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中国のキリスト教弾圧・・地下教会とバチカン

6月9日の産経に興味深い記事が載っていました。
以下、引用します。


◆中国の「地下教会」 信者拡大、当局が弾圧強化
 7000万人 党員数に匹敵

 ブッシュ米大統領が先にホワイトハウスで会見した、
 中国非公認のキリスト教信者3人の1人で、
 四川省・成都大学教師(法律)の王怡氏(33)が
 産経新聞の電話インタビューに応じた。
 同氏は、中国各地で「地下教会」が拡大、
 地下信者は共産党員数に匹敵する推定7000万人に達し、
 これに危機感を持った当局は年初来、
 弾圧を強化していると述べた。インタビューの要旨は次の通り。

 地下教会が拡大している地域は農村部に多い。
 河南省は最もすそ野が広く、信者の大部分は農民だ。
 浙江省温州は布教のテンポが速い。
 農村は1949年(新中国発足)後、
 共産党の専制政治と無神論的統制で、
 個人の価値観、信仰、道徳などが未曾有の破壊を受けた。
 その反動として文化大革命後、
 荒廃した精神土壌には容易に信仰が芽生えたのだ。

 都市部では89年の天安門事件が布教の重要な転機になった。
 都市市民の自由・民主への夢が砲弾で砕かれた後、
 多くの知識人はその夢を信仰に転じた。

 また90年代以降、政治が物的豊かさ追求だけを容認、
 精神生活の豊かさを抑圧した結果、
 道徳の崩壊や虚無主義が生まれ、
 信仰に救いを求める市民が増えている。

 地下教会の信者数は
 5000万人から7000万人と推定され、党員数に匹敵する。
 こうした民間宗教組織が拡大することは、
 一党独裁にとって不安の種だ。

 当局の統制・弾圧のやり方は4点ある。
 (1)外国人の参加を許さず
    外国の宗教組織との関係をつくらせない
 (2)未成年の参加を認めず、参加させた者は法律的処罰を受ける
 (3)集会の禁止
 (4)布教活動の禁止

 聖書の印刷も摘発対象で、
 昨年、北京の蔡卓華牧師と家族が逮捕され
 懲役3年の判決を受けた。
 私はその弁護人のひとりだ。
 広州市では5月21日、河南省では3月13日、
 それぞれ違法集会で摘発され、大勢が労働改造所に送られた。

 当局は社会の安定を図るとして昨年3月、
 新宗教事務条例で宗教管理を強化したが、
 その狙いには地下教会の統制がある。
 最近、都市部での弾圧が始まったのも、
 地下教会への党の危機感の強さを反映している。

 一方、信者や教会も、
 法を武器に摘発案件に立ち向かおうとしている。
 キリスト教徒になる知識人が増え、
 信仰の自由が言論の自由や民主化要求とリンクして、
 一党独裁からの転換を促す力になろうとしている。
 共産党はこの流れを食い止めることはできないだろう。

 中国とバチカンとの国交樹立については、
 双方は世界のどの2国間の距離よりもかけ離れており、
 国交を結ぶとすれば、
 中国が全面的な民主化に向けた改革を行った後だろう。

 【プロフィル】王怡
 1973年生まれ。
 96年四川大学卒業後、一貫して成都大学で法律教師を務める。
 政治、経済、法律関係の気鋭の研究者として著名。
 法治、宗教関連の論文多数。作家でもあり、
 中国キリスト教徒権利擁護法律団のメンバー。

   (産経新聞)


う~ん、この7000万っていう数字は
ちょっと大げさだと思うんですが・・。

というのは、今まで中国のキリスト教信者は
当局公認の「天主教愛国会」「天主教主教団」と、
非公認の地下教会信者をひっくるめて
1500万人前後と言われていたわけで、
この数字はガセなのか、真実なのか?
真実だったら、このインパクトはハンパじゃないよ。

数字問題は脇に置いておくとして
中国の地下教会の様相がよく伝えている、
産経の過去記事をもう一つ載せておきます。
ちょっと古い記事ですけどね。


◇中国宗教考現学 司祭が見たカトリック
 信仰集める地下天主堂

 約十三億の人口を抱えるといわれる中国。
 一九八〇年代に信仰が自由化されたが、
 各宗教は国家の管理下に置かれ、
 ことに“外来”のキリスト教に対しては
 厳しい監視体制が敷かれている。
 しかし、“人の心”を統制することは不可能なようで、
 一部、アンダーグラウンド化している教会や神父も存在している。
 十年間で中国約四十都市の教会を訪問している、
 カトリック東京大司教館付司祭の深水正勝さんに
 中国におけるキリスト教の現状を語ってもらった。

 中国ではカトリックは「天主教」、
 プロテスタントは「基督教」と表記され明確に区別されている。
 カトリック教会は「天主堂」と呼ばれる。

 中国のキリスト教は
 清朝末期から始まる列強各国の中国支配に賛成したとして、
 毛沢東政権下の文化大革命時に
 聖職者の追放や逮捕、教会の破壊などの弾圧を受けた。
 一九八二年になって、信仰の自由政策が取り入れられた際、
 カトリックも国家の認可を受けたが、
 「これまでは愛国心が足りなかった」として
 各天主堂は「天主教愛国会」という運営管理組織を設けた。
 しかし政府は、依然、バチカンとの交流を禁止しており、
 国内では「世界に取り残されている」といった感覚が
 強いといわれる。

 深水さんによると、天主教信者は約一千万人で
 「このうち約九百五十万人は三十歳以下の若い人。
 その中でも、おじいさんの代が信者だったという人が
 圧倒的に多い」とし、
 “チャキチャキの天主教徒”ばかりだという。

 弾圧されれば地下に潜るのが世の常。
 江戸時代の日本にも「隠れキリシタン村」があったように、
 自由化された今もアンダーグラウンドの天主教徒村が多数存在する。

 深水さんが訪れた天主教徒村は大都市の郊外。
 バスで未舗装の道を進むと、耕運機で出迎えてくれた。
 その村は村民全員が天主教徒だったという。
 中国では外国人による布教は認められていないので、
 トラブルを避けるために早々に帰ったという。
 また、五月の訪中で天主堂を訪れた際にも
 「司祭に『非公認の村に行ってみましょう』
 と誘われたが断った」と話す。

 アンダーグラウンドの天主堂がある以上、
 国家未登録の“ヤミ神父”も存在する。
 神父は夜中にこっそりと村々を訪れミサを執り行っているという。

 ただ、“ヤミ”といっても、香港では
 「アンダーグラウンド神父名簿」なる本も出版されている。
 また、地下天主堂も、時々、当局に摘発され壊されるというが、
 すぐに村人によって再建される。
 カトリック中央協議会によると、
 地下天主教徒村に対する対応は地域によって異なり、
 中には摘発すべき役人が信者などというケースもあるそうだ。

 天主教で最大の悩みは人材難。
 信者は文化大革命時の弾圧に屈しなかった、
 七十代以上とポスト文革の新世代。
 三十代以下で、指導者となるべき中年層がすっぽり抜けている。
 そのため、神父の数も不足し、
 日本では神父一人に対して平均信者三百人のところ、
 中国では三千-五千人にもなるという。

 五月下旬、深水さんらが訪れた大連や吉林の教会では
 「日本人司祭が来たと分かると、
 信徒が『祝福してほしい』と寄ってきた」という。

   (産経新聞:1999/06/08)


さて、ここからが本題です。
重々しく本題に入ります。

倫理無き、規範無き社会は混乱と悪徳を生み、
良き精神的支柱の無い社会は秩序の崩壊を生む。

50年代・60年代と
大躍進政策、文化大革命の嵐の中で
中国は旧来の道徳・倫理・価値基準を破壊していった。
マルクス主義という疑似宗教が
歴史的な倫理や道徳を排撃した格好。

そして、それから数十年を経た今、
拝金主義と道徳の崩壊、
汚職の蔓延と犯罪の横行、
中国社会はその代償を支払わされつつある。

荒廃した精神の中で
人は自らの精神的な拠り所を求める。
その結果が法輪功の信者拡大であり、
この地下教会の成長だろう。

中国共産党はこの事態をおそれ、
彼らを弾圧すると共に
かつての儒教を復活させて対抗勢力とし、
社会の安定を図ろうともしている。

中国:儒教の復活と孔子ブランド

信仰とは、中国共産党のような統制政党とは相容れない。
神という絶対者の存在が共産党の威令を上回ってしまう。
どいらかを選べと言われれば熱心な信者は「神」を選ぶ。
それが共産党にとっては脅威である。

かつてイエス・キリストはこう言った。

  カエサルの物はカエサルに
  神の物は神の御手に

俗世の権力と信仰を二分した言葉だが、
共産党の存在が信仰と矛盾しないうちはいい。
もし矛盾すれば彼等は容赦なく教えの方を選ぶ。
それが信仰というものの本質であり、
共産党政権転覆の種子となりかねない。
だから中国共産党は地下教会を弾圧する。

ここで「外務省のラスプーチン」こと、
佐藤優氏の論文を載せておきます。


強大なバチカンを見誤る中国

 中国がバチカン(ローマ法王庁)と
 深刻な問題を引き起こした。

 「ローマ法王ベネディクト十六世は四日、
 中国政府公認の『天主教(カトリック教)愛国会』が
 法王庁の反対にもかかわらず
 二人の司教を独自に任命したことについて『不快感』を表明し、
 二人の新司教と愛国会の関係者を破門した。
 法王庁は一九五一年から中国と断交状態にある。
 法王庁は司教任免権を独占しており、
 国交樹立の最大の障害は中国での独自の任命だった。
 今回の破門で、関係改善は遠のいたといえる。」
 (五日読売新聞朝刊)

 国際社会は主権国家によって
 構成されているという建前になっているが、
 この原則になじまない国家が二つある。
 イスラエルとバチカンだ。
 イスラエルは主権国家であるとともに
 全世界に離散したユダヤ人を擁護することを建前にしている。
 バチカン自体は面積わずか〇・四四平方キロメートル、
 人口千三百人程度の小国であるが、
 全世界で約十億人のカトリック教徒を擁護する義務を負っている。

 極限状況になった場合、ユダヤ人は自国とイスラエル、
 カトリック教徒は自国とバチカンの間で二重忠誠の問題を抱える。
 このような人々はインテリジェンス活動の標的になりやすい。
 例えばポラード事件が有名だ。
 八五年十一月、米国連邦捜査局(FBI)は
 米海軍情報分析官のユダヤ系米国人ジョナサン・ポラードを
 イスラエルのスパイ容疑で逮捕した。
 ポラードは米国の偵察衛星が撮影した秘密写真などの機密文書を
 「モサド(諜報特務局)」とは別の情報機関、
 「レケム(科学情報局)」に渡していた。

 ポラードは終身刑で服役中だが、
 イスラエル政府は九五年にポラードに
 イスラエル国籍を付与し、釈放を要求している。
 この事件は現在も
 米・イスラエル間ののどに刺さったトゲになっている。

 ヨーロッパでは、中世から封建諸侯とローマ法王の間の
 権力闘争や宗教改革後の宗教戦争の経験を経て、
 カトリック教徒は世俗の事項に関しては
 自己が所属する国家に忠誠を誓い、
 信仰に関してはローマ法王に忠誠を誓うという、
 「ゲームのルール」が確立している。

 このルールを明文化したのが「コンコルダート(教政条約)」で、
 この条約はバチカンと世俗国家の
 外交関係を規定するだけでなく、
 宗教と国家の基本的関係も規定することになる。
 五一年に中華人民共和国政府が、
 中国の教会を外国のミッション(宣教団)から切り離し、
 政府の管理下に置こうとした。
 国民党の蒋介石総統がプロテスタント(長老派)であったことが
 欧米の共感を得たことの教訓から、
 中国の共産政権はキリスト教を通じて
 欧米が中国の内政に影響を与えることに
 極めて神経質になっていた。

 バチカンにとって司教の任命権は
 譲ることのできない原則であり、
 現在、中国政府以外の国でこの問題をめぐって
 バチカンともめている国は一つもない。
 中国はバチカンの底力を見誤っている。
 カトリック教会が七八年にポーランド人司教を
 法王(ヨハネ・パウロ二世)に選出したのも、
 ソ連・東欧社会主義体制を崩す大戦略に基づくものだった。

 バチカンが本気になって
 中国人カトリック教徒の二重忠誠を利用するならば、
 ポラード事件とは比較にならない規模の
 インテリジェンス活動を中国政府の中枢で行うこともできる。
 今回、ローマ法王ベネディクト十六世の
 「天主教愛国会」関係者の破門は、
 バチカンが胡錦濤政権に対して
 「カトリック教会をなめてかかると
 ソ連・東欧の二の舞になるぞ」
 というシグナルなのであるが、
 どうも中国政府はそれを正確に読み取れていないようだ。

   (FujiSankei Business i.)


そうそう、佐藤さん。
確かに中国政府はバチカンの力を見誤っているのかもしれない。

でも、中国政府は弾圧と統制の道しか選べない。
それ以外に道は無い。
共産主義政党の独裁国家においては
共産党はキリスト教と一体化するか、
あるいは敵視し弾圧するかの2つしか選択肢はない。

両者の存在が相矛盾する以上、
一体化してキリスト教に呑み込まれるか、
それが嫌なら血みどろの抗争を続けるしかない。

中国は地下教会を弾圧し、
一方のバチカンはかつて旧ソ連を崩壊に追い込んだ、
「東方戦略」の中国バージョンを始動させるでしょう。

いわばこれは宿命の戦い。
共産党御用達の「赤い司教」なんて本質的にあり得ない。



関連資料リンク

中国のカトリック教会事情



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テーマ:中国問題 - ジャンル:政治・経済

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コメント

中共の欺瞞

バチカンとのこともそうですが、中国語(そんなものあったかな?)学習施設の「孔子学院」ってなんなんでしょう。

孔子の教えは遙か昔に廃れまくり、拝金主義こそが絶対真理の国が「孔子」を担ぎ出すなんてへそが茶を沸かします。儒教はキリスト教以上に邪教であるはずなのに・・・今から儒教の神髄が広まったら中共は簡単に転覆してしまうのでは?

まあ、儒教では朝鮮族と言うことになるんでしょうけど、彼らの儒教は「神髄」とはほど遠い「いいとこ取り」なのでここでは無視です。

いわゆる老害政治家どもは中国に論語を重ねていることから「話せば解る」と思っている節があるようですが、相手は中国ではなく中共であることがまだよくわかっていません。戦前親交のあった中国ではないと死ぬまでに理解してほしいところです。

  • 2006/06/13(火) 06:05:58 |
  • URL |
  • クマのプータロー #-
  • [編集]

儒教1

孔子学院は、世界における中国語教師の育成、
中国文化のPRが目的です。
世界で100校作るそうで
日本ではすでに4つの大学の設置されています。

儒教が、本当の意味で浸透するならば
おっしゃるとおり共産党はひっくりかえるでしょうね。

眼前の官の腐敗や横暴、覇道を追求する国家戦略。
まさに儒教の対極にあります。
孟子の「民を尊しと為し、社稷(国家)がこれに次ぎ、
君を軽しと為す」なんて、
もろに共産党批判につながりますもんね。

共産党の発想は儒教のいいとこ取りですよ。

  • 2006/06/13(火) 15:49:50 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

儒教2

自分に都合のいい部分のみを換骨奪胎するだけです。
そして社会倫理の向上と秩序の引き締めを狙っているわけです。

「君子が身を正すことによって
民もまたこれに倣う」という発想が儒教にはありますが、
これなんか共産党幹部は頭が痛いでしょうね。

キリスト教や仏教と違って
儒教の場合、個人の倫理体系が
この世の秩序体系と一体化していますから。
ある意味、為政者にとっては都合のいい部分があります。
「修身・斉家・治国・平天下」
わが身を正すことから始めて最終的には天下を正す。
この順番ですね。

  • 2006/06/13(火) 15:54:04 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

儒教3

> 中国に論語を重ねていることから
> 「話せば解る」と思っている節が

そうですね。
ここらへんが、ついつい誤解しちゃうとこですね。
いわゆる、中国は君子の国だと。

中国は儒教の国であったと同時に
法家の国であり、兵家の国です。
また、道教の国でもあります。

中国の、国家の行動や利害判断、戦略に関しては
韓非子や孫子の観点から見たほうが
よほど彼らの発想が理解できるでしょう。

  • 2006/06/13(火) 15:56:58 |
  • URL |
  • ケイ@管理人 #-
  • [編集]

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