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米国:イラク混沌の処方箋は?・・老覇者の苦悶

◆主戦場はアフガンとイラクだ
 
 世界は先週、制御不能になるかのように
 レバノン、北朝鮮、バグダッド、
 ムンバイと各地で危機が相次ぎ、
 罪のない人々数百人が死亡した。
 国際社会でこんなに重苦しい出来事が続いたのは久しぶりだ。
 唯一の超大国である米国も北朝鮮やシリアの独裁政権を
 自分の意思に従わせることはできないでいる。
 超大国は多くの問題を同時に処理できなければならないが、
 米国の指導力を緊急に必要としている地域は、
 イスラエル、朝鮮、イランなど多方面にわたっている。

 しかし、いくら危機が山積しても、
 ブッシュ政権は自らが始め、
 まだ勝利していないアフガニスタンとイラクの
 戦争への集中的取り組みを忘れてはならない。
 アフガンの治安は悪化の一途をたどり、
 地方の当局者は米軍から
 北大西洋条約機構(NATO)軍への治安維持任務の移譲が
 米国の関与後退を意味するのではないかと懸念している。
 だが、困窮に陥った国を見離す危険はもう分かっている。
 アフガンは復興支援の増強を求めており、
 米軍に取って代わる欧州諸国の部隊は米兵と同じように断固、
 タリバンと戦わなければならない。

 一方、イラクでは宗派間の争いが激しさを増している。
 この1年でイスラム教スンニ派が政治プロセスに参加し、
 シーア派のマリキ首相による同派民兵の蛮行追及、
 アルカイダ勢力の弱体化など
 事態進展への歩みはあったものの、
 イラク政府が国民の安全を保障できなければ、
 こうした進展もまったく無意味になる。
 政府が治安を確立できないなら、
 イラク人はあらゆる面で民兵の力に頼るようになり、
 内戦への火ぶたが切られることになろう。

 北朝鮮は今後も挑発行動を続け、
 イランも手先となっているテロリストを
 そそのかすことになろう。
 このため、ワシントンでは対応策として
 イラクからの即時撤退論を頻繁に耳にするようになった。
 だが、即時撤退は、イラクを混乱の中に放置し、
 米国の国際的立場を強化せず、逆に敵を力付け、
 先週の危機を引き起こせるようなグループに
 聖域を与えてしまうだろう。
 それよりも、イラクでの使命を成功させるため、
 極めて困難な活動に力を集中する方がよい。

   (ワシントン・ポスト 2006/07/16)


このワシントン・ポストの論考ですが、
硬骨で実に小気味いいですね。
なかなか骨太な意見だと思います。

もちろん、日本人の視点からすると
米国がいつまでもアフガンやイラクに
エネルギーを傾注している現状は困りものであり、
少なくともアフガンなんか放っておいて
北朝鮮にもっと目を向けてくれよといいたくなります。

この問題の根幹は、

  衰えた覇権国家の力の割り振り

ってことなんでしょうが、
かつて100のパワーを持っていて
余裕で世界中の問題に対応していた超大国が、
今や40のパワーに衰えて、
そのパワー配分に四苦八苦している現状ですね。

サッカーにたとえるならば、
割り当てられた守備範囲がやたらと広い、
高齢DFってとこでしょうか。

かつての強健な体力も衰え、足腰もガタがきて、
右に走れば、左に敵FWに走り込まれ、
左に寄れば、空いた右のスペースががら空きとなり、と。

さて、私は現在の情勢が続けば
必然的に米国はイラクからの撤退を余儀なくされると思ってます。
何故なら、現在のイラクの混沌に対して
米国には解決手段が無いからです。

だからどこかで撤退せざるを得ない。
ワシントン・ポストにはお気の毒ですけど。

今のイラクの混沌は、米国の軍事力によって
最悪の内戦一歩手前で
なんとかギリギリで支えられているにすぎず、
イラク再生・イラク復興なんて、ほど遠いものがあります。

では、この混沌の根本要因は何でしょうか?

1,異教徒・異国人によるイラク支配

2,民主主義

3,イラクが多宗派・多民族による、
  寄せ集めの人工国家であること。

1は容易に分かりますね。
キリスト教徒たる米国人がイラクを支配すれば
そりゃ摩擦が起きるのは当然でしょう。
また、3も混沌の要因そのものです。

では、2の「民主主義」が何故、混乱の原因なのか?

まあ、民主主義の構成条件・定着条件に関して
ああだこうだ、ここで書く気はありませんが、
民主主義の欠点は一歩間違えれば
多数派による少数派への強権支配に転落するということです。

シーア派・スンニ派・クルド人の
3勢力がひしめいているイラクですが、
互いに融和せず、それぞれが排他的で
独自性を強く持てば持つほど、
民主主義というシステムは多数派専横の道具となります。

なまじっか米国がこういうシステムを
イラク現状況の中に導入しようとすれば
混乱を生み出すのは当然のことです。

では、この3つの要因から見て、
米国にとってイラク情勢の打開策は何か?

1,単純に撤退する。

2,イラク三分割

3,開発独裁政権を打ち立てて、それを米国が後援する。

この3つでしょうね。

まず、1からいきますと、
これはある意味、一番楽勝な道です。
出ちゃえばいいんですから。
ただし、その後に来るイラクの破局的混乱と
中東情勢の不穏化はハンパじゃありません。

イラクは中東の枢要の地であり、
また、石油の生産量・埋蔵量から言えば、
ここが混乱することは世界に大きな影響を与えます。
それはかつて同じように撤退したベトナムの比ではありません。

次に2の「三分割」ですが、
これはイラク戦争直後に
米国のシンクタンク、米外交問題評議会(CFR)が提唱して
話題になったことがあります。

どうせ、シーア・スンニ・クルドと
三者はかみ合わないんだから、
いっそのこと分割しちゃえという案です。
この場合、緩やかな連邦制国家にする穏健論と、
完全に三国を独立させる強硬論の2つがあります。

後者の強硬論ならば、

 北国家・・クルド人
 
 真ん中国家・・スンニ派

 南国家・・シーア派

の、3つに分割して、
石油が取れる北と南に米軍が進駐して押さえ込み、
真ん中は放置するという案です。

これだと民族・宗派の対立も押さえられるし、
費用対効果から言えば
無駄の多いバクダット等の真ん中は面倒みなくてすみます。
押さえるとこだけ押さえて、
あとは勝手にやってろよって感じの策ですね。

最後の3。
「開発独裁政権を打ち立てて、それを米国が後援する」
これは要するに、
民主主義なんて建前論は捨てて
実利だけ得ようという案です。

民主主義でみんなに一票持たせるから混乱する。
じゃあ、独裁政権を打ち立てて、
米国が背後でコントロールすればいい。
そして強権政治によって
混乱しがちな国家の分裂と混沌を押さえ込む。

少数派であるスンニ派あたりに政治権力を持たせて、
かつてのサダム時代のように
強権と人権無視と秘密警察で国内を完全に掌握させる。

まあ、これはブッシュ・ドクトリンの
「中東の民主化」理念の放棄でもあります。

でも、サウジなんかもそうだし、
米国が独裁政権・非民主政権を後援している例は
それこそ過去から現在に至るまでいくらでもあります。

ただ、イラクは米国にとって
中東民主化のショーウインドウと見なしてきただけに、
この案をとった場合の世界に与える衝撃は大きいでしょうね。

米国がロシアと周辺諸国に対して取っている民主化攻勢、
これにも影響してくるでしょう。

「民主主義」という国家理念は
米国にとって武器でもあります。
いわば国家ブランドですね。
これがあるから諸外国に信用されている側面があるわけで、
これを平然と無視し、イラクに独裁政権を建てれば
米国のブランド力は低下するでしょう。


まあ、3つの方策を書きましたけど、
なんだかんだ言いつつ、
いずれも困難な道であることは変わりないですね(笑)

でも、これ以外に無いんじゃないですか?
どの道、現状のままでいくならば
国家財政の赤字に耐えかねて
どこかの段階でイラク進駐路線は破綻するでしょう。



関連過去記事(本店ブログ)

イラクの混沌と統治の泥沼・・イラク戦争と湾岸戦争




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