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北朝鮮違法口座の凍結解除・・米金融制裁の挫折


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マカオの北朝鮮口座、すでに凍結解除…米財務省も容認声明

 米財務省は10日、声明を発表し、マカオ金融当局が、
 マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)にある、
 北朝鮮関連口座すべての凍結を解除することを容認した。

 マカオ金融当局の報道担当者は本紙に、
 「口座主が求めれば、いつでも資金を引き出せる」と述べ、
 口座の凍結がすでに解除されたことを明らかにした。

 米国はこれまで、問題の資金をいったん中国銀行に移し、
 その使途を人道目的などに制限しようとしてきたが、
 今回の凍結解除でそれは難しくなった。
 北朝鮮が、凍結資金が返還されない限り、
 6か国協議で合意された核放棄に向けた行動を取らないと
 強硬姿勢を続けたため、
 米国が譲歩を余儀なくされたと見られる。 

    (読売新聞)


・・・という結果になったそうです。

「北朝鮮の金融犯罪は許さない!」などと拳をあげていた米国が
いまや北朝鮮に資金を返還できて「ホっ」と息をなで下ろしています。
なんでしょうかね、この落差は?

米朝合意でBDAの北朝鮮資金の返還が一旦は決まったものの、
金融技術の問題からスンナリと返還に至らず、
北朝鮮はゴネまくり、スネまくり、六者協議を中途退席し、
米国は大慌てで、汗を流して資金返還のために東奔西走。
ああ、ヒルさん大変だね、と。

今回の六者協議の合意事項が
米国政界内でも評判が悪いのは、
北朝鮮に対して妥協しすぎという政略的な部分よりも、
ヒル氏がこういう戯画的な醜態をさらしてるという、
感覚的な部分が大きいんじゃないでしょうか?

米国人の感情から言うと
これは国辱的な醜態でしょうし、
他国人から見れば滑稽そのものです。
北朝鮮人から見れば大笑いでしょう。

などと思ってたら、
この対北朝鮮金融制裁の司令塔的存在であった、
アッシャー元国務省東アジア太平洋局上級顧問の
インタビュー記事が世界日報に載ってました。
以下、引用します。


北への違法資金返還は誤り―金融制裁立案の元米高官が批判
 年内に核実験実施の可能性も

 2005年7月まで米政府で北朝鮮問題を担当し、
 金融制裁の立案に中心的役割を果たした、
 デービッド・アッシャー元国務省北朝鮮作業班調整官
 ・東アジア太平洋局上級顧問は4日までに、
 世界日報のインタビューに応じた。

 アッシャー氏は、
 マカオの金融機関バンコ・デルタ・アジアで凍結されている、
 北朝鮮資金約2500万ドルをめぐる米政府の対応について、
 「北朝鮮が犯罪行為で得た資金を戻すのは
 まったくばかげている」と厳しく批判した。
 また、米国が大幅な譲歩をしたことにより、
 「北朝鮮が年内に再び核実験を行うなど、
 挑発行為をとっても私は驚かない」と指摘、
 北朝鮮の態度は今後さらに挑発的になるとの見方を示した。

 ――BDA問題をめぐる米政府の対応をどう評価するか。

 北朝鮮資金の一部返還であれば、
 譲歩の観点から許容されるかもしれない。
 だが、全額返還というのはあり得ない話だ。
 北朝鮮が犯罪行為で得た資金を戻すのはまったくばかげている。
 北朝鮮に資金を提供したいなら、
 その国に役立つ開発援助をすればいい。
 北朝鮮指導部に犯罪資金を渡してはならない。

 財務省に道理に合わない措置を取らせたのは国務省だ。
 北朝鮮がまともな行動を取ることを期待して
 頭金を支払ったつもりだろうが、
 その考えはあまりにもナイーブ過ぎる。
 米国は北朝鮮の罠にはまってしまった。

 ――資金返還が難航しているが。

 米政府は決してしてはならない取引をしてしまい、
 完全に自縄自縛の状態に陥っている。
 そもそも米国が返還を約束した資金の一部は北朝鮮のものではなく、
 英国の投資家のものだ。
 米国の行為は、その投資家から金を盗むようなものであり、
 正当な根拠もなく北朝鮮に渡そうとしている。

 ――今後の北朝鮮の対応は。

 米政府は北朝鮮と
 より良い関係を築く土台をつくろうとしたのだろうが、
 実際はまったく逆のメッセージを北朝鮮に送ってしまった。
 北朝鮮は悪い振る舞いをすれば、
 米国は譲歩し、金が手に入ると判断したはずだ。
 資金の返還は北朝鮮の態度を改めさせるどころか、
 むしろ悪化させるだろう。
 悪い行為をするたびに金が手に入るのだから当然だ。

 北朝鮮が年内に再び核実験を行うなど、
 挑発行為をとっても私は驚かない。
 昨年10月に実施した核実験が、
 北朝鮮にとって今回の成果を勝ち取る原点になったからだ。
 米国は北朝鮮に核実験の影響力を活用すれば、
 国際社会から多額の援助が得られ、違法資金も取り戻せるという、
 誤ったメッセージを送ってしまったのだ。

   (世界日報)


2001年秋、アッシャーは
上司であるケリー国務次官補に呼び出され、
「経済があれほどひどい状態なのに北朝鮮は何故崩壊しないのか?
これを徹底して調べるように」との指示を受けました。

それから一年をかけて情報機関を動員して調べたところ、
貿易統計には載っていない巨額の資金を
北朝鮮が不法なルートを使って稼いでいるという実態が
浮かび上がりました。

偽札・麻薬・偽タバコ、等々等。
それまで北朝鮮の不法行為については
断片的にしか把握していなかった米国ですが、
この時点で彼らの「闇経済・闇取引」の全貌を掴んだわけです。

何故、あの貧乏国家がミサイルと核を開発できるのか?
貿易では恒常的に赤字を出し、
外国からは全く信用されていない北朝鮮が
如何なる手段で外貨を獲得しているのか?
その答えがここにハッキリしたわけです。

そこから米国は動き始めます。
2003年4月、米政府内で北朝鮮の不法活動への対応策を協議する、
IAIという部署が発足しました。
IAIは国務省・財務省など各省庁・各部局を横断して
100名ものスタッフを抱えていました。
さらに、国務省内では「北朝鮮ワーキンググループ」が設置されました。

デービッド・アッシャーはこの両組織のチーフ的存在であり、
対北朝鮮の金融制裁の構想はここから生まれ、
2005年から始動を開始したわけです。

まあ、そういう状況ですから
アッシャーがインタビューの中で

  「北朝鮮が犯罪行為で得た資金を戻すのは
  まったくばかげている」

と怒るのも当然といえるでしょう。
なにしろ、立案者ですからね。


さて、BDA資金は北朝鮮に返還され、
ヒルは胸をなで下ろし、金正日は高笑いし、
このテロ国家をあそこまで追いつめていた金融制裁は
全てパァとなってしまいました。

日本としては一段と厳しい情勢になりましたね。



関連資料リンク

金正日「闇ドル帝国」の壊死:高世 仁 (著)


関連過去記事

六者協議と日本外交の失敗

六者協議と中東情勢・・米朝のパワーバランス

六者協議:北朝鮮の外交勝利と米国の譲歩








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コメント

確か、ずいぶん前から金融制裁自体は解除されてませんでしたっけ?引き受け先が無い事のほうが北朝鮮にとって問題だったはずで・・・

このニュースなにか進展ありました?

  • 2007/04/11(水) 05:36:23 |
  • URL |
  • wa #-
  • [編集]

直で引き出せるようになったわけです

厳密に言うと、BDA自体への金融制裁は継続中です。
いまだに米国の銀行と取引ができません。
よって営業もできず、まだマカオ当局の管理下にあります。

たしか3月の15か16日あたりだったと思いますが、
米国の下した処置は、

1,BDAへの制裁は継続

2,北朝鮮へは、凍結した口座から資金を返還する

というものでした。

まさに政治的処置の最たるもので
闇資金の資金洗浄を行った当の北朝鮮の罪は問わず、
口座を開かせたBDA自体を処罰するというものでした。
まあ、あからさまな政治的譲歩ですね。

で、BDAの凍結口座をある金を
一旦、中国銀行に移した上で北朝鮮に返還しようとしたのですが、
中国銀行が嫌だと拒否し、
これじゃあ金が返ってこないじゃないかと北朝鮮がゴネて、
やむなく米国は中国と協議した上で、
マカオ当局の管理下にあるBDAの口座から
直で引き出せるようにしたわけです。

この後、北朝鮮が
どういう手段なりルートなりで金を引き出すのかは知りませんが、
米国もそこまでは面倒みないでしょう。
引き出せるようにしてやったから後は自分でやれよ、ってことでしょう。

  • 2007/04/11(水) 20:21:30 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

銀行口座がない・・・

中国銀行が、ダーティーマネーの受け入れを拒否したとなると、何処か受け入れてくれる金融機関はあるんでしょうかねぇ・・・。

北朝鮮は麻薬を作っているので、イスラムも受け入れることはなさそうですし・・・。

北朝鮮の高官を見たら、裸でお金を持ち歩いていると思うと、拉致って金を戴くという盗賊が増えることもあるかもしれません。

と言う楽観的な感想を述べてみました(^^;。

  • 2007/04/12(木) 19:22:45 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

小切手に?

> 何処か受け入れてくれる金融機関はあるんでしょうかねぇ・・・。

私、この件は興味津々で注視しています。
はたして北朝鮮は如何なるルートで
如何なる手法で資金を移動させるのだろうかと。

まさかカバンに入れて引き出すわけはないだろうなあ、とか(笑)

と思ってたら、こういうニュースがありました。

*北朝鮮人20人余、資金引出すためマカオで待機中
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=86455&servcode=500§code=500

「中国銀行の小切手に変える」と書いてますが、
こういうことは可能なんでしょうかね?

  • 2007/04/12(木) 23:52:05 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

無いとは言えない

中国銀行なら、小切手すら拒むかもしれません。WTO加盟国は重い責任を負っているのです(≧▽≦)。ただでさえ国土がダーティーで、新たな海外直接投資がジリ貧なのに、金融機関もダーティーとなったら目も当てられませんから・・・。

2500万ドルですよね・・・。100ドル札25万枚、20人ならマチ幅100ミリオーバーのスーツケースで運べます!!
チェイニー副大統領自ら、CEOをやっていたハリバートンのアタッシュケースを25個、マカオまで持参して無償提供してあげては如何でしょうか?

  • 2007/04/13(金) 20:21:47 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

人海戦術

> 2500万ドルですよね・・・。
> 100ドル札25万枚、
> 20人ならマチ幅100ミリオーバーのスーツケースで運べます!!

お得意の人海戦術というわけですか (^_^;)

もし、北が実際にそれをやったなら
ぜひ写真に撮ってほしいなあ。
人類史に残る珍エピソードになるんじゃないですか。

  • 2007/04/16(月) 23:53:05 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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