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バリ島爆弾事件のテロ組織「JI」・・その実態とは?

テロ組織「JI」指導者のバシール師が刑期終え出所

 200人以上が死亡した、
 バリ島爆弾テロ事件への関与で有罪となり服役中だった、
 東南アジアのテロ組織ジェマア・イスラミア(JI)の
 精神的指導者アブ・バカル・バシール師(67)が14日、
 刑期を終え出所した。

 治安当局は、同師の出所でJIなどのイスラム過激派が
 地下活動を活発化させる可能性が高いとして警戒を強めている。

 バシール師は、2002年10月に
 202人が死亡したバリ島爆弾テロへの関与を問われ、
 昨年8月に禁固2年6月の実刑判決が確定。
 だが、同国の独立60年を記念した大統領恩赦や
 未決拘置日数の算入などで服役日数が大幅に短縮された。

 ジャカルタ市内の刑務所を出たバシール師はこの日、
 出迎えた数百人の支持者らとともに
 本拠地の中ジャワ州ソロに向かった。

   (読売新聞)


「JI」とは何か?

「ジェマー・イスラミア」の略称。
意味は「イスラム共同体」。

東南アジア全域に細胞組織を持つテロ団体であり、
その組織目的は東南アジアに汎イスラム共同体を建設し、
世俗的な政府を打倒してイスラム国家を樹立すること。

JIは1993年、マレーシアで結成された。
もともとインドネシアのジャワ島を中部を中心に
イスラム国家建設を目指していた過激派グループが
スハルト政権の弾圧を逃れてマレーシアに密入国し、
JIの構成メンバーとなった。

こうした密入国グループに
JIの精神的指導者スンカルや
上記ニュースのバシールもいた。

スンカルとバシールは、
アフガニスタンでの対ソ連戦争に参戦した、
インドネシア人義勇兵を取り込み組織を拡大。
94年末にフィリピン南部ミンダナオ島に
軍事訓練施設「キャンプ・フダイビヤ」を創設し、
構成員を鍛えて将来の“聖戦”に備えた。

99年にスンカルが死亡すると、
盟友だったバシールが後継の精神的指導者に就任した。
だが、このトップ交代劇が、
JIが危険なテロ集団として始動する引き金となる。
 
バシールはアルカイダと太いパイプを持ち、
アルカイダの資金援助と軍事訓練を受けて、
2000年からインドネシアなどで大規模テロを次々と起こした。
 
相次ぐテロを受け、
東南アジアの治安当局はJIへの攻勢を強め、
特にマレーシアとシンガポールでの摘発の結果、
JIのテロ細胞は、一旦は壊滅状態に陥った。
 
JIの名が初めて明らかにされたのは、
このシンガポール政府当局による摘発の時。、
同国内でテロを企てていたとされるイスラム過激派十数人を
米国捜査当局との綿密な連携の下に逮捕し、
彼らの所属組織をJIとして初めて世界に公表した。

また、シンガポール内務省が
2003年に議会に提出した「JI白書」で、
このテロ団体の独特の組織体系が公表された。

それによると、JIは東南アジア各地に4つの支部を持ち、
この支部は「マンティキ」と呼ばれている。
さらに各マンティキは
機能別に分かれたユニットから構成されている。

マンティキ第一地区は
マレーシア・シンガポール・タイ南部に置かれ、
複数の企業を経営し、主に資金調達を担当していたが、
マレーシアとシンガポール当局による取り締まりで
壊滅状態に陥った。

マンティキ第二地区はインドネシアに置かれ
主に人材採用を担当しており、
ジャワ島に開設したイスラム寄宿塾より
有望なJI工作員をリクルートしている。

マンティキ第三地区は
フィリピン南部・マレーシア東部・インドネシア北部に置かれ、
JI工作員の軍事訓練と武器の調達を担当している。

マンティキ第四地区は
オーストラリアとパプアに置かれ、
他地区の後方支援基地と位置づけられている。

このJIの組織構成は
あたかも多国籍企業の東南アジア事業部のようであり、
当初、シンガポール内務省がこの組織図を発表した時、
他国の治安関係者はこの内容を容易に信じなかったという。

しかし、2002年10月のバリ島爆弾テロ事件。
2003年8月のジャカルタの米国系ホテル爆発事件、
2004年の同市でのオーストラリア大使館爆発事件、
さらに2005年10月の第二次バリ島爆弾テロ事件。
これらは全てJIの犯行であり、
インドネシアを中心に彼等の凶行は続いている。


ここにJIの内情を伝える2つの資料がある。

一つは元JI幹部が書いた暴露本。

JIでかつて最高幹部を務めたナシル・アッバスが、
組織の内幕をつづった著書「JIの真相・ある構成員の告白」が
2005年7月にインドネシアで発売された。

アッバスはシンガポール生まれのマレーシア人で、
1987年からアフガニスタンでの対ソ戦争に参加し、
93年からJIに加入。
94年に比南部ミンダナオ島に
軍事訓練施設「キャンプ・フダイビヤ」を設立し、
数多くのテロ要員の養成に当たった。
爆弾テロを起こして逮捕後、全てを自白し、
現在、JIからの報復を避けるため
インドネシアで潜伏生活を送っている。

このアッバスに読売新聞がインタビューを行っている。
以下、読売の過去記事から。
      
 ――出版の動機は。
 
 「私は、2003年4月にテロ対策法違反で逮捕されるまで、
 JIでフィリピン南部やインドネシアのスラウェシ島などを、
 統括する第3総支部のトップだった。
 しかし当時から、仲間が起こしたバリ島テロに
 強い疑問を抱いていた。
 我々の目的は、アフガニスタンなどの紛争地帯で
 抑圧されているイスラム同胞の支援だったはずだ。
 バリ島は戦場ではない。
 しかも標的は民間人だ。
 私の義弟がいつの間にか実行犯に加わり、
 後に死刑が確定したことも、失望感に輪をかけた。
 結局、獄中で組織との決別を決め、
 2004年2月に出所してから執筆に取りかかった」
 
 ――JIの実態が
 外部にほとんど知られてこなかったのはなぜか。
 
 「厳しい『沈黙と結束の掟(おきて)』があるからだ。
 重要な指令は文書ではなく口頭で下されるから、
 証拠も残らない」
 
 ――現在のJIの組織力は。
 
 「確実に弱体化した。
 実はJI創設者のアブドラ・スンカル師が
 1999年に死去して以降、組織では内紛が続いている。
 後継に選ばれた現指導者のアブ・バカル・バシール師は
 スンカル師に比べカリスマ性が弱い。
 しかも、バシール派の筆頭で
 テロ組織アル・カーイダと太いパイプがある、
 作戦司令官のハンバリ(2003年8月に逮捕)が
 バリ島などで大規模テロを次々と起こし、
 治安当局の摘発攻勢に道を開いたことが強い反発を招いた」
 
 ――ではJIの脅威は低下したのか。
 
 「逆だ。統制が取れなくなった分、
 過激分子が独自に『細胞』(実行犯グループ)を形成し、
 テロに走る傾向が強まっている。
 JIを脱退して、より過激な組織に加入する構成員も増えている」
 
 ――JIのような過激派の伸長を
 抑えるにはどうすればいいのか。
 
 「イスラム国家樹立のためには
 非イスラム教徒を殺して構わないとする、
 JI流の思想は誤りであることを信徒全員が理解すべきだ。
 著書で強調したのもこの点だ。
 西洋社会などに『イスラム教は暴力的で不寛容な宗教だ』と
 思わせないようにする責任は、イスラム教徒自身にもある」
        
   (読売新聞 2005/07/05)


もう一つの資料は、
JI幹部が作成した「テロ入門手引き書」。

バリ島同時テロの首謀者とされる、
JI幹部ヌルディン・ムハンマド・トプ容疑者が、
部下のアブドゥル・アジズ容疑者に作成させたもので、
構成員向けのウェブサイトにひっそり掲載されていた。
 
その内容は、アルカイダのウサマ・ビンラーディンによる、
「世界各地の米国人とユダヤ人を殺すことは最も神聖な義務だ」
との説法を冒頭で紹介し、
「聖戦に地理的な制約はない。
信徒全員が参戦すべきだ」と主張する。

指導内容は計17項目。
「聖戦の過程で、
巻き添えによりイスラム信徒が死ぬのはかまわない」
との内容も盛り込まれ、
JIのテロ犠牲者の多くがイスラム教徒だったことを正当化し、
構成員に無差別テロを奨励する意図が明白にうかがえる。
 
この「手引書」は
ビンラディンやアラブ系イスラム法学者の説法を
数多く引用しており、
インドネシアのイスラム信徒が持つアラブ人への「劣等感」や
「過剰な思い入れ」に巧みに訴えていた。

このサイトはインドネシア警察が
存在を確認後、削除している。


さて、冒頭のニュースにあるように
JIの指導者アブ・バカル・バシールが出所した。

この恩赦の連発による刑期の短縮は
インドネシア・ユドヨノ政権の弱腰が背景にある。
インドネシアはイスラム教徒が多数を占める国であり、
JIへの取り締まりは
「イスラムへの裏切り」と感じる国民も多い。
それがこの刑期の短縮となった。

なにしろ、インドネシアにおいてJIは
驚くなかれ、合法団体である。
本来、JI根絶には関連団体の資産凍結などで
支援網を断つ非合法化が不可欠であるが、
インドネシア政府は国民感情に配慮し、
このテロ組織に及び腰となっている。

一方、このバシールの出所に米国と豪州は不快感を表明。
ハワード豪首相は「激しい失望と悲嘆」と述べ、
ダウナー豪外相も「バシール師は聖戦を信奉している」として、
新たなテロ発生への警戒感を表明している。



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  • 2009/05/24(日) 17:26:15 |
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