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「BTCパイプライン」出荷開始・・原油輸出とロシア外し


   cas_btc.jpg


トルコ:カスピ海の石油パイプライン開通、出荷開始

 カスピ海の石油を
 アゼルバイジャンからトルコの地中海沿岸に運ぶ、
 「BTCパイプライン」が完成し、
 トルコ・ジェイハン港からのタンカー出荷が4日始まった。
 ロシアを迂回して地中海を結ぶ搬送ルートが確立され、
 カスピ海地域でロシア主導だった石油産業構造を
 転換させる契機となる。

   (毎日新聞)


こいつは地味系ニュースながらも超重要ですぜ。

BTCパイプライン。
アゼルバイジャンの原油を
同国領バクーを起点とし、グルジアのトビリシを経由して、
地中海沿岸のトルコのジェイハンにまで運ぶ。
総延長約1,768km、
輸送能力日量100万バレルの原油輸送パイプライン。

主にカスピ海にあるACG油田で産出される原油を
輸送するために建設された。
将来的にはカスピ海地域の
他の油田から産出される原油の輸送も考えられている。

「BTC」の意味は

 ◇バクー(Baku)のB、
 ◇トビリシ(Tbilisi)のT、
 ◇ジェイハン(Ceyhan)のC、

この頭文字を合わせたもの。

このBTCパイプラインは米国の強力な後押しで実現した。
国際エネルギー市場での
これ以上のロシアの影響力拡大を防ぎたい米国は
ロシアを通らず、その影響を全く受けないパイプラインを作り、
アゼルバイジャンなどのカスピ海諸国の原油を
「ロシア外し」でトルコまで運ぼうと構想した。
これが完成し、本格的に稼働を始めれば
ロシアの影響力低下は必至。

BTCラインは、数カ月以内には
1日当たり30万~40万バレルの石油を
欧米市場に流すことが可能となり、
石油生産がピークとなる2009年には、
1日100万バレルを欧米市場に送れるとのこと。

欧米系石油メジャー以外に
日本からも伊藤忠石油開発と国際石油開発の2社が参画し、
400億ドル分のパイプライン設備の建設を日本勢が受注した。

米国の思惑は石油のみではなく、
このパイプライン建設を突破口として
政治的・軍事的にカスピ海諸国をロシアの影響下から脱し、
ロシアに痛撃を与えること。

2005年4月、ラムズフェルド米国防長官は
アゼルバイジャンを訪問。
その目的は、カスピ海とその周辺地域を活動範囲とする、
「カスピ警備部隊」の創設。

カスピ警備部隊はテロの脅威から
BTCパイプラインや関連施設を守る目的で、
カスピ海沿岸諸国に
特殊部隊などからなる緊急展開部隊を配備するもので、
2003年に米国防総省内で計画が策定された。

米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、
米国はカスピ警備部隊に対し、
今後10年間に約1億ドルを拠出するが、
この数字はさらに増加する可能性があるとのこと。

一方のロシアは、この米国の動きに神経をとがらせ、
ラム長官の訪問に合わせて、
ロシアのカスピ海艦隊を「親善訪問」名目で
アゼルバイジャン領バクーに急派、
周辺諸国にロシアの力を誇示する動きに出たほど。

まあ、こんな感じで
たかがパイプライン、されどパイプラインってわけで、
各国の思惑が混ざり合っております。

このカスピ海の沿岸は
石油の他に天然ガスの巨大産地で、
俗に言う「新グレートゲーム」の舞台となっており、
ロシアと米国、その他大勢の政略・謀略の巷と化してます。


関連資料リンク

田中宇の国際ニュース解説:カスピ海石油をめぐる覇権争い

日経プレスリリース:
 伊藤忠商事、BTCパイプラインからの原油出荷を開始



関連過去記事(本店ブログ)

対露外交と中国包囲網 その4
 ・・東シベリア石油パイプライン(前編)

対露外交と中国包囲網 その5
 ・・東シベリア石油パイプライン(中編)


対露外交と中国包囲網 その6
 ・・東シベリア石油パイプライン(後編)


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コメント

お勧めしますが、如何でしょうか

東シベリア石油パイプラインシリーズも興味深く拝見しました。回を重ねて読ませて頂くたびに洞察力に感銘を受けます。というわけで、他に優先してやることが山積みなのについつい読み入ってしまいます。

ところで、最近ロシアが日本と友好関係を結んだほうが国益にかなうとかで四島返却?などといううれしい情報がちらっとありました。その後エコーは聞こえてこないけど、今後、ロシアの対日戦略の変化の兆しではとひそかに期待してます。ロシアにすれば日本の資金と技術力は魅力でしょうし、なんたって日本は無害な存在ですから、中国さまよりはお勧めです。日露で対中戦略を結ぶことがができれば、人食い中国にも安心して対峙できる気がするのですが。。。ロシアは寝返り名人でもありまして。。。

名実共に高い国際的評価を得るにはいつまでも他力本願はいけませんね。軍事力を具備してこそ実現できるのでしょう。

  • 2006/06/09(金) 22:42:02 |
  • URL |
  • MM #-
  • [編集]

カスピ海も

おはつです。

カスピ海からのパイプラインで、ちょっと面白い位置にあるのがイランです。ロシア、中国、アメリカの思惑がねじれ現象を起こします。イランを通ってペルシャ湾から積み出すとなると、OPEC諸国が影響力を維持できます。
中国には、すでにカザフからパイプラインが通っていますが、「東トルキスタン」がややこしいことになっているので今後は???です。ペルシャ湾ルートも重要になります。
アメリカは、イランを「ならず者国家」としていますが、カスピ海が絡むと地の利はありません。シーア派の信徒を使ってペルシャ湾からアメリカの力を排除できるような体制が出来つつあります。
このような石油を巡る利権争いが、イランを核兵器保有国家へと走らせています。思ったよりアフマディネジャドには切りうるカードがあります。

ここで、日本は、中東諸国からも、中国、インドからも日米同盟を切り崩されるインテリジェンス活動が展開されることになりそうです。さあ、どうする日本?

  • 2006/06/09(金) 22:47:05 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

日露同盟は良策は良策ですが・・

> MM殿

ありがとうございます。

日露連携による対中同盟ですね。
ある意味「対露外交と中国包囲網」シリーズの
テーマそのものです。

それの「その1」にも書きましたが
日露連携は実現すれば日本にとっては良案であることは
おっしゃるとおり間違いないと思います
ただし、良策ではあるが
言うは易く、行うは難し、かなとも思います。

結局、日本という国の特殊性ですよね。
同盟国の間柄になったとて
日本は政治的制約と戦略性の欠如のために
同盟国に手助けが出来ない。
他国なんかが当たり前と思われるような
「対同盟国助っ人オプション」が取れない。
あの米国に対してすらそうなんですから
ましてロシアに対しては
どれほどのことができるのでしょうか?

特にシビアな部分が軍事面で
盟友関係ってのは、最後の段階に至れば
「共に戦友として立てるか?」ってことですが
今の日本の現状から言うと無理でしょう。
おっしゃるとおり、軍事力と
それを行使する能力と意志がなければ駄目ですね。

結局、最後に残るのは
経済支援だけですが、
財政再建の折り、大規模支援は難しい。

ひるがえって中国を見るに
ロシアにとっては国境を接した現実の脅威です。
じゃあ、いっそのこと頼りにならない日本よりも
中国と結んじゃえ、ってことになる。
それが現在の状態でしょう。

日本がロシアにとって「無害」というのは
ある意味「頼りにならん」ということの
裏返しでもあります。
要するに戦略性という「毒」を持たぬ国だということです。

ただ、こっちにも書いたとおり、
http://kei-liberty.mo-blog.jp/taihikinsi/2006/04/post_164b.html
http://kei-liberty.mo-blog.jp/taihikinsi/2006/04/post_ee42.html
長い目で見れば、いずれロシアは中国を離れて
日米に急接近してくるでしょう。
理由は人口問題とシベリアの中国移民の問題です。

  • 2006/06/10(土) 10:39:54 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

中央アジアは面白い

> クマのプータロー殿

> さあ、どうする日本?

なんだか「国際戦略コラム」の
F氏みたいな文体ですね (^_^;)

カスピ海は石油・天然ガス等の
天然資源の争奪の地であると同時に
ロシアの「柔らかい脇腹」だということです。
米国がここに目をつけていくのは
当然といえば当然でしょう。

カスピ海沿岸から中央アジアにかけての
勢力争いは面白いですね。
見ていて興趣が尽きません。

最大のポイントは上記コメントとだぶりますが、
ロシアと中国の蜜月がいつまで続くかってことです。
ここが最大のポイントとなるでしょう。

両国は上海協力機構を通じて
中央アジアでも手を結び合ってますが
彼らが手切れになった状態を
シミュレートしてみると面白いです。
すなわち中露による、
石油と小国に対する陣取りゲームの始まりです。

  • 2006/06/10(土) 10:41:50 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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