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イスラエル:オルメルト政権が窮地に・・副首相の反旗と支持率低下


   オルメルト.jpg


オルメルト首相に辞任要求=リブニ副首相が反旗
 政権崩壊の危機-イスラエル


 イスラエルのリブニ筆頭副首相兼外相は2日、
 オルメルト首相と会談した後、記者会見し、
 同首相に辞任を求めたことを明らかにした。
 国民の高い人気を誇る政権ナンバー2が公然と反旗を翻した形で、
 オルメルト政権は1年前の発足以来最大の危機を迎えた。
 
 リブニ氏はこの中で、
 レバノン紛争で傷ついた国民の信頼回復を目指す立場から、
 自身が職を辞す考えはないことを強調。
 オルメルト首相辞任後は総選挙を行わず、
 第1与党カディマが引き続き政権運営に当たるべきだとし、
 「時期がくれば」カディマ党首の座を狙いたいとの考えを示した。
 
 一方、4月30日に公表された、
 レバノン紛争の対応を検討する政府調査委員会の暫定報告で、
 オルメルト首相と共に「重大な失敗を犯した」と断じられた、
 第2与党労働党の党首、ペレツ副首相兼国防相も
 辞任表明を検討しているとの情報が流れ始めた。
 
 リブニ氏は、昨夏のレバノン紛争以降は
 支持率低迷にあえいでいる同首相とは対照的に、
 イスラエル国内の世論調査で安定して高い人気を誇っている。
 「次期首相」の呼び声も高く、
 台頭を懸念する首相との確執が深まっていた。
 イスラエルでは「リブニ氏がこれに乗じ、
 倒閣に乗り出した」との見方が広がっている。  

   (時事通信)


オルメルト政権が窮地に追い込まれています。

4月30日、イスラエル政府の独立調査組織、
「ヴィノグラード調査委員会」が中間報告書を発表しました。

この「ヴィノグラード調査委員会」とは
2006年夏に起きたヒズボラとのレバノン紛争を検証する組織で
同紛争でのイスラエルの敗退ぶりに
ショックを受けた世論の後押しで作られました。
元裁判長のエリヤーフ・ヴィノグラードが委員長を務めています。

その発表された報告書の結論は、

◇戦闘の失敗の責任は
 オルメルト首相(中道右派・カディマ党首)、
 ペレツ国防相(中道左派・労働党党首)、
 ハルツ前軍参謀総長、の3人にある。

◇オルメルト首相は、
 戦闘の発端となったヒズボラによるイスラエル兵拉致への対応として
 包括的な計画がないままに国を戦争に導いた。
 また、軍事経験がないのに専門家に相談せず、
 詳細な軍事計画もないまま、拙速に判断した。

◇ペレツ国防相は、軍事に関する知識・経験が欠如していた。

◇ハルツ前参謀総長は、
 オルメルト、ペレツ両氏が軍事問題に経験がないことを知りつつ、
 (兵士拉致に)衝動的に対応した。
 また、軍の戦闘準備が整っていないことなどを
 国防相らに正しく伝えなかったとした。

というものでした。

中間報告書は
戦闘開始から最初の5日間に関するもので、
戦闘全体についての最終報告書は8月末に発表される予定です。

すでに支持率が急降下しているオルメルト首相にとっては、
この中間報告書の内容は打撃でしたが、
実は報告書が発表される前から
その内容が現政権にとって厳しいものであることは
報道などによって明らかにされていたので、
まあ、オルメルトにとっては
「織り込み済みの打撃」といった感じだったと思います。

中間報告書の発表後、オルメルトはテレビで声明を発表し、

  「非常に厳しい内容だ。
  意思決定者の間で失敗があり、私がそれを主導した」

と失敗を認めつつも、

  「私が(責任を取って)辞任するのは適当でなく、
  そうするつもりもない」

  「政府が(開戦などの)決定を下したのであり、
  過ちはこの政府が正す」

と辞任を拒否しました。

また、首相が党首を務める与党カディマは30日夜の会合で、
夏に予定される最終報告までは首相を支持する方向で一致しました。

しかし、世論はそれでは収まりません。

3日にはエルサレムやテルアビブで大規模な反政府デモ隊が起き、
急遽行われた3大紙の世論調査では
首相の辞任を69%が求め、
国防相への辞任要求は74%という結果になりました。

そして、冒頭のニュースにあるように
与党カディマのエース的存在であるリブニ副首相兼外相が
オルメルトに辞任を求め、倒閣に動き出しました。

リブニは女性で
国民に人気のある「次期首相候補」の一人です。
また、欧米諸国などに受けのいい政治家です。

レバノン紛争時は
軍事強硬路線を推し進めたオルメルトに対し、
リブニは早くから政治的解決を求めていました。


さて、急展開を見せ始めたイスラエル情勢ですが、
倒閣に動いたリブニ副首相や
首相辞任を求めるイスラエル世論の多数に共通する懸念は、

  「オルメルトには退陣してほしいが
  これを機に右派のリクードが伸張するのは困る」

というものです。

実際、3日の反政府デモでは、
右派に漁夫の利を与えることを恐れた左派系市民らに
デモに参加することを躊躇する動きがあったそうです。

もともと、昨年夏のレバノン紛争後に
敗戦責任追及の世論が盛り上がっていった背景には
これを機会にカディマから政権の座を奪おうとする、
リクードの動きがあったことは事実です。
リクードは右派系軍人の支持を得てますからね。

事実、イスラエルのマーリブ紙の世論調査によると、
もし、早期総選挙が実施された場合、国会の120議席中、
リクード(現有12議席)が30議席を獲得して
勝利する見込みとの結果が出ました。

さらに、与党カディマは現29議席から20議席に転落し、
中道左派の労働党は18議席、
極右政党「イスラエルわが家」が
14議席を獲得するとの予想結果でした。

この世論調査を見れば
与党カディマや連立する労働党を支持する左派と中間層は
倒閣の勢いが微妙に鈍るでしょうね。
まあ、そこがオルメルトの付け目でもあるわけですが・・。

以下、この件に関する英紙ガーディアンの論評を載せておきます。


◇オルメルト首相の責任
 
 この中間報告書の結論は、
 どんな首相であれ、辞任するに値するものだ。
 ハルツ前参謀総長は既に辞任している。
 ペレツ国防相は、経験不足を指摘されており、
 労働党の党首争いに生き残ることはできないであろう。

 オルメルト首相は、
 与党カディマ出身の閣僚たちに辞任する意思はないと伝えたが、
 残された日々のカウントダウンは始まったと言うべきだろう。
 首相は報告書の内容に反論するつもりはない。
 その戦術は、責任を拡大することである。
 すなわち、皆が批判されるのなら、皆に責任があるのだから、
 だれも辞任する必要はない、という方向にもっていく作戦だ。

 解散して総選挙を行えば、
 リクードのネタニヤフ党首が漁夫の利を得ることになろう。
 だからオルメルト首相は時間稼ぎをする必要がある。
 しかしこれは内政上の計算である。
 イスラエルはこれまで、
 パレスチナ側に交渉すべき相手がいないことを、
 交渉拒否を正当化する理由としてきたが、
 今回はイスラエル指導者が、
 その判断力に致命的欠陥があると指摘された。
 パレスチナ側にとって今回初めて、
 和平交渉をすべき相手が存在しなくなったのである。

   (ガーディアン 2007/05/01)


いずれにせよ、中東の台風の目たるイスラエルの情勢は
今後も二転三転の展開がありそうですね。



関連資料リンク

イスラエル 首相・軍が指揮に「失敗」
 昨夏のレバノン攻撃で中間報告書

イスラエル首相が辞任拒否 世論は7割が「辞任を」


関連過去記事

イスラエルの興味深い動き
 ・・戦争調査委員会の設置とイラン空爆の予兆

敗戦とイスラエル・・「戦争とは他の手段をもってする政策の継続」

レバノン紛争の終結とイスラエルの敗北







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