伊炭化水素公社)と
 バイオ燃料の共同プロジェクトをめぐる覚書に調印した。

 両社はバイオディーゼルやエタノールなど、
 バイオ燃料の生産技術の開発で協力、
 バイオ燃料販売の共同事業についても検討する。
 ブラジル政府はアフリカでのバイオ燃料生産も視野に入れており、
 イタリア向けバイオ燃料をアフリカで生産するプロジェクトも
 話し合われる見込みだ。

 ペトロブラスは、技術力を向上させるだけでなく、
 この提携を足がかりに国外での事業を拡大できる。
 報道によると、ブラジルのルラ大統領は
 「世界の汚染削減につながる特別なパートナーシップになる」と、
 地球環境への効果を強調した。

 ルラ大統領は、
 3月初旬にブラジルを訪れたブッシュ米大統領との会談で、
 中米やカリブ諸国などでのエタノール生産拡大や、
 セルロースをエタノールに加工する、
 技術開発などを柱とする戦略的提携で合意。
 これに続き、31日に行われた、
 米メリーランド州キャンプデービッドでの首脳会談では
 代替燃料に関する国際会議を開催することでも合意した。

 ブッシュ政権は、米国内のガソリン消費を減らすだけでなく、
 オイルマネーを使い反米活動を展開する、
 ベネズエラのチャベス政権などへの打撃も狙っている。

 ブラジルにとっても米国との提携は、
 エタノールを石油と同じように世界市場で取引されるエネルギー商品に
 育成するうえで大きな意味がある。
 トウモロコシ原料の米国産と
 サトウキビ原料のブラジル産を合わせれば
 世界のエタノール生産の7割を占め、
 国際的な主導権を握れるからだ。

 ペトロブラスは、こうした国際的提携と並行し、
 設備の増強を着々と進めている。

 ブルームバーグによると、
 同社はエタノール輸出を現在の8億5000万リットルから
 2011年には約4倍の35億リットルに引き上げたい考えだ。
 ただ、輸出量拡大にはブラジル国内での貧弱なエタノール輸送体制が
 ネックになるとみられている。

 このため、三井物産との間で、
 約7億5000万ドル(約880億円)を投じて
 1000キロのエタノール向けパイプラインを
 建設する交渉を進めている。
 同時に、内陸部にあるエタノール原料のサトウキビ農場や
 蒸留所から川を使ってエタノールを
 サンパウロの拠点に輸送することも検討している。
 韓国企業などを対象に輸出先の開拓にも力を入れている。

   (FujiSankei Business i.)


サトウキビやトウモロコシなどから精製されるエタノールは
石油よりも安上がりで
燃焼時に発生する二酸化炭素の量なども低いことから
石油に代わる主力燃料として脚光を浴びています。

特に米国は
石油に代わる代替エネルギーとしてのエタノールに注目しています。

米ブッシュ政権は
原油を海外からの輸入に依存している危険性回避と
地球温暖化などへの対応策から
このエタノールに着目しています。
「安全保障」と「環境」の二兎を追う対策というわけですね。

京都議定書から離脱し、
国際的に轟々たる非難を浴びた米国ですが、
温暖化による異常気象や巨大化したハリケーンの直撃などから
さしものブッシュ政権も重い腰を上げたようです。

さらには、石油の高騰により
ロシアやベネズエラなどの原油産出国が
資源を武器として反米政策を推進していることも
これに拍車をかけたようです。

米国政府は、2017年までに
エタノールを中心とした代替燃料の生産量を
350億ガロンまで増加する目標を掲げ、
これにより10年間で石油消費を
20%減少させることを目指しています。

米国での現在の年間のエタノール生産は40億ガロン。
これを年々増加させて10年後には
年間350億ガロンまで持っていこうという構想です。

この構想が発表されてから
エタノールの原料となるトウモロコシの値段が2倍に高騰。
また、米国中西部の農家は
発狂したように我も我もと小麦や大豆からトウモロコシの栽培に転換し、
時ならぬ「トウモロコシ・ラッシュ」が起きています。

トウモロコシ、食料より燃料? 価格2倍、転作が加速

トウモロコシ予想作付面積、米で63年ぶり高水準に

トウモロコシの高騰は
これを飼料としていた養豚農家や養鶏農家を直撃し、
豚とニワトリ、さらには鶏卵の値段までが
急騰するというオマケがつきました。

養豚業者はブーブー~トウモロコシの値段高騰で

エタノールの増産策、意外な分野へ響いてます

まさに風が吹けば桶屋が儲かるという感じで
地球温暖化と中東情勢の不安定化によって
養豚農家が悲鳴を上げるという図式です。


実は米国でのトウモロコシによるエタノール生産は
いささか懐疑的な側面があります。
それはエネルギー効率の問題です。

トウモロコシを生産するに要するエネルギー量と
それをエタノール化した場合のエネルギー量を比較すると、
1対1.8程度だと言われています。

つまりトウモロコシを作るのに「1」のエネルギーを使い、
それをエタノール化しても
「1.8」のエネルギーしか得られず、
あまりにも効率が悪いのです。

これに対して米国政府は
エタノールの精製技術を年々向上させれば
この問題はクリアできるとしています。

上記ニュースにあるように
実はバイオエタノールの技術先進国はブラジルです。

ブラジルは主にサトウキビからエタノールを精製していますが
この場合、エネルギーの効率が1対8であり、
米国のトウモロコシよりも効率が桁違いに良いわけですね。


さて、ブラジルのエタノール事情についても書いておきましょう。

ブラジルは石油ショックに対する反省から
70年代からエタノールの利用を推進してきました。

たとえば自動車ですが、
通常、エタノールを混合したガソリンは
ガソホール(gasohol)と呼ばれています。

ブラジルでは、ガソリンは法律で
エタノール混合率20~25%のガソホールを義務付けしています。
ガソリンスタンドでガソリンを入れても
必ずエタノールが混入されているわけです。

ガソホールの場合、
日本の自動車のような通常のガソリンエンジンだと
エンジントラブルが多発します。

エタノールは水との相溶性があるため、
エンジンの腐食が発生する可能性があるからです。

ブラジルの自動車は
エタノールやガソホールで走行が可能なように
エンジンを特別な仕様のものに変えています。

さらに、ガソリンとエタノールが
どのような割合で混合しても良いフレックス車(FFV)が
新車販売の八割を占めています。

FFVだとエタノールの混合割合が自由なので
割安なエタノール100%の燃料で走っても問題はありません。
ガソリンスタンドにも
エタノールのみとガソホールの二種類が置かれています。

ちなみに米国の自動車も
E15と呼ばれるエタノール15%・ガソリン85%のガソホールでも
走れるようなエンジン仕様となっており、
最近ではE85と呼ばれる、
エタノール85%混合にも対応したエンジンが増えてきました。

ブラジル政府は
このサトウキビ精製のエタノールの
自動車燃料への使用を促進しています。

ブラジルは世界有数のサトウキビ生産を誇り、
サトウキビは収穫期のみ小数の人手を必要とする植物で加工も容易です。
また、上記の如くエネルギー効率も優れています。

ブラジルの80年代からのエタノール推進政策は
同国に多くの技術の蓄積をもたらし、
今や世界のエタノール生産の多くを占めるようになりました。

そして現在の石油の高騰と地球温暖化により
ブラジルのエタノール生産が脚光を浴びているわけです。

米国はこのブラジルの技術と生産量に着目し、
早くも両国による「エタノール・エネルギー同盟」を狙っています。

エタノールの生産量は
米国が世界一で、ブラジルは2位。
輸出量はブラジルが1位。
両国がタッグを組めば
世界のエタノール生産の大半を牛耳れることになります。

ここらへんの米国の手の早さは
さすがと言うか、あざといと言うべきか・・。


さて、日本でもエタノールは注目されていますが、
上述のように日本の自動車エンジンは
エタノール混合ガソリンを使える仕様となっていません。

一応、政府の音頭取りで
4月27日から首都圏の50ヶ所の給油所で
エタノール混合ガソリン(3%混入)の発売が試験的に開始されますが、
エンジントラブルを警戒する反対意見も出ています。

輸入バイオ燃料、日本上陸へ=首都圏で27日発売-石油業界

自動車用バイオ燃料巡る 政府VS石油連盟のゴタゴタ

2004年9月に小泉首相がブラジルを訪問し、
ブラジルのルラ大統領と
ブラジルからのエタノール輸入について話し合い、
ブラジルの国営エネルギー企業ペトロブラスと
日本アルコール販売との合弁会社が作られました。
「日伯エタノール」という会社ですが、
これが2008年から日本への輸入を本格化させるようです。

ちなみに小泉首相はこのブラジル来訪時に
サンパウロ郊外のエタノール製造工場も見学して
すっかりエタノール推進派となりまして、
米・ブラジル両政府の後押しで結成された「米州エタノール委員会」に
ブッシュ大統領の弟などと共に
共同代表に就任することが決まっています。

小泉・ブッシュ同盟再び バイオ燃料普及団体の共同代表に


原油価格の高騰、中東情勢の不安定化、
ロシアや中国による資源ナショナリズム・資源買い漁り、
さらには地球温暖化の問題が進行する中で
エタノールの生産はますます拡大していくでしょう。

また、そこから生産国のカルテル化、生産国と消費国の確執、
さらには列強によるエタノール囲い込みなど、
国際政治に様々な動きが起きていくのでしょうね。



参考資料リンク

ワードBOX:バイオエタノール

カストロ議長「エタノール政策は飢餓加速」 論評で再び米批判









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コメント

といえばこんな話も

海藻からバイオ燃料 東京海洋大、三菱総研など
日本海で2000万キロリットル生産へ
FujiSankei Business i. 2007/3/23  TrackBack( 6 )

 養殖した海藻から石油代替燃料として注目されるバイオエタノールを大量に生産する壮大な構想が
22日、明らかになった。東京海洋大、三菱総合研究所を中心に三菱重工業など民間企業が参画する
研究グループがまとめたもので、日本海に1万平方キロメートルの養殖場を設け、
ガソリンの年間消費量6000万キロリットルの3分の1に相当する2000万キロリットルの
バイオエタノールを海藻から生産する計画だ。

政府は2030年度に国産バイオ燃料を600万キロリットル生産する目標を掲げており、
今回の構想は目標を実現する有力な方法として注目されそうだ。

 この構想は、26日から神戸市中央区の神戸国際会議場で開かれる国際学会
「国際海藻シンポジウム」で、東京海洋大の能登谷(のとや)正浩教授が発表し、
国家プロジェクトとして推進するよう国の成長戦略方針「イノベーション25」への盛り込みを
政府に働きかける。

 研究グループには三菱総研、三菱重工業のほか、民間企業はNEC東芝スペースシステム、
三菱電機、IHI、住友電気工業、清水建設、東亜建設工業、関東天然瓦斯開発が参加し、
独立行政法人・海洋研究開発機構も名を連ねている。

 バイオエタノールは、サトウキビやトウモロコシなど植物を原料に生産されている。
これまでに、海藻を発酵させてつくるといったアイデアもあったが実現していない。
今回の構想では、海藻を分解する酵素を利用したバイオリアクター(生物学的反応器)と呼ばれる
特殊な装置で糖に分解し、エタノール生産を目指す。

 構想は、日本海中央にある浅瀬の「大和堆」に、ノリやワカメを養殖するような大型の網を張り、
繁殖力の強い「ホンダワラ」を養殖し、バイオリアクターなどの装置を搭載した船で分解し、
生産したエタノールをタンカーで運ぶというもの。

能登谷教授は「大陸から日本海に流れ込む過剰な栄養塩を海藻で除去することも期待できる」としており、
バイオエタノール生産と日本海浄化の“一石二鳥”の効果がありそうだ。

 海藻の主成分はフコイダンとアルギン酸で、フコイダンを分解する酵素はすでに見つかっている。
研究グループは、アルギン酸を分解する酵素を発見したり、遺伝子組み換え技術を応用すれば
実用化が可能とみており、プラントの開発や投資額なども含め総合的な研究に入る。

http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200703230010a.nwc

  • 2007/04/06(金) 20:46:06 |
  • URL |
  • bystandser #1jGVuLEY
  • [編集]

バイオエタノールの原料

日本では、建築廃材の木からバイオエタノールを作ったところもありました。

そういえば、「ガイアックス」は何処へ行ったんでしょう?
NOxの問題があるとは聞いていましたが、HCは劇的に少なくて、ガソリンのターボでも特に問題なく走っていたし・・・。軽油引き取り税の問題と、自動車業界の無視ですべては闇へ葬り去られたわけですが・・・。

  • 2007/04/06(金) 21:59:57 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

いろいろ研究が進んでますね。

> bystandser殿

おっしゃるとおり、海藻から精製する方法も研究されてますし、
あと、木屑や雑草から精製する研究も進んでいますね。

ホンダの子会社やキリンビールがこれの研究を行っています。

http://www.nikkeibp.co.jp/news/eco06q3/513230/

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/environment/33266/

あとは、研究の成功と実用化された際の精製コストの問題ですね。
これをクリアすればいい。
資源小国の日本にとっては嬉しい話しです。

米国なども似たような研究をやっていて
先日、政府が援助金を出しています。

http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200703030009a.nwc


> クマのプータロー殿

> そういえば、「ガイアックス」は何処へ行ったんでしょう?

ガイアックスは私もよくは知らないです。
2003年から販売できなくなったみたいですね。

本当に問題があったのか、
あるいは石油業界と財務省に潰されたのか?

でも、発想としては
このエタノールのガソホールに似ているかも。

  • 2007/04/06(金) 23:42:20 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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